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映画『オブリビオン』の衝撃のラストを完全ネタバレ解説!

■あらすじ『西暦2077年、地球は”スカヴ”と呼ばれるエイリアンの襲撃によって壊滅的な被害を受け、生き残った人類は他の惑星への移住を余儀なくされていた。人々のいなくなった地球では、無人偵察機(通称ドローン)による監視を継続。そんな地球に残り、ドローンのメンテナンスやパトロールなどの任務に当たるジャック・ハーパー(トム・クルーズ)はある日、未確認飛行物体の墜落現場へと向かい、そこでカプセルの中で眠る謎の美女を発見する。目を覚ました彼女はジュリア(オルガ・キュリレンコ)と名乗り、なぜか会ったこともないジャックの名を口にした。一方ジャックも、ジュリアが最近夢に出てくる女性にそっくりなことに気付く。しかし肝心な記憶は曖昧で、彼女が何者なのかも分からなかった。やがて、二人に隠された驚愕の真実は、謎の男ビーチ(モーガン・フリーマン)によって徐々に解き明かされていく。そして最後に彼らが辿り着いた衝撃の結末とは…!?』



大ヒット上映中のオブリビオンを観に行って来ました。トム・クルーズ主演の本格SF映画としてはマイノリティ・リポート以来の超大作ということで、結構楽しみにしてたんですよね(ちなみに『宇宙戦争』は僕の中ではSF映画というより”災害パニック映画”という位置付けですw)。

この『オブリビオン』を観てまず目に付くのは、壮大かつ圧倒的に美しい世界観でしょう。スーパーボールが開催されていたスタジアム、エンパイアステートビル自由の女神など、かつての名所が破壊され廃墟と化した無残な姿を晒す一方、ジャックが拠点としている上空数千メートルの居住空間”スカイタワー”は超未来的なデザインが施され、その対比が実に鮮やか!

今回メガホンをとったジョセフ・コシンスキー監督は、コンピュータ内部の世界を舞台にしたSFアクション映画トロン:レガシーで見事な映像を披露していましたが、本作においても壊滅状態となった地球の風景を独特のビジュアルセンスで描き出しています。

中でも特に驚いたのは、スカイタワーの場面が作り物とは思えないほどリアルだったこと。このような映像を撮る場合、ブルーバックにCGで作られた背景を合成する方法が一般的ですが、今回は敢えてCGを使わず、実際に巨大なセットを作り、その周囲に標高3000mの山で撮った本物の映像を投影することで、リアリティ溢れる雰囲気を実現したのだそうです。

ジョセフ・コシンスキー監督によると、「今回は本物の風景にこだわりました。僕は『アラビアのロレンス』が大好きなんですが、あの映画は全てロケーションで撮影されています。SF映画にもああいう景色を取り入れたかったんですよ。本作はアイスランドで長期ロケを敢行し、見たことがないような景観を撮ることができてとても満足しています」とのこと。

また、ジャックが操縦する高性能パトロール機”バブルシップ”や、折り畳み式バイク(ホンダCRF450Xを使用)など、機能的な面白さを持つ様々なガジェットも魅力の一つ。それぞれのメカやアイテムは既存のSF映画にありがちな”ウソっぽさ”が無く、しかも全て実物大のプロップを制作しているのが素晴らしい。

中でも、デザインにもこだわったバブルシップは、上下左右や360度回転など様々な動きに対応した特製の装置に固定され、劇中の激しいアクションを完全再現できる優れモノ。なお、コックピットに乗り込んだトム・クルーズは大喜びでしたが、同乗したオルガ・キュリレンコはあまりにも凄まじい動きに「クレイジーだわ!」と真っ青になっていたそうです(笑)。



そんなオルガ・キュリレンコと、ヴィクトリアを演じたアンドレア・ライズブロー、2人の女優が見せる美しさとミステリアスさも重要な見どころと言えるでしょう。

特にアンドレア演じるヴィクトリア・オルセンは、真面目で規律正しいキャラクターと思わせながら、いきなり素っ裸でプールに飛び込み泳ぎ出すなど、序盤から不思議な言動を連発して観る者を翻弄しまくります(本部との会話シーンも不気味な感じ)。なお、劇中のキャラは冷たい印象ですが、実際のアンドレアさんは可愛らしいですね。↓

一方、オルガ演じるジュリア・ルサコヴァは、「宇宙から落下してきたカプセル入りの美女」という『宇宙戦艦ヤマト』のサーシャみたいな登場の仕方で観客の心を鷲掴みに!「主人公の夢に何度も出てくる」という状況も他の映画やマンガで良くある設定ではあるものの、キャラに対する関心は間違いなく高まるでしょう。

ちなみにオルガ・キュリレンコウクライナ生まれで、007/慰めの報酬(2008年)ではボンドガールを演じた女優さんです。

一方のアンドレア・ライズブローは英国生まれで、マドンナが監督し、『オブリビオン』の後は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』や『ナンシー』などで印象的なキャラを好演しました。タイプの違う二人の女性キャラがストーリーにどう絡んでくるのか?要注目ですよ。

さらに、全編を通して観客を釘付けにするのが、ストーリーに散りばめられた”数々の謎”!主人公のジャック・ハーパーはなぜ過去の記憶が無いのか?カプセルで眠っていたジュリアは何者?どうしてジャックを知っていたのか?ジャックもなぜジュリアの夢を見るのか?”スカヴ”と呼ばれる異星人の正体は?そしてビーチ(モーガン・フリーマン)は何を知っているのか? 次々と繰り出される意外な展開の連続に、一瞬たりとも目が離せません!

…って、このように書くと非常に面白い映画のように思えますが(実際、途中までは物凄く面白いんですが)、総合的には「う〜ん、惜しい!」って感じの出来映えでしたねえ。何が惜しいのかを具体的に書くとネタバレになるので後で書きますけど、ラストシーンを観終わった後に何だかモヤモヤした気持ちになるんですよ。

次々と謎を繰り出して観客を引き付ける手法は上手く機能していると思いました。そして映像的にも素晴らしい。ただ、謎が解き明かされていく終盤以降の展開に無理があるというか、”納得できない”感じが濃厚なんですよ。特に”あの結末”に関しては「オイオイそれでいいのかよ!?」と異論を唱える人も大勢いるんじゃないかなあ。

あと、(やむを得ないこととは言え)過去のSF映画に設定や映像が酷似している点も少々マイナスポイントかなと。例えば、バブルシップが狭い峡谷を猛スピードで飛行し、敵の戦闘メカと凄まじいドッグファイトを繰り広げるアクションシーンは、どこからどう見ても『スター・ウォーズ』なんですよね(苦笑)。

また、大ヒットした某SFアクション映画のアレとかソレに設定がそっくりだったり。SF映画に詳しい人ならかなり早い段階で「ああ、アレか」とオチに気付いてしまうかもしれません。その辺がちょっと残念でしたねえ。


※以下、ネタバレで解説してます。映画を観てない方はご注意ください!
※あと、話の流れでデンゼル・ワシントン主演の『デジャヴ』のネタバレもしてるので気を付けて!


この映画って序盤から中盤にかけては割とゆっくり話が進んでいくんですが、終盤の展開が結構バタバタしていて、尚且つ謎が解明されていない部分もあったりするため、「良く分からなかった」と感じる人がいるかもしれません。そこで、話をちょっと整理してみましたよ。まずは、物語の前提となる”基本設定”について。

(1):ジャック・ハーパーが信じていた経緯

西暦2017年、人類は突如地球を襲ってきた謎の異星人”スカヴ”と激しい戦闘を繰り広げた末、どうにか撃退に成功する。しかし、その結果地球は放射能に汚染されて壊滅状態となり、人間が住めなくなってしまった。そこで人類は新天地を求め、土星の衛星タイタンへの移住を決断。

それから60年後の2077年、衛星軌道上には巨大な宇宙ステーション”テット”が浮かび、地球では各所の大型プラントが資源確保のために海水を吸い上げている。しかし、生き残ったスカブがプラントを狙って攻撃してくるため、無人ロボット”ドローン”を飛ばして上空から警戒していた。ジャックは、ドローンを修理するためにテットから派遣されたメンテナンス要員で、パートナーのヴィクトリアと共に地球の監視を続けている。

(2):実際の経緯

西暦2017年、宇宙船オデッセイのパイロットを務めるジャックとヴィクトリア(ヴィカ)は、タイタンへ調査に向かう途中、突如現れたテットに捕獲されてしまった(他のクルーはジャックの判断でコールドスリープ状態のまま脱出)。

その後、テットはジャックのクローンを大量に作って地球へ送り込み、人類を殲滅させる(月も破壊)。壊滅状態となった地球にプラントを設置し海水を略奪。更に、生き残った地球人の反撃からプラントを保護するためにドローンを投入し、監視係としてジャックとヴィカのクローンを各地に配備した(映画はここからスタート)。

この物語が始まった時点では、主人公のジャック・ハーパーが地球に派遣されて5年が経過しており、それ以前の記憶はありません。このため、テットから与えられた偽りの情報(上記「経緯(1)」)を信じ、異星人の襲撃から施設を守るために日々のパトロールに明け暮れていたわけですが、実際は全く逆だったのです。

”異星人に勝った”と思っていた地球人側は、本当はボロボロに負けていて、タイタンへ移住するどころか大多数が全滅。生き残った人々はレジスタンスとなり、テットに見つからないように細々と暮らしていました。

”スカヴ”などという異星人も初めから存在せず、ジャックが戦っていた相手は地球人だったのです。しかも、自分はクローン人間で、テットの手下として人類を滅ぼした張本人だった!という衝撃の真実を告げられ愕然とするわけですよ。

そして真相を知ったジャックはレジスタンス側に協力し、ドローンを改造して核爆弾を積んだままテットに侵入させ内部から破壊する、という計画を実行しようとしました。しかし、作戦を実行する直前、テットの襲撃を受けてドローンは大破。そこでジャックは自らバブルシップを操縦して特攻しようと決意します。

この時、ジャックは妻のジュリアの希望により彼女をカプセルに入れ、一緒にテットへ突入するんですが、カプセルを開けたらなんとモーガン・フリーマンだった!(なんでお前が入ってるんだよw)

その後、核爆弾のスイッチを押してテットを爆破。ジュリアはジャックの秘密の隠れ家に運ばれていて、そこで生活を始めます。ところがそれから3年後、ジュリアに子供が生まれていました。この展開にもビックリしましたねえ(いつの間に仕込んだんだw)。

さらに、レジスタンスの仲間たちが隠れ家を訪ねて来るんですけど、そのメンバーを良く見ると、なんと自爆したはずのジャックが!実はジャックの52番目のクローンなんですけど、顔も中身も同じだから問題無し!親子三人幸せに暮らせてめでたしめでたし……っていいのかよそれで!?この物語ってハッピーエンドなの?どうなの???

というわけで、エンディングまでの数分間に次から次へと意外な展開が起こりまくり、気持ちの整理がつかない人もいたかもしれませんが(笑)、個人的にびっくりしたのはやっぱりモーガン・フリーマン(ビーチ)ですね。あの登場には意表を突かれましたw

一応、テットへの侵入は「カプセルから回収した人間を連れて行く」という条件付きだから、ジャック以外に誰かを乗せなければならない。そして、その前の場面でドローンの攻撃を受けて死にかけているビーチを映し、「テットの最期をこの目で見たかった」というセリフを言わせるなど、伏線はきちんと張ってあるんですよね。

だから理屈としては合ってるんだけど、あの状況自体がやはりどう考えてもおかしいわけですよ(そもそも、核爆弾を積んだバブルシップをあっさり通過させてしまうとか、テットのチェックが甘すぎるだろうとw)。

それから、唐突に登場した子供にも驚きましたねえ。「そんな暇あったのか?」と思って良く考えてみたら、確かにそれらしい場面はありましたけど。まあ、『ターミネーター』のカイル・リースや実写版『ヤマト』の古代進など、「どんな非常事態に陥ってもやることはやってる」っていうのはSF映画の主人公に共通する習性なんでしょうね(笑)。

しかし、最大の問題はやはりラストシーンじゃないでしょうか。この映画って『ミッション:8ミニッツ』のダンカン・ジョーンズ監督が撮った月に囚われた男に全体の構成がそっくりだと言われていますが(実際にそっくりなんですが)、僕はラストを見て別の映画を思い出しました。それは、トニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン主演の『デジャヴ』です。

『デジャヴ』を観てない人は先に観て欲しいんですが、『オブリビオン』と『デジャヴ』に共通するポイントは”物語の結末”です。どちらの映画も「主人公は大勢の人の命を助けるために死亡するが、その後ヒロインの前に主人公と全く同じ姿をした男が現れる」という終わり方なんですよ。この手のラストで問題になるのは、「果たしてハッピーエンドと言えるのか?」という点でしょう。

オブリビオン』の場合、観客はトム・クルーズ演じる主人公(ジャック49号)に感情移入しながら映画を観ているわけですよね。そしてジャック49号が死んで、代わりにジャック52号が登場した時、たしかに両者はオリジナルから派生したクローンだから、姿形や性格も完全に同一かもしれません。

でも、我々が映画の初めから感情移入していた主人公とは、明らかに別のキャラクターなんですよ。任務をこなしていた5年の間に”個性”が生まれ、こっそり本を拾って集めるなど、他のクローンとは異なる行動をとっていた。だからこそビーチは49号に地球の未来を託したのです。となれば、簡単に「49号が死んだから代わりに52号で」ってわけにはいかないんじゃないか?と。

百歩譲ってヒロインの心情的に「どっちもクローンだし、まあいいか」となったとしても、本物の主人公は確実に死んでるわけですから、その事実は変わりません。せめて、ジャック49号とジャック52号の間に何らかの意思の疎通が存在し、「後のことは頼んだぞ!」みたいなやり取りでもあれば、まだ納得できたかもしれませんけどねえ…。

しかも、地球に駐在しているクローンは他にも大勢いるのに、もしジャック50号とか51号が現れたらどうすんの?あと、ジャック52号とペアを組んでいたヴィカ52号はどうなった?など、なんかモヤモヤすることが多いんだよな〜(^_^;)

まあ、こんな風にいろいろ突っ込みどころが多い映画ではあるんですよね、『オブリビオン』って。ただ、突っ込みどころがあったとしても映画全体を彩るビジュアルは実に壮大で美しく、オリジナルSF映画としての魅力は存分に発揮されていると思います。

また、ストーリーの方もSF一辺倒ではなく、地球の命運を懸けて覚悟の自爆を果たすトム・クルーズの勇姿や、最終的には純然たるラブストーリーとして完結している点も大いに評価できるのではないでしょうか。


※追記
この記事に関しては意外にも反響が大きく、多数のコメントをいただきました。ありがとうございます!というわけで、コメント欄でも疑問点に関する訪問者の方からの質問に対し、自分なりの解釈を述べていますので(合っているかどうかは分かりませんがw)ご意見・ご質問がある方は以下のコメント欄からご自由にどうぞ(謎が解明できるかも?)。他の人も「自分はこう思う!」みたいな考察を色々書き込んでいて、なかなか面白いですよ〜(^_^)

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