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『月に囚われた男』映画感想


■あらすじ『宇宙飛行士のサム(サム・ロックウェル)は世界最大の燃料生産会社との契約により、月面でただ一人、鉱物採掘の任務に就いている。話し相手は人工知能を搭載したコンピューターだけという3年間の孤独な作業。あまりにも過酷な環境に耐え切れず、ついに幻覚まで見るようになってしまったサム。そして、任務終了まで2週間を切ったある日、彼の目の前で、さらに不思議な出来事が起こる。幻想に現われる黒髪の女性の正体は?そして目の前に現れた自分とそっくりな男は誰なのか?地球に必要不可欠なエネルギー源を採掘するため月の基地に滞在中の男が奇妙な出来事の数々に遭遇するSFサスペンス・スリラー!』


デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズが初監督に挑み、月面の採掘所で働く男の悲しく恐ろしい運命を描いた『月に囚われた男』。『フロスト×ニクソン』のサム・ロックウェルが一人劇に挑むほか、ロボットの声をケヴィン・スペイシーが担当するなど、500万ドル以下の低予算映画ながらもダイナミックなスリルが味わえる、非常に完成度の高い作品です。

たしかに製作費が安いだけあって、CGバリバリのハリウッド映画に比べれば全く派手さはありません。しかし、誰もいない月面基地でたった一人で働き続ける男の孤独感や閉塞感が見事に表現されており、基地のセットもシンプルかつ実用本位なデザインで実に渋い。SF映画なのに敢えて未来的な要素を強調せず、むしろ通信機のモニターやPCのキーボード等は古臭いイメージさえ漂っていますが、それが逆にリアルでいい感じ。

内容的にはSF短編小説みたいであまり目新しさはないものの、衝撃の真実を知ってしまった主人公の驚きと悲しみ。そして最後の決断に至るまでの心の揺れ動きがサム・ロックウェルの一人芝居によってじっくり描き出されています。この展開は結構泣けますよ。ネタバレになるので詳細は控えますけど、ラストシーンにもう少し捻りがあれば大傑作になっていたかも。素晴らしい!

あと本作を観て思ったのが、「こういう映画を日本でも作れないのかなあ」という事。舞台を月面基地の中だけに限定して「密室劇」の話にすれば予算もあまり掛からないから邦画でも十分可能なハズだし。セットのディテールを徹底的に作り込んで、シナリオにもこだわれば結構イケるんじゃないだろうか?是非作って欲しいなあ。

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サム・ロックウェル,ケヴィン・スペイシー,ドミニク・マケリゴット,カヤ・スコデラーリオ,ダンカン・ジョーンズ

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