ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

明けましておめでとうございます!(2023年に観た映画を振り返ってみる)

君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
新年明けましておめでとうございます。
2024年になったとたん大規模な地震があったり飛行機事故が発生したり、色々と大変なことが起きていますが、皆さんいかがお過ごしょうか?
ちなみに僕は昨年末に風邪をひいて体調を崩してしまい、4日経ってもまだ治ってません、トホホ(新年早々、不穏なスタートだなぁ…)。
さて、相変わらず更新が滞っている当ブログではあるものの、一応映画は観てまして(アウトプットが絶望的に間に合ってませんが)とりあえず2023年に観た映画を書き記しておこうと思います。

 

●1月
非情宣言
SHE SAID
BAD CITY
レジェンド&バタフライ
イニシェリン島の精霊
カンフースタントマン 龍虎武師

●2月
FALL/フォール
バビロン
ベネデッタ
バイオレント・ナイト
逆転のトライアングル
アントマン&ワスプ:クアントマニア
#マンホール
BLUE GIANT

●3月
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
フェイブルマンズ
エスター:ファーストキル
ダンジョン&ドラゴン
Winny
シン・仮面ライダー
ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー

●4月
AIR/エア
ノック 終末の訪問者
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
聖闘士星矢 The Beginning
Smile スマイル
オオカミ狩り
search2

●5月
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3
TAR/ター
ワイルドスピード/ファイヤーブースト
岸辺露伴ルーヴルへ行く
クリード過去の逆襲
THE WITCH/魔女 -増殖-
ソフト/クワイエット

●6月
M3GAN ミーガン
ザ・フラッシュ
リバー、流れないでよ
インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

●7月
君たちはどう生きるか
ミッションインポッシブル/デッドレコニング
マッド・ハイジ
Pearl パール
ヴァチカンのエクソシスト

●8月
MEG ザ・モンスターズ2
バービー

●9月
グランツーリスモ
ジョン・ウィック:コンセクエンス

●10月
イコライザー THE FINAL
ザ・クリエイター/創造者
SISU/シス 不死身の男

●11月
ゴジラ-1.0
マーベルズ
ロスト・フライト
翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて

●12月
屋根裏のラジャー
TALK TO ME トーク・トゥ・ミー

 

…とまぁ、昨年観た映画をざっくり月毎に並べてみたんですが、『ミッションインポッシブル/デッドレコニング』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』『ゴジラ-1.0』辺りはやはり面白かったですね(『ゴジラ-1.0』の評価は賛否あるだろうけど、興行収入は50億円を突破し海外でも大ヒットしてるのが凄い)。

一方、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』『マーベルズ』などのMCUシリーズはもうあまり真剣に追ってないというか、興味が続かないというか…。

実は僕、『ワンダヴィジョン』や『ミズ・マーベル』などのドラマシリーズを観てないんですよ。でもMCUシリーズってフェーズ4以降はドラマの内容と映画本編がガッツリ絡んでるじゃないですか?まぁドラマを観てなくてもギリ分かるんだけど、ドラマ版にしか出て来ないキャラの場合はなかなか入り込めない部分もあったりするので難しいですねぇ。

『BAD CITY』『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』『シン・仮面ライダー』は日本では数少ない本格アクション映画で、特に『BAD CITY』と『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』は『シン・仮面ライダー』よりも(たぶん)圧倒的に予算が少ないにもかかわらず、創意工夫とスタッフの頑張りで見応えあるバトルシーンを生み出しているのが素晴らしい(アクション監督はどちらも園村健介)。

そして2023年は宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』と、元スタジオジブリのスタッフが制作した『屋根裏のラジャー』が両方公開され、”現ジブリ vs 元ジブリ”みたいで非常に興味深かったんですが、結果は宮崎駿監督の圧勝でした。

君たちはどう生きるか』の方は全く宣伝をしなかったにもかかわらず公開初日から多数の観客が押し寄せ、現時点での興行収入は約87億円。さらに12月からはアメリカでも上映が開始され、全米週末興行収入ランキング第1位を獲得するなど驚異的な強さを見せ付けています。

一方、『屋根裏のラジャー』の興行収入は公開初週に約6900万円、ランキングも第9位という低調なスタートで、2週目には早くもベスト10から脱落してしまいました(最終的な興収は3億円程度と言われているらしい)。スタジオポノックは前作『メアリと魔女の花』で33億円の大ヒットを生み出しているだけに、この結果はショックでしょう。

しかも当初は2022年夏の公開を予定していたのに、制作スケジュールが遅れて1年半も延期され、プロデューサーの西村義明さんによると「公開を延期したことで人件費が増大し、スタジオ倒産が現実味を帯びてきた」とのこと(いや、ポノックどうなるんだよ…(-_-;)

というわけで、昨年は色んなことがありましたが2024年もよろしくお願いいたします。

 

『君たちはどう生きるか』の大叔父は高畑勲だった?宮崎駿の壮大な愛憎物語

ジブリと宮崎駿の2399日

ジブリ宮崎駿の2399日


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて先日、NHKプロフェッショナル 仕事の流儀が放送されました。

番組のサブタイトルはジブリ宮崎駿の2399日」で、宮崎監督の最新作『君たちはどう生きるか』の制作舞台裏に密着したドキュメンタリーです。

タイトル通り、NHKのディレクターがなんと6年半もスタジオジブリに通い続けながら撮影した驚異の超長期取材で、当然『君たちはどう生きるか』のメイキングだろうと思っていました。

ところが、その内容は宮崎駿がどれだけ高畑勲のことを好きだったのか」「宮崎駿にとって高畑勲とはどんな存在だったのか」みたいなことを延々と映していたのです。「何だこの番組は…?」とビックリしましたよ(笑)。

高畑勲さんといえば、宮崎さんが東映動画に入社した当時からの仕事仲間であり、『太陽の王子 ホルスの大冒険』で場面設計を担当して以来、『ルパン三世』や『アルプスの少女ハイジ』や『母を訪ねて三千里』など数々の作品で一緒にアニメーションを作り続けて来たパートナーです。

やがて宮崎さんは『未来少年コナン』で監督デビューを果たしますが、それが終わると再び高畑監督の『赤毛のアン』にスタッフとして参加するなど、当時は常に高畑さんと行動を共にしていました。

しかしその頃、高畑さんは近藤喜文さんという優れたアニメーター(後に『火垂るの墓』で作画監督を務める)に主な作業を任せていて、宮崎さんは「必要なのは俺じゃないのか…」とショックを受けたらしい。

ジブリと宮崎駿の2399日

ジブリ宮崎駿の2399日

そして宮崎さんは長編初監督作品『ルパン三世 カリオストロの城』を制作するために『赤毛のアン』を途中降板し、短期間で素晴らしい傑作を作り上げたものの、残念ながら『カリ城』は全くヒットしませんでした。

「もう映画を作れないかもしれない…」と失意のどん底に沈む宮崎さん。そんな時に「うちの雑誌で漫画を描きませんか?」と声をかけたのが、当時徳間書店で「アニメージュ」を作っていた鈴木敏夫さんでした。

こうして『風の谷のナウシカ』の連載がスタートし、やがて鈴木さんの協力もあり映画化が決まったのですが、なんと宮崎さんはプロデューサーに高畑さんを指名したのです。

その時、鈴木さんは「なるほど、ずっと一緒にアニメーションを作ってきた盟友だし、宮さんが新しい作品を作る時に高畑さんと一緒にやりたいというのは当たり前だな」と考え、高畑さんにプロデューサーの仕事を依頼しました。

ところが、「僕はプロデューサーに向いてないので出来ません」と断られてしまったのですよ。何度お願いしても首を縦に振らないため、とうとう鈴木さんも諦めて「宮崎さん、他の人じゃダメなんですか?」と訊ねました。

すると宮崎さんは「ちょっと付き合ってください」と言って阿佐ヶ谷の小さな居酒屋に鈴木さんを誘い出し、ビールや日本酒をガブガブと飲みまくったそうです(ちなみに鈴木さんはほとんど酒が飲めないらしい)。

そしてベロベロに酔っ払った宮崎さんは突然「俺は15年間、高畑勲に自分の青春の全てを捧げてきた。何も返してもらってない!」と号泣し始めたのです。それを見た鈴木さんは「そこまで高畑さんに対する思いが強かったのか…」と衝撃を受けたという。

ジブリと宮崎駿の2399日

ジブリ宮崎駿の2399日

先輩であり友人でありライバルであり相談相手であり、まさに宮崎さんにとっては様々な意味においてかけがえのない唯一無二の存在だったのでしょう。

そんな高畑さんが2018年4月にこの世を去りました。

当時、宮崎さんはすでに『君たちはどう生きるか』の制作を始めていましたが、高畑さんが亡くなったショックは大きかったようで、その後2ヵ月以上も絵コンテ作業がストップしたそうです。

こんなにパクさんが重いとは思ってなかった
何度もパクさんが夢に出て来る
ケリがついたつもりでも、ついてない部分がいっぱいあるんでしょうね

高畑勲が亡くなった」という現実をどうしても受け入れることが出来ず、机の前に座ったまま虚ろな表情を浮かべる宮崎監督。

しかし、「いつまでもこのままではいけない」「どうすればこの状態から抜け出せるのか…」と本人も悩んでいたらしい。そんなある日、ついにあることを決断しました。

なんと、高畑さんをモデルにした「大叔父」というキャラクターを映画の中に登場させたのですよ。

厳密に言うと、大叔父というキャラクター自体はもともと登場させる予定だったのですが、当初は主人公の眞人に「これからどうやって生きていくか、その道筋を大叔父が示してくれる」という物語になる予定でした。

ところが、高畑さんが亡くなったことで内容は大きく変更され、大叔父の出番が減った代わりに眞人や他のキャラクターの活躍シーンが増えたのです。

では、本作における大叔父の役割とは何なのか?

大叔父は主人公の眞人が迷い込んだ”不思議な世界”の創造主ですが、年老いてしまったため「自分の子孫である眞人に後を継がせたい」と考えていました。

そして眞人に対し、次のように語りかけます。

私の世界、私の力は全てこの石がもたらしてくれたものだ。
眞人、私の仕事を継いでくれぬか。
この世界が美しい世界になるか、醜い世界になるかは全て君にかかるんだ。

しかし眞人は「自分には出来ません」「元の世界へ戻ります」と言って拒否するんですね。

眞人は宮崎さん自身を投影したキャラクターですから、要するにこれは「高畑さんがいる世界(黄泉の国?)へ会いに行った宮崎さんが”私の想いを継いでくれ”という誘惑(呪縛?)を断ち切り、再び現世に戻って来る」という話だったのですよ。

こうして、宮崎さんは絵コンテでパクさんを葬り、映画の中で高畑さんと完全に決別したわけです。

ジブリと宮崎駿の2399日

ジブリ宮崎駿の2399日

……というのが先日放送されたドキュメンタリーの内容なんですが、正直「ディレクターの個人的な解釈がだいぶ強めに反映されてるなぁ」と感じましたね(編集の仕方もエヴァっぽいし、かなり脚色が入ってるような…)。

特に驚いたのが宮崎監督の高畑監督に対する想いの深さで、高畑さんのことが好きすぎるあまり筆跡を真似したりとか、「そこまでする?」っていう(笑)。

どうやら、この番組のディレクターは二人の関係性をBLっぽく描きたいらしく、そういう意図が丸見えになってるんですが、SNSでも「一体なにを見せられてるんだ…?」とか「パヤオの愛が重すぎる!」など困惑の声が上がっていました。

しかもその関係性を『君たちはどう生きるか』の中にまで持ち込み、本編のワンシーンを映しながら「高畑は宮崎に最後の頼みごとをする」とナレーションで説明してるんですよ。いや、そこは「大叔父が眞人に」でしょ(笑)。

まぁ確かに映画を作る際に実在の人物をモデルにすることはあり得るだろうし、「青サギのモデルは鈴木敏夫さん」「キリコのモデルは保田道世さん」などという話も事実なのかもしれません。

ただ、それをそのまま劇中のキャラに当てはめても正しい解釈が成り立つわけではないと思うし、そもそも『君たちはどう生きるか』ってそういう映画じゃないでしょう。

恐らく、ディレクターだけでなく鈴木敏夫さんも高畑勲に片思いしている宮崎駿というシチュエーションが大好きで(笑)、だからこそこういう番組が(ジブリ公認みたいな体裁で)堂々と全国放送されたんでしょうね(個人的には面白かったけどw)。

ジブリと宮崎駿の2399日

ジブリ宮崎駿の2399日

なお、この番組を観て「ウソだ!」「こんなのはドキュメンタリーじゃないッ!」って本気で批判してる人もいるみたいですが、いやドキュメンタリーってこういうもんなので(笑)。

そもそもカメラマンが何かを撮ろうとする時、必ず撮りたいものや興味のある対象物にカメラを向けるわけだから、その時点ですでにカメラマンの意図や嗜好が入り込むことは避けられません。

さらに撮った素材を編集する過程で「残すカット」と「捨てるカット」を選別しているということは、その段階でもディレクターの”作為”が入ってるわけですよ(その作為に従って各カットを繋いでいる)。だとしたら完成した映像作品は必ず作り手の「こういう風に見せたい」という構成になってるはずじゃないですか?

なので、今回のドキュメンタリーを見て「『君たちはどう生きるか』には宮崎監督の高畑さんに対する熱い思いが込められていたのか!」と全面的に信じちゃうのはあまり良くないし、かと言って「こんなのはデタラメだ!」と真面目に否定するのも違うかなと。

「なるほど、この番組のディレクターは宮崎さんと高畑さんをこういう風に見てるのか」みたいな感じで、ある程度の距離感を保ちつつ冷静に鑑賞するのがベストだと思います(庵野さんも「ドキュメンタリーって真実を全部映すんじゃなくて、必要なところだけ切り取るからね」「その時点でドキュメンタリーという名のフィクションだから」と言ってるしw)。

さよなら、全てのエヴァンゲリオン

さよなら、全てのエヴァンゲリオン

ちなみに、番組の最後で宮崎監督が『風の谷のナウシカ』の絵を描いている映像が映ったんですが、あれは一体…?もしかして宮崎駿の次回作はナウシカの続編!?」みたいなことを匂わせたいのかなぁ…(^^;)