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『ダイ・ハード4.0』ネタバレ映画感想/解説


■あらすじ『アメリカ独立記念日の前夜。ワシントンDCのFBI本部に、何者かが全米のあらゆる監視システムにハッキングを仕掛けてきたとの情報が入り、ハッカーたちの一斉捜査が開始される。一方その頃、ニューヨーク市警統合テロ対策班のジョン・マクレーン警部補は、久しく顔を見ていない娘ルーシーに会うため、ニュージャージー州の大学に立ち寄っていた。しかし、ルーシーの冷たい対応に気落ちするマクレーン。おまけに、上司から近くに住むマットというハッカーFBI本部まで連行せよ、とのヤボ用まで仰せつかるハメに。不承不承マットのアパートへと向かうマクレーンだったが、それは、またもや始まる不運の序章にすぎなかった…。ブルース・ウィリスが大スターへと飛躍するきっかけとなった人気シリーズ12年ぶりの続編となるサスペンス・アクション超大作!』



本日、金曜ロードSHOWで『ダイ・ハード4.0』が放映されます。本作は映画館で観たはずなんだけど、あまり記憶に無いんですよねえ。いや、面白い映画には違いないんですが、このシリーズは回を重ねる毎に『ダイ・ハード』らしさが薄れ、「もう『ダイ・ハード』じゃなくてもいいんじゃね?」というぐらい変貌しまくってるのがどうにも微妙なんですよ。

3作目以降は「偶然知り合った一般人と一緒に事件を解決する」というバディ・ムービー・スタイルが定着していて、本作でもパソコンオタクの青年とコンビを組んで行動します。それはいいんですが、1作目にあった「一人の刑事が逃げ場の無い空間で大勢の敵を相手に孤軍奮闘する知的攻防戦」という面白さはどこにも無いってのがちと寂しかったり。

ただ、それでもアクション映画としては破格の完成度であることに疑う余地は無く、その迫力やスケール感は紛れも無く超一級のエンターテイメント大作であると言えるでしょう。「『ダイ・ハード』のブランドだけは意地でも守るぜ!」という製作側の熱意のみで成立しているような印象ですが(笑)。問題は、アクションが派手になればなるほど、リアリティが欠落していくという点ではないかと。

例えば、1作目の『ダイ・ハード』では「体に消火用のホースを巻き付けてビルの屋上からダイブする」というアクション。『ダイ・ハード2』では「飛行機の緊急脱出装置を作動させて空中へダイブする」というアクション。『ダイ・ハード3』では「橋の上から船にダイブする」というアクションなど、毎回毎回「派手にダイブするジョン・マクレーン」という場面がお約束のようになっていました。

そして本作ではついに「飛行中のF-35戦闘機に生身でダイブする」という前代未聞の離れ業をやってのけます。でも、『トゥルー・ライズ』みたいなアクションコメディならともかく、比較的リアルな『ダイ・ハード』の世界観でそれをやるのは結構ギリギリなんじゃないかなあ。いくら「死なない男」と言われるマクレーンだって限度があるでしょ?なので「さすがにもうこれ以上の派手なダイブは無理なのでは?」と思ったら、最新作の『ダイ・ハード:ラストデイ』では「親子揃ってビルからダイブする」というパターンに変更されていました(笑)

さて、毎回凄まじい銃撃シーンが炸裂する『ダイ・ハード』シリーズにおいて、リアルかつ迫力満点のガンアクションを担当しているのが、銃火器テクニカル・アドバイザーのマイク・パパックです。スタッフ・クレジットを見ると「武器スペシャリスト」とか「小道具主任」とか「銃器コーディネーター」とか、映画によって色んな肩書きがついていますが、要はガン・アクションの撮影時に銃の選別・調整・メンテナンスも含め、現場で適切な指導を行う銃器の専門家なのですよ。

パパックさんは、過去に『プレデター』や『リーサル・ウェポン』シリーズ、最近ではコリン・ファレル主演の『S.W.A.T』やロバート・ダウニー・Jrの『アイアンマン』などで素晴らしいガン・アクションを生み出してきました。元々はユニバーサル・スタジオで武器庫の管理人をやっていたそうですが、『ダイ・ハード』のプロデューサー:ジョエル・シルバーに「テロリストが使用する最新兵器のリサーチ」を命じられたことがきっかけで、映画スタッフとして加わる事になったらしい。ちなみに、カリフォルニアのモンテベッロで「パパック・ブラザーズ」という銃砲店を経営しているそうです。

今回、マイク・パパックはブルース・ウィリスのリクエストに応じて、今では製造されていないショルダー・ホルスター(前作までと同じもの)をメーカーにわざわざ作らせたり、ベレッタに代わってシグP220Rを用意したり、リアルなガンアクションを撮影するために様々なコーディネートを行ったとのこと。『ダイ・ハード』シリーズ以外にも、パパックさんが関わった映画はことごとく銃撃シーンがかっこいいので、ガンオタクは必見と言えるでしょう。

また、最近の映画は視覚効果にCGを使うことがもはや当たり前になっていますが、本作のVFXは意外とアナログな手法で作られていました。例えば、マクレーンとマットがトンネル内で立ち往生していると、正面から1台の車が物凄い勢いで飛んでくる場面。これはCGではなく、実際に車を吹っ飛ばして、後から俳優を画面にマッチングさせたらしい。

更に、大型トラックとF-35ジェット戦闘機が壮絶なバトルを繰り広げるクライマックスシーンは、広大な駐車場に全長約300メートルの高速道路のセットが建造され、その周囲に巨大なブルースクリーンを設置して撮影が行われたそうです。しかし、肝心のF-35戦闘機はアメリカに2機しかないため、合衆国陸軍から使用許可がもらえませんでした。そのため、2メートル74センチの精巧なミニチュア模型と実物大レプリカを制作し、本物かと思うほどリアルで衝撃的な映像を生み出したという。スゲー!


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