ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

映画『ダイ・ハード3』を20倍楽しく観るための制作裏話


■あらすじ『ニューヨーク5番街のビルが、突如、爆破された。中央警察署のコッブ署長の元にサイモンと名乗る犯人から、妻ホリーと別れて乱れた生活が続く休職中のマクレーン刑事(ブルース・ウィリス)をハーレムの指定場所に寄越せ、と要求が入る。ハーレムでストリートギャングに囲まれたマクレーンは危ういところを家電修理店の店主ゼウス(サミュエル・L・ジャクソン)に救われた。署に戻った2人は、犯人は大惨事を引き起こせる特殊な液体爆弾を盗んで使用していると知らされる。そこへサイモンから再び電話が入り、地下鉄の車両に爆薬を仕掛けたと告げた。クイズを出し続けるサイモンに振り回されながら、要求に従い急ぎ車を飛ばす2人。果たして犯人の目的は何なのか?不死身の男ジョン・マクレーン刑事の活躍を描く、ノンストップ・アクション巨編のシリーズ第3作!』



いよいよ明日から、ジョン・マクレーン刑事が大活躍する人気シリーズの最新作『ダイ・ハード/ラスト・デイ』が公開される。それに合わせて、本日は水曜プレミアシネマで『ダイ・ハード3』を放映。第1作の超高層ビル、第2作の空港に続き、今度はニューヨーク全体を巨大なゲーム盤に見立て、とてつもないサスペンスとアクションが炸裂!というわけで本日は、知っていればもっと『ダイ・ハード3』を楽しめる(かもしれない)裏話的なエピソードをご紹介しますよ。


●実は全然『ダイ・ハード』じゃなかった?
映画『ダイ・ハード』シリーズにはいくつかの”お約束”と呼ぶべき要素が含まれている。時期は”クリスマス”、場所はビルや空港などの”限定空間”、”偶然現場に居合わせた不運な刑事が凶悪事件に巻き込まれる”など。前作までは主人公の奥さんや黒人警官やTVレポーターなどのレギュラー(?)キャラも登場し、シリーズの続編ということを強調していた。

ところが、『ダイ・ハード3』にはそういった”お約束”が一切出て来ない。実は、当初のストーリーでは”海の上”が舞台になるハズだったのだ。クリスマス・イブに豪華客船でのんびり休暇を楽しんでいたマクレーン刑事と妻ホリー。しかし突如現れたテロリスト達に船がシージャックされてしまう。

巨大な船の中で繰り広げられる壮絶な銃撃戦!機関部には大量の爆弾が!果たしてマクレーンは大勢の人質を救出し、テロリストを撃退することが出来るのか?……という海洋アクションのシナリオを元に制作が進められていたらしい。

だが、思わぬ伏兵が出現。スティーブン・セガール沈黙の戦艦だ。全米で公開され斬新なストーリーに多くの観客が魅了された『沈黙の戦艦』は、『ダイ・ハード3』の初期コンセプトにあまりにも酷似していたのである。いくら「うちの方が先に考えていたんだ!」と主張したところで、似たようなアイデアでは新鮮味に欠ける。仕方なく、『ダイ・ハード3』は大幅なシナリオの変更を余儀なくされてしまった。

その後、ジョン・マクティアナン監督は必死に新しいストーリーを検討するものの、なかなか1作目を超えるアイデアは出て来ない。そこで、新進気鋭の脚本家として注目を集めていたジョナサン・ヘンズリーの『Simon Says』という脚本に目をつけ、「これをマクレーン刑事のドラマに書き換える事でダイ・ハードの第3作目にしよう!」と決定。なんと、全然『ダイ・ハード』とは関係無いシナリオを、強引に『ダイ・ハード3』へと変換してしまったのである。ちなみに、ヘンズリーはたったの11日間でこの脚本を書き上げたらしい。

●ニューヨークのド真ん中で大爆発!
映画のオープニングを飾るのはマンハッタンの街が眠りから目覚める穏やかな光景。が、突然ド肝を抜くタイミングでビルが爆発!通常、アクション映画の爆破シーンは迫力を増すためにアップで撮るのが基本だが、本作ではわざとロングで撮影し、日常が壊れる瞬間の恐怖をリアルに映し出している点が素晴らしい。

7台のカメラを設置し、大量の爆薬を駆使したこの場面は、ニューヨークの路上における撮影としては史上最大規模となった。爆破するビルには20人ものスタッフがスタンバイし、ビルからわずか1,5mには通行人役のスタントマンを多数配置。彼らは洋服の下にスポンジを貼り付け、何度もリハーサルを重ねた。撮影時にはテレビ局も取材に来たため現場整理が大変だったとか。

爆弾が仕掛けられたのは、ポンウィット・テラーというニューヨーク5番街56丁目のトランプタワー内に実在する高級店。ただし、撮影はもっと下町に近い6番街のビルをデパートに見立てて撮影している。このビルには1軒だけ陶器のショップが営業していたものの、入念な準備のおかげで全く破損はなかったそうだ。

ちなみにこのシーン、モデルになったデパートは通りの左側にあったのだが、撮影に使ったビルは右側にあったため、後からフィルムを左右反転させて対処。そのせいで、標識や看板などを全部裏文字で設置しなければならず、大変な手間が掛かったらしい。だが車の中までは手が回らなかったようで、よく見ると走っている車が全部右ハンドルになっている。

●カンバンの文字はCGだった
マクレーンが大きなカンバンをぶら下げて黒人達の街をうろつくシーンは本物のハーレムで撮影された。そのカンバンには「I HATE NIGGERS(俺は黒人が大嫌いだ)」という文字が。

しかし、「ハーレム街でこんな文字を見せたら暴動が起きるぞ!」と撮影当日の朝になって指摘される。そこで、ブルース・ウィリスには何も書かれていない白紙のカンバンを背負わせ、後から文字だけ合成することで問題を解決したらしい。う〜ん、まさかCGだったとは(^_^;)

ちなみに「”NIGGERS”が無ければ大丈夫なんじゃないか?」ということで「I HATE EVERY BODY(みんな大嫌いだ)」と書かれたカンバンでも撮影されたが、結局このバージョンは採用されなかったらしい。

●セントラル・パーク内でのカーチェイス
南北4km、東西800mもの広さを持つセントラル・パークはニューヨーカーの憩いの場所だが、その中で前代未聞のカーチェイスを実行。プロデューサー曰く、「セントラル・パークで撮影した経験は何度もあるけど、こんなに激しいカーアクションは生まれて初めてだった」とのこと。

公園内でジョギングやサイクリングやインライン・スケートを楽しんでいる一般市民に猛スピードでタクシーが突っ込んでくるという危険なシーンだが、もちろんこの人達は訓練されたスタントマンだ。

また、使用されたタクシーは過激なアクションを全てこなすために改造された特別車両で、トランク内部に運転席を作り、役者の演技とカーチェイスの同時撮影が可能になっている。更に、ハンドルを握るマクレーンの右隣に設置されたカメラも大活躍。「観客もタクシーに同乗しているような気になれるはずだ」と撮影監督のピーター・メンジーも太鼓判を押すぐらい、臨場感溢れるカーチェイスを実現している。

●地下鉄爆破シーンはコンピューター制御
ウォール・ストリート駅構内に入ってきた車両が爆発で脱線し、通勤客のいるプラットフォームへ突っ込んで来るシーンは、南カロライナ州にある工場跡で撮影された。450mの線路を運び込み、ニューヨーク市運輸局から購入した本物の地下鉄車両を走らせている。

ホームの長さは92mで、電車の速度や車両が乗り上げる時間や止まる時間など、全てのタイミングがコンピューターによって完璧にプログラムされていた。

●意外と衣装持ちだったマクレーン刑事
ダサいファッションが定番となっているマクレーン刑事だが、実は意外と衣装持ちだったらしい。あまりにも激しいアクションで衣装がすぐにダメになるため、衣装デザイナーは25着のシャツとズボンを用意していた(もちろん全部同じもの)。

ただし、爆破で破れたりドロドロに汚れたり、シーンによってどの部分が汚れ、どこが破れているのか毎回チェックしなければならず大変だったとか。

●本物の連邦準備銀行で撮影OK
爆弾魔サイモンが狙うのは連邦準備銀行の金塊だ。スタッフは「さすがに本物の銀行での撮影は無理だろう」と思っていたが、意外にも外観の撮影は許可された。銀行側が、「警備には絶対の自信がある。この映画のような事態は起こり得ない」と判断したためらしい。

ちなみに、映画では銀行の側に公園が出てくるが、現実には存在しない。プロダクション・デザイナーのジャクソン・デ・ゴヴィアが空き地に植木などを持ち込み、わざわざ架空の公園を作ったのだそうだ。ビルの壁面に絵画を描いたのもデ・ゴヴィア。ちなみに、この壁画は好評だったため、撮影後もそのまま残されたらしい。

●脚本のウソ
なぜ連邦準備銀行が「こんな犯罪は絶対に不可能だ」と断定したかと言えば、金塊が重すぎるからだ。金は鉄や鉛などに比べて格段に重い。専門家に計算させたところ、1600億ドル分の金塊を盗むには480台のダンプカーが必要なことが判明。

しかし、さすがにそれでは目立ち過ぎるし撮影もできない。そこでやむを得ず、脚本では14台に減らしたという。でも、現実にはたった14台のダンプカーで連邦準備銀行の金塊を全部運び出すことは不可能なのだ。

●幻のエンディング
本作には「撮影したけどボツになった幻のエンディング」が存在する。劇場公開版では、マクレーンとゼウスは爆弾が仕掛けられた船からなんとか脱出。その後、サイモン一味を見つけ出し、事件は解決という展開になっているが、別バージョンではなんとサイモン達に逃げられてしまうのだ。

それから半年後、どこかの田舎町の食堂で新聞を読んでいたサイモンの前にマクレーンが姿を現す。サイモンの共犯者と疑われて警察をクビになり、たった一人でサイモンを追っていたマクレーン。彼は、サイモンからもらった頭痛薬の瓶を手掛かりに居場所を突き止めたのだ。テーブルの上に小型のロケット砲を置いたマクレーンは「ゲームをしよう」と提案。

そのロケット砲は両側に射出口がついていて、どちらから弾が発射されるか分からない。好きな方を相手に向けて発射スイッチを押せ、というわけだ。迷った末に片方を選んでスイッチを押すサイモン。その瞬間、弾が発射されてサイモンは死亡する。マクレーンは服の下に防弾チョッキを着ていたので無事だった……というオチになる予定だったらしい(実際に撮影もされている)。

ところがこのエンディング、脚本家は気に入っていたものの、プロデューサー側から「後味が悪い」と拒否されたため、ボツになったらしい。確かに爽快感はないよなあ(^_^;)


関連記事
『ダイ・ハード』をもっと楽しく観るための制作裏話
『ダイ・ハード4.0』ネタバレ解説
『ダイ・ハード/ラスト・デイ』ネタバレ解説

●人気記事一覧
これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10
まさに修羅場!『かぐや姫の物語』の壮絶な舞台裏をスタッフが激白!
日本映画のレベルが低くなったのはテレビ局のせい?
町山智浩が語る「宮崎アニメの衝撃の真実」
「映像化不可能」と言われている小説は本当に不可能なのか?


このブログについて(初めての方はこちらをどうぞ)
トップページへ