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これが本当のラストシーン?『アイ・アム・レジェンド』には劇場公開版とは全く違う別エンディングが存在した!


■あらすじ『2012年、ニューヨーク。科学者のロバート・ネビル(ウィル・スミス)は3年前に起こった地球規模の災厄をくぐり抜け、この街で、おそらくは全世界で、ただひとり生き残った男。彼は、相棒のシェパード、サムと無人の店舗で食料品や日用品を調達し、セントラルパークに畑を作って生き延びる日々を送っていた。地球規模の災厄によって人類が絶滅してしまった近未来を舞台に、世界でただひとり生き残った科学者の主人公が、孤独なサバイバルを続けながら人類再生への可能性を探る姿を描く近未来SFアクション超大作!』



本日、水曜プレミアで『アイ・アム・レジェンド』が放映されます。僕は公開当時に映画館で観たんですが、ウィル・スミス主演の超大作映画ということで、劇場はなかなか盛況でしたよ。僕の隣にも楽しそうな家族連れが座ってました。

が、ここで一つ重大な事実が発覚!この映画って、予告編を見る限りでは”SFアクション”的な宣伝のされ方だったのですが、実は中身は”サバイバル・ホラー”なのです。

しかし、そうとは知らずうっかり普通のお正月映画(年末年始の公開だった)のつもりで観に来た何の罪も無い家族連れは、次から次へと飛び出すグロい描写にビビリまくり!上映が終わって出て行く時のテンションの低さときたら、「正月早々なんでこんな目に……」みたいな雰囲気満載で気の毒なぐらいでしたよ、トホホ。

まあ、それはともかく映画の出来自体はそれほど悪くはなかったです(一部では酷評されてたみたいですが)。ただ、前半と後半で物凄く落差があるなあ、と感じました。前半は結構丁寧に作っているのに、後半は「手抜きか?」と思えるほどに適当な作りになっているのはなぜなのか?

張られた伏線も投げっぱなしで、回収しようとする素振りも見えません。いくら上映時間が短いとはいえ、物語の途中で強引に話をまとめようとするウィル・スミスさんを目の当たりにして「ええっ、これで終わり!?」と思わず声が出そうになりましたよ。

実はこの映画、公開1ヶ月前に実施されたスクリーンテストの結果が芳しくなかったため、急遽別のエンディングに差し替えられていたのです。

日本ではあまり聞き慣れない”スクリーンテスト”とは、”覆面プレビュー”または”リクルート試写”とも呼ばれ、「映画を公開する前に一般人を集めて試写会を行い、そのアンケート結果を編集に反映させる」という、ハリウッドでは当たり前のように実施されている評価システムのことです。

試写に来る人には、事前にどんな内容の映画なのかは一切知らされず、出演者や映画のタイトルすら分かりません。そんな状態で来た観客に、1枚のアンケート用紙が配られます。そこには、「この映画の好きな点を教えてください」「最も好きなシーンを教えてください」「最も嫌いなシーンを教えてください」「どのキャラクターに感情移入しましたか?」など、12項目の質問が設けられています。そして最終的な映画の評価を、回答欄の「非常に良い/とても良い/良い/普通/良くない」という項目から選ぶわけです。

このアンケート結果は試写会終了後に集計され、専門のリサーチャーが細かく分析し、観客が評価している箇所や戸惑っている箇所、不満に思っている箇所などをレポートとしてまとめていきます。その中で最も重視されるのが、「あなたはこの映画を友人に勧めますか?」という項目です。そして「絶対に勧める/多分勧める/どちらか分からない/多分勧めない/絶対に勧めない」の5段階評価のうち、映画製作会社が見るのは「絶対に勧める」のパーセンテージだけなのですよ。

もしこの数字が悪ければ、監督とプロデューサーは徹底的に話し合い、アンケートによって判明した問題点を修正するために、セリフを変更したりシーンを追加したり削ったり、あるいはエンディングを丸ごと作り直したりするわけですよ。

アイ・アム・レジェンド』の場合も、最初のバージョンでは全く異なるエンディングになっていました。劇場公開版のクライマックスシーンは、大切な仲間を助けるために主人公が自爆。生き延びた女性と子供は主人公が開発した血清を持って旅をし、やがて他の人間達が暮らす集落に辿り着き、自らの命を懸けて人類を救った主人公は伝説の男として称えられましたとさ、めでたしめでたし…という結末になっていましたが、試写会バージョンでは完全に逆の展開だったのです。

大勢の吸血ゾンビに追い詰められた主人公は、その中のボスが(主人公が捕獲した)女ゾンビを助けに来たのだということに気付きました。そこで女ゾンビを解放すると、ボスゾンビは彼女を優しく抱き抱え、そのまま何もせずに帰っていったのです。その後、生き残った主人公は女性と子供を連れて隠れ家を立ち去り、他の生存者がいる街を目指して車で旅立つ……という、これが本来のエンディングだったのですよ(ウィル・スミスは最後まで生きている)。

しかし、スクリーンテストによるアンケート結果では、多くの観客がこの結末に不満を抱きました。「主人公が凶悪なゾンビを退治する勧善懲悪の物語かと思ったのに、これじゃ主人公の方が悪者じゃないか!」と。確かにその通りです。敵のゾンビは知性を無くしてひたすら人間を襲いまくるだけの化け物かと思いきや、実はゾンビとしての”人格”を持っており、人間とは種類が異なる”新生物”として立派な社会を築いていたことが判明したわけですからね。

つまり、彼らゾンビ族にとって主人公は、「自分達の仲間を次々と殺しまくっている恐ろしい連続殺人鬼」だったのですよ。すなわちタイトルの『アイ・アム・レジェンド』とは、「実は自分自身がゾンビにとって伝説的な怪物だった」という衝撃的な真実を知ってしまった主人公の複雑な心境を表わしていたのです。

確かに、こっちの方が『アイ・アム・レジェンド』というタイトルに相応しいんですよね。死んでしまった主人公が自分のことを「俺は伝説的な男だ」と言えるはずがないですから。しかし、とてつもない価値観の逆転を見せ付けられた試写会の観客からは批判殺到、アンケート結果は最悪の数値を記録しました。

当然、それを見た製作会社は大慌て!「何とかしろ!」とプロデューサーに命じたのです。そこで急遽追加撮影が行われ、無理矢理「ウィル・スミスが死ぬ」というストーリーに変更されてしまいました。こうして、主人公は人類を救った伝説の男になったとさ、めでたしめでたし…という劇場公開版が出来上がったのです。

まあ、確かにこういうエンディングの方が観客のウケはいいんでしょうけど、あまりにも急激なストーリー変更による「やっつけ仕事感」は否めません。公開までのわずか1ヵ月で突貫工事的に修正した弊害がモロに出てますよねえ。

ちなみに、このような「急なエンディングの変更」はハリウッドでは珍しくないようで、最近ではブラッド・ピットが製作・主演したワールド・ウォーZなども、当初は「モスクワに到着した主人公がロシア軍に加わってゾンビ軍団と壮絶な戦闘を繰り広げる凄まじいクライマックス」になるはずだったのに、アンケートの結果が思わしくなかったのか、急遽全く違うエンディングに変更されてしまいました(追加費用として2000万ドルが計上されたらしい)。

でも、赤の広場で大規模な撮影が実際に行われた後だったため「丸ごとカットするなんてもったいないなあ」と思ってたんですよ。結構お金も掛かってるはずだし、後半部分はほとんど全部撮り直しですからね。どんな映像なのか気になるじゃないですか?

アイ・アム・レジェンド』はDVD化された時に”幻の別エンディング”を特典映像として収録していたので、「もしかしたら『ワールド・ウォーZ』も別バージョンのクライマックスシーンが入ってるかも…」と密かに期待してたんだけどそれも無しで本当にガッカリ。だったら最初から撮影すんなよ(^_^;)


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