ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

映画『バイオハザードV:リトリビューション』ネタバレ感想


■あらすじ『ミラ・ジョヴォヴィッチ扮する最強ヒロイン:アリスと、T-ウイルスを生み出したアンブレラ社との壮絶な戦いを描くSFアクション大作の第5弾。1作目のミシェル・ロドリゲスや2作目のシエンナ・ギロリーはじめ、過去に登場した人気キャラクターが再結集し、最終章へ向けて驚きの新展開を見せるとともに、さらなるスケールアップを遂げた凄まじいアクションを繰り広げる!』



大ヒット・ホラーゲームの映画版として製作された『バイオハザード』シリーズも本作でなんと5作目です。思い起こせば、ゲーム版の『バイオハザード』にはまって以来、映画版の新作が公開される度に鑑賞してきた僕ですが、「パート3」の微妙な出来映えを観てガッカリし、「これでこのシリーズも終了か……」と一時は続編の継続を諦めていました。

ところが、まさかの大ヒットで続編制作が決定!しかも、1作目のポール・アンダーソン監督が満を持して復帰するという情報に、1作目が大好きな僕は大興奮!当然、観に行きましたよ、初の3D版になったパート4『アフターライフ』を。しかし期待は見事に打ち砕かれました。

たしかにアクションシーンの迫力は凄いんですけど、びっくりするぐらい内容が薄い。もともと映画版『バイオハザード』シリーズは大した物語じゃなかったんですが、「パート4」では益々ストーリー性が希薄になっていてビックリ仰天。ポール・アンダーソン何やってんだよ〜!

などと、前作までは劣化し続ける内容にグダグダ文句を言ってたわけです。もういいかげんに、まともな映画を作ってくれよと。でも、今回のパート5『リトリビューション』はもはやそんなレベルじゃありません。とうとう完全にストーリーが無くなってしまいました。つーか、「ニューヨーク、モスクワ、東京など、全世界を舞台に繰り広げられる巨大スケールのアクション超大作!」って大ウソだろ!全部アンブレラの施設の中じゃん(T_T)

まず、映画は前作『アフターライフ』のラストシーンから始まります。「海上の巨大タンカーに押し寄せる大量のオスプレイ」という、沖縄の人が見たら激怒しそうな絵面ですが、そもそも前作を観てないと意味が分からないよなあ。などと思っていたらいきなりフィルムが逆回転し始め、1作目からの流れを主人公が詳しく説明してくれるではありませんか(なんという新設設計!)。

しかし、ここから後の展開がいけません。基本的に「アンブレラ社に捕まったアリスが施設を脱出する」だけの話なので、全編を通してアクションばっかり。ストーリーがほとんど進行しないのですよ。「一つのステージをクリアしたら次のステージへ移動」を繰り返すその様は、まさにゲームのプレイ動画を見ている感覚に等しく、「せっかくゲームを映画化したのにまたゲームに戻った」みたいな本末転倒ぶりがハンパない。

それから、相変わらず他の映画からの引用(というかパクリ?)が多いのも気になりました。序盤の「幸せそうな家族団らん風景からのゾンビ襲来」は明らかに『ドーン・オブ・ザ・デッド』を意識したものでしょう(カメラアングルまで一緒)。ベッキーを救出するアリスのシチュエーションは『エイリアン2』を彷彿とさせ、攻撃時に突然レントゲン映像が出る面白演出は『ロミオ・マスト・ダイ』だったり、色んな映画からの影響受けすぎです(しかも古い映画ばっかり)。

ロミオ・マスト・ダイ [Blu-ray]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2012-09-05)

一番致命的なのは、「過去のシリーズをしっかり観ていても話がサッパリわからない」という点ですね。なんせ、前作であんなにアリスを苦しめていたウェスカーが、今回はアリスを助けるためにアンブレラ社の情報網をハッキングしたり、エイダや救出部隊を送り込んで最大限の協力をしているのですから。挙句の果てには、前作で消し去ったアリスの超能力を、再び薬で元に戻してしまうなど全く行動が意味不明。ウェスカーさん、いったい何をやりたいの?

一応、状況を整理してみると、ウェスカーはアンブレラ社の元幹部ではあるものの、会社が開発した人工知能のレッド・クイーンが独自の判断で組織を指揮し始めていることに危機感を抱いていたらしい。そこでアンブレラ社の全実権を握ったレッド・クイーンと対決するために、アリスを自分たちの味方に引き入れようと画策。そして彼女を実験施設から救出すべく、レオンやエイダら救出チームを派遣した、という流れのようです。

一方、そんな彼らの計略を阻止するために、レッド・クイーン側はジル・バレンタインやレイン(のクローン)などを差し向け、アリスたちに執拗な攻撃を加える。最終的にアリスは施設からの脱出に成功するんですけど、外の世界は大変な状況に!果たして人類の運命は…!?みたいな感じで映画は終わってました(まさかの「俺たちの戦いはこれからだエンド」に驚愕しましたよ)。

でもよく考えたら、映画版の『バイオハザード』ってほとんど全部こういう終わり方なんですよね。1作目は、ゾンビだらけの地下研究施設から戻ってきたら、街はゾンビで溢れ返っていた…!という衝撃的なラストで観客の度肝を抜くことに成功。しかし、作り手側としては「とりあえずこの1作をどれだけ劇的に終わらせられるか」ということしか考えておらず、続編の構想など(当時は)全く無かったそうです。

2作目以降も同様に、「ひたすら次回作への期待を煽るようなラストシーンを見せて、もし映画がヒットしたら続きを考えよう」という行き当たりばったりなスタイルを貫いていたらしい。つまり、『バイオハザードⅤ リトリビューション』もたまたまパート6の製作が決まったから良かったものの、もし映画がコケていたら「果たして人類の運命は…!?」の続きも描かれることなく、そのまま物語が終わっていた可能性も十分にあったわけですよ。いいかげんな作り方だなあ(^_^;)

逆に良かった点は、ゲーム版に出てきたキャラを登場させたり、ゲーム内のイベントを再現したり、ゲームファンに対するサービスが生き届いている、というところでしょうか。レオン・S・ケネディエイダ・ウォンが出ていたのは、ゲーム版『バイオ2』が大好きな僕としては結構嬉しかったです。でも、エイダはまあいいとして、レオンがちょっとイメージと違うんだよなあ。再現レベルの高さで言えば、やはり映画版『バイオⅡ』のジル・バレンタインが最強でしたね(比較画像があったので貼っておきます)。

こうして見るとウェスカーさんもなかなかの再現度ですな(グラサンかければ誰でもいけるという説もありますがw)。そう言えば、前作に登場していたクリスとクレアのレッドフィールド兄妹はどこに行ったんだろ?このシリーズって何の理由もなく、突然キャラが出たりいなくなったりするから困るんですよねえ。尚「なぜレッドフィールド兄妹が出ていないのか?」の疑問については、本作公開時のインタビューでアンダーソン監督が以下のように答えていました。

「僕も、レッドフィールド兄妹は好きなキャラクターなんだけど、今回はゲーム版のレオン(ヨハン・アーブ)とエイダ(リー・ビンビン)のファンが登場を待ち望んでいたので、それに応えることを優先させたんだ。さらにレイン役のミシェル・ロドリゲスをはじめ、これまで映画に登場したキャラを復活させる構想もあったから、登場人物がちょっと多くなり過ぎたのさ。


だからもし、今作の成績次第で次の『6』が作れるなら(この時点ではまだ『6』を作るかどうか決まっていなかった)、そこでこの兄妹には再登場してもらいたいと思ってる。『2』で活躍したジル(シエンナ・ギロリー)だって、『3』では姿を見せず、『4』でサプライズ的な登場をし、今回また活躍しているからね。そういうパターンは、『バイオハザード』の世界では全然ありなんだよ(笑)」


要するに、今回レッドフィールド兄妹が出ていないのは「他のキャラが多過ぎるから」という理由だったようですね。たしかに1作目に出てきたレインことミシェル・ロドリゲス姐さんが再登場していたのは(個人的に)嬉しかった(クローンだけど)。しかも、特殊部隊と一般市民という”二人のミシェルさん”が登場して『1』以来の大活躍を見せてくれます。

ただ、二人出たからって嬉しさが二倍になるわけじゃありませんからねえ。ぶっちゃけ、一般市民のミシェルさんはいらないでしょ?大して活躍することもなく死んじゃうし。あと、1作目で格子状のレーザーに切り刻まれ、サイコロ状態で絶命したあの黒人隊長も復活、今回は普通に死にます(ガッカリ)。唯一判明したのは、「監督はヒロインのアリスを綺麗に撮ることしか考えてない」ってことだけでしたよ、トホホ。

というわけで、もともと薄かったストーリー性が皆無になり、ゲームのファンだけがわかるようなネタを散りばめた本作は、じゃあゲーム版のファンが満足するかと言えば決してそんなことはないわけで(苦笑)、いったいどういう方向を目指しているのか皆目見当もつきません。見どころはアクションシーンぐらいかなあ。そこだけはお金が掛かっているので迫力満点なんですけどね。

一応、映画版のファンに配慮して(かどうかは知りませんが)シリーズ1作目や2作目のキャラを再登場させたりしてますけど、それで内容が面白くなるわけでもなく(だったらクリスやクレアも出してやれよと)。続編を意識したせいか、解明されていない謎も多いし(次回作で全部解明されるんだろうか?)。

おまけに、本来ならパート6は2014年の9月に全米公開される予定だったのですが、ミラ・ジョヴォヴィッチが妊娠したために撮影が延期されてしまったのですよ。もうね、呆れ果てるしかないです。ポール・アンダーソン監督はどんだけ嫁さん好きなんだと(^_^;)

ただ、ここまで来たらシリーズ第6弾『ザ・ファイナル・チャプター』も観に行きますけどね。どんな終わり方になるのか見届けなければ。でもお願いだから次回作で本当に完結させて欲しい。「パート7へ続く!」とかマジで勘弁して!


●関連記事
『バイオハザード』映画制作裏話
『バイオハザード』映画レビュー
『バイオハザード2』映画レビュー
『バイオハザード3』映画レビュー
『バイオハザード4:アフターライフ』映画レビュー

●人気記事一覧
これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10
まさに修羅場!『かぐや姫の物語』の壮絶な舞台裏をスタッフが激白!
日本映画のレベルが低くなったのはテレビ局のせい?
町山智浩が語る「宮崎アニメの衝撃の真実」
「映像化不可能」と言われている小説は本当に不可能なのか?


このブログについて(初めての方はこちらをどうぞ)
トップページへ