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『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』映画感想/CG解説


どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、WOWOWシネマで劇場用長編フルCGアニメキングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』(KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XVが放送されます。

本作は、世界的に有名な大ヒットゲーム『ファイナルファンタジー』の映画版で、スクウェア・エニックスが技術の粋を結集して作り上げたハイクオリティな映像が話題になりました。

■あらすじ『神聖なクリスタルを擁する魔法国家ルシスと、そのクリスタルを狙うニフルハイム帝国。二国は長き戦いの歴史を続けていた。ルシス国王レギス・ルシス・チェラム直属の特殊部隊「王の剣」に所属するニックス・ウリック(CV:綾野剛)は、ニフルハイム帝国軍の侵攻に抵抗。しかし、圧倒的な戦力の前に、王子ノクティスとニフルハイム支配下のテネブラエ王女ルナフレーナ(CV:忽那汐里)との結婚、 そして首都インソムニア以外の領地の放棄を余儀なくされる。それぞれの思惑が交錯する中、ニフルハイムの策略により戦場へと変貌したインソムニアで、ニックスはルシス王国の存亡をかけた戦いに向かうのであった…!大ヒットRPGシリーズの15作目「FINAL FANTASY XV」と同じ世界やキャラクターを有するアナザーストーリーとして展開していく超大作フルCGアニメ!』


さて、この映画は去年の7月に公開されたものですが、実は今から16年前の2001年7月にもファイナルファンタジー』の映画版が公開されていたのをご存知でしょうか?

当時、数々のゲームをヒットさせ、飛ぶ鳥を落とす勢いだったスクウェア(現スクウェア・エニックス)が製作費167億円をつぎ込み、超大作フルCGアニメーションファイナルファンタジー ザ・ムービー』を完成させました。

その圧倒的に美しいグラフィックはゲームファンのみならず一般の観客をも騒然とさせ、「本当にこれはCGなのか?」「まるで実写だ!」などと絶賛の声が殺到したそうです。

しかし、興行成績は惨敗でした。全米2000館という、日本映画としては異例の規模で公開されたものの、上映1週目の収益はわずか1104万ドルで、同時期に公開された『ジュラシックパーク3』の5000万ドルに遠く及びません。

結局、記録的な不入りで数週間後に打ち切られ、全米での興行収入はたったの3200万ドルで終わってしまったのです(さらに日本での興行も失敗し、最終的な赤字額は100億円以上と言われているらしい)。

ちなみに、僕も2001年の公開当時に映画館で観たんですが、観客は僕を含めて6人しかいませんでした(笑)。いや、映像表現は本当に素晴らしくて、今見ても「16年前にこんな凄いCGを作っていたのか!」と驚くほどの出来栄えです。

ただ、ストーリーが致命的に面白くなかったんですよ(苦笑)。”ガイア理論”というエコロジーをテーマにしたような高尚なドラマは単純な娯楽作品を期待した観客に受けが悪く、何よりも世界観が微妙。

「西暦2065年の地球を舞台に謎の侵略者ファントムと戦う」的な、いわゆる”SFアクション映画”だったんですね。『ファイナルファンタジー』なのにファンタジー要素がどこにもない!みたいな批判も多かったのでしょう。

当時から思っていたんですけど、「せめてゲームに関連したストーリーだったらなあ」と。そうすれば、ここまでコケることはなかったのに…と(まあ、コケた原因はそれだけではないかもしれませんが)。

そんな”大失敗作”とも言える映画版『ファイナルファンタジー』を、なぜ16年も経って再び制作しようと決めたのでしょう?これに関して監督の野末武志さんは以下のようにコメント↓

シリーズ最新作『ファイナルファンタジーXV』の開発にあたり、”ファイナルファンタジー(以下FF)”というブランドが、ちょっと世の中に対して認知度を失っているのではないか?と考えました。『FF3』まではプレイしたけれど、それ以降はやっていない人に向けて、今一度、FFというものを思い出してもらいたい。でも、しばらくゲームから遠ざかっている人たちや、そもそもゲームと縁遠い人たちにとってはハードルが高い。しかし、僕らには映像を作れる強味があるじゃないかと。映像は劇場、携帯、テレビやPCでも鑑賞できますからね。今回は、そこから接してもらうお客さんを増やすための”映画化”なんです。

つまり、「”ファイナルファンタジー”というゲームの存在を、改めて世間にアピールするために映画を作った」ってことらしい。しかも今回はゲームに関連した内容になってるし、なるほど、いいんじゃないでしょうか。

で、実際に映画を観てみたら「うわあああ!映像がカッコいいいいい!実写みたいだああああ!でもストーリーは良くわかんねえええ!」てな感じでした(笑)。もう少しシンプルな物語にしても良かったのでは…(^_^;)

ただ、やっぱりスクエニのCG技術は凄くて感心するしかありません。まるで生きているかのようなキャラクターたちは、人間の役者(外国人)の顔をスキャンし、そこから肌の質感やディテールを情報として取り出してCGモデルを作っているそうです。

そしてキャラの動きに関しては、顔と身体のモーションを同時に収録する「パフォーマンス・キャプチャー」を導入。パフォーマンス・キャプチャーといえば、『猿の惑星:聖戦記』の猿の動きなど、近年ハリウッド映画で多用されている技術ですね。

KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』でもこの技術を使ってるんですが、日本に機材等の条件を満たしたスタジオが無かったため、わざわざロンドンのスタジオを借り、イギリス人の俳優を使って収録したらしい。

これだけでも大変ですが、この映画は「新作ゲームの発売前に公開して、より多くのユーザーに興味を持ってもらうこと」が目的だったため、スケジュールが非常にタイトでした。

なんと「2015年の夏から実作業をスタート、2016年の7月に劇場公開」という恐ろしいほどの短納期だったのですよ!そのため、様々な外部プロダクションに仕事を依頼し、最終的には国内外49社のCGスタジオが携わることになったそうです。

しかし完成した映画は細部までリアルに作り込まれ、とても1年ちょっとで制作されたとは思えません(それが本当に凄いよなあ)。

というわけで、フルCG映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』を鑑賞したわけですが、僕はもっとこういう映画が注目されてもいいと思うんですよね。

今、世界のCG映画っていうのはディズニーやピクサーが作る「子供向けのカトゥーン」が主流で、本作のように「リアルな等身のキャラが登場するシリアスなCG映画」はほとんどありません。

以前はロバート・ゼメキス監督がそういう映画を頑張って作っていましたが、全然ヒットしなかったため、最近は実写映画しか作らせてもらえなくなったそうです(赤字がとんでもない額になったらしい)。

ところが、日本ではなぜかいまだに「リアルな等身のキャラが登場するシリアスなCG映画」が作られ続けているのですよ(世界的に見てもほぼ日本だけ)。

最近でも、荒牧伸志監督の『アップルシード アルファ』や、川村泰監督の『GANTZ:O』、辻本貴則監督の『バイオハザード:ヴェンデッタ』など、超絶ビジュアル満載のフルCG映画が次々と公開されています。

なので、どうせこういう映画を作るなら、小栗旬山田孝之綾野剛など人気俳優の顔をスキャンしてCGキャラを制作すれば、日本でもSFやファンタジー映画を作ってヒットさせられるんじゃないだろうか?と。

今の技術なら本物そっくりのCGを作ることも不可能ではないので、そういう方向性の日本映画がもっと話題になれば、新しいジャンルが開拓されるのでは…と思ったりしています(^_^)

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