『ボーン・スプレマシー』　リアルアクション・シリーズ第2弾！

■あらすじ『ベルリン。ＣＩＡの女性諜報員パメラ・ランディらは、内部で起きた公金横領事件を調べていた。しかし、何者かに襲撃され、関係資料を奪われてしまう。インド、ゴア。２年前の壮絶な逃走劇から生き延びたジェイソン・ボーンは、その時に出会った恋人マリーと人目を避けて暮らし、新しい人生を歩んでいた。だが、彼は未だ夢にまで出るほど過去の記憶に苛まれている。そんなボーンをつけ狙う一人の影。同じ頃、ＣＩＡ本部ではベルリンの事件で採取した指紋を照合し犯人を特定、そこにはボーンの名が浮上するのだが…。元ＣＩＡ諜報員が、過去の記憶を辿ってそこに秘められた真実を追い求めていくサスペンス・アクション大作第2弾！』

本日の日曜洋画劇場は『ボーン・スプレマシー』。前作『ボーン・アイデンティティー』から2年、”人間兵器”ジェイソン・ボーンが帰って来た！というわけで人気シリーズのパート2です。1作目でCIAに「もう俺にかまうんじゃねえ！」と警告を叩きつけて姿を消したボーンですが、何者かが新たな陰謀を画策。ボーンの潜伏先を発見し、攻撃を仕掛けるものの、ボーンの彼女が巻き添えで死んでしまいます。怒りのあまり再び殺人マシーンと化したジェイソン・ボーンが、単身CIAに戦いを挑む！

今回、監督がダグ・リーマンからドキュメンタリー出身のポール・グリーングラスに交代したことで、1カット平均約2秒という驚異的なハイスピード展開を実現しました。しかし、手持ちカメラをブンブン振り回す目まぐるしい映像は、時々何が起こっているのかわからなくなることもあるので、個人的にはできるだけ普通に撮って欲しいなあ。

ただ、アクションシーンの迫力は相変わらず凄くて、前作ではフィリピンの伝統武術：エスクリマ（カリ）で敵を倒していたジェイソン・ボーンは、今回ジークンドーの要素も取り入れた最新の実践的格闘術を駆使して戦っています。ジークンドー（截拳道）とは、ブルース・リーが開発したオリジナル格闘技で、ブルース・リーの弟子のダン・イノサントが世に広めました。

『ボーン・スプレマシー』では、ダン・イノサントの弟子のジェフ・イマダが、アクション・コーディネーターとしてマット・デイモンに格闘シーンの振り付けを指導しているのです。ボーン・シリーズがアクション映画界に与えた影響たるや凄まじく、本作以降「リアルなアクション」がすっかり標準になってしまいました（荒唐無稽な『007』ですらリアルになっているのだから凄い）。

また、カーアクションの素晴らしさも特筆すべきポイントで、確実に過去のカーアクション映画を凌駕していると言って過言ではないでしょう。特に、クライマックスのモスクワを舞台に繰り広げられるカーチェイスは空前絶後のド迫力！奪ったタクシーを乗り回すボーンに、前後左右からドッカンドッカンと車が衝突しまくるという、まさに”カメラがとらえた衝撃映像！”の世界ですよ（笑）。

尚、ガンアクションに関しても当然リアリティを追求していて、ボーンのハンドガンはシグP225、ロシア人の殺し屋はワルサーP99のシルバースライド・モデルを使用するなど、渋い銃を選択しています。ところが、物語中盤で室内のパメラをボーンがビルの屋上から監視するシーンがあるんですけど、そこで使っている狙撃銃が何かおかしいのです。

一見、高性能スナイパーライフルのように見えますが、こんな形の銃は見た事ありません。一瞬ワルサーWA2000かと思ったけど、良く見るとボルトアクションだし。たぶん、映画用にスタッフがそれっぽい銃を作ったんじゃないかと思われます。でも前作では本物のSIG550スナイパーを使ってたのに、どうして実在する銃を使わなかったんだろう？こんなに細部までリアリティにこだわってる映画なのになあ。