■あらすじ『バーニー・ロス率いる最強の傭兵軍団“エクスペンダブルズ”。CIAの作戦担当ドラマーからもたらされた次なるミッションは、大物武器商人ストーンバンクスの身柄確保。ところが、そのストーンバンクスはエクスペンダブルズの創設メンバーで、かつてバーニー自身がその手で葬り去ったと思っていた男だった。バーニーはエクスペンダブルズの弱点を知り尽くしたストーンバンクスに苦戦を強いられる。決して若くはない仲間の身を案じ、チームを一旦解散して若いメンバー主体の新チームで戦いに挑むバーニーだったが…。シルヴェスター・スタローンの呼びかけで”奇跡”とも言うべき豪華な出演者が集結した!まさにアクション界のオールスター・キャスト映画「エクスペンダブルズ」シリーズの第3弾!』
往年のアクション俳優たちが老体に鞭打って頑張る(色んな意味で)ハードなアクション映画『エクスペンダブルズ』シリーズの第3弾、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』を観てきました。シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーなど、80年代のヒーロー達が活躍しまくるという、とても2014年の映画とは思えないタイムスリップ感が素敵な超大作ですよ(^.^)
シリーズ最新作となる本作では、アントニオ・バンデラス、ウェズリー・スナイプス、メル・ギブソン、ハリソン・フォードらが初参加となり、ますます時代に逆行してる感が加速してます。というか、ターゲット層が完全に40歳以上だよね?若い人が観てもピンと来ないんじゃないの?とか余計な心配をしてしまうほどの加齢ぶりですよ、トホホ。
そんな『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』の内容は、筋肉モリモリのいかつい大男達が、大した作戦も考えずノープランのまま敵地へ突っ込み、目の前に立ちはだかる悪党どもを銃や爆弾で殺していく、あるいは素手やナイフで殺していくという、完全にいつも通りのストーリーでありました(笑)。いや、分かってはいたけど、ここまで堂々とやられたら逆に感心するしかないっていうか、全く軸がブレない強固な製作スタンスを賞賛するしかありません(笑)。
さて、そんな本作の見どころは新メンバーの活躍ぶりでして、今回も痺れるような大物俳優が出演していて嬉しい限り。まずはアントニオ・バンデラス。かつては『デスペラード』や『マスク・オブ・ゾロ』で一世を風靡した彼も、近年は大した役にも恵まれず、いまいちパッとしてません。まるで実生活とリンクするかのように「俺に仕事をくれ〜!」と絶叫するガルゴのセリフが真に迫りすぎてて泣けてくる(笑)。
スタローンもそんな彼に同情したのか、結構アクションシーンも多めで(二丁拳銃を撃つシーンは完全に『デスペラード』だw)、新メンバーの中では一番目立つ”おいしいキャラ”になってました。しかも、今までのバンデラスのイメージとはかけ離れた「ウザいおしゃべり野郎」を演じていてちょっとビックリ。実はバンデラス自身が「こういうキャラクターに変えてくれ」とスタローンに申し出ていたらしく、これがバンデラスの本来の姿だそうです。意外だなあ。元々、バンデラスとスタローンはリチャード・ドナー監督の『暗殺者』(1995年)で共演して以来、ずっと連絡を取り合っていたほどの仲良しだそうです。そして『エクスペンダブルズ』の公開後に再会した時、「次回作に出てくれないか?」とスタローンから打診されたという。さらに脚本が送られて来た際、「君が演じるキャラクターについて感想を聞かせて欲しい。気に入らなければ好きなように変えて構わない」と言われたため、”ガルゴ”という名前を自分で考え、「ウザいおしゃべり野郎」に変更したとのこと。さすが自分で考案しただけあって、実に生き生きと演じていましたよ(^.^)
そして真打登場のメル・ギブソン!いや〜、良かった!やっぱりメル・ギブソンはダーティな役がよく似合う(笑)。メル・ギブソンといえば、『マッドマックス』シリーズや『リーサル・ウェポン』シリーズなどでちょっと影のあるヒーローをカッコ良く演じ、当時の小中学生のハートを鷲掴みにした張本人です。今回はエクスペンダブルズ創設メンバーの一人でラスボスという設定であり、クライマックスではスタローンとの夢の対決シーン(ランボーVSマッド・マックス!)もあったりして、圧倒的な存在感を見せ付けていました。
でも、メル・ギブソン本人は自分が悪役だとは知らなかったらしい。曰く、「脚本を読んだ時、自分の役が悪者だとは気付かなかった。実際、完成した作品を観るまで悪者だとは知らなかったんだよ。だから初めて映画を観た時は驚いたし、かなりショックを受けた。正直、ちょっと腹が立ったよ(笑)」とのこと。本当だとしたらかなり間抜けな感じですけど…(^_^;)
ただ、映画界におけるメル・ギブソンはかなりの嫌われ者らしく、近年は目立った活躍がありません。その理由は、女性に対する暴力や暴言、さらにユダヤ人や黒人に対する差別的な発言などで、特にユダヤ人が多数在籍する映画業界では彼を敬遠する傾向が次第に強まり、現在はほとんど仕事が無い状態なんだとか。
そんな状況の中でもスタローンは、敢えてメル・ギブソンに声を掛けたのです。さすがスタローン、なんという親分肌!前作のジャン=クロード・ヴァン・ダムの起用もそうですが、こういう男気あふれるスタローンの心意気にキャストがしっかりと応えているからこそ、このシリーズはテンションが盛り上がり続けているのでしょう。
そもそも、これだけ多くの有名スターが一堂に会したら、普通はギャラを払うだけで製作費が底を突いてしまうのですが、本作の場合は一人一人が格安のギャラで出演しているため、何とか通常の予算で収まっているらしい。これも、皆がスタローンの行為に対して感銘を受けているからなんでしょうね。しかしそう考えると、「こんな安いギャラでやってられるか!」と降板したブルース・ウィリスは男を下げたというか、ちょっとカッコ悪いよなあ(^_^;)
そんなブルース・ウィリスの代わりに今回初参加が決まったハリソン・フォードは、出番が少ない割には意外と目立ってました。さすがに他のメンバーみたいに飛んだり跳ねたりの過激なアクションは無いものの、クライマックスシーンではスタローンたちのピンチにヘリで駆け付けるなど、いい感じでおいしい所をさらっています。ちなみにこの場面は、『スター・ウォーズ』の1作目でハン・ソロがミレニアム・ファルコン号に乗ってルークを助けに来るシーンとそっくりなんですけど、パトリック・ヒューズ監督も完全に意識していたそうです(笑)。
さて、ここまでは主に初参加組について書いてみたんですけど、実は本作ではジョン・スマイリー、ソーン、マーズ、ルナという若手がチームに新規参入していて、彼らもしっかり活躍してるんです。ところが、スタローンやステイサムやバンデラスら”ロートル組”の暴れっぷりが目立ちすぎて、若手の印象がほとんど残らないんですよ。話の流れとしても「作戦に失敗して敵に捕まった若手連中を救出するために、ベテラン達が必死で頑張る」みたいな展開になっているため、どうしても”弱い新人”みたいに見えてしまうのが残念。
しかし、そんな中でも存在感を示していたのが、ルナ役のロンダ・ラウジーです。本業は女子総合格闘家で、UFCの女性バンタム級チャンピオンである彼女は本作が映画デビューながらも、実に堂々としたアクションを見せてくれますよ。さすが総合格闘家だけあって、相手が銃を持っていても叩き落として格闘戦に持ち込むという強引さ!大勢の男共を軽々と素手でなぎ倒すその様は、本家のスタローンよりもランボーっぽく見えました(笑)。まあ、一番驚いたのは二の腕の太さですけどね(^_^;)
というわけで、相変わらず肉弾バトルあり・銃撃戦あり・爆発シーンありと、派手なアクションがてんこ盛りの映画で、好きな人は迷わず観るべし!という内容でありました。唯一残念だったのは、せっかくジェット・リーが出演しているのに、アクションシーンがほとんどないことでしょう。ラストにちょこっと出てきて銃を撃つだけなんて、あまりにももったいない!もっと活躍させて欲しかったなあ。でも無事にパート4の製作も決まったようなので、次回はどんな俳優がキャスティングされるのか、今から楽しみです。
なお、僕の希望としては、バート・レイノルズ、カート・ラッセル、ニック・ノルティ、ジェフ・ブリッジス、マイケル・マドセン、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリー、ニコラス・ケイジ、ジョン・トラボルタ、ヴァル・キルマー、チャーリー・シーン、マイケル・パレ、クリスチャン・スレイター、マイケル・ビーンなどが出演してくれれば嬉しいですね。あと、ジャッキー・チェンとスティーブン・セガールは、いつになったら出演してくれるんでしょうか?もうそろそろオファーを受けてくれてもいいんじゃないの?『エクスペンダブルズ4』には必ず出てください!お願いします!
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