■あらすじ『ソマリア沖で起きた海賊によるシージャックを解決する仕事を受けたバーニー・ロス率いる傭兵部隊「エクスペンダブルズ」は、身代金を用いた交渉を行うもメンバーの一人であるガンナー・ヤンセンの暴走により、激しい銃撃戦を展開することになった。海賊の殲滅には成功するも薬物依存症に陥っていたヤンセンをロスはチームから放逐することを決める。その数日後、チームのマネージャーであるツールから仕事の依頼を伝えられたロスは会合場所でチャーチという謎の男から南アメリカの小国、ヴィレーナの独裁者であるガルザ将軍の排除を依頼される。ロスはメンバーの一人であるリー・クリスマスと共に同国に偵察に赴くが、そこには驚くべき運命が待ち受けていた!』
本日、土曜プレミアムで『エクスペンダブルズ』が放映されます。本作は、久々に登場した「めちゃくちゃ頭の悪いアクション映画」であり、大まかに言うと筋肉ムキムキの大男達が自慢の肉体をさらけ出し、迫り来る悪人どもを「ウオオオ〜!」と叫びながら次々なぎ倒すという豪快すぎる内容で、知能指数が軒並み低空飛行していると評しても全く過言ではないほどの凄まじい作品なのですよ。
『コマンドー』や『ランボー』など、1980年頃にはこのような映画が乱発されていましたが、『ダイ・ハード』や『スピード』など緻密な脚本を売りとする作品が登場して以来、アクション映画の偏差値が急上昇。熱中していた小・中学生もさすがに「気合いや根性だけで大勢の敵をやっつけるのは無理がある」ということに気付いたらしく、徐々に肉体系アクションは衰退していきました。そんな中、本作は敢えて絶滅寸前のジャンルを堂々と復活!まさに80年代のマッスルパワーが炸裂した快作となっています。
また、これまでのスタローンの映画には『ロッキー』にしても『ランボー』にしても、一応テーマみたいなものが存在していたのですが、本作ではとうとうそれすら無くなってしまいました。ある意味、マイケル・ベイを超えた究極のバカ映画と言えるかもしれません。すげえぜスタローン!
というわけで目玉のアクションシーンについて書いてみます。まず、冒頭からいきなり凄まじい銃撃戦が炸裂!しかも、敵は単に「撃たれて倒れる」のではなく、「撃たれて粉々に炸裂する」のですよ。ここで、スタローンの仲間が使用している銃に注目。AA-12というこの物騒な銃は、なんとフルオートのショットガンなのです。なにそれ!?
連射できるショットガンといえば、『デスペラード』や『スモーキン・エース』などでお馴染みのRDIストライカー12ぐらいしか映画で見た事がないのですが、劇中のストライカーはどちらかと言えばセミオートだったのに対し、本作のAA-12は完全にフルオート。しかも、AA-12用に開発された12番口径榴弾のFRAG-12までわざわざ見せて解説するだけあって、その破壊力は空前絶後の凄まじさ!
「ズドドドドド!」と豪快な作動音を響かせながら12番ゲージを標的へ叩き込み、人体が血しぶきを上げながらバラバラに砕け散る瞬間を克明に描き出す!CG効果で誇張されているとはいえ、ここまでグロい描写があるとは予想していなかったのでビックリ仰天。単なる娯楽アクション映画と思って油断しているとエライ目に合うので気をつけましょう。
一方、軍用銃のエキスパートでもあるバーニー・ロスに扮したシルヴェスター・スタローンは、キンバー社製の1911クローンで、美しくポリッシュされたゴールド・コンバット2を2挺拳銃で使用し、更にバックアップとしてコルトSAAタイプのカスタム・リボルバーも使っています。スタローンはこの銃を物凄いスピードで連射してるんだけど、あまりにも早すぎて普通なら「ダン!ダン!ダン!」と聞こえるはずの銃撃音が「ダダダダダー!」と連なって聞こえたのには笑いました。手動なのにフルオート並みの勢いだよ(笑)。リロードの早さもハンパない。
また、爆発シーンに関しても非常に完成度が高く、マイケル・ベイを凌駕するほどの火薬量で観る者を圧倒。特にクライマックスの爆破シーンは「どんだけ爆弾を仕掛けてるんだよ!」と思わずツッコミを入れてしまうぐらいの分量で、爆発マニアも大満足の仕上がりとなっています。
そして、本作最大の目玉は何と言っても豪華なキャスティングであり、中でもスタローンとアーノルド・シュワルツェネガーとブルース・ウィリスのスリーショットを拝める機会は滅多にないので、大変貴重な映像と言えるでしょう。ただし、3人のバストアップがやたらと多いため、観ていると妙な威圧感に悩まされますが(笑)。それにしても、まさかドルフ・ラングレンやミッキー・ロークやブルース・ウィリスなどのアクション・スターが一堂に会する日が来ようとは。長生きはするもんだ(笑)
ちなみに、『エクスペンダブルズ』というタイトルは原題の『The Expendables』(消耗品)をそのままつけたものなんですが、これに決まるまで日本の配給スタッフは必死になって色々な邦題を考えていたようで、例えば以下のようなタイトルが候補に挙がっていたらしい。
・「筋肉大戦争/アクションオールスターズ全員集合!」
・「マッスルチャンポン/地獄のおしおき」
・「大筋肉総攻撃」
・「7人のオヤジたち」
・「中年筋肉祭り」
・「汗と血管と上腕二頭筋」
どれもこれも発案者の正気を疑うようなヒドいタイトルですが、逆に映画の内容を的確に表現していると言えなくもない(笑)。それにしても「汗と血管と上腕二頭筋」ってホントに映画のタイトルなのかね?「部屋とワイシャツと私」じゃないんだからさあ(^_^;)
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