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『マッドマックス』はこんなに凄い映画だった!解説/制作秘話

■あらすじ『凶悪事件が多発する荒れ果てた近未来。暴走族専門の特殊警察「M.F.P.(Main Force Patrol)」に所属する警官マックス・ロカタンスキー(メル・ギブソン)は、暴走族のナイトライダーを追跡中に目の前で運転操作を誤ったナイトライダーが死亡。復讐を企む暴走族集団から命を狙われ、愛する妻子が殺されてしまう。失意のどん底に沈むマックスだったが、やがてスーパーチャージャーを搭載した特殊追跡車「V8インターセプター」に乗り込み、暴走族のリーダー:トーカッターたちに命をかけた戦いを挑む…!』



本日、午後のロードショーで『マッドマックス』が放送されます。シリーズ最新作『怒りのデスロード』が今月20日から公開予定となっているのに合わせてテレビで過去作品を放送するとは、さすが午後ロー、素晴らしい!金ローは最近、こういう映画をやってくれないからなあ。というわけで、今日はシリーズ1作目の『マッドマックス』のお話ですよ。


●『マッドマックス』はギネスブックに載るほど凄い映画だった
1979年に公開された『マッドマックス』は、大学の医学部を卒業したばかりのジョ−ジ・ミラー(実は医者を目指していた)が、病院で働きながら構想を考えた超低予算映画でした。地元の友人たちから集めた製作資金はわずか37万5000ドルで、主演俳優もほぼ無名。

ところが、映画が公開されるやいなや、壮絶なバイオレンスシーンと迫力満点のカーアクションが話題になり、世界中で大ヒットを記録したのです。最終的に1億ドル以上の興行成績を叩き出した本作は、「製作費と興行収入の差が最も大きい映画」としてギネスブックに掲載されました。

この記録は、1999年に6万ドルの予算で1億4000万ドル稼いだ『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』に抜かれてしまいますが、『マッドマックス』はジョージ・ミラー監督の長編デビュー作であると同時に、オーストラリア映画が初めて世界に認知された記念碑的作品として、いまだに多くのファンから愛されているのですよ。


メル・ギブソンは若い頃からヤンチャだった
今や世界的に有名なハリウッド俳優のメル・ギブソンですが、その一方で女性に対する暴行・暴言疑惑や、飲酒運転とスピード違反で逮捕された際に「糞ユダヤ人どもめ!」などと差別的な発言をしたことが問題となり、映画業界ではすっかり嫌われ者となっているようです。

そんなメル・ギブソンが『マッドマックス』のオーディションにやって来た時、全身ケガだらけで服もボロボロというもの凄い姿でした。なんと、前日に酒場で3人のバイク乗りを相手に大喧嘩を繰り広げ、そのままオーディションに来たらしい。でも、その強烈な雰囲気がジョージ・ミラー監督の心を強く惹き付け、見事に主役の座を射止めたそうです。


●「スタントマンが死んだ」という噂は本当?
『マッドマックス』は1979年に日本でも公開され、10億円の興行収入を稼ぐ大ヒットを記録したのですが、あまりにも激しいアクションシーンに、「もしかして人が死んでるんじゃないの?」という噂が流れました。

当時のチラシにも「2人のスタントマンが死亡する不幸なアクシデントがあった」と書かれ、パンフレットにも「3人が重傷を負い、2人が死亡した」と詳しく掲載されていたからです。

さらに、DVDのコメンタリーでも「撮影中に死者が出た」との発言があることから、多くの人がこの噂話を信じていたようですが、実はこれ、デマ(というか単なる都市伝説?)だったらしい。

一番ショッキングなシーンはクライマックスの「猛スピードで突っ込んで来たバイクが、転倒した暴走族の後頭部に激突する場面」で、これを見た世界中の観客が「絶対死んだ!」と思ったそうです。

しかし実際は、このシーンのスタントを担当したデイル・ベンチさんは生きていて、現在も積極的にイベント活動などを行っているのですよ。しかも、明日6月6日から日本で開催されるファンイベントにも出演するらしい。興味がある人は参加してみてはいかがでしょうか。→「マッドマックス・コンベンション2015

ちなみに例の”後頭部直撃シーン”についてデイル・ベンチさんは、「バイクが頭に当たった時、自分は全く痛くなかったが、直後にスタッフたちが心配してドッと駆け寄って来て、むしろそっちの方が怖かったよ(笑)」と語っているらしい。


●本物の暴走族が出演していた?
『マッドマックス』にまつわる有名な噂話として、「スタントマン死亡説」の他にもう一つ、「劇中の暴走族は全員本物だった」というのがあります。当時の宣伝でも「本物の暴走族を使って撮影した迫力満点のカーアクション!」みたいに謳っていたので、信じている人も多いのではないでしょうか?

この噂、正確に言うと半分本当でした。当時、オーストラリアでは暴走族が社会問題になっていて、リアリティを高めるために彼らを起用し、同時に予算も節約しようとしていたようです。実際、オーストラリアでは『マッドストーン』、アメリカでは『ワイルド・エンジェル』など、本物の暴走族を使った映画は既に何本も作られており、特に珍しいものではありません。

ただし、暴走族のリーダーや主要な悪役を演じていたのはちゃんとした俳優だったようです。あまりにも説得力がありすぎる風貌に「絶対本物の暴走族だろう」と思われていたサブ・リーダーのババ・ザネッティも、ジョフ・パリーという役者であることが後に判明。

ちなみに、圧倒的な存在感を放つ暴走族のリーダー:トーカッターを演じたヒュー・キース・バーンは、オーディションの時点ではバイクの免許を持っておらず、役が決まった後に慌てて免許を取得。映画の撮影時には全くの初心者状態でバイクに乗っていたそうです(暴走族のリーダーなのに若葉マークってw)。

●監督の愛車が粉々に!
映画冒頭、脇道から出て来たワゴン車(マツダ社ボンゴ)に警察のパトカーが激突するシーン。パトカーのノーズが豪快にヒットし、回転しながらボンゴが吹っ飛ぶ迫力満点のカーアクションですが、この場面で使用されたボンゴはなんとジョージ・ミラー監督の自家用車だったのです!

このシーンはパトカーをクラッシュさせる都合上、一番最後に撮影されたのですが、その頃にはすっかり予算を使い果たしていたため、新たにカースタント用の車を買う余裕はありませんでした。そこでやむを得ず、監督が乗っていたボンゴを使うことになったらしい。

ただ、当初の予定ではあそこまでメチャクチャに壊れることは想定していなかったようで、スタッフ曰く「ボンゴが脇道から出てくる距離がリハーサルよりも長かったため、予期せぬ規模のクラッシュシーンになってしまった」とのこと。見事なカーアクションが撮れた一方で、愛車を大破させられたジョージ・ミラー監督。なんとも複雑な心境だったでしょうねえ(-_-;)


●女優も犠牲に!
映画『マッドマックス』で酷い目に遭ったのは、監督やスタントマンだけではありません。マックスの奥さん役で出演しているのは女優のジョアンヌ・サミュエルですが、実は撮影直前まで別の女優さんが演じる予定になっていたのですよ。

ところが、撮影初日に現場へ向かっている途中、交通事故に巻き込まれて顔と脚を骨折する重傷を負ってしまったのです(スタントマンのグラント・ペイジが運転するバイクの後ろに乗っていたらしい)。

まだワンカットも撮影していないのに、いきなりヒロインがリタイアするという前代未聞のアクシデントに監督も真っ青!大慌てであちこち役者を捜し回り、ようやくジョアンヌ・サミュエルに決まったのは撮影が始まってから4日後だったという。


●オーストラリアの撮影現場はやりたい放題だった!
『マッドマックス』が作られた1970年代当時は、オーストラリア政府が輸出する産業の一つとして”映画”を盛り上げようとしていました。検閲も緩くなり、国内には映画制作の気運が高まっていたのですが、いかんせん人材もノウハウも不足しており、まだまだ発展途上だったのです。

当然、撮影環境もデタラメで、許可も取らずに勝手に道路を封鎖したり、”事故のシーン”では本当に事故を起こしたり、次々と危険な撮影にトライする、まさに『マッドマックス』の世界さながらの無法地帯でした。

先程、「この映画で死者は出ていない」と書きましたが、ただ単に人が死んでいないだけで、ケガ人は続出しているのです。スタントマンのグラント・ペイジは、撮影初日にバイクで転倒し、トラックに激突する場面で足を骨折。しかし、そのまま撮影を続行し、ギプスを付けたままでトレーラーに突っ込むスタントをやり切ったらしい。

また、他のオーストラリア映画(『湖の秘宝の謎』等)では、カメラマンやスタントマンが実際に何人も死亡していることを考えると、『マッドマックス』は”たまたま死者が出なかっただけ”と言うべきなのかもしれません。オーストラリア恐るべし!


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