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アンジェリーナ・ジョリー主演映画『ソルト』の続編はどうなる?ネタバレ感想/解説


■あらすじ『アメリカCIA本部。優秀な分析官イブリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、突然現われたロシアからの亡命者・オルロフを尋問する。特殊スパイ養成機関の元教官だという彼は、アメリカに長年潜伏してきたロシアのスパイが、訪米中のロシア大統領を暗殺すると予告。そして、そのスパイの名は「イブリン・ソルト」だと告げた。一転して二重スパイ容疑をかけられたソルトは、身の潔白を訴えるが聞いてもらえず、最愛の夫の身を案じてCIA本部から逃走。だが自宅に夫の姿はなく、何者かに連れ去られた後だった!果たしてソルトは無事に夫を救い出すことはできるのか?そして彼女の本当の正体とは…!?』



本日、日曜洋画劇場アンジェリーナ・ジョリー主演の『ソルト』が放映される。僕は公開当時に映画館で観たんだけど、第一印象は「ヘンな映画だなあ」ってことだった(この映画が好きな人には申し訳ない)。推測するに、制作側は女性版『ジェイソン・ボーン』を作りたかったのではないかと思われる。

『ボーン・シリーズ』が映画界に与えた影響はあまりにも大きく、本家の『007シリーズ』でさえ、それまでの荒唐無稽な設定を封印し、リアルなスパイアクション映画への路線変更を余儀なくされたほどで、『ソルト』がこれを意識しないはずはない。

実際、本作を撮ったフィリップ・ノイス監督も「アクションのアプローチに関しては(『ボーン・スプレマシー』を撮った)ポール・グリーングラス監督の演出を参考にさせてもらった」とインタビューで述べているぐらいだ。

しかし、映画を観てみると「ジェイソン・ボーン」というよりは、女性版「ジャック・バウアー」みたいな感じだった。要するにアンジェリーナ・ジョリー主演の『24』だよね(笑)。どちらかと言えば派手さやケレン味を優先した作劇で、物語のリアリティは『ボーン・シリーズ』よりも格段に落ちるし、正直「ロシアのスパイが世界征服を目論み、大統領暗殺を企てる」という時代錯誤なプロットには、「いったい何年前の脚本だよ(笑)」と突っ込まざるを得ない。

今時「世界全面核戦争が…」とか言われても、ちょっと厳しいよなあ。『今そこにある危機』や『パトリオット・ゲーム』に代表される”90年代のセンス”がそのまま進化せずに残っているような印象だ。しかも、かなり底が浅いというか薄っぺらい。

などと言いつつ、過去の「スパイ映画」や「サスペンス映画」のエッセンスを適度に盛り込んだアクション大作としては、普通に楽しめるエンターテイメント作品になっているので、それなりに面白い。特に、カーアクションや銃撃戦やスタントなどに関しては『ボーン・シリーズ』を踏襲していて迫力満点。アンジー演じる主人公も魅力的だ。

実はこの映画、当初の予定ではトム・クルーズの主演作だったらしい(初期タイトルは『エドウィン・ソルト』)。だが、もしトムが主役だったら『ミッション・インポッシブル』の劣化版にしかならなかったと思うし、もっと”凡作”になっていた可能性も高い。そういう意味では「結果オーライ」な映画と言えなくもないだろう。

ちなみに、この映画では派手なアクションシーンが非常に多く、アンジェリーナ・ジョリーが自らそういう危険なアクションに挑んでいるように見えるんだけど、ほとんどは彼女のダブル(スタントマン)が演じていたらしい。そのおかげで、女性を主人公にしたアクション映画としては、近年稀に見る見事な出来栄えとなっていた(アンジーと、彼女の代わりに危険なスタントをこなしたユーニス・ハットハートのツーショット↓)。


というわけで、(色々文句を言いつつも)個人的には意外と楽しめたんだけど、僕の場合は「おかしなシーンにツッコミを入れながら観る」というスタンスが前提となっているので、「ここちょっと変じゃない?」と気になる場面が非常に多かった。以下にそういう疑問点などをネタバレ有りで検証してみたので、映画を観てない人はご注意ください。


●どうしてソルトは捕まったのか?

映画開始早々、いきなり主人公ソルトが北朝鮮に捕まって拷問されているシーンからスタート。なんで下着は付けたままなんだ?という疑問はとりあえず置いておくとして、本作の場合「物語の途中からいきなり映画が始まる」という構成自体にちょっとおかしなところがある。

たとえば、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』も、いきなりディカプリオと老けた渡辺謙が出会うシーンから映画が始まっているのだが、その後時間を巻き戻し、「二人がどのような過程を経て冒頭のシーンに行き着いたのか」ということをきちんとストーリーの中で説明しているのだ。

こういう手法は『ミッションインポッシブル3』や『ソードフィッシュ』など比較的多くの映画で使用されており、最初は意味が分からなくても、映画を観ている間に状況が理解できるようになっているのが普通だろう。

ところが『ソルト』の場合は、冒頭の拷問シーンからカットバック無しでそのままストーリーが続いてしまうのだ。途中で回想シーンは入るものの、『インセプション』のように冒頭場面に話が繋がる事は無く、なぜソルトが北朝鮮に捕まったのか、その経緯を説明するシーンは一切出てこない。まあ、映画を観ていれば状況は理解はできるんだけど、なんかモヤモヤするんだよねえ。


●オルロフの行動に疑問

わざわざ自分からCIAにやってきて、「ここにロシアの二重スパイが紛れ込んでいる。名前はソルトだ」とバラしたオルロフ。予告編でも使われている取り調べ室のシーンは非常に緊迫感があって「いったいこの後どうなるんだ?」と観客の期待を大いに盛り上げている。

しかし、良く考えたら不可解な点も多い。まず、今後の計画に支障をきたすかもしれないのに、どうしてわざとソルトの正体をバラしたのか?「彼女の忠誠心を確認するため」との見方もあるが、この暴露によって確実に「ロシア大統領暗殺計画」がやりにくくなったことを考えると、完全に逆効果と言わざるを得ない。

「実は”大統領暗殺”は単なる陽動作戦で、裏ではもっと凄い計画を実行中なのでは?」と深読みするものの、全然そんなことはなく、結構真面目に大統領暗殺を目論んでいたことが分かって衝撃を受ける。だったら自分でバラすなよ!

この件に関しては、同じくCIAで働いていたテッド(リーヴ・シュレイバー)が実はロシアのスパイで、「なぜソルトの正体をバラしたのか?」ということをクライマックスで説明している。それによると、「ソルトがアメリカ人と結婚したことで不信感が生まれた。組織を裏切っている可能性が出て来たので、君の本心を確かめるためにやったんだ」とのこと。だが、そうだとしてもやっぱりおかしい。

本心を確かめるために、わざわざ組織のリーダーがCIAに出向いて行くのはリスキーすぎるし、二人がCIAの内部で会う必然性も無いのだから(人目につかない場所で会えばいいし、会わずに連絡を取る方法だっていくらでもある)。そもそも心が揺らいでいるソルトに暗殺を実行させたいなら、愛する夫を人質にとって命令に従わせるだけで良かったはずだ(彼女の能力をもってすれば、確実に任務を遂行できただろう)。

さらに「お前は私の最高傑作だ!」などと言いながら、彼女をCIAに売るようなマネをしている点も腑に落ちない。運良く脱出できたから良かったものの、あのままソルトがCIAに確保されていたらどうするつもりだったのか?など、あまりにも不自然な部分が多すぎるのだ。

つまり、ソルトの正体をバラしたことでオルロフ側にプラスの効果が働いたようには全く見えないというところが、本作最大の問題点と言えるんじゃないだろうか。


●CIAは真面目に身体検査をしてるの?

ロシアのスパイが堂々とCIAに乗り込んで来ること自体が異例だが、そこから脱出する方法も(色んな意味で)意表を突いている。まさか今時、靴の先端に刃物を仕込んで相手を倒すというレトロなアクションを見せられるとは思わなかったよ(笑)。しかも、それであっさりやられてしまうCIAって……大丈夫なのか?

ちなみに、エレベーター内でオルロフが使った “仕込み靴” は、『007 ロシアより愛をこめて』(1963年)でジェームズ・ボンドが襲われた時のスパイグッズと同じである。そんな古いアイテムをいまだに現役で使い続けているとは…。まさに、おそロシア

●主人公がノーパンで過激アクション

監視カメラに自分の履いていたパンツを被せて、そのままノーパンでCIAを脱出するソルトにハラハラドキドキ。「オイオイあの女の人、ノーパンなのにあんなに激しいアクションして大丈夫なのか!?」と思わず心配してしまった映画は、リュック・ベッソン監督のTAXI2以来ではないだろうか(ちなみに『TAXI2』におけるノーパン・カンフーの衝撃度たるや尋常ではないので、機会があればぜひ観ていただきたい)。ところであの後、回収されたパンツはどうなったのだろうか?CIAの男性職員がこっそり持って帰ったのかなw

●「変装」は髪を黒く染めただけ

……それは”変装”なのか?単なる”イメチェン”じゃないの?


●どっきりカメラ的な

「大統領暗殺計画」の緻密で高度な作戦内容とは → (1)ロシアの大統領が立っている足元の床を爆破 (2)そのままソルトの所まで落下 (3)ホコリで全身真っ白になった大統領がゴホゴホ言いながら辺りを見回す (4)プラカードを持ったソルトが出てきて一言、「どっきり大成功!」…って(4)はもちろんウソですが、まあ大体あってる(笑)。こんな大雑把な作戦で大丈夫なのかよw


●ソルトのせいで犠牲者出まくり

映画全編に渡って、敵も味方も膨大な数の死傷者が続出(しかもほとんどがソルトの仕業)。一応、ロシアのスパイ以外は殺していないようだが、CIA、シークレット・サービス、警察官、果てはバイクに乗った一般市民に至るまで、銃で撃たれたり気絶させられたり交通事故に巻き込まれたり、散々な目に合わされている。「世界の危機を救った」という事実がたとえ認められたとしても、補償問題がとんでもない事になりそうだ。


●オルロフの作戦がひどすぎる

結局、オルロフは夫を殺害されて怒り狂ったソルトに殺されてしまうが、その直前に次の作戦を伝えている。その内容とは「NATOの連絡将校として潜入しているロシアのスパイと接触し、アメリカ大統領に近づいて核ミサイルを発射せよ」というもの。これはひどい

この時点でソルトは「ロシア大統領暗殺事件」の容疑者として全世界に指名手配されて危険な状況なのに、この上、ただでさえ身辺警護の厳重なアメリカ大統領に接近するなんて、無理難題にも程がある。しかも”女”のソルトがわざわざ”男”に変装しているのだ。いやいや、おかしいって!

話の流れから見ても女が男に変装しなければならない理由が無いし、普通に男のスパイにやらせればいいだろ?まあ他のスパイはソルトが皆殺しにしちゃったけど、オルロフが作戦を立てた段階ではまだいっぱいいたわけだから、面が割れてるソルトよりも他の人に任せた方が、成功する確率は高かったはずだ。いくらソルトが優秀なスパイとは言え、彼女一人に頼り過ぎだ。


●何の打ち合わせも無しで

「あなたはこの後どうするの?」、「こうするのさ!」ドカーン!NATO連絡将校(ロシアのスパイ)がいきなり目の前で自爆テロ。それを見てソルトびっくり!って行き当たりばったりすぎるだろ(笑)。命懸けのミッションなんだから、事前に打ち合わせぐらいしとけよ!仲間を驚かせてどうするんだ(でも、このシーンは意表を突き過ぎていて逆に面白かったw)。


●どう見ても怪しいんだが

「怪しいキャラクターを演じている人が本当に怪しくてシャレにならない」という具体例。こういう役にリーヴ・シュレイバー(テッド・ウィンター役)をキャスティングしちゃダメだろ。配役でオチがバレバレだw

●続編への布石

映画のラスト、ようやくソルトを捕まえたにもかかわらず、確たる根拠も無いまま勝手に逃がしてしまうという衝撃の結末。そしてソルトは、「本当の戦いはこれからよ!」みたいな感じでどこかへ去って行く。はっきり言って完全に”続編狙い”の終わり方だ。作り手としては「こうしておけばパート2を作りやすい」ってことなんだろうけど、ただ物語の結末としては全然説得力がないよねえ。

ちなみに、脚本を書いたカート・ウィマーはミラ・ジョヴォヴィッチ主演のSFアクション『ウルトラヴァイオレット』で大コケした前科がある(この人、『リベリオン』以外はパッとした作品がない)。しかも”続き”を思わせるような終わり方をしてる割には、結局、続編の計画も立ち消えになったみたいだし。非常にもったいない映画だったなあ。

●もう一つのエンディング

実は、この『ソルト』には複数のエンディングが存在しており、日曜洋画劇場では通常のエンディングの後に「劇場版とは異なる別バージョンのラストシーン」を放映していた(珍しい趣向ですな)。別エンディングでは、ソルトは病院へ収容され、奥歯に仕込んだ青酸カリを飲んで自殺を図る。

と思わせて、死にかけているフリをしながら病院を脱走。そのままロシアへ逃亡する。スパイを養成している極秘施設にやってきたソルトはオルロフと再会(死んでなかった?)。そしてオルロフをあっさり殺し、敵の施設も爆破!最後は、自由の身になったソルトのドヤ顔アップで映画終了、という感じである。

つまりこのバージョンでは「きっちり決着をつけて終わっている」のだ。でも、どっちの終わり方がいいか?と言われたら、やっぱり劇場公開版の方かなあ。いや、劇場版も決して良いとは言えないんだけれど、別エンディングは”蛇足感”が凄いのよ。これなら「俺たちの戦いはこれからだ!エンド」の方がまだマシかもしれない…と思った次第です(^_^;)

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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2015-12-25)

劇場版:100分、ディレクターズ・カット版:104分、別エンディング版:101分を収録した完全版!


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