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ジェームズ・マカヴォイ主演『ビトレイヤー』ネタバレ感想


■あらすじ『逃走中の大物犯罪者ジェイコブ・スターンウッド(マーク・ストロング)を一人で追い詰めたマックス・ルインスキー捜査官(ジェームズ・マカヴォイ)だったが、あと一歩のところで膝を撃たれて捕り逃してしまう。3年後、隠遁生活を送っていたスターンウッドは、息子のルアンが事件に巻き込まれたとの知らせを受け、潜伏先のアイスランドからロンドンへと舞い戻ってきた。この千載一遇のチャンスを逃すものかとスターンウッドを待ち構えるマックス。ところがそんな2人を、政府をも巻き込んだ巨大な陰謀の渦が呑み込んでいく…。隠遁生活を送る老練な元強盗と、かつて彼に煮え湯を飲まされた若手刑事が、思いもよらぬ陰謀に巻き込まれたことで図らずも手を組み、巨大な組織に立ち向かっていくさまをスタイリッシュに描いたクライム・サスペンス!』

ジェームズ・マカヴォイ主演のサスペンス・アクション『ビトレイヤー』を観ました。原題は『WELCOME TO THE PUNCH』で、直訳すると『パンチへようこそ』という「何じゃそれ?」感が濃厚なタイトルなんですけど、映画を最後まで観ると「ああ、なるほど」と意味が分かるようになってます。とはいえ、個人的には『ビトレイヤー』っていう邦題の方がスタイリッシュでかっこいいなと思いました。

そして内容の方も非常にスタイリッシュなクライム・サスペンスとなっています。なんせ製作がリドリー・スコットですからね。『ブラックレイン』では、見慣れた大阪の街並みを”魔界都市オーサカ”みたいな異空間に変貌させて関西人の度肝を抜いたリドリー・スコット。そんな彼がプロデュースした本作は、イギリスなのにイギリスに見えない、まるで”不思議な近未来都市”のように描かれていましたよ。


主人公マックスを演じたジェームズ・マカヴォイスコットランド出身の俳優なので、荒涼とした世界観と上手くマッチしています。最近では『X-MEN』シリーズに主演するなど大作映画での活躍が目立ちますが、本作では過去のトラウマに立ち向かう孤高の刑事を熱演。ちょっとラッセル・クロウにも似ている渋めのルックスがいい感じですね。


そんなジェームズ・マカヴォイの敵役を演じるマーク・ストロングも、やはりイギリス出身の俳優です。本作では”伝説の犯罪者”と呼ばれるほどのカリスマ的悪役を快演、その動きはまさにプロフェッショナルと呼ぶに相応しい風格を漂わせていました。「華麗な身のこなしでかっこ良くアクションを決めるハゲ」といえばジェイソン・ステイサムを思い浮かべますが、マーク・ストロングも負けないぐらいのイケてるハゲですね(笑)。

そして主人公の同僚役を演じているアンドレア・ライズボローも同じくイングランドの女優です。最近出演した映画では、SFアクション『オブリビオン』でトム・クルーズの相手役を務めていたのが印象的でした。なお、角度によっては物凄く春香クリスティーンに似ているように見えるんだけど、気のせいでしょうか?(^_^;)


このように、英国のスタッフとキャストで固めた本作は、ハリウッドのクライム・サスペンスとは一線を画した独特の雰囲気がなかなか面白くてグッド。また、ガンアクションも結構気合いが入っていて、犯罪者グループが使用するMP5Kや、スターンウッドのベレッタM92FとステアーTMPなど、登場する銃火器はどれもリアルに発砲しています(最近はCGのマズルフラッシュを合成するパターンが多いので、空砲を撃ってる映画は貴重)。

一方、ジェームズ・マカヴォイ演じるマックスは、H&KのUSPCを装備。中盤の銃撃シーンでは派手にバンバンぶっ放し、さらにクライマックスではG36Cとレミントン870で完全武装し、大量に現れる敵を次々と撃ち殺していましたよ。彼はアンジェリーナ・ジョリーと共演した『ウォンテッド』でもかっこいいガンアクションを披露していたので、銃火器の扱いには慣れているようですね。全体的に銃撃シーンは見応えあり!

中でも僕が気に入ったシーンは、敵味方が一軒の家に入り込んで、事件の黒幕を聞き出す場面。白髪のおばあちゃんがゴツイ男2人に両側を挟まれ、さらにおじいちゃんが背後からそのおばあちゃんの脳天に拳銃を突き付けるというモノ凄いシチュエーションなんですよ(笑)。敵の身内を人質に取ってるわけなんですが、おばあちゃんだけが気付いてなくて、「お茶でも出しましょうか?」とか呑気に言ってるのが妙に可笑しい(笑)。この後、現場では壮絶な銃撃戦が繰り広げられることになり、それも見どころの一つと言えるでしょう。

というわけで、単純なドンパチ映画として観ればそれなりに面白いんですが、残念ながら内容がいまいちでした。主人公は犯罪者スターンウッドを逮捕するために懸命な捜査をしてるんですけど、彼の仲間に裏切り者(ビトレイヤー)がいて、「じゃあ真の黒幕は誰だ?」という部分が最大のポイントになるわけです。ところが、肝心の謎解きがあまり面白くない上に、クライマックスで「実は事件の真相は…」と登場人物が全部セリフで状況を説明するという、サスペンス映画で一番やっちゃいけないパターンをやらかしてるんですよ。

尺が100分にも満たないため、全てを描くことは無理だというのは分かりますが、それならマックスとジェイコブの対立構造だけに的を絞って、もっとシンプルなアクション映画に仕上げた方が良かったと思います。あと、ヒロインの扱いも結構酷くて、もうちょっと主人公との絡みがあった方がいいんじゃないの?とか、終わり方があっけなさすぎるとか、色々不満が残りました。にしてもアンドレア・ライズボローって、つくづく薄幸な女性役が似合うんだなあ(^_^;)


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