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狼男映画『シュリンジ』感想

■あらすじ『満月が妖しく輝くロサンゼルスで、マックス(マリオ・ヴァン・ピーブルス)とジムの両刑事は武装ストリート・ギャングと激しい銃撃戦を交えた。武装ギャングは全員射殺され事件は解決したものの、ジムは無数の銃弾を浴びて重傷を負う。悲嘆に暮れるマックス。だが数日後、ジムは何事もなかったかのように彼の前に現れる。しかも強靭な肉体と以前にはなかった攻撃的な性格に変貌して。いったいジムに何が起こったのか。そんな時、ロス市警特殊部隊のリーダー、ガルー(ブルース・ペイン)がマックスに接触してきた。彼は自分の仲間を集めて武装軍団を作り、ある恐るべき計画を実行に移そうとしていたのだ。謎の黄色い液体を注射した瞬間、彼らの体は不死身の肉体へと変化を遂げる!ホラーの鬼才、アンソニー・ヒコックスが狼人間を新解釈!超過激アクション・シーンと最新VFXが危険に融合した、スタイリッシュ・アクション・ホラーの誕生だ!(1994年)』



突然だが僕は「マイナーな映画」が好きである。メジャーな映画はもちろん観るが、それ以外に一般的にあまり知られていない映画を発掘する楽しみも捨て難い。

ほとんどのマイナー映画は、マイナーである事を宿命付けられたような出来栄えのものばかりだが、たま〜に「何でコレ、ヒットしなかったんだろ?」とびっくりするような良作が紛れ込んでいる事があるからだ。

有名な俳優が出ていなかったり、内容が地味だったりと、その理由は様々だが、そういう作品を見つけてしまうと「こんなに面白いのに、もったいないなあ」と思わずにはいられない。

友達に聞いてみても大抵「そんな映画観たことない」と言われてしまい、非常に寂しく感じると同時に「一度観てみろ!」と強引にビデオを押し付けたりして、「マイナー映画推奨活動」にも努力を惜しまないのだ。その度ごとに結構嫌な顔をされてしまうのだが、くじける事無く布教活動に邁進しています(笑)。

今回ご紹介する『シュリンジ』(タイトルの“シュリンジ”とは、麻薬専用の注射器を意味するスラングらしい)も、マイナー度ではかなりのレベルに達していると思われるが、その面白さもまた群を抜いていると言っていいだろう。

10年ほど前に初めて観て、その後もう一度観ようとレンタルビデオ店を探し回ったが、どこにも置いていないのである。ところが先日、たまたま訪れたビデオ屋「150円均一ワゴンセール」に埋もれていた本作を発見!速攻で購入したというワケですよ(苦笑)。

主人公のマックスに扮するのは監督作ニュー・ジャック・シティスパイク・リーらと並ぶ“ニュー・ブラック・シネマの旗手”として一躍世界の脚光を浴びた異才マリオ・ヴァン・ピーブルス。そして彼の前に現れる謎の組織のボスにパッセンジャー57』の強烈な悪役ぶりで高い評価を得たクールな魅力のブルース・ペイン

この個性派の二人が大胆にも共演し、『サンタウン』『ヘルレイザー3』『ザ・ハルマゲドン』などの独特の演出で進境著しいアンソニー・ヒコックスが監督にあたったのがこの映画だ。スタッフ及びキャストたちの、絶妙なマイナーぶりがたまりません(笑)。

90年代前半からハリウッドでは“ニュー・ウェーブ・ホラー”とも言うべき新たな潮流が生まれた。フランシス・コッポラ『ドラキュラ』を発端にジャック・ニコルソン『ウルフ』、故ブランドン・リー『クロウ』トム・クルーズインタビュー・ウィズ・ヴァンパイアなどがそれである。

この流れは現在も尚続いており、ブレイド』や『アンダー・ワールド』など、どんどん新感覚ホラーは作られ続けているのだが、『シュリンジ』もまさに、その一端を担う作品として生み出された映画なのだ。物語の中盤で“銀の弾丸”が登場するに至り、ホラーとしての全容が見えてくる。そう、本作はれっきとした“狼人間映画”なのである。

しかし、今までの狼人間映画とは全く異なり、ここに登場する狼人間は自ら特殊部隊を編成し、“影の警察”として街にはびこる麻薬組織を次々と壊滅していくのだ。つまり一応は、“正義の味方”なのである。

さらにシュリンジを使った特異な仲間の増殖方法や、満月ではなく“皆既月食の時”に狼人間のパワーが最大になるなど、今までの狼人間映画にない画期的な発想や解釈に満ちている点が大きな特徴だ。

そしてそれ以上に本作を斬新なホラーにしているのは、全編を通してのスタイリッシュな映像と、目も眩む斬新なアクション描写だろう。狼人間のメンバーたちは、全員特殊な戦闘服に身を包み、最新式の銃火器で完全武装し、麻薬密売の現場に正面から殴り込みをかける!

クスリの力によって最強の戦闘マシーンと化した現代の狼人間たち!それはまさにX-MENを彷彿とさせるような、集団ヒーロー的かっこ良さに満ち溢れているのだ。

さらに、開幕のディスコでの激しい銃撃戦や、白昼のロス市街での無差別殺戮とカーチェイス(「走っているバスの屋根の上に飛び乗って銃を乱射する」という信じられないアクションに驚愕!)、そして麻薬製造所の襲撃などハード・ターゲットでのジョン・ウー監督が構築した“香港ノワール”的スタイリッシュ・ガン・アクションが次々と炸裂する。

スローモーションとノーマル映像をシャープに編集した驚愕のアクション・シーンは目もくらむほどのカッコよさ!おまけに主人公は黒のロングコートを身にまとい、華麗に二挺拳銃をぶっ放すのだ!まさに、当代きっての“映像オタク”であるヒコックスの趣味が爆発した名場面であると言えよう。

主演の二人以外のキャストではリーサル・ウェポン2』メル・ギブソンの恋人を演じたパッツィ・ケンジットが見逃せない。いままで数々の作品でその妖艶な肢体を披露してきた彼女だが、本作ではセックスしながら狼に変身するという、前代未聞の超絶ラブ・シーンを見せ付けられて腰が抜けそうになった。おちおちセックスもできんぞ(笑)。

SFXメイクはダークマンのトニー・ガードナーが担当。ターミネーター2でその画期的映像が話題となった当時最先端のCG-SFX“モーフィング”が狼人間の変身シーンで効果的に使われているのも注目だ。ただし、変身シーンは一瞬だけで、しかも変身後の姿が“狼”というよりも“スリムな熊”という感じ。クライマックスの戦闘シーンも、意外とあっさり終わってしまうのが残念だ。

しかし、全編に漂う怪しいムードやハードなアクションなど、このテの映画にしては見所が数多い。あくまでも「B級アクション」の域を出ていないが、なかなかの「掘り出し物」だと思うので、興味があれば一度観てみて下さい。ただし、あまりにもマイナーすぎて、レンタルビデオ屋に置いていない可能性が高いのでご注意を(笑)。


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