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なぜこんなラストに?『ワールド・ウォーZ』ネタバレ感想


■あらすじ『妻と2人の娘と平穏な日々を送っていた元国連捜査官のジェリー。ある日、家族を乗せた車で渋滞にはまった彼は、謎のウイルス感染によって凶暴なゾンビが瞬く間に増殖する現場に遭遇する。必死で家族を守り、間一髪で逃げ延びたものの、現場復帰の要請が入った。いまや謎のウイルスの爆発的な感染拡大で、全世界が崩壊しようとしている。そこで、かつて伝染病の調査や紛争地域での調停に手腕を発揮してきた彼に、調査隊への協力が求められたのだった。愛する家族の安全と引き換えに、調査への同行を決意したジェリーは、米軍とともに混乱が拡がる世界各地の感染地域へと向かうのだったが、そこで彼が見たものとは…。驚愕のラストシーンに括目せよ!』


※記事にはネタバレが含まれていますので未見の方はご注意ください。


正直、『ワールド・ウォー・Z』って「ダセぇタイトルだな〜」と思ってたんですよ。『サイクロンZ』とか『超能力学園Z』とか、題名に”Z(ゼット)”が入ってる映画ってなんかB級っぽいじゃないですか?

しかも、そういう映画に限ってストーリーとZに全く関連性が無かったりするわけですよ。なので「どうせ特に意味は無いんだろう」と思ったらゾンビ(Zombie)の”Z”だったのね(苦笑)。疑ってスマン。あ、そういえば相原コージが連載してるゾンビパニック・マンガの題名も『Z〜ゼット〜』だなあ。

Z〜ゼット〜 1

『コージ苑』『サル漫』でお馴染みの相原コージが、満を持して描くゾンビ・パニック・ホラー!

Zアイランド

哀川翔主演、品川ヒロシ監督のヤクザ・ゾンビ映画。某映画評論家からボロカスに貶されたらしいw

にしても、この『ワールド・ウォー・Z』って、どうして宣伝や予告編で極力「ゾンビ映画」であることを隠そうとしてるんでしょうか?公式サイトでは「謎のウイルスが世界規模で蔓延し、愛する家族と人類を救うためにブラッド・ピットが立ち上がる!」みたいな紹介の仕方で、ゾンビのゾの字も出てきません。

ティーザー映像でも、何か大勢の人が逃げ惑っている場面を映し出すのみで、直接的なシーンは全てカットという徹底ぶり。これってあれか?ゾンビ差別か?

まあ、確かに”ゾンビ”を前面に押し出したらヒットしづらくなるって事情は容易に想像がつくけどさあ。でも、もしスティーヴン・ソダーバーグ監督のコンテイジョンみたいなパンデミック映画と勘違いして観に来た人がいたらどーすんのよ?有り得ない話じゃないと思うんだが。

コンテイジョン (字幕版)

突然発生した謎のウイルス感染が驚異的なスピードで全世界へ拡散し、人類が大パニックに!

リドリー・スコット監督の『プロメテウス』の時だって、配給会社が意図的に『エイリアン』の前日譚ということを隠してたし(『エイリアン』がホラー映画だから客が減ると考えたらしい。アホか)。最近、こういう騙し討ちみたいな宣伝手法が堂々と行われるパターンが多くて、凄く気になるんだよねえ。

まあ、それはさておき映画の内容はどうだったかと言うと、とりあえず序盤はスゲー面白いです。バスや自動車を次々になぎ倒すゾンビ!高い壁をよじ登ってくるゾンビ!狭い通路を雪崩のように押し寄せてくるゾンビ!そして、飛行中の旅客機の中で暴れ回るゾンビ!うわあああ!こんなゾンビ見たことないよ!まさにゾンビファン大歓喜のビジュアルが炸裂!

いや、「走るゾンビ」自体は『28日後…』や『ドーン・オブ・ザ・デッド』ですっかりお馴染みなんですけど、本作はその物量がハンパない。凄まじい勢いで迫ってくる大量のゾンビ軍団を、壮大なスケールで映像化した驚天動地のアクションシーンが本当に凄い迫力で、圧倒的に斬新でした。

28週後… (字幕版)

「走るゾンビ」の先駆け的ホラー。正確にはゾンビじゃないけどw

また、ストーリーも非常にテンポ良く進み、アパート → 空母 → 韓国 → イスラエルと原因究明のために世界各国を飛び回る主人公のワールドワイドな活躍ぶりを存分に描き、従来のゾンビ映画には見られなかった広大なロケーションを実現しています。

行く先々でゾンビに襲われるブラピさんは、超絶的な判断力(運の良さ?)でピンチを切り抜け、徐々にゾンビ発生の真相に迫っていく。しかし残された時間はあとわずか。果たして人類滅亡は回避できるのか?そのハラハラドキドキ感が抜群に面白く、まさに「サバイバル・ホラーの真骨頂!」って感じで大満足でした。

だがしかし!後半になるとなぜか急激にビジュアルがショボくなるんですよ(前半で予算を使い果たしてしまったのだろうか?)。序盤の凄まじい勢いとは一転し、「少数のゾンビがウロウロと徘徊している不気味な建物内を、主人公達が恐る恐る進んでいく」という、初期の『バイオハザード』を思わせるような古臭いシチュエーションに拍子抜け。

バイオハザード (字幕版)

日本でも人気が高いアクション系ゾンビ映画!※プライム会員の方は無料で視聴できます

まあ、これはこれである意味”正統派ゾンビホラー”と言えなくもないですが、前半であれだけ派手なシーンを見せられたら、あまりの落差に「え〜?」ってなりますよそりゃ。おまけに、ラストの展開が投げっ放しというかあまりにも唐突すぎて「なんじゃこりゃ」感が凄まじい。

一応流れを書いておくと、墜落した飛行機から運良く生還したジェリーと女性兵士はWHOの研究施設へ辿り着き、そこでウイルスに対抗するためのワクチンを開発する…のかと思いきや、ゾンビに襲われないようにするため、自分自身を別の病原菌に感染させようとするのですよ。

実は、ゾンビの大群で大パニックになっている中、全くゾンビに襲われない人が数名いました。それを見つけたジェリーは、「彼らが襲われなかった理由は、体内に何らかの病原菌を持っていたからではないか?」と考えます。野生の動物も危険な病気にかかっている獲物には手を出さない。つまり、わざと病気に感染することでゾンビから身を守ることができるはずだ!と。

この段階で既におかしいんですよねえ。「ゾンビに襲われない理由は病気に感染していたから」というのは単なるジェリーの推測にすぎず、はっきりとした根拠がありませんから。また、クライマックスでジェリーは大量の薬品の中から一つを取り出し自分に注射しますが、あんなに沢山ある薬の中から偶然”正解”を引き当てるなんて、「どんだけ運が強いんだ!」って話ですよ。

せめて前のシーンで「ゾンビウイルスにはこういう特徴がある」みたいな伏線を見せておけば、最後の段階で主人公がわずかな手掛かりを元に正解を導き出す、という展開に説得力が生まれるし、愛する家族や人類のために一か八かの賭けに出る姿にも感動できるわけです。

しかし、この映画では「やけくそで注射を打ったらたまたまそれが当たっちゃった!ラッキー!」みたいに見えてしまい、全然感動できないのですよ。

挙句の果てには、”ゾンビに襲われなくなる薬”を大量に配布して「これでひとまず大丈夫」的なその場しのぎの結末に茫然。いやいやダメだろ!根本的には何も解決してないよ!少年ジャンプの打ち切りマンガを思わせるような、まさかの「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドに驚愕しました、トホホ。どうやら続編の計画があるようですが、それにしてもシナリオの後半パートはまとまりに欠けるような気がしてなりません。

と思ってwikipediaを見たら、「脚本の結末部分が急激かつ支離滅裂であったため、一旦撮影が終了した後、30分から40分の追加映像が必要と判断。これにより製作費は2億ドルまで膨れ上がり、パラマウントの社長に衝撃を与えた」と書いてあることから、やはり制作側で何らかのトラブルが発生してたようですねえ。どうりであっけない終わり方だと思ったよ(^_^;)


その他、個人的にツボだったツッコミ・ポイントをいくつか列挙してみます。


●ブラピ、車を盗まれる
逃げる途中で立ち寄ったスーパーで薬や食料を調達して戻ってくると「大変だ!車が無い!」って当たり前だー!あれだけ混乱した状況で車を置いてきたら盗まれるに決まってるだろ。つーか、それってそもそも他の誰かから盗んだ車じゃねーか!

●ブラピ、チャリを漕ぐ
土砂降りの雨の中、必死に自転車を漕いで飛行機を目指すブラッド・ピット。ちょっとでも物音をたてたらゾンビに気付かれるわけだが、自転車がサビてて思い切りキコキコ鳴ってるんですけど。

●科学者、瞬殺
ゾンビウイルスの謎を解明すべく、一人の若き天才科学者が立ち上がった。これって普通の映画なら、「彼のおかげでワクチンが完成し、人類は滅亡の危機から救われる」という展開になるはずなんですけど、登場後わずか数分であっさり死亡。

しかも、ゾンビに襲われる前に自分の持っていた銃が暴発して死ぬという、一番マヌケな死に方で昇天してしまうのです。あまりにも突然の出来事だったため、「足が滑って死んだ」というブラピのセリフがもはやアメリカン・ジョークにしか聞こえません。

●ブラピ、飛行機墜落事故から無事生還
機内で手榴弾を爆発させ、乗客もろともゾンビを吹き飛ばし、挙句の果てに飛行機は墜落。そんな絶望的な状況でも、ブラピと女性兵士だけはしっかり生き残ります。これが主人公補正ってやつか…。

●ブラピ、ペプシを飲む
なんだか良く分からない薬を注射して、どうやらそれがゾンビに有効だったと判明し、余裕の表情で自販機のペプシコーラを飲むブラピがかっこ良すぎる!たっぷり時間をかけてジュースを飲み干し、その後、満面のドヤ顔でゾンビの中を堂々と歩いていく一連のショットが完全にペプシのCM」と化していました。いったいどうしてこんなことに…?

実はこの映画の後半、飛行機が墜落した後の展開は、モスクワの「赤の広場」で国連軍とゾンビ軍団が壮絶な死闘を繰り広げる凄まじいバトルシーンになるはずだったのですよ。ところが、実際に撮影までしたのに(ロケ地はブダペスト)、完成したフィルムを見たらあまりにも凄まじすぎて「これは公開できない!」とNGになってしまったのです。

レーティング対策として残虐なシーンを可能な限りカットしたようですが、「ロシアでの戦闘を描くと主人公のキャラクターにブレが出る」「ラストは家族愛を強調するような終わり方にしたい」という映画会社側の思惑から、最終的には全面カットを余儀なくされたらしい。

それで仕方なくシナリオを変更して、追加撮影をイギリスで行うことになったものの、既に前半の場面で予算の大部分を使い果たしていたため、撮り直しの費用がほとんど残っていませんでした。「このままじゃ映画を完成させることが出来ない…」と困り果てるブラピとスタッフたち。そんな時に追加の製作費を出してくれたのが、どうやら飲料メーカーのペプシだったらしいのです。まあ、そういう事情ならペプシの商品を大きく映すのも仕方ないかなー(^_^;)


このように、色々突っ込み所も多い映画なんですけど、観終わってみると意外とマイナスのイメージは無いんですよ。「つまらん!」と言うほどストーリーが破綻しているわけでもなく、前半と後半で映画のテイストが違うとはいえ、全体的にはちゃんとしたホラー映画になってるし。

むしろ、「従来は低予算でしか作られることのなかったゾンビ映画を、破格の製作費で映像化したらこうなった」という貴重な作品として一見の価値があると思います。グロ描写は控え目なので普通の人でも多分大丈夫。どうせ観るなら劇場のデカい画面での鑑賞をオススメしますよ(^.^)



※追記
なんと続編の制作が決定したようです!「『ワールド・ウォー Z 2』の全米公開日は2017年6月9日になる」とパラマウント・ピクチャーズが発表しました(2015年5月時点での計画)。

続編でもブラッド・ピットがジェリー役で出演するようですが、監督は、前作のマーク・フォースターに代わって『ゴーンガール』のデビッド・フィンチャーがメガホンをとるらしい。

デビッド・フィンチャー監督といえば、『セブン』『ファイト・クラブ』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』などでブラッド・ピットとタッグを組んでおり、非常に相性がいいことでも知られています。

もしこの話が実現すれば4作目のタッグとなるわけですが、他の監督にもオファーを出しているようで、「まだ正式決定ではない」とのこと。ちなみに、脚本は『イースタン・プロミス』のスティーブン・ナイトが執筆するそうです。

というわけで、いよいよ続編の『ワールド・ウォー Z 2』(というタイトルになるかどうかはまだ分かりませんけど)の制作が本格的に動き出したようですね。果たしてどんな映画になるのでしょうか(^_^)


※2019年2月11日更新
デヴィッド・フィンチャー監督のもとで企画が進められていた『ワールド・ウォーZ』の続編は、2019年の夏から製作開始予定でしたが、なんと予算の都合で中止になったそうです。残念!


WORLD WAR Z 上 (文春文庫)

ワールド・ウォー・Z』の原作小説です。映画版とはだいぶ雰囲気が違いますけど、これはこれで面白い。

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