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アレの元ネタ?SFアニメ『メガゾーン23』ネタバレ解説/裏話


■あらすじ『1980年代の東京で暮らす矢作省吾は、ある日偶然出会った美少女・高中由唯と恋に落ちる。しかし、盗んだバイクで走り出した結果、謎の集団から襲われることに。実は、そのバイクは軍が開発した重要機密で、ロボットに変形する最新兵器「ガーランド」だった。省吾はガーランドの存在を公表すべく、人気アイドル・時祭イヴのテレビ番組への出演を試みるが、逆に軍の罠にはまってしまう。軍の特殊部隊から追跡された省吾は、ロボットに変形したガーランドで応戦。何とかピンチを切り抜けたものの、想像を絶する衝撃の事実が彼を待ち受けていた…!好景気の社会で青春を謳歌する青年が、ロボットに変形するバイクを手に入れたことから世界の真実に気付かされる、SFロボットアニメの金字塔!』



どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。
本日、WOWOWメガゾーン23が放送されます。しかもシリーズ全3作品を一挙に放送!ここで「え?『メガゾーン23』?」となった人、正しい反応です(笑)。僕もなりました(^_^;)

映画じゃなくてオリジナルビデオ、おまけに30年以上も昔のアニメがなぜ今(クリスマス前に)WOWOWで放映されるのか?理由は全く分かりませんけど(一応、劇場公開されたから”映画”扱いなのかな?)、なんとも懐かしいですね〜。


ここで『メガゾーン23』を知らない人のためにざっくり説明すると、本作は1985年に製作されたオリジナル・ビデオ・アニメーションで、セルアニメの価格が1本2万円近くもした時代に26,518本という驚異的な売り上げを記録した伝説的アニメなのですよ。

元々はテレビアニメ『機甲創世記モスピーダ』の後番組として企画され、そのため「バイクがロボットに変形して敵と戦う」という基本設定を踏襲したそうです。ところが『モスピーダ』が打ち切りになったことで、必然的に後番組の企画もボツになってしまいました。

しかし、せっかく考えた企画をこのまま捨ててしまうのはもったいない。そこで急遽、OVAとして売り出すことに決定。当時のOVAはまだ未知数のメディアで、ビジネスとして成り立つのかどうかすらも分からない状況でしたから、これは大英断と言えるでしょう。

そして、『メガゾーン23』の企画を立てた会社(アートミック)は、『超時空要塞マクロス』の主要プロダクションだったアートランドと組んでさっそく製作を開始。しかしその当時、『マクロス』のスタッフは劇場版(「愛おぼえていますか」)の作業が終わったばかりで疲れ果てていたのに、「次はこれやってくれ」と無理やり仕事を入れられて大変だったそうです。

メガゾーン23』のメインスタッフには、『マクロス』の作画監督や、後に『戦え!イクサー1』のキャラクターデザイン及び監督を務めた平野俊弘(現:平野俊貴)。そして同じく『マクロス』のキャラデザを担当した美樹本晴彦や、メカ作画監督板野一郎などが再び結集しました(監督も『マクロス』の石黒昇)。

さすが『超時空要塞マクロス』のスタッフがほぼそのままスライドしているだけあって、「メカ」「美少女」「アイドル」「恋愛」「変形ロボ」「巨大宇宙船」など、『マクロス』の基本コンセプトもそっくり受け継いでいる感があり、その辺が『メガゾーン23』の大きな特徴となっています。

中でも最大の見どころと言えば、やはり主役メカ「ガーランド」の変形機構でしょう。ガーランドをデザインした荒牧伸志さんは大のバイク好き&ロボット好きで、『モスピーダ』のライドアーマーや『メガゾーン23』のガーランド、そして『バブルガムクライシス』のモトスレイヴなど、気付いたら「ロボットに変形するバイク」ばかりをデザインしていたそうです。

荒牧さんにとって、変形ロボットの仕組みを考える行為は「複雑なパズルを解き明かすような知的快感がある」とのことで、難しい反面、「苦労の末に面白い変形を思い付いた瞬間はもの凄く嬉しい」そうです(逆に、後になってアイデアが浮かんだ場合、「どうしてあの時思い付けなかったんだ!」と非常に悔しい気持ちになることもあったとか)。

特にガーランドはとても苦労したようで、まず木で模型を作り、それを切ったり曲げたりしながら「どうすればスムーズに無理なく変形できるか?」など何度も試行錯誤を繰り返したという(当初はテレビシリーズを想定していたため、おもちゃ会社へ「完全変形可能なメカ」をプレゼンすることが前提だった)。

こうして完成したガーランドは、スタイリッシュなデザイン性とも相まって、「すごい可変バイクだ!」「かっこいい!」と多くのアニメファンから絶賛されました。ただし、劇中では変形シーンが早すぎて、どのようなプロセスなのかイマイチ分かり難いんですけど(笑)。


余談ですが、ロボット形態(マニューバスレイブ)に変形したガーランドはコックピットが絶望的に狭くなるため、ロボット好きのアニメファンでも積極的に「乗りたい」という人はあまりいなかったようです。閉所恐怖症の人はちょっと無理かな〜(^_^;)

それから、『マクロス』と同じく”アイドル歌手”が物語のキーポイントになっていることで、劇中で流れる音楽にもこだわりが感じられます。作曲者は、『新世紀エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』など庵野秀明作品でお馴染みの鷺巣詩郎さん!どの曲も魅力的ですが、個人的には「淋しくて眠れない」が好きですね〜(^_^)



ちなみに、庵野秀明さんも『愛おぼえていますか』の作業が終わった後、『メガゾーン23』に作画スタッフとして参加しています(ストーリー終盤の激しいバトルシーンを担当。ガーランドがビルに突っ込んで次々と爆発が起こったり、上からガラス片が降って来るカットの原画を描いた)。

さらに本作で注目すべきポイントは、その設定及びストーリー展開でしょう。ここからラストのネタバレになりますが、実は主人公たちが暮らしていた世界は本物の東京ではなく、「作られた東京」だったのですよ。

500年ほど前、世界で大規模な戦争が勃発し、地球環境は破壊されました。生き残った人々は巨大な宇宙船に乗って地球を離れ、宇宙船の内部に「1980年代の東京」を完璧に再現し、人々は情報操作で「地球である」と思い込まされていたのです。

この「本物の世界はとっくに滅びているのに、機械によって作られたニセモノの世界を本物と信じていた」という設定って、何かに似てると思いませんか?そう、『マトリックス』です。『マトリックス』はSFアニメ『攻殻機動隊』の影響を受けていて、ウォシャウスキー監督もそれを認めてるんですけど、実は『メガゾーン23』の方がもっと似てるんじゃないのかなと。

その他、『メガゾーン23』にはロボットアニメ初のベッドシーンとか(いや『超時空世紀オーガス』があったかw)、リアリティ溢れる東京の描写とか、色々気になるポイントが多いんですけど、最大の衝撃は主人公・矢作省吾の声を演じているのが、「ワクワクさん」こと久保田雅人である、という点でしょう。

いったいどうしてこんなことに…。意外過ぎて脳内で声のイメージが結びつきません。まあ、続編の『メガゾーン23 パート2 秘密く・だ・さ・い』では矢尾一樹に変更されているので、何か事情があったんでしょうねえ(笑)。

ちなみに、『メガゾーン23』が大ヒットして続編の製作が決まった時、前作でキャラクターをデザインした平野俊弘さんは「もう二度とやりたくない!」と断って『イクサー1』の現場へ行ってしまいました(おまけにアートランドも辞めてしまう)。

実は『メガゾーン23』はかなりスケジュールが厳しくて、平野さんが『愛・おぼえていますか』の作監をやっている時に、同時進行で『メガゾーン23』の作業もやらされていたらしい。

なんせ発売日が決まっていて延ばせないもんだから、休み無しで作業しなければ間に合わない状況で、年末年始もひたすら仕事を続けていたという。後に平野さんは当時の様子を以下のように語っていました。

まあ、ひどかったですね。正月もなかったし。元旦から仕事してたのはあの作品だけ。長いことこの業界で仕事してるけど、今の今まであの1回だけ(笑)。


そんな感じで平野さんが辞めてしまい、新たなキャラクターデザイナーとして、当時『機動戦士Zガンダム』のオープニング等で注目されていた梅津泰臣さんが参加することに。ところが、当初はパート1の絵柄に近いラインでやろうとしたものの、梅津さんの絵が特徴的すぎて、全然似せることが出来ません。

仕方なく、梅津さんのデザインで統一することになったのですが、1作目のファンからは「キャラが違いすぎて誰が誰だか全然わからない!」と批判が殺到したそうです。続編でこんなに絵が変わったアニメも珍しいよな〜(^_^;)

※同一人物ですw↓

まあ、パート2は今見ると色々アレですけど、作画の描き込みが笑っちゃうほど凄まじいので一見の価値ありですよ。あ、パート3は……見なくてもいいかな(笑)。



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