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【BSアニメ夜話】ついに開催、ガンダム祭り!

本日、NHKのBS2でアニメ夜話ガンダム祭り』が開催されている。いや、『ガンダム祭り』という名称じゃないんだけど、夜7時半から次の日の朝5時までぶっ続けで劇場版ガンダムを放映するという、NHKとは思えぬムチャな企画なのだ。これを”祭り”と呼ばずして何と呼ぶのか?

しかも、映画の合間に「生放送!まるごと、機動戦士ガンダムとか、富野由悠季ロングインタビュー:富野、吠える!」とか、「激論!朝までモビルスーツ!」などのトークショーをバンバン流すという、まさにガンダム・ファン垂涎のラインナップとなっているのだ。凄いぞNHK

だが、ここで大変な問題が発生。我が家のDVD・HDDレコーダーでは、最長9時間しか録画出来ないのである。『めぐりあい宇宙』の後半が入らないじゃん!どうする?

ハードディスクの容量的には問題無いので、最悪、朝まで見続けて手動で停止するしかないか。まさか、この歳になってガンダムで徹夜するハメになろうとは・・・トホホ。というワケで、今ガンダムを見ながらこの日記を書いています。

しかし、いきなり番組のオープニングからずっこけた。司会が友近活動弁士山崎バニラって誰だよ!?ケンドーコバヤシはわざわざ群馬まで出かけて、2足歩行ロボットを取材(ガンダムと直接関係無い)。テノール歌手の錦織健は情感たっぷりにガンダムのエンディング曲「永遠にアムロ」を歌いまくる。

それを聞いていた30代の男性アナウンサーは、感激のあまり涙を流すというカオスな有様。福井晴敏は「”ゆく年来る年”みたいな雰囲気ですね」と相変わらず独特の福井トークをぶちかまし、声優の古谷徹アムロのコスプレまでしてセリフを絶叫。

挙句の果てに77歳のおじいちゃんが、ガンダムをテーマにした”紙切り芸”を披露する始末。さらに、ゲストもお笑い芸人がやたらしゃべりまくるなど、スタジオはかなり寒い空気が流れている様子。こんなんで大丈夫なのか?と思っている間に『ガンダム』一作目がスタート。

ガンダム』といえば、今やその名を知らない人はいないというぐらいの圧倒的な知名度を誇る、ロボットアニメ界のグローバル・スタンダードである。

しかし、あまりにも有名になり過ぎたために海賊版が氾濫。サンライズが『ガンダム』を韓国で商標登録しようとしたところ、拒否されたため法廷で争う事に。ところが一審で「『ガンダム』は韓国では巨大ロボットの一般名詞である」という判決が出て、なんとサンライズ側が敗訴。恐るべし韓国!

だが、そんな『ガンダム』も番組スタート時は低視聴率に悩まされていた。今でこそ人気アニメとして認知され、ガンプラも売れまくりだが、元々『ガンダム』とはプラモデル化を前提としてデザインされたものではない。当時のメインスポンサーだったクローバーは、前作のダイターン3ザンボット3で新進メーカーとしては堅実な販売成績を上げており、本作もそれに続くラインとして生まれた。

ただし、ガンダムはそれまでの「ロボットアニメのお約束」をことごとく破った番組だった故に、玩具をアピールする番組に成り得なかったのである。でも、オモチャが売れなかった原因は番組よりもむしろ、クローバーが作ったガンダムのデザインにあるのではないだろうか?ロボットらしさを強調するためか、白い部分を銀メッキされたその姿はびっくりするほどかっこ悪い。

手に持った武器も、巨大なトマホークやロケットランチャーなど本編には全然出てこないオリジナル装備のオンパレードだ。シールドを両肩にくっつけた独自の戦闘スタイルに至っては、「こんなのガンダムじゃない!」と子供に泣かれても仕方が無いほどの逸脱ぶりである。これじゃ、売れるワケないよ。

その結果、クローバーのガンダム商品は79年の商戦で惨敗を喫し、テコ入れとして物語の途中から変形合体する“Gメカ”を出すハメに(富野監督激怒)。そのおかげで「ガンダムDX合体セット」は好調な売れ行きを示したものの、視聴率は変わらず5%前後を低迷、全52話だった放送予定は43話で打ち切りという結果に終わる。

実際、「ガンダムDX合体セット」はかなり売れたらしく、番組の打ち切りが決定した後にクローバーから「やっぱり、あと13話延長出来ないか?」と打診されたそうだ。しかし、既に短縮話数での作業に突入していたため、残念ながら延長は果たされなかったのである。残念!。

その後、当時のロボットアニメがターゲットとしていなかった、中高校生を中心とする若者たちからブームの輪が広がっていった。全国各地にファンサークルが結成され、そうした層からのガンダム模型化希望の声がメーカーに殺到していたのだ。

商標権を持つクローバーは玩具路線を中心に据えていた事に加え、版権元の創通エージェンシーへの熱心な働きかけの結果、ついにバンダイがプラモデルに関する版権を得る。初の商品となる「144分の1ガンダム」は発売半年で100万個を売り上げ、ガンプラ人気は一気に過熱し社会現象ともなった。

また、折から始まった再放送の視聴率は軒並み15%以上を推移し、再々放送ではついに20%を突破!ガンダム・ブームは益々加速し続け、とうとう80年には『ガンダム』の映画化が決定したのである。劇場3部作はテレビシリーズを再編集したもので、オリジナルエピソードなどは無かったものの、単にテレビ版を切り貼りしただけの総集編ではなかった。

オモチャを売るためだけに出されたGメカをコア・ブースターに変更したり、多数の新作カットの追加によって、さらなるクオリティアップの追求が図られているのだ。特に3作目の『めぐりあい宇宙』に至っては、安彦良和自ら原画を描きまくり、全体の8割が新作画という凄まじさ!

テレビ版製作中に体調を崩して入院したため、34話以降は安彦氏が降板していた事もあり、ファンは狂喜乱舞した(安彦氏の入院があまりにも突然だったために、34話から41話までなんと”作画監督無し”でアニメが製作されるという異常事態に陥っていたのだ)。

翌年3月から1年にわたり『ガンダム』3部作は劇場公開され、松竹初のアニメ映画であるガンダムは、徹夜で公開を待つ行列を生み、3部作最後となる『めぐりあい宇宙』では配収12億7000万円を記録。これは3部作最高であり、同年の邦画興行ベストテンでも第4位に入るという快挙を成し遂げたのである。

そして1981年2月22日、ついに新宿駅前にて「アニメ新世紀宣言」と題した大イベントが開催された。詰め掛けたファンたちの数は何と2万人!その凄まじい熱狂ぶりはエヴァンゲリオンの時の比ではなく、まさに史上空前のガンダムブームが到来したのである。

いったいなぜ、『ガンダム』はこれほどまでに観る者の心を揺さぶり、現在に至るまでシリーズが作られ続けるほどの超巨大ブランドに成長できたのだろうか?『ガンダム』のテレビ放送が始まったのは、僕が小学生の頃だった。しかし、当時はあまりアニメを見ていなかったので、その存在を全く知らなかったのだ。

初めて『ガンダム』を見たのは再放送で、しかもかなりドラマが進んでからだった(確か、ミハルの回だったと思うが)。その時の印象は、「わあ、なんだか分からないけどカッコいい!」だった。当時はまだ“リアルロボットアニメ”などという言葉は無かったが、初めてアニメに“戦争”という概念を持ち込み、ロボットを“モビルスーツ”と呼ぶ事によってミリタリー性を強調。

このように、徹底してリアルな世界観にこだわった最初のアニメが『ガンダム』だったのである。主人公のキャラクターをそれまでの“熱血ヒーロー”から“内向的な少年”にしたり、大量に同型のモビルスーツが登場したり、今までのロボットアニメの概念を根底から覆すような斬新な描写が炸裂した、まさに画期的なアニメだったのだ。

さて、今回久しぶりに『劇場版ガンダム』を観て感じた事は、「かなり特殊な映画だったんだなあ」という事。過去に何度も観ているので今更言うべき事でもないのかもしれないが、一本の映画として観た場合、物語の展開が異常に早い。

元々43話のテレビシリーズの総集編として作られた映画なので、ある意味それは当たり前。しかし、普通の観客が観るには尋常でない量の情報が詰め込まれているのだ。この問題については、樋口真嗣福井晴敏との対談でも触れられている(以下、講談社ローレライ、浮上」より抜粋)。

樋口:『劇場版ガンダム』って総集編じゃないですか。一本の映画として見直すと、2時間半の間に起きる出来事としては常識的には考えられない程の物量が詰め込まれているんです。でも、それはそれで富野さんの心地よいリズムとして、我々の体内時計のネジとして刻まれてるわけですよ。福井さんが望む「普通の映画のリズムとは違うストーリーの密度」は、明らかにあそこに原因がある。


福井:でも、そのとき樋口さんがポロっと言ったのは、「あれはオペラですからね」って言葉で。それで俺は劇団☆新感線の舞台ともつなげて考えて、「ああそうだ、これは確かに普通の感覚で映画を観るのとは違うんだな」と思った。むしろ舞台劇に似ているんですよ。何か一つ約束事を作らない限り、理解を阻む壁は解消できないんだよね。


樋口:オペラというか、宝塚というか。ドラマの語り口よりも、ショウアップされた“場の力学”の方が優先されてるような感じ。だから、シャアとガルマが舞台の高い所で、「君の生まれの不幸を呪うがいい!」とか「謀ったな、シャア!」とやりあっている手前で、ザクの衣装を着たダンサーが踊っていても違和感がない。それが『ガンダム』なんだなあって(笑)。


一作目が終わると、富野監督のインタビューが始まった。「シャアもセイラも、大嫌いな名前です」と、相変わらず過激なトークが炸裂。監督、元気だねえ。しかし、観ている方はだんだん疲れてきたな。とても朝まで持ちそうもないぞ、ぐう・・・。

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