ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

映画『Mr. & Mrs. スミス』ネタバレ感想/評価/解説


■あらすじ『南米で情熱的な恋に落ちたジョン(ブラッド・ピット)とジェーン(アンジェリーナ・ジョリー)は、やがて結婚し、晴れて「Mr. & Mrs. スミス」となった。それから5〜6年後、夫婦に倦怠感が生まれていたある日、ふたりはお互いの”裏の顔”を知ってしまう。ジョンは建築業を隠れ蓑にした凄腕の殺し屋。そして自称プログラマーのジェーンは暗殺組織のエースだったのだ!しかしこの稼業では、自分の正体を知った相手を48時間以内に始末しなければならない。こうして、二人の想像を絶する夫婦ゲンカが勃発した!』


本日、金曜ロードSHOW!で、ブラッド・ピットアンジェリーナ・ジョリーという2大ハリウッド俳優が共演した、非常に豪華なアクション・ラブコメディ『Mr. & Mrs. スミス』が放送されます。ハデな銃撃戦やカーチェイスや大爆発も満載で、アクション好きはかなり楽しめるんじゃないでしょうか。ただ、内容がちょっとねえ…

ブコメなのでリアリティが無いのは、まあ仕方がないと思います。とはいえ、最後まで観ても「で、結局何なの?」という感想しか出てこないのはいかがなものかと。お互いの組織の構成が良く分からないとか、多少のアラには目をつぶるとしても、あまりにも展開が緩すぎて途中で眠くなってしまいましたよ、トホホ。

例えば、本作を「アクション」と「ラブ(夫婦愛)」と「コメディ」に分解して見てみると、まず「アクション」に関しては非常にハイレベルでほぼ文句無し。中でも、高速道路で展開されるカーチェイスの凄まじさたるや、「さすが『ボーン・アイデンティティー』を撮ったダグ・リーマン!」と納得のド迫力です。

ワイルド・スピード』シリーズや『マッドマックス 怒りのデスロード』など、既にとてつもないカーアクションが毎年のように公開されている昨今ではやや見劣りする感は否めませんが、それでも娯楽映画としては必要十分のインパクトを放っていると言えるでしょう。

しかし、肝心の「ラブ(夫婦愛)」の描写がやや不足しているような気がしました。この映画は「ある出来事をきっかけに夫婦が再び愛を確かめ合う」という物語で、お互いを殺そうとしていたほどの二人が、いつの間にやら協力し合ってるんですけど、最終的に二人の“愛”を再確認させるきっかけとなったものは何だったのか?

組織を裏切ってまで守らなければならない“絆”とはいったい何?普通、こういう映画には、パターンとして重要なアイテムやキーワードなどが存在するものですが、そういったものが何も無いために、クライマックスに至るまでの過程がぼやけているように感じられるんですよね(殴り合っているうちに自然と仲直りって…。まあ夫婦とはそんなものかもしれませんがw)。

また、二人の“愛”を遮る“謎の組織”も存在感が薄くて、ちっともハラハラドキドキできません。敵のキャラの顔が全く映らず、単なる記号と化している点も盛り上がりに欠ける一因ではないかと。出てきたと思ったらバタバタ死にまくるだけなので、途中から「撃っても撃たれてもどうでもいい」って感じになってきましたよ(苦笑)。

そして「コメディ」の部分に関しても同様に、「中途半端だなあ」という印象は拭えませんでした。二人のキャラクターは面白いし、所々に挿入されるギャグもまあ笑えなくはないんですが、それでもせいぜい「クスッ」という微妙な半笑い程度。

元々の設定が十分に可笑しいのだから、もっとハチャメチャな展開で思い切り笑わせた方がよかったんじゃないかなあ。似たような設定の『トゥルー・ライズ』などと比較してみても、明らかに“笑いのレベル”が低すぎます。

これはキャラクターの少なさにも原因があるんじゃないかと。基本的にブラピとアンジーだけで話が進んでいくために、他の登場人物がほとんど出てきません。したがって、必然的に二人だけでギャグを担当しなければならず、バリエーションが限定されてしまうのですよ。

なので、もっとキャラクターが多ければコメディとしてのシチュエーションも増えるし、“お笑い”の幅も広がったのではないでしょうか(例えば、二人の仲間を“お笑い担当”として配置し、色んな活躍をさせたりとか)。さらに、話の結末もなんだか煮え切らないラストシーンでガックリ。

結局、最後はハッピーエンドになるわけですが、あの終わり方で二人は幸せになれるのだろうか?今後ずっと組織に追われる身になるんじゃないの?事態は何も解決してないような気が……というモヤモヤした感じが否めません。ついでに、上映時間もちょっと長い。この程度の内容だったら、100分ぐらいで十分でしょう。2時間も掛けて見せるような物語じゃないですよ(^_^;)

というわけで、単に「美男美女のかっこいいアクション」を見るだけなら別に文句はありませんが、登場人物全員が(敵も含めて)もれなく頭が悪いという情けない展開に、「もったいないなあ」と思わずにはいられない1本でした(続編の計画も実現しなかったし)。

まあ、“失敗作”とまでは言わないけれど、主演の二人がブラピとアンジーじゃなかったら、間違いなく映画の魅力は半減していたと思います。完全に“二人を見るためだけ”の作品で、ある意味、莫大な費用をかけた“史上最強のプロモーションビデオ”と言えなくもないでしょう。そういう意味では貴重な映画かもしれませんねえ(^.^)

●人気記事一覧
これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10
まさに修羅場!『かぐや姫の物語』の壮絶な舞台裏をスタッフが激白!
日本映画のレベルが低くなったのはテレビ局のせい?
町山智浩が語る「宮崎アニメの衝撃の真実」
「映像化不可能」と言われている小説は本当に不可能なのか?


このブログについて(初めての方はこちらをどうぞ)
トップページへ