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岡田准一主演・実写映画版『図書館戦争』ネタバレ感想


■あらすじ『2019年(正化31年)に制定された“メディア良化法”による検閲とそれを実行するための武装組織“メディア良化隊”に対抗すべく、図書館が創設した防衛組織“図書隊”。笠原郁(榮倉奈々)は高校時代に大切な本を目の前で守ってくれた図書隊員を“王子様”と慕い、念願の図書隊に入隊したものの、そんな彼女を待っていたのは、鬼教官・堂上篤(岡田准一)による地獄の特訓の日々だった。それでも男子顔負けの身体能力だけが取り柄の笠原は、堂上の過酷な訓練にも音を上げず、ついには女性初の図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)に大抜擢される。そして堂上や包容力あふれる先輩・小牧の指導の下、同期の柴崎や手塚と切磋琢磨しながら少しずつ図書隊員として成長していくのだが…。表現の自由を巡って政府と図書館が互いに武装して対立する架空の近未来を舞台に、愛する本を守るべく図書館防衛組織に入隊した熱血ヒロインの過酷な訓練と戦闘の日々、そして淡い初恋の行方を、リアルかつ迫力のミリタリー描写と甘酸っぱいラブコメ要素を織り交ぜ描いた有川浩の大人気ベストセラーシリーズが、満を持して初の実写映画化!』



本日、WOWOWシネマで『図書館戦争』が放送されるので感想を書いてみますよ。本作は、『阪急電車』『県庁おもてなし課』『フリーター、家を買う』など、数々の原作が映画化されたことでも知られるベストセラー作家:有川浩の代表作『図書館戦争』を実写映画化した作品です。

既にコミック化やアニメ化もされている人気シリーズ『図書館戦争』を、実写版『GANTZ』を撮った佐藤信介が監督を務め、TVドラマ『空飛ぶ広報室』の野木亜紀子の脚本で映画化されるということでファンの間では話題になりました。

主人公の笠原郁役には榮倉奈々、図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)の隊員で鬼教官:堂上篤役に岡田准一が扮しており、この二人は文芸誌『ダ・ヴィンチ』で企画された「読者が選ぶ誌上キャスティング」において、圧倒的な投票数で第1位となったコンビらしい。

また、笠原郁の友人:柴崎役の栗山千明は、原作者が執筆当時から想定していた女優だったそうで、かなり原作のイメージに近い配役が実現したようです。他にも田中圭福士蒼汰西田尚美橋本じゅん嶋田久作等、個性的な俳優が多数出演。

僕は原作小説を読んでいたので、あの内容をどれぐらい忠実に再現しているのか気になってたんですけど、キャラクターや世界観など、かなり上手く実写化しているなと思いました。

もちろん、原作から削られたエピソードや変更された設定等もあるんですが、原作のイメージを大きく損なうこともなく、適度なアレンジに留まっているところが良かったです。

内容をざっくり説明すると、国家によるメディア検閲が正当化されている架空の日本で、主人公の笠原郁(榮倉奈々)は高校生の時に一人の若き図書隊員に危ない所を助けられ、それ以来彼を”王子様”と慕い憧れ、ついに念願の図書隊に入隊。

そこで出会った鬼教官・堂上篤(岡田准一)による地獄の特訓でボロボロになりながらも、「今に見てろよ!」と女子とは思えぬ凄まじい反骨精神と並み外れた身体能力で男子顔負けの実力を発揮します。そして当初は理不尽なシゴキに憎しみさえ抱いていた笠原も、いつしか堂上に対して別の感情が芽生え始め…

一方、堂上はそんな笠原に対して複雑な心境が拭えません。なぜなら、笠原が”王子様”と憧れている理想の図書隊員こそ、若き日の堂上本人だったからです。

堂上としては若気の至りで笠原を助けたものの、その後笠原が図書隊に入るとは全然想定しておらず、しかも自分の部下として配属されたため、精神的に大変なストレスが生じていました。おまけに笠原は、憧れの”王子様”が堂上であることに全く気付いていないのですよ(そんなアホなw)。

つまりこの物語は、自分を助けてくれた正義の味方に一途な憧れを抱くちょっと間抜けな女性隊員(笠原)と、自分に憧れている彼女を迷惑に思いつつも目が離せないという複雑な感情を抱いているクールな鬼教官(堂上)との関係性を面白おかしく描いたラブ・コメディなのです。

原作版では二人のトンチンカンなやり取りが抜群に面白く、さらに”ベタ”とも言えるほど甘酸っぱい恋愛模様との相乗効果で、ラブコメとしては破格の完成度を誇っていました。

ただ、今回の映画では肝心の”コメディ”の部分がやや物足りないんですよねえ。小説の方は、オッチョコチョイな笠原が毎回毎回とんでもないドジをやらかして、その度に堂上から「アホかー!」と怒られ、周りの人々が「あ〜、またやってるわ〜」と生温かい目で見守るという、ユルめの世界観がポイントなんですけど、映画版の方はさすがにそこまでコメディ要素が多くありません。

しかしその代わり、原作の見どころとなるハードな戦闘シーンが本当にハードに描かれていて大満足!たしかにギャグは控え目ですが、アクションのリアリティを考えた場合、これぐらいのバランス配分でむしろ適切なのかもしれませんね。

そんな戦闘シーンの中で注目すべきは、やはり激しい銃撃場面でしょう。日本映画でこれだけ大量の銃火器が登場する機会は滅多に無く、原作に対するリスペクトが十分に伺えます。

図書館隊側は、訓練シーンでは六四式小銃、配属となってからは9mm機関拳銃とSIG P220、そして八九式小銃に対人狙撃銃(M24SWS)風ボルト・アクション式スナイパー・ライフルを使用。対するメディア良化委員会はAKアサルトライフルにH&K MP5A3短機関銃とH&K USPや火炎放射器等々を使用していました。

さすがに納富貴久男率いるBIG SHOTが銃器特殊効果を担当しているだけあって、発砲シーンの迫力が尋常じゃありません。佐藤信介監督は前作の『GANTZ』でもマズルフラッシュをCGで合成したり、ガンアクションに対して相当なこだわりを見せていましたが、本作でもCGと実際の発砲場面を巧みに組み合わせることで、凄まじい銃撃戦を再現しています。

さらに特筆すべきは、堂上役を演じる岡田准一のアクションシーンの素晴らしさ!もともと岡田さんは、プライベートでジークンドーのインストラクターの資格を取るほど格闘技に長けており、劇場版『SP』では自分で考えた関節技をアクションシーンに取り入れるなど、格闘技に関して只ならぬこだわりを見せていました。

そこで『図書館戦争』の制作スタッフは、岡田准一の身体能力を生かすために、原作には無いアクションシーンをわざわざ考えて本編に入れたそうです。それがクライマックスの仁科司令救出作戦なのですよ(原作では稲嶺司令)。

小説ではわずか3行ほどであっさり終了しているこの場面ですが、映画版では救出するまでの攻防がじっくり描かれていて迫力満点。特に、岡田さんがナイフを持った犯人グループの一人と素手で戦うタイマンバトルは、彼の格闘スキルやスピード感が存分に発揮された名場面に仕上がっており、最高にクールでかっこいい!




というわけで、総合的に判断すると実写映画版『図書館戦争』は、かなり良く出来た娯楽作品だと思います。有名な原作小説を映画化した場合、どうしても「キャラクターのイメージが違う!」とか「あのシーンの迫力が全然再現出来ていない!」などの不満が出てくることは避けられません。

しかし本作は、登場人物の印象は原作に極めて近く、荒唐無稽な世界観をできるだけ忠実に再現し、多くの原作ファンが納得できる内容に仕上がっていると感じました。原作は(スピンオフを除けば)あと3つの続編が描かれているので、ぜひ残りのエピソードも映画化して欲しいですね(^.^)


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