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ケヴィン・コスナー主演『ラストミッション』ネタバレ感想/解説


■あらすじ『ベテランCIAエージェントのイーサンはある日突然、ガンで余命数ヵ月と宣告されてしまった。そこで危険な仕事から足を洗い、残された時間を家族と過ごしたいと願い、パリへと向かう。ところが、思春期の娘ゾーイとの溝は深まるばかり。そんな時、女エージェントのヴィヴィが延命を可能にする試験薬をエサに新たな仕事を持ちかけてきた。ターゲットは世界の命運を左右する超大物テロリスト!果たしてイーサンは過酷なミッションをクリアーし、家族の愛を取り戻すことは出来るのか…?リュック・ベッソンが原案・脚本を手がけ、マックG監督、ケヴィン・コスナー主演で贈るサスペンス・アクション超大作!』



リーアム・ニーソンの代わりにケヴィン・コスナーが主役を演じた『96時間』みたいな映画かな?」と思ってたら、だいたいそんな感じですね(笑)。しかも、「主人公がガンで余命数ヶ月」という設定が追加され、シリアス度がアップしている点も良かったなと。

ただ、実際に観てみると、かなりコメディ要素が強くて驚きました。基本的にはサスペンス映画でありながらも、中身はほぼコメディ映画なんだよねえコレ(笑)。

たとえば冒頭の、重要な作戦を実行中に「娘の誕生日だから電話しなくちゃ」と公衆電話を使うシーン。まあ、これ自体は直後の銃撃戦も含めて、それほど悪くはありません。主人公のキャラクターも良く分かるし、なかなか面白いオープニングだと思います。

しかし、その後の展開はどうなのか?主人公が久しぶりに自宅へ帰ってみると、知らない家族が勝手に住みついていた、というのは明らかに”笑うところ”でしょう(「スパイのエージェントが見知らぬ他人に家を乗っ取られる」なんて、リアルな映画ではありえないわけで)。つまり、サスペンス映画にコメディ要素が付加されてるんじゃなくて、ベース部分が完全にコメディなんですよ。

いや、もしかしたら作り手側は真面目にサスペンスを描こうとしていたのかもしれないけれど、謎の女エージェント:ヴィヴィ(アンバー・ハード)が現れ、「あなたの病気を治す試験薬をあげるから協力して」とエロい恰好で主人公に迫ってくる時点で、もはや真面目なスパイ映画とは全然思えません。そもそも病気で死にかけているイーサンに、どこからか研究中の薬品を盗んできて渡すとか、そこまでする必要性があるのかなあ?

ヴィヴィにしてみればターゲットを抹殺できればそれで任務完了なはずなのに、ラストではご丁寧にその薬をプレゼントするなんて、「実は主人公を助けることが目的だったのではないか?」と思えてならない。だいたい、この女は単なる下っ端エージェントのくせに、どうしていつも上から目線でベテランのイーサンに命令しているのか?自分の仕事なんだから自分でやれよ!

…という具合に、他にも細かい突っ込みどころは無数にあるんですが、もしこれが本当にコメディ映画なら、こういうユルユルなストーリーでも許されると思います。ただし、コメディだとすればもっと深刻な問題に直面してしまうのですよ。つまり、全然笑えないんだよねえコレが…(^_^;)

例えば、イーサンとヴィヴィの関係性なんかは、本来はもっと笑えるシチュエーションのはずなのに、ヴィヴィの設定が中途半端なので笑いに繋がっていないのです。

どうせなら、「どこがCIAなんだよ!」というぐらい極端にぶっ飛んだ”危ない女キャラ”にして、ヴィヴィのおかげで作戦がメチャクチャになるとか、ヴィヴィのせいでイーサンがとんでもない目に遭うとか、バディ・ムービーとしての側面を強調した方が面白かったんじゃないでしょうか?

一応、良かったところも書いておくと、娘とのコミュニケーションが徐々に回復していく場面は、定番だけどいいシーンでしたね(自転車のシーンはちょっとベタすぎるけど)。

そしてアクションシーンも、さすがに59歳のケヴィン・コスナーが飛んだり跳ねたりするわけではないものの、「老体に鞭打って必死に頑張る姿」が哀愁を感じさせてグッときました。ドラマもアクションも適度に盛り上がり、全体的にはそんなに悪い出来ではありません。

にもかかわらず、観ていて最後までノレなかったのは、やはりサスペンスとコメディのバランスが中途半端だったからでしょう。特に「家族愛」をメインに見た場合は、『96時間』の方がもっとストレートに感動できると思います。

なんせ『96時間』の主人公は、嫁と離婚して大好きな娘にも滅多に会えず、しかもその娘が人身売買組織に誘拐されてしまうのだから。”自分のガンを治すために戦うイーサン”に比べると、必死さの度合いが全然違うのですよ。どちらをオススメするかと言われれば(好みの問題もあるけど)、やっぱり『96時間』の方かなあ。


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