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映画ライターは実写版『進撃の巨人』をどう評価しているのか?


あまりこの件を引っ張ってもアレなのだが、いまだに反響が続いているようなので、もうちょっとだけ書いてみる。今までの経緯はこちらから↓


町山智浩は実写版『進撃の巨人』をどのように評価しているのか?
どうしてこうなった?実写版『進撃の巨人』を検証してみる


前回までの記事で、「実写版『進撃の巨人』はどうしてこんな風になってしまったのか?」「町山智浩は映画の出来映えに満足しているのか?」などを色々な角度から検証してみたところ、「他の映画評論家はこの映画をどう評価しているのだろうか?」ということが気になった。

これだけ世間で賛否両論に晒されている映画なら、当然評論家の意見も割れるだろう。いや、かなり過激な表現が含まれるジャンル映画ゆえに、辛辣な意見の方が多いかもしれない。そう思って映画ライターのレビューを見てみたら、意外なことにかなりの高評価だった。

たとえば、かつて町山智浩が立ち上げ、編集長を務めていた雑誌『映画秘宝』(2015年9月号)では、15人のレビュワーのうち、14人が好意的な意見で、批判的な感想は一人だけ(しかも明確に否定はしていない)。つまり、ほとんどの人が実写版『進撃の巨人』を褒めているのだ。以下、その一部を抜粋

・「これは日本映画久々の『地獄』モノ。いずれトラウマ映画になることは間違いない。後篇が待ち遠しい。」 みうらじゅん


・「ザックリ言うと、これは全裸のガイラが大群でやってきて人間を喰いまくる映画ですよね。リアル志向の怪獣映画ファンには、ぜひとも一見をお勧めしたい。」 東雅夫


・「よくぞこれだけ特殊人間を集めたなあと感心しきり(笑)。この勇気ある樋口監督の決断に拍手を送ります。」 佛田洋


・「もう、CGがどうのミニチュアがどうのなんてどうでもいい!猛り狂った主人公が裸のオッサンをグチャグチャに叩きつぶす映画!それが『進撃の巨人』でした!」 田口清隆


・「『進撃の巨人』、どこが面白かったかって、”世界”がちゃんと出来てるのよ。何を食って何を動力で動いてるのか。何ができて何ができないのか。この辺のルールがちゃんとしてないと、泣いても笑ってもウソ臭いだけだから。」 中野貴雄

まあ、はっきり言ってしまえば『映画秘宝』は町山氏の”ホーム”である。だから、「ある程度”身内贔屓”になるのは仕方がないだろう」と思っていた(それでもここまでベタ褒めするのはさすがに気持ち悪いけど)。しかし、この件に対して意義を唱える人もいたようで、映画史研究家の春日太一氏はツイッターで以下のようにつぶやいている。





これはつまり、「映画秘宝のライターさんたちは『進撃の巨人』の前篇を褒めちぎってたけど、後篇はどうするのかな〜?町山さんに気を遣って提灯記事を書いたりしたら、読者に見放されるよ〜」ということらしい。やはりそんな風に考える人もいるのか(笑)。

ちなみに、”「皆殺し」と言ってる人”というのは、町山氏とコンビを組んで映画を批評している柳下毅一郎のことだが(サイト名「皆殺し映画通信」)、この人も『進撃の巨人』を観ているはずなのに、それについて全く触れようとしない点を指摘しているのだろう。

なんせ柳下毅一郎と言えば、樋口真嗣監督の『日本沈没』を観て、「柴咲コウ!レスキュー隊なら腰まであるその髪を切れ!」などとボロカスに貶していたのだから、今回の『進撃の巨人』についてレビューしないのは、「町山智浩に気を遣ってるんだろ」と言われても仕方がない。

なので「普段は全く興味ないけど、今回ばかりは注目させていただきます」と挑発しているのかも。果たして柳下氏は実写版『進撃の巨人』を批評するのか、しないのか?この”踏み絵”を踏めるのか?柳下氏なら、相手が町山智浩でも宇多丸みたいにぶっちゃけトークでいけそうな気がするんだけどなあ。

さて、「じゃあそれ以外の映画ライターはどのように評価しているのか?」というと、意外なことに「結構面白かった」と評価する人が多いらしい(いや、もちろん褒める評があるのはいいけど、偏ってるのはなぜなんだ?理由がわからん)。中でも一番驚いたのは、『キネマ旬報』の映画レビューで絶賛されていることだろう。

キネマ旬報』では、3人の映画評論家がそれぞれ観た映画を5点満点で評価していて、★5つが「何をおいても必見!」、4つが「オススメ!」、3つが「一見の価値はあり」、2つが「悪くはないけど」、1つが「私は薦めない」という具合に、5段階の採点方式になっている。

凄く面白い映画には満点5つ★が付くこともあるが、逆につまらない映画だと容赦なく★1つを付けられるなど、割と辛口のレビュワーが揃っているイメージだった。そんな『キネマ旬報』で『進撃の巨人』はどう評価されるんだろう?と思ったら、なんと★5つが一人、★4つが2人という高評価!レビューの内容はこんな感じ↓

これはいわば「偽ナウシカ書」、アンチ宮崎駿ロマンである。原作を全く知らない私はそう解釈した。巨神兵ならぬ巨人がヒトの世界を蹂躙するわけだ。 ★★★★★ 上島春彦


俳優たちがどんなに派手なアクションをしても、人間たちをヒョイと掴んでポイ喰いする全裸の巨人たちの映像には敵わない。特撮もCGも世界レベル。世界遺産となった軍艦島ロケも効果的。 ★★★★ 北川れい子


ガメラ3』の渋谷大殺戮シーンを遥かに上回る凶暴な人喰い描写に大満足。東宝特撮に新たな息吹をもたらした点でも画期的。町山智浩に初稿を託し、98分に凝縮させた前編はまずは成功。 ★★★★ モルモット吉田

いや〜、てっきりボロカスに貶されるのかと思いきや、予想外のベタ褒めにビックリした。なんせ『進撃の巨人』の脚本を書いた町山智浩は、昔「キネマ旬報」の編集部に乗り込んで、副編集長の顔にパイをぶつけた前科があるのだから『映画秘宝』と違って完全にアウェイ(笑)。そのキネ旬でここまで褒められるとは…。いったいなぜ、『進撃の巨人』は映画ライターにこんなに絶賛されているのだろう?その理由を、オタキングこと岡田斗司夫は以下のように推測している。

今、実写版『進撃の巨人』のレビューを見るとですね、色んな映画評論家の人が凄く気を遣って書いてるんですよ。樋口真嗣監督って、業界の友達が凄く多いんですね。スタッフの人たちも業界の繋がりが多いから、多分ほとんどの映画評論家って、友達関係・知り合い関係の中に入ってるので、色々気を遣って書いてるんだけど、ちょっと何か引っ掛かってるような書き方をしてるなあと感じました。 (「岡田斗司夫ゼミ」より一部抜粋)

つまり、映画ライターの中に樋口真嗣監督の知り合いが多いから、そういう人たちは遠慮してしまってあまり悪いレビューを書けない、ということらしい。実際はどうなのかわからないが、もしこれが事実ならちょっと嫌な感じだなあ。だって、世間でこれだけ賛否が分かれてて(しかも批判の方が目立つのに)、映画ライターの記事が絶賛ばかりって不自然じゃない?

まあ、前田有一という”他人に全く気を遣わない映画評論家”が正直な感想を記事に書いたら樋口監督がブチ切れてたけど(笑)、本来はああいう意見がもっとあってもいいはずなのに、あまり表に出て来ないのは、なんかモヤモヤするんだよねえ。もしかしたら、『進撃の巨人』が実はもの凄い傑作映画だった!ということなのかもしれないが、残念ながらその可能性は極めて低いと思う(笑)。


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