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岡田斗司夫が実写版『進撃の巨人』を痛烈に批判!


現在、全国の劇場で絶賛公開中の実写映画版進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』を、オタキングこと岡田斗司夫さんが痛烈に批判しているようです。岡田斗司夫と言えば、かつては”オタク界の教祖”として一部のファンから絶大な人気を博していましたが、近年は例の「愛人騒動」ですっかり評価が下がり気味。

ただ、『進撃の巨人』を撮った樋口真嗣監督とは、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』や『トップをねらえ!』など、アニメを製作している頃から一緒に仕事をしている仲なので、この映画に関して何か特別な視点を持っているのかもしれません。果たして岡田斗司夫は実写版『進撃の巨人』をどのように評価したのでしょうか?

今、実写版『進撃の巨人』のレビューを見るとですね、色んな映画評論家の人が凄く気を遣って書いてるんですよ。樋口真嗣監督って、業界の友達が凄く多いんですね。スタッフの人たちも業界の繋がりが多いから、多分ほとんどの映画評論家って、友達関係・知り合い関係の中に入ってるので、色々気を遣って書いてるんだけど、ちょっと何か引っ掛かってるような書き方をしてるなあと感じました。


で、ネットニュースを見てたら、「超映画批評」だったかな?あれで、100点満点中40点っていう低い点数を付けられてですね。樋口真嗣が「誰だこいつを試写会に呼んだのは!?」ってブチ切れてるのを友達限定でSNSに公開したら、なぜか流出して炎上したっていう(笑)。他にも特技監督が「そんなに金の掛かった映画を観たけりゃハリウッド映画を観てろ!」みたいなことをつぶやいたら炎上したとか、そういう騒ぎが多いんだよね(笑)。


で、そんな実写版『進撃の巨人』を観てきたんですけど、僕はね、はっきり言ってかなりの低評価です。5段階で言うと2かな?もうね、ストーリーはいきあたりばったり。どこにハサミを入れてもいいぐらい、前後関係が繋がってない。たぶんね、伏線とか、もっと精密な構成をやってたのが、ダメになっちゃった感じがするんだよね。


初めからハチャメチャな脚本だったんじゃなくて、あんなにいきあたりばったりになるってことは、本当は凄い複雑なシナリオを上げてたんだけど、現場で「そんなもん撮れないよ!」みたいになっちゃって、ブツブツ切れたから、それで繋がらなくなった感じがする。でないと、登場人物の感情が分かんない。


ただ、シナリオにも問題があるけどね。何でかっていうと、キャラが描き分けられてないから。おまけに、ほとんどの人間が顔が薄汚れてて見分けがつかない。誰が誰なのか、1回観ただけじゃ良く分かんないんだよね。


で、肝心の巨人はもう、単なる白塗り。あの〜、裸芸人みたいな感じで、白塗りの大きい人が出てくると。原作で描かれてたプロポーションの変な感じっていうのを、人間にキグルミ着せたり、特殊メイクなんかで表現してるんだけれども、恐ろしいもんで、絵と実写って違うじゃん?絵は、ほんのちょっと人間とは違う風に描いただけで、一気に人間でなくなっちゃうんだよ。


ところが実写っていうのは、人間をちょっとぐらい変えても人間に見えてしまう。人間が人として見える「認識能力の恐ろしさ」だよね。だから、巨人がワサワサ迫って来るシーンっていうのは、なんだろうな、『仮面の忍者 赤影』的な、グリーンバックとかそういうのじゃなくて、スクリーン・プロセスっぽい、”嘘感”が激しかったんだよ。ゴメンな、こんな古い専門用語を使ってしまって(笑)。



で、まあ白塗りの巨人が出てくるのは、いいはいいんだけど…なんだろうな。手前にある人物との、色味はバッチリ合ってる。だからリアリティとしては、巨人が大きく見えないんだよね。巨人が人間サイズに見えて、人間サイズのものを大きく見せてるだけ、という気が凄くしてしまう。


そういう意味では、特撮は結構頑張ってて、予算もスケジュールも無いと言ってる特技監督には本当に申し訳ないんだけど、ヘタクソだったよ。本当に、樋口真嗣の方が100倍うまい。あのねえ、冒頭にもの凄くでかい壁が見えるんだけど、その壁を煽りで見る時の画がもう、100%ミニチュアなの!そのミニチュア感があまりにも激しくて、ちょっと悲しくなっちゃった。そこら辺はねえ、予算がもっと少ない『ガメラ大怪獣空中決戦』の特撮の方が上手かった。不思議だよね。



あと、ワイヤーワークね。もう、予告編を見た人がみんな、その段階から不安になってたよね(笑)。僕らはもう、『スパイダーマン』を経験してしまってるわけじゃん。で、はなから肉体的な訓練をやってないであろうモデルさんのヒロインと、同じくイケメン俳優のお兄ちゃんがワイヤーワークで巨人と戦ってるって言うだけでさ、そんなに期待できるはずないじゃない(笑)。


これ本当は、「『カンフーハッスル』撮るから登場人物は全員カンフーの達人にします」ぐらいの大英断をしないと、立体機動のアクションシーンって撮れなかったはずなんだよね。言ってしまえば、シルク・ド・ソレイユの何倍も高度なものを、いかに特撮で見せるのか、ってことだから。


おまけに、これは日本映画特有の問題なんだけど、ある種の”縛り”っていうのがあってさ。俳優さんを良く見せなきゃいけないんだよ。例えば、立体機動でバーッと跳んでる時に、巨人を倒した瞬間、俳優さんの表情をアップで撮るとか、そういうカットをどうしても入れなきゃいけない。そうなると、跳んでる最中の動きをどう見せるかが問題になる。


アニメ版では、地上を歩いてる巨人と跳んでる人間を同じ画面上で描いてるんだけど、それぞれが複雑に動くことによって人間の目が「何を見ているのか分からない」という錯覚を起こして、それが凄い効果を生み出してたんだよ。


ところが、特撮で立体機動をやったらどうなるのかって言うと、目の照準が合っちゃうんだよね。背景も巨人も人物も、アニメみたいに全てが平べったい同じ焦点距離じゃなくてさ。実写の場合は焦点距離が複雑なもんだから、つまりピントが手前から奥までバラバラなもんだからさ、見ている人間が「今何を見ているのか」ってことが、割と早目に判断ついちゃうんだよね。


そうなると、落ち付いて吊られてる人間が見えちゃうんだよ(笑)。結果、ワイヤーで吊られて跳んでるヒロインのお姉さんとか、「ヒャー」って感じで跳んでる主人公のお兄ちゃんとか、”吊られてる感”が凄く分かってしまって、「ああ〜、これはダメだ…」と思っちゃった。


で、こんな風なダメ出しをしてたら、特技監督が言うように、「じゃあハリウッド並みの予算出せよ!」みたいな話になっちゃうんだけど、せっかくさあ、原作者の諌山さんが「原作と変えてもいいです」と言ってくれたわけでしょ?で、映画を観た人は分かると思うけど、原作と全然違う話になってるんだよ。だったらさあ、どうせ変えるんなら、もう立体機動をやめれば良かったんだよ!


何で立体機動をやらなきゃいけないのか?って話だよ。あれはね、たぶん一番最初のスタッフ組みをやった時に、見せ場を立体機動にしたんだろうね。これは大失敗だと思うな。だってさ、原作では馬車の世界なんだよ(笑)。機械とかがほとんど出て来ない世界だから、あの攻撃方法が成立してたわけでしょ?


普通に考えたらさ、巨人の後ろを爆撃するとかさ、槍みたいな物に爆弾仕掛けて巨人にグサッと刺して逃げりゃいいわけだし、もっと言えば遠くからライフルみたいなもので撃ってもいいわけだよ。実写版の世界ならそういうのありそうじゃん。だってディーゼルエンジンあるし、自動車も走ってるし(笑)。


もう、観た瞬間に「えー!?」って思ったよ。冒頭からさあ、築地にありそうなパレットカーみたいなのがブーンって走ってるんだもんね(笑)。「ちょっと待てちょっと待て!」って思ったんだけどさ(笑)。技術レベルがバラバラなんだよ。たぶんこの”技術レベルのバラバラさ”っていうのは、後で出てくる、いわゆる後編の謎解き部分だと思うんだけど。


で、原作の立体機動っていうのは、アニメで表現するのには凄く向いてるんだよ。スタイリッシュで、”背景動画”っていうアニメーション特有の技法を山ほど使って、見ている人の目を幻惑できるし。あとエレメント、人物とか飛んでいく物の要素を重ねれば重ねるほど絵としての深みが増すんだけど、実写の映像は、重ねれば重ねるほど”嘘っぽい絵”になっていくんだよね。要は『トランスフォーマー』みたいな絵になっていくから。


だから、立体機動をやめて地上戦にすれば、色んな人が言ってるように「平成のサンダ対ガイラ」っていうのかな、いわゆる「大怪獣映画」として復活できたと思うんだけど。そこにヘタに立体機動を入れちゃったもんだから……あの〜、『ゴジラ:ファイナルウォーズ』って映画があったんだけどさ(笑)。観たことあるかなあ?



いわゆる「ゴジラシリーズ」の、ハリウッドに行く前の最後のゴジラなんだけど、カンフー・アクションでエビラを倒すという、すげえ映画があるんだよ(笑)。あの〜、なんだろうな、「ゴジラに対抗するために日本政府は超能力者によるチームを作った」って言って、ゴジラ映画なのに初っ端からみんなカンフー・アクションやってて「これどうすんだろ?」と思ったら、香港に現れたエビラを「攻撃!」ってチームみんなでボコボコ殴ったりして、何だかんだで勝っちゃうんだよね(笑)。


いやあの、俺も今ちょっと記憶が曖昧で(笑)、どついて勝ったわけじゃなくて、何か武器を使ってたと思うんだけど、まあ俺の主な印象では「ケイン・コスギがエビラを殴って倒した」みたいな映画だったんだよ(笑)。「岡田さんの妄想なんじゃないの?」って言う人がいるけど、いやこれ、妄想は3分の1なんだよ、恐ろしいことに(笑)。残り3分の2は本当なんだよ!まあ、そんなわけで実写版『進撃の巨人』では立体機動は使わない方が良かったと思う。


で、最後は役者ね。あの〜、さっきも言ったように、日本映画の限界っていうのは、役者に脚本を見せてお伺いをたてなきゃいけないってことなんだよね。まあハリウッド映画の場合もそうなんだけど、ハリウッドの役者は「どれぐらい重要な役なのか?」「どれぐらいストーリーに影響があるのか?」を見てるんだよ。それに対して日本の役者は、役者から映画俳優になった人より、モデルから映画俳優になった人の方が多いんだよね。


元々がモデルさん上がりの人が多いからさ、「自分がどう見えるのか?」を気にしちゃうんだよね。シナリオの中に”映像的な見せ場”があるかどうかを優先しちゃうので、『進撃の巨人』でも、エレンがジャンと喧嘩するシーンで、急に逆光になって技を決めるシーンがあったりね。


あと、シキシマが登場する場面でカッコ良く剣を振るシーンがなぜか逆光だったり。何かというと逆光で俳優さんのカッコいいところを見せようとしてて。あの〜、俳優さんを接待してる感がハンパないのね(笑)。なんで俺たち観客を接待してくれないの?って(笑)。なんで俳優とかスポンサーばかりいい気持ちにさせるんだよ!って(笑)。見せ方はホントにセンスが古かった。


じゃあ、なんでこういう映画になっちゃったのか?というと何となく分かる気はするんだけど、エレンが名前を聞かれるシーンがあるじゃん。その時「エレンです!」って言うんだよね。「エレン・イェーガーです!」って言わないんだよ。あと、住んでる地名が「モンゼン」とか「オモテマチ」とか、全体的に日本っぽいんだよね。で、この辺が第2部で明かされる謎なんじゃないのかなあと。


いわゆるヨーロッパ的なものを全部やめて、全て日本的なものにしてしまったのは、たぶん、この世界は近未来の日本が舞台で、エレンたちが住んでいるのは東京なんじゃないかなあと妄想してるんだけど。じゃあ何でエレンとかアルミンみたいな名前なのか?っていうと、あれは恐らくキラキラネームなんだよね。


エレンの場合は、苗字は斎藤さんか何か知らないけど、名前が「江蓮」、アルミンは「亜瑠眠」、ジャンは「醤」、サシャは「沙紗」みたいな感じで。だからこそ、あの世界全体の日本臭さとか、不時着してるヘリコプターの自衛隊っぽさとかが際立ってるわけで、要するに「日本なんじゃねーの?」と。


シナリオの作り手側がどう考えてるのか分からないんだけど、たぶん後編では、あの3重の壁の外側にさらに壁があって、日本全体が閉じ込められてるのではないかと。日本が閉じ込められた理由は、原発かもしれないし、国際情勢に負けて万里の長城みたいなものを作って閉じ籠ってしまったのかもしれない。で、中間地帯に巨人がいるんだけど、その外側には他の国が存在してるような、そういう話になるんじゃないのかなあ。


で、どうして今回の話でリーダー格のシキシマと調査兵団の偉い人(クバル)が対立してるのかっていうと、日本人を閉じ込めることによって支配しようとしている、自民党の安部政権的な捉え方だよね(笑)。あの〜、なんだろう、「ブッシュ大統領は悪の手先である」的な考え方の世界観で出来ていて。


それで、国民を閉じ込めることによって支配しようとしている勢力と、巨人に変身する能力を得て、壁を壊して外の世界との繋がりを作ろうとしているグループとの派閥争いみたいな話に、後半はなっていくんじゃないのかなあと。だから、「革命もの」じゃないのかなと思ってるんだ。


で、漫画版の設定じゃなくて、実写版では「巨人に喰われて巨人の力を身に付ける」という風に見えなくもないので、「漫画を読んでる人に意外なものを見せてやろう」という意欲だけはもの凄くあるから、これはヘタしたら後半は「シキシマもミカサも巨人になるのかな〜」とか、思い切り皆が巨人化するっていうのをやってくれそうだなと。


ある種、『エヴァンゲリオン』じゃないのかなと思ったりもするんだけど。そういう、国民を壁の中に入れようとする勢力と、巨人に変身するっていう人間を超える力を持つことによって、壁の外に出ようとするやつらとの戦い、そして壁を越えた先には世界があるんだというオチに持って行くんじゃないだろうか?


逆に言えば、その辺ぐらいしか落とし所が無いというか、あまりにも今回の前編が脈絡が無さ過ぎるんだよね。この脈絡を繋がりつけようと思ったら、実はこの話は今から100年後ぐらいのことで、何らかの理由で日本は超巨大な鎖国をしました、という落とし方に持って行くしかないのではないかなあと。まあ、違ったら違ったで「あ〜違いましたね」って言いますけど(笑)。


あと、今回の『進撃の巨人』で酷いのがね、曲ですね。流れてる曲が、まあ全部酷い(笑)。劇中にかかってる曲もヘボいしね、最後に流れるセカイノオワリの歌も、まあ合わないっていう(笑)。新宿の4Dっていう、光が出たり水飛沫が出たりする劇場で観たんだけど、そういう効果が楽しめる所でまだ良かったよ。


ただ、『進撃の巨人』の4Dもねえ…。4Dって知ってます?例えば、映像に合わせて足元から風がシュッと出るんだけど、その足元の所にヒモというかワイヤーみたいなのが仕掛けてあって、足にパラパラって当たるんだ。つまり、何かで足を蹴られたみたいな感じがするんだよ。あと、椅子がグワングワン揺れるんだ。


で、『進撃の巨人』を観てみたら、揺れるポイントが全部デタラメなんだよ(笑)。巨人が登場したら画面に合わせて椅子が揺れる、これは想像つくじゃん?でも、人間同士がケンカする場面でも椅子が揺れるんだよ(笑)。ビックリしたのは、かなり最初の方でエレンが肩つかまれて「おいエレン!」って言ったら揺れたからね(笑)。映画館の中が「えっ?ここで揺れるの?」って。本当にそのレベルで揺れるからさ。


俺、立体機動や巨人が暴れるシーンで椅子が揺れるのかと思ったら、もっとセコいレベルで揺れまくるもんだから驚いたよ。エレンの言葉に怒ったジャンが、「バン!」って机を叩いた時にも揺れたからね。そこで揺れちゃイカンだろうと(笑)。


で、その他にね、何でか分かんないんだけど、襲ってくる巨人を一本背負いで投げ飛ばす男というのがいるんだよね。ますます『ゴジラ:ファイナルウォーズ』っぽいんだけどさ(笑)。本当に巨人を「うおおお〜!」って投げるシーンがあるんだけど、そいつが凄いでかいマサカリ持ってるんだ。それで巨人の足のアキレス腱切ったら、観てるお客さんの足首にパシッて何かが当たるっていう、誰の目線の映画なんだよ(笑)。


観てる人間はあくまでも巨人と戦う側なんだからさ、巨人がやられる時に自分の足首にダメージ与えなくてもいいじゃん(笑)。そこら辺もさあ、もの凄く変だったよ。もう、4Dの使い方がことごとく間違ってるんだよね(笑)。


個人的な見どころはねえ、ラスト近くエレンが巨大化して、色んな巨人がワーッと出てくる場面で、まあ男も女も出てくるんだけど、なぜかショートカットで巨乳の巨人が出て来てさ(笑)。巨人がたくさんいるからバレないだろうと思ってんだろうけど、映画を観てる男の「おっぱい探し能力」を甘く見ちゃイカンよ(笑)。


で、「あの巨人、めっちゃスタイル良くて巨乳じゃん!」と思ったら、ショートカットにしてやがるんだよね(笑)。それはないだろうと(笑)。色んな巨人がいるのはいいけど、ショートカットって!しかも綺麗に髪を切り揃えてるんだよね(笑)。それはないんじゃねえの?って。そこら辺は面白かったですハイ。 (「岡田斗司夫ゼミ」より一部抜粋しました。全文を見たい方はコチラの動画からどうぞ)

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