ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

フラッシュ・ゴードンと『テッド』の関係/ネタバレ映画感想/解説

■あらすじ『1985年、クリスマスの夜。友だちのいない孤独な少年ジョンは、神様にあるお願いをした。すると奇跡が起こり、大好きなテディベアの“テッド”に魂が吹き込まれ、人間のように動いて喋り出したのだ。以来、片時も離れず友情を育んだジョンとテッド。やがて月日は流れ、27年後。ジョン(マーク・ウォールバーグ)はすっかりダメ中年オヤジに成長し、一方のテッドは姿こそ昔と変わらない愛くるしさだが、中身はジョンに輪を掛けて不良で下品なエロテディベアに成り果てていた。そんなテッドの存在にジョンの恋人ロリー(ミラ・クニス)は我慢ならない。ついに怒りが爆発したロリーは、テッドを家から追い出すようジョンに迫るが…。』



マーク・ウォールバーグ演じる主人公ジョンと、喋るクマのぬいぐるみテッドは子供の頃から大の仲良し。そんな彼らが織り成すハチャメチャな日常と心温まる友情を描いた痛快コメディ映画です。「ぬいぐるみが動いて喋り出す」というのは完全にファンタジーなんですけど、本作が凄いのは「そのまま大人になったらどうなるのか?」を描いている点でしょう。

27年経ったら子供は中年オヤジになり、テディベアは外見変わらず。でも、中身は完全にエロオヤジと化していました。見た目は可愛いテディベアがマリファナをプカプカ吸いながら、おっさん口調で下品な下ネタを連発するギャップがたまりません。

このテッドがとにかく女性にモテまくるんですね。しかもスーパーのレジ打ちをしているギャルと倉庫でエッチしたり(物理的に不可能では?)、世界的なアーティスト:ノラ・ジョーンズと付き合っていたり(本人役で出演)、テリヘル嬢を4人も呼んで部屋でウ○コさせたり(これは酷いw)、色んなことをやらかしてるわけですよ。

当然、そんなテッドに主人公のジョンは振り回されっぱなし。彼女との仲もどんどん険悪になっていきます。しかし、映画を観る前は「傍若無人なテッドの振る舞いに大迷惑する主人公」という展開を想像していたのですが(実際にそういう映画なんですが)、良く考えると「優柔不断なジョンがテッドの誘いに乗っているだけ」というパターンがほとんどなんですね。

「面白いDVDがあるから一緒に観ようぜ!」と仕事中に電話を掛けてきたり、「お前の大好きな『フラッシュ・ゴードン』の役者が家に来てるぞ!」と誘っているのは確かにテッドですが、行くかどうかを決めるのはジョンの意思です(しかし彼は「君のせいで彼女にフラれたんだ!」と責任転嫁)。

そんなジョンに対してテッドは、「俺がお前の首にロープをかけて引きずって来たって言うのか?自分の責任だろ!」と言い放つ。おお、まさに正論!マリファナ吸ってるテディベアのくせにまともなこと言ってる!つーかテディベアに説教される中年男って何なの(笑)。

つまりこの映画は、「子供の頃の気分を引きずったまま中年になってしまった主人公が、ある事件をきっかけに本当の大人になる」という物語であり、スピルバーグやディズニー映画がやればストレートな感動ドラマになりそうな題材ですが、それを全編下ネタとブラックジョークでコーティングしているところがミソなんですね(笑)。

そして何より素晴らしいのはテッドの存在感。もちろん、こんな生き物がいるはずないのでCG合成なんですけど、本当に生き生きとした動きやリアクションで、ジョンとのコンビネーションもバッチリです。中でも驚いたのは「お前なんかよりクマモンの方がよっぽどいい!」と言われたテッドがブチ切れる場面。

いきなりジョンに飛び掛かり、殴る蹴るの大乱闘!クマのぬいぐるみとは思えないほどの凄まじい戦闘力を発揮して、ジョンに大変なダメージを与えます。「ドスッ!ドスッ!」と部屋中に鳴り響く重たい打撃音が、もはやテディベアの音じゃないよ(笑)。

他にも、至る所に散りばめられた映画ネタが笑わせてくれました。彼女にフラれたジョンがノラ・ジョーンズのコンサート会場で熱唱するのは、『007:オクトパシーの主題歌『All Time High』(大してヒットした曲でもないのに、なぜこれをチョイスしたのか全く意味不明w)。

また、ジョンの携帯電話に登録しているロリーの着信音がダース・ベイダーのテーマだったり、テッドの着信音が『ナイトライダー』だったり、細かいネタが本当に多い。

それから、テッドがナイフを使った曲芸を見せるシーンは、『エイリアン2』のビショップですね(気付く人いるのかなあ?)。他にも、ライアン・レイノルズがゲイの彼氏役で出演してたり、トム・スケリットがジョンの上司の友人として登場したり、全編に渡って映画に関する小ネタだらけで、映画ファンにはたまらない内容でしたよ。

あと、フラッシュ・ゴードンに対する愛情が常軌を逸しているというか、ここまで『フラッシュ・ゴードン』をフィーチャーしている映画は本作以外にないでしょう(笑)。主演のサム・ジョーンズが本人役で堂々と出演してるし、『フラッシュ・ゴードン』好きにはまさに夢のよう(逆に『フラッシュ・ゴードン』を知らない人は面白さが半減するのでは…)。

ちなみに「『フラッシュ・ゴードン』ってそんなに凄い映画だったの?」と思う人がいるかもしれませんが、全くそんなことはありません(笑)。「フラッシュ!アア〜!♪」というクイーンの主題歌だけはヒットしたものの、映画は大コケ。ヒーロー映画のカタルシスを無視して、見せ場がほとんどセロという酷い有様でした。

一番致命的なのは、主人公に全然魅力が無いこと。なんせ、主演のサム・J・ジョーンズが第1回ゴールデンラズベリー賞の最低主演男優賞にノミネートされたぐらいですから、その木偶の坊ぶりがうかがえます。とにかく、内容的には「本当に酷い」としか言いようがない映画なのですよ。

しかし、映像的には豪華絢爛!イタリア映画界の重鎮にして美術監督のダニロ・ドナッティが作り上げたセットや衣装は、宇宙船などのメカに至るまで金・赤・黒を基調としたド派手な色彩で統一され、ゴージャスな世界観を構築。また、マックス・フォン・シドーティモシー・ダルトンなどの名優が脇を支えているところもポイントの一つでしょう。

フラッシュ・ゴードン』はジョージ・ルーカスが映画化を熱望したものの権利を獲得できなくて、その代わりに『スター・ウォーズ』を作った」というエピソードでも有名ですが、『スター・ウォーズ』の後に作られたとは思えないほどユルユルな内容に、一部のファンの間でカルト映画化してしまいました。ジョンとテッドもそんなファンの一人なんでしょうね。正直、なんでここまで『フラッシュ・ゴードン』にハマってるのかわかりませんけど(^.^)


●人気記事一覧
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com
type-r.hatenablog.com