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ロボコップの拳銃:オート9について解説してみた


先日、リメイク版『ロボコップ』のレビューを書いた際、一つ書き忘れたことがあったので補足しておきます。まあ、全然大した話ではなく、オリジナル版でロボコップが使用していた銃のことなんですけどね。

数あるSFアクション映画の中でも、旧作の『ロボコップ』はかなり銃にこだわった作品としてマニアに知られていました。デトロイトの警察官が装備している西ドイツ製のH&K-P9Sをはじめ、マーフィやアンのSIGザウエルP226、そしてクラレンスが使うデザート・イーグルやデトニクス・スコアマスターなど、出てくる銃はどれも当時の最新型ばかりでガンオタクは大喜び。

また、イングラムMAC10サブマシンガン、TEC-9、モスバーグ5500ショットガン(ソード・オフ)、スターリング・マーク6、スパス12、ウージー・マシンピストル、ステアーAUGやK-2アサルトライフルなどの珍しい銃も続々登場。

スワット隊員が使用する200連マガジン装備のMinimi軽機関銃M249(FN社製)やモスバーグ500ブルパップ・ショットガンなどはそれまで映画で使われたことが無く、『ロボコップ』で初めて登場したそうです。

さらに、悪人たちが最終的に持ち出すバカでかいバレットM82ライト50(M82A1)に至っては、まるで大砲のようなド迫力で観客の度肝を抜きまくり!劇中では「コブラ・アサルト・キャノン」という名称で呼ばれ、単なるSFガンのように見えますが、なんとこれが実在する世界最大の狙撃銃なのですよ、ドヒャ〜!使用する弾丸は、戦車や戦闘ヘリに装備されているブローニング重機関銃用で50口径、有効射程距離が2キロという正真正銘のバケモノ・ライフルです。

この銃は航空機ハイジャックが頻発した70年代に設計されました。広い空港では狙撃手が潜む場所は航空機からかなり離れているので、既存のライフルでは有効射程距離に届きません。そこで、2キロ先の犯人を狙撃する目的で開発されたのがこの銃だったのです。

ところが、各国の対テロ部隊は揃って不採用。なぜなら、撃つと物凄い振動で狙撃手の周辺から埃が舞い上がり、一発で居場所がバレてしまうから。おまけに、総重量が13キロ、射撃時のエネルギーだけで44マグナムの5倍もあるため、よほどの怪力でもない限り、反動で後方へ吹っ飛ばされてしまうことから、実戦で使用するにはかなり厳しい仕様だったとか。まあ劇中のインパクトは絶大でしたけどね(^_^;)

しかし、この映画で一番目立つ銃火器は何と言っても、主人公のロボコップが豪快に撃ちまくるオリジナル・ハンドガ「オート9」でしょう。その精悍なスタイルもさることながら、撃つたびに銃口とその両脇に開いているガス・ポートから「ズドドドッ!」と吹き出すマズル・フラッシュの凄まじいこと!

この銃は映画の為に作られた架空のものですが、ベレッタM93Rという実物のハンドガンが本体で、銃器デザインを担当したランディ・ムーアによって巧みにカスタマイズされており、ベレッタの印象を残しながらも大変な迫力と実在感のあるスタイルへと生まれ変わっています。初めて見たときは「なんてカッコイイ銃なんだろう!」と感激しましたよ(銃撃シーンは1分後↓)。

ベースとなったM93Rはイタリア製。国内で横行するテロリストや武装集団に対抗する為の強力な武器として、ピエトロ・ベレッタ社が開発した警察用のマシンピストルで、弾倉には9mmパラベラム弾が20発収納されています(ただし劇中の設定では装弾数50発となっており、マガジンを交換するシーンはほとんど無い)。

セミ・オートマチックでありながら、セレクター・スイッチを切り替えれば、引き金を一度引くだけで瞬時に3発の弾丸をマシンガンのように連射できる(3点バースト機構)という恐ろしいシロモノなのですよ。

このM93Rの先端にコンペンセイターと兼用の大型スタビライザーを取り付けて延長し、クーリング・リヴやガス・ポートを開け、リアサイトやグリップに手を加え、銃身の下にバレル・ウエイトを装着すれば、ほぼ「オート9」の出来上がりとなるわけです。

ちなみに、オートマチック型の銃を映画の小道具として使う場合、単純に空砲を込めるだけでは連射は出来ません。「弾丸を発射した時に発生する後ろ向きの反動エネルギーをうまく利用する事で連発させる」というのが自動銃の仕組みであるが故に、そのまま空砲を撃っても火薬のガスは全部前方へ抜けてしまうだけで反動がほとんど起こらず、連射は出来ないのです。

このため、小道具としてのオート9は、銃身の中にネジが切られ、小穴の開いた金属の栓(チョーク)がねじ込まれています。この状態で空砲弾を使えば、火薬のガスは小穴を通って銃口から吹き出すと同時に後ろ向きの反動を生み出し、銃を連発させる動作が起こります。

これを3発ずつ瞬時に撃つことにより、炎が一つに繋がってあの効果満点のマズル・フラッシュが生まれるというわけなのですよ。ちなみに、映画では快調にブッ放しているオート9ですが、実際の撮影現場ではジャム(作動不良)の連続で大変だったらしい。

ところで、先にも書いたようにこのオート9は完全なSFガンで、映画『ロボコップ』の世界にしか存在しない架空の銃です。にもかかわらず、不思議なことに時々他の映画にも登場してるんですよ。

ブルース・ウィリスらが出演しているシン・シティにもなぜかオート9が出てきますが、これは監督であり原作者でもあるフランク・ミラーの脚本家デビュー作品がロボコップ2だったからです(フランク・ミラーは続く『ロボコップ3』の脚本も書いていて、このロボコップ・シリーズにかなりの思い入れを持っている様子)。

さらに、僕が知っているだけでもジャッキー・チェン『シティ・ハンター』や、ムーン・リーの『群狼大戦』韓国映画『リザレクション』などにもオート9が登場しています(他にもあるかもしれません)。

当然、『ロボコップ』とは何の関係も無い映画ばかりで、あくまでも普通の銃として使用されているのですが、デザインが特殊すぎる為にイヤでも目立ってしまうのです。どうやら、アジアの映画製作者の間では人気があるみたいですね。


群狼大戦 [VHS]
とまあ、こういう前提を踏まえた上でリメイク版『ロボコップ』を観に行ったわけですよ。確かにガンアクションの迫力は素晴らしく、非常に満足度は高かったです。しかし!肝心のロボコップの銃がなんだかイマイチ…。オリジナル版のオート9を、どれだけかっこ良くアレンジしてるんだろうと期待してたのに、割と普通のSFガンになっててちょっとガッカリしてしまいました。

今回ロボコップが使う銃は2丁あって、一つは対人制圧用のテーザー銃:NI-408、そしてもう一つが圧倒的な破壊と鎮圧を目的としたサブマシンガン:ROBOCOP SMGです。NI-408の方はまあ、”オート9の進化版”と言われればそう見えなくもないでしょう。ただ、初めてオート9を見た時のようなインパクトは全くありません。ROBOCOP SMGも完全に普通のサブマシンガンですね(^_^;)

オート9がいまだに”映画史に残るSFガン”と呼ばれている所以は、優れたデザインや迫力満点の発砲シーンなども含め、銃そのものが”キャラクター性”を持っていたからだと思うんですよ。「ロボコップといえばあの銃だ!」と即座にイメージが浮かぶほどの強烈な個性を打ち出していたからこそ、人々に絶大なインパクトを与えることができたわけで、それ故に『ロボコップ』という映画自体も高く評価されたんじゃないでしょうか。

まあ、「オート9のおかげで映画がヒットした」とまでは言いませんが、優れた映画には印象に残るアイテムが必ず存在していると思うので、リメイクする際にはそういう部分にも気を付けてもらいたいものですね(^.^)


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