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『魔女の宅急便』にまつわる意外なエピソード

どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、金曜ロードショー宮崎駿監督の名作アニメ魔女の宅急便が放送されますが、実は「当初、この映画の監督は宮崎駿さんじゃなかった」ということをご存知でしょうか?ではいったい、誰が監督をしていたのかというと、『この世界の片隅に』の片渕須直さんなのです。

もともと『魔女の宅急便』はスタジオジブリが立ち上げた企画ではなく、とある実写映画の制作会社が角野栄子さんから原作の映画化権を取得し、電通を通じてジブリに持ち込まれたものでした。

しかし、当時は『となりのトトロ』と『火垂るの墓』の制作が始まったばかりで、宮崎監督に余裕はありません。そこで、『リトル・ニモ』の演出助手や『名探偵ホームズ』の脚本を手掛けた片渕須直さんに声がかかったらしい。

ある日、月刊アニメージュの副編集長だった鈴木敏夫さんから自宅へ電話が入り、新宿の某喫茶店に呼び出された片渕さん。そして鈴木さんは「いや〜、ここは宮さんが『ラピュタ』の脚本を書いた場所なんだよ」などと話しながら原作を取り出し、「これを監督してもらえないだろうか?」と依頼したそうです。

なお、脚本は『私をスキーに連れてって』や『病院へ行こう』などの一色伸幸さんに決まっていたのですが、一色さんの書いたシナリオに宮崎監督が難色を示し、結局、宮崎さんが自分で書くことになりました。

そんなこんなで、宮崎さんは『となりのトトロ』の作業が終わった直後から『魔女の宅急便』のシナリオ執筆をスタートさせ、片渕さんは作画や美術のスタッフを集めるなど、アニメ制作の準備を開始。

さらに片渕さんは、キャラクターデザイン&作画監督近藤勝也さんたちと共に、スウェーデンストックホルムやゴトランド島ヴィスビーへロケハンに出かけるなど、着々と段取りを整えていったそうです。

ところが、いよいよ本格的な制作に取り掛かろうとしていた時、アクシデントが勃発!当初、『魔女の宅急便』は80分程度の中編を想定していたにも関わらず、宮崎さんの書いた脚本が長くなりすぎて100分以上の長編に膨れ上がってしまったのですよ。

最初の計画では『となりのトトロ』と『火垂るの墓』みたいな「2本立て上映」の予定だったのに、「この長さでは2本立てに出来ないぞ」と(スケジュールにも支障が出る)。

ちなみに『魔女の宅急便』と抱き合わせられるもう1本には、宮崎監督の発案で「女子バレーボールを題材にした実写青春映画」を予定していたらしい(どんな映画や!?w)。

さらに、片渕監督が某大手スポンサー企業へジブリのスタッフと共に挨拶に行ったら、「当方としては宮崎駿監督を希望する。それ以外の映画に出資するつもりはない」と真顔で言われて大弱り。

結局、このスポンサーに降りられると映画が作れなくなるため、ジブリ内で協議した結果、片渕監督が降板し、代わりに宮崎監督が『となりのトトロ』に引き続いて指揮をとるという苦渋の決断を余儀なくされました。

しかし、監督交代が決まった後も片渕さんは演出補佐として『魔女の宅急便』に関わり、最後まで映画の制作に付き合ったそうです。

それから27年後、『アリーテ姫』や『マイマイ新子と千年の魔法』などのアニメーション作品を監督した片渕須直さんは、苦労の末にようやく念願の『この世界の片隅に』を完成させたのですよ。

ご存じの通り、『この世界の片隅に』はロングランヒットを記録し、非常に高い評価を得たわけですが、『魔女の宅急便』の監督降板を経て辿り着いた結果と考えれば、色々と感慨深いものがありますねえ(^_^)


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