ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

映画『チャッピー』に関するソニー・ピクチャーズの対応がヒドい


現在、『チャッピー』というSF映画をめぐってソニー・ピクチャーズエンタテインメントが炎上しているようです。

SF映画第9地区』で注目を集めたニール・ブロムカンプ監督の新作『チャッピー』は、意思を持ったロボット:チャッピーと人間との心の交流を描いたSF映画ですが、ニール・ブロムカンプ監督のこれまでの作風と同じく、暴力的な表現やゴア描写が含まれていました。このため、本国アメリカではR指定(17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要)で公開。

しかし、配給元のソニー・ピクチャーズエンタテインメントは「日本でR指定なんか食らったら観客動員数が落ちてしまう。それでは儲からない!」と考えたらしく、日本で公開する際はレイティングを緩和するため、映倫の審査に引っ掛かりそうなシーンを編集でカット。PG12(12歳未満の鑑賞には保護者の指導が適当とされる指定)という緩めのレイティングに変えさせたのです。

これに対して映画ファンから「何で勝手に編集するんだ!」「ノーカットで公開しろ!」と苦情が殺到、さらに配給会社にも問い合わせが相次いだらしい。すると突然、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが、「日本公開版は監督の賛同を得た上で編集を加えた」と公式ツイッターを通じて公表しました。


「映画『チャッピー』についてご質問を頂き有難うございます。本作品につきましては日本での劇場公開に際しまして、より幅広い層のお客様にご覧になっていただくため、米国本社と協議を重ねまして、監督の賛同を得た上で、作風を損なわない形で、映倫からの指摘に沿い米国編集を加えました結果、PG12の区分での公開が決定致しました。」


映倫審査の内容や修正の詳細につきましては告知を行っておらず、本作品につきましても、詳細の内容告知は予定しておりませんことをご了承ください。また、個別にご質問頂いてもお答えできかねますことを合わせてご了承くださいませ。なお、編集前の本編上映を行う予定はございません。」 (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント公式Twitterより引用)

簡単に言うと、「レイティングを下げるために、日本公開版は監督の許可を得て暴力シーンを大幅にカットしたからヨロシク。どこをカットしたかは教えてやらん。答えるの面倒くせーから質問もすんな。あと、オリジナル版は公開しねーよ」ってことらしい。さすがソニー、安定の上から目線だ(笑)。

このアナウンスに対して、「暴力的な表現やグロ描写はブロムカンプ監督の”作風”の一部であり、それをカットしてしまうと監督の作品である意味がなくなるのではないか?」との不満が噴出しました。

さらに、「納得できない!」と憤った日本のファンがブロムカンプ監督に、「私たちには、あなたのオリジナル版が必要なんです!どうか、可愛いチャッピーを切り刻まないでください!」と直接ツイッターで語りかけたのです。

すると、ブロムカンプ監督から衝撃の返答が!「言ってる意味がわからないんだけど。編集は一つだけ…ワールドワイド版しかないよ」とのこと。↓


これに驚いたファンが、「ソニー・ピクチャーズが言ってましたよ?あなたの了承を得て、PG12のために日本公開版はカットしてあるって。そのことを知ってましたか?」と訊ねたところ、「いや…確認してみる。そんなことは聞いてない」とブロムカンプ監督自身も驚いている様子。つまり、『チャッピー』の日本公開版は監督に無断で編集されていた、ってことなの?う〜ん…↓
昨今、映画は世界展開が当たり前となり、そのため各国の文化や独自レーティングとのすり合わせ、ローカライズ作業も当然のものとなっていますが、それでも監督が再編集版の存在すら知らないということは普通は有り得ません。もしこれが事実なら、大問題でしょう。

当然のごとく、このやり取りを知った映画ファンからは「マジかよ!ソニー最低だな!」「オリジナル版を公開しろ!」などの批判が殺到。怒りの声が広がりつつある中、署名を集めるサイト「Change.org」では、とうとう『映画「チャッピー」の暴力描写規制の取り消し』を求める署名活動まで始まったのです。↓

しかし結局、このようなファンの願いは聞き入れられることなく、『チャッピー』は”日本で勝手に編集されたバージョン”が公開され、その後もソニー側からは何の説明もないまま、「あの件はいったいどうなったんだろう?」と思っていたのですが、先日ソニーの公式ツイッターから驚きのコメントが公表されました。


映画『チャッピー』をご鑑賞いただき誠にありがとうございました。
劇場公開版の編集に関しては、事実と異なった内容をお伝えしたこと、また、ご報告が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。


4月15日付当ツイッターにて「監督の賛同を得た上で編集を加えた」とお伝えしましたが、具体的なシーンについて監督の直接の賛同を得ておりませんでした。
『チャッピー』日本国内での公開にあたり、より多く幅広い層のお客様にご覧になっていただきたいと考え、映倫基準に従い、ソニー・ピクチャーズが製作者から許諾された編集権に基づき本編を一部カット(合計約3秒)、また一部に映像加工を加えました(合計約3秒)。


尚、『チャッピー』のブルーレイ&DVDは9月18日(金)に発売を予定しており、販売用ブルーレイ&DVD商品にはアメリカ劇場公開と同様の本編を収録します。
みなさまのご期待にお応えできるよう努力して参りますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 (ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント公式Twitterより引用)

いやいやいや!ソニーさん!
全く説明になってないし、何のお詫びにもなってないよ!


>ご報告が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。


あの〜、劇場公開中に多くのファンから問い合わせがあったのに
ずっと無視してましたよね?
どうして今頃報告することになったのか、
まず、その経緯を説明してもらわないと。


>「監督の賛同を得た上で編集を加えた」とお伝えしましたが、
>監督の直接の賛同を得ておりませんでした。


だから、何でそんなことになったのか、きちんと事情を説明してください。
何かの手違い?それともわざと嘘をついたの?
説明責任があると思うんだけど。


>より多く幅広い層のお客様にご覧になっていただきたいと考え、
>本編を一部カット(合計約3秒)、また一部に映像加工を加えました(合計約3秒)


国によってレイティングの基準が違うのはしょうがないし、
会社として少しでも観客を動員したい(利益を増やしたい)って考えも理解できます。
ただ、その結果どうなったか?というと、
初週興行収入8,300万円程度、ランキングも8位と全くヒットしませんでした。
これは、ソニーの対応に怒った一部のファンの間でチケットの不買運動が勃発するなど、
明らかに今回の騒動が関連しているんじゃないでしょうか?
それについてはどう考えてますか?


>販売用ブルーレイ&DVD商品にはアメリカ劇場公開と同様の本編を収録します。


なるほど、「ノーカット版を観たけりゃソフトを買え」ってことですね。
すばらしい。


>みなさまのご期待にお応えできるよう努力して参りますので、
>引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


ありがとうソニー!これからもよろしく……ってなるかバカヤロー!
何なんだよ、この全く気持ちのこもってないコメントはあああ!?

というわけで、映画公開前と同様、映画公開後のソニーの対応が
「あまりにもひどい」と話題になっています。
「お詫び申し上げます」と言いながら、全く誠意が見当たらない「形だけの謝罪文」で
責任の所在をうやむやにしようとする態度に呆れ果てました。


別にね、「監督に無断で映画の内容を変更した」ってことに怒ってるんじゃないですよ。
もともと監督には編集権が無いから、製作側の意向で勝手に編集されることもあるでしょう。
それぐらいは分かってます。
映画ファンとしては納得できないけど、契約上そうなってるんならしょうがない。


でも、それなら最初から事実をきちんとアナウンスすべきでしょ?
なぜ「監督の賛同を得た」なんてすぐバレる嘘をついたの?
そしてなぜ、その嘘を放置したまま映画を公開したの?
この点については企業としての怠慢、いや怠慢よりもさらに悪質なものを感じます。
もはや「倫理観が欠落している」としか言いようがありません。


おまけに、「ノーカットで公開しろ!」と騒いでいるファンの姿を見て、
「ノーカット版のソフトを出せば売れるぞ!」と勘違いしたのか、
全7種類のブルーレイ&DVDをリリースするという恐るべき商魂ぶり!
どんだけ売るつもりなんだ?
つーか多すぎるよ!こんなにいらねーだろ!

劇場ではカットした映画を公開し、ソフトで完全版をリリースするという、
これはまさに”カット商法”ってヤツなんじゃないでしょうか?
嗚呼ソニー・ピクチャーズ、いったいどうしてこんなことになってしまったんだ……(-_-;)

●人気記事一覧
これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10
まさに修羅場!『かぐや姫の物語』の壮絶な舞台裏をスタッフが激白!
日本映画のレベルが低くなったのはテレビ局のせい?
町山智浩が語る「宮崎アニメの衝撃の真実」
「映像化不可能」と言われている小説は本当に不可能なのか?


このブログについて(初めての方はこちらをどうぞ)
トップページへ