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映画『ターミネーター:新起動/ジェニシス』ネタバレ感想/評価/解説


■あらすじ『西暦2029年。機械軍スカイネットと壮絶な戦いを繰り広げていた人類は、抵抗軍のリーダー:ジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)の活躍により勝利を手にしようとしていた。しかしスカイネットは、ジョンの存在そのものを消し去るため、殺人ロボット:ターミネーター1984年に送り込み、ジョンの母サラ・コナー(エミリア・クラーク)の抹殺を図る。これを阻止するため、抵抗軍側はジョン・コナーの部下カイル・リース(ジェイ・コートニー)が自ら志願して過去へ向った。ところが1984年に辿り着いたカイルは、いきなり新型ターミネーターT-1000(イ・ビョンホン)に襲われ、しかもサラ・コナーと敵であるはずのターミネーターT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)によって命を救われる。一体何が起きているのか?驚くカイルは、やがて驚愕の事実を知ることに…!ラストシーンまで目が離せない、大人気アクションシリーズ待望の最新作『ターミネーター5』爆誕!』


※この記事は完全にネタバレしてまいす。まだ映画を観てない人はご注意ください!


長年にわたり、絶大な人気を誇ってきた「ターミネーター」シリーズの第5弾ターミネーター:新起動/ジェニシス』が、7月10日(金)より全国の劇場で公開されています。今回は久々にアーノルド・シュワルツェネッガーが出演、さらにタイトルどおりストーリーを新たに描き出す注目作というだけあって、公開初日から多くのファンが映画館に詰め掛けた様子。

全国737スクリーンもの大型公開となった本作は、公開初週末の土曜、日曜で興行収入が5億円を突破、観客動員数も30万人を超えました。週末2日間での興行収入は5億1572万300円、観客動員数は35万2748人。さらに公開初日の金曜日を加えた3日間では、6億6475万6400円、動員数は46万1590人と順調に記録を伸ばしているそうです。

しかしその一方、本国アメリカでは否定的な感想が多いようで、映画批評サイト:ロッテントマトの批評家支持率は26%、平均点は10点満点中4.6点とかなり低め。評価の内容も「テーマに深みが足りず、コンセプトにも知性が感じられない」など、結構厳しい意見が並んでいるらしい。果たして面白いのか?それとも面白くないのか?というわけで、本日はSFアクション超大作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』のレビューを書いてみますよ。


今回の『ターミネーター5』の特徴は、過去シリーズのような”特定の時代”を描いた物語ではなく、複数の時代にまたがってドラマを展開させている点でしょう。しかも、未来から過去へ飛び、そこからまた未来へ移動するという、完全にタイムトラベルものの展開になっているのが凄い。サラ・コナーもジョン・コナーも、今までタイムトラベルはしてませんからね(『サラ・コナー・クロニクルズ』以外は)。結果、シリーズ中で一番SF色が強くなったんじゃないでしょうか。

●2029年(抵抗軍とスカイネットの戦い → 過去へ移動)
まずはオープニング。”審判の日”と呼ばれる世界全面核戦争が起こってしまった1997年8月29日から物語がスタート。カイル・リースの独白で幕を開ける冒頭場面は、世界各国の核ミサイルが次々と打ち上げられていく恐ろしい映像が流れ、何となく『ターミネーター3』のラストシーンを思い出しました。

でも、『T3』では『T2』のサラ・コナーたちの活躍によって”審判の日”が後ろにずれ込み、”2004年に核ミサイルが発射される結末”へと歴史が書き換えられたため、『ターミネーター5』には繋がりません。本作は「1作目の前にどんなことが起きていたのか」を描く前日譚であると同時に、『ターミネーター1』のリブートとも言える内容なのです。

この時、10歳だったカイル・リース少年はターミネーターに見つかり、殺されそうになっているところをジョン・コナーに助けられ、それ以来ジョンを”救世主”として崇め、自身も抵抗軍に加わり、ジョンと共にスカイネットの殲滅を目指して戦い続けます。

やがて抵抗軍はスカイネットを追い詰め、ついにロサンゼルスでの最終決戦を迎えました。コロラドの部隊は敵の中枢部を制圧し、後はロスを残すのみ!しかし、ジョン・コナーたちが施設に突入すると、時すでに遅く、タイムマシンによって殺人ロボット:ターミネーターが過去へ送られた後でした。

その時代は1984年5月12日。そう、『ターミネーター1』の舞台です。目的はもちろんジョンの母親サラ・コナーを殺すこと。サラが死ねばジョンも生まれなくなり、人間側の敗北が決定してしまう。誰かがサラを守るために過去へ行かなければ…!

ここで、「俺が行きます!」「いや俺が!」と多数の立候補者が名乗りを挙げてるんですが、ジョンとしてはカイルが手を上げるまで待たなきゃいけないんですよね(空気を読めないヤツが無理矢理タイムマシンに乗り込んだりしなくて良かったよw)。

なお、予定通りカイル・リースが過去へ行くことになり、お約束通り全裸になるわけですが、ここで「細胞に覆われていないものは時間を超えられない」みたいな説明が入ります。あれ?機械の体を生体細胞で覆っているT-800はともかく、T-1000やT-Xはどうやってタイムマシンを使ったんだろう?あいつら、全身機械(液体金属)で人間の細胞なんか持ってないんじゃなかったっけ?

1984年(T-800とT-1000の戦闘。カイルがサラに出会う)
一方、一足先に1984年に着いたT-800(若い方のシュワちゃん)は、自慢の筋肉を堂々と披露。ここで凄いのがシーンの再現度です。工事用車両に乗った黒人男性が葉巻を吹かしていると、突然ヘッドライトが消え、稲妻のような青い閃光と共に鳴り響く轟音!見ると地面が円状にえぐられ、未来からやってきたT-800が全裸で登場!

ゆっくりと立ち上がって周囲を見渡し、全裸のまま歩き出すT-800。そして高台からロサンゼルスの町並みを悠然と見下ろして……という『ターミネーター1』における有名な初登場場面を、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』はそのまんま再現しているのですよ!

この場面、僕はてっきり「1作目の映像を使い回しているのかな?」と思ったんですが、なんとシーンの構図からカット割りに至るまでを完全コピーした新作映像だったのです!T-800役を演じたボディビルダーの顔に若いシュワルツェネッガーの顔をCGで作って合成したとのことですが、全然区別が付かないよ!

さらに特殊効果を手掛けたエフェクトスタジオが、若きシュワルツェネッガーのシリコン製レプリカを製作し、スチール製の骨組みと関節を取り付け、第1作のシュワルツェネッガーそっくりのダミーを作り上げたとのこと。凄まじい再現度にビックリです!

しかも驚くべきは、単に『ターミネーター1』を完コピしているだけでなく、ストーリーが大きく変わっていること。つまり、何らかの事情によって過去の状況が変化し、それが未来に影響を及ぼして、色んな部分が1作目の『ターミネーター』とは違っているのですよ。

例えば、T-800がチンピラに出会う場面は、本来なら「T-800がチンピラを殺して服を奪う」という流れだったのに、途中でもう一人のT-800(年寄りのシュワちゃん)が現れ、いきなり銃をぶっ放して激しい戦闘シーンに突入!という具合に全く新しいストーリーが出現します。1作目を知ってる人は「えっ?なんで?」ってなりますよそりゃ(笑)。

カイルが未来からやってくる場面も、1作目と全く同じように「全裸で現れたカイルが近くの浮浪者からズボンを盗む」というシチュエーションをそのまま再現し、駆け付けた警官に「今は西暦何年だ!?」と尋ねるところまでは1作目の通りなんですけど、その警官が何と『ターミネーター2』に登場したT-1000!ただし、ロバート・パトリックじゃなくてイ・ビョンホンですが。

ここでも、「『T1』の時代にどうしてT-1000が!?」みたいな意外性を見せつつ、1作目と同じシチュエーション(裸足のカイルが店の靴や服を盗む)に上手く繋げて、激しいバトルシーンとサラ・コナーの衝撃的な登場シーンを一気に描くという、スピード感抜群の映像に仕上がっています。

また、シリーズでお馴染みの「Come with me if you want to live!」(「死にたくなければ一緒に来い!」)というセリフも健在です(例によってターミネーターに襲われてる人を助ける場面で)。しかも、1作目ではカイルがサラに対して言っていたこのセリフを、今回はサラがカイルに言ってるのがいいですね。

そんな感じで、1作目と同じような流れを見せつつ実は全く別のストーリーを描く、という展開はなかなか面白いと感じました。似たような映画を挙げるとすれば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』が近いかな?あの映画も、1作目と同じ場面を描きながら、実は別のストーリーが進行していた、という展開でしたからね(『ジェニシス』の方がもっと複雑だけど)。

1984年(T-1000とのバトル → 未来へ移動)
こうしてサラの運転するトラックに乗ったカイルは、そこで殺人ロボット:ターミネーターを目撃!「うわあああ!」と驚いて銃をぶっ放すも、逆に返り討ちにあって気絶させられてしまう。目覚めたカイルにサラが「このおじさんはいいターミネーターよ。9歳の時に私を救ってくれたの」と事情を説明。しかし、一体誰がT-800を過去へ送ったのか、残念ながら真相は最後まで分かりません(次回作へ持ち越し?)。

そして、皆が隠れ家に辿り着くと、追いかけて来たT-1000と再び戦闘開始!ここでT-1000が、ぶっ壊れたT-800(若いシュワ)に自分の一部を与えて復活させるシーンがあるんですが、これラストの伏線ですね(『T1』と『T2』の連携及び終盤の伏線を同時に見せている)。

復活したT-800がカイルの攻撃を受けて燃え上がります。真っ赤な炎の中から現れる金属のガイコツ!これはもう、完全に1作目のオマージュでしょう。その後、カイルが鉄パイプでガイコツをガンガン殴るところまで含めて、『T1』のクライマックスをバッチリ再現しています。

で、ようやくT-800を倒してサラのところへ向かうと、あれれ?カイルがもう一人!?なんとT-1000がカイルに化けていた!これは『ターミネーター2』のオマージュだ!シリーズネタを次々とぶっ込んでくるファンサービスが素晴らしい(笑)。

しかも「どうやって見分けるんだ?」と思ったら、いきなり片方のカイルの足を撃つという雑な確認方法(笑)。サラって意外と大雑把な性格なのかしら?たしかに2分の1で当たるけど、「外れてたらどうするんだ!?」と怒るカイルの気持ちもよく分かる(笑)。

この後、T-1000は酸で溶かされ出番終了。え?これで終わり?『ターミネーター2』の時はあれほど苦戦したのに、こんなにあっさりやられるなんて!つーか、一言しかセリフ喋ってないよイ・ビョンホン

まあ色々あった後、地下へ降りていくと何やら大掛かりな機械が…。なんと1984年にタイムマシンが作られていた!「T-800のCPUが無ければ起動できない」ってことらしいけど、それ以外は全て1984年の技術で作れてしまうって凄すぎるでしょ?タイムトラベルがとてもお手軽に思えてきたなあ…。

ここでサラは”審判の日”を止めるために1997年の8月へ行こうとしますが、カイルが反対。「2017年に行くべきだ!」と力説します。タイムスリップする直前に、ジョンが謎の男に攻撃される場面を見たカイルは、そのせいで「体験したことのない過去」の記憶を持っているらしい。老シュワによると「未来を大きく変える出来事に遭遇すると、そこが歴史の分岐点になる」とのこと(なるほど、わからんw)。

結局、サラはカイルの言うことを信じて2017年の10月へ行くことに。タイムマシンを使うお約束でカイルは全裸、サラも当然すっ裸です(肝心なところは見えませんがw)。でも意外だったのは、タイムマシンって一人ずつしか送れないと思ってたのに、二人同時に送れるんですね。じゃあ、何で今までターミネーターを一体ずつしか送ってこなかったんだろ?複数で攻撃すれば、もっと楽にジョンを殺せたかもしれないのに…。

●2017年(ジョン・コナーとの再会。意外な真相が判明)
サラとカイル、全裸で高速道路に出現。ところが、事前に現場で待っているはずのシュワちゃんがどこにもいません。後でカイルが「なんで来なかったんだよ!」と問い詰めると「渋滞にはまってた」だって(33年前から計画してるんだから、それぐらい予測しとけよ!w)。

なお、前から不思議だったんですが、タイムマシンって日時の指定はできても場所の指定はできないんでしょうか?シリーズを振り返っても、毎回登場する場所が違うんですよね。しかも、カイルだけ地面よりも高い位置にゲートが開いてるから「ドサッ!」と落っこちてるし(なんでだろう?)。

そして一旦、病院へ収容された二人の前に、「久しぶりだね。あの時命を救われた者だ」と現れた一人の老警官。彼は1984年にT-1000との戦闘に巻き込まれたオブライエンでした(2017年ではさすがに老けてますw)。こういうのって、タイムトラベル映画では良くある展開で非常に楽しいんですが、どうせならもっと色々な人を登場させて欲しかったなと。

例えば、病院の患者Aみたいな役でビル・パクストンにゲスト出演してもらって、シュワちゃんとすれ違い様に「あれ?今の男、どこかで見たことあるぞ?」「そういえば若い頃に全裸の男を見たけど、まさか…」みたいなセリフを言わせるとか(このチンピラが33年後にどんな風になってるのか気になるw↓)。

または、警察署長みたいな役でランス・ヘンリクセン(『T1』のハル・ブコビッチ警部補)を登場させて、「長いこと警官をやっているが、こんな奇妙な事件は初めてだな」という具合にちょっとだけドラマに絡ませるとか(若いT-800は1984年にぶっ壊れてるから、この時間軸のハル・ブコビッチは生きているはず!)。そういうサプライズがあればもっと楽しかったんだけどなあ。

その後、ジョン・コナーが登場してサラやカイルと感動の再会。でも未来からやって来たジョン・コナーが「実は敵になっててサラたちと戦う」というシーンは、予告編で見せない方が良かった気がします。これ、ジェームズ・キャメロン監督が絶賛してた「予想外のどんでん返し」だよね?だったらバラしちゃダメじゃん!

僕はこの予告編を見て、「あ〜なるほど。ジョンが敵になったと見せかけて、実は本物のジョンは別の場所で生きてるってオチだな?」とか深読みしてたんだけど、本当にジョン本人がターミネーターになってて逆に意表を突かれました。予告編でネタバレしてどーすんだよ!?

そもそも根本的な問題として、スカイネットは本当はジョン・コナーを殺したかったけど、どうしても殺せないからターミネーターを過去に送り込んで母親のサラ・コナーを殺そうとしていたわけでしょ?でも、そのジョンをターミネーターにしてしまったら、もう殺す必要がないし、そうなるとサラ・コナーなんてどうでもいいわけじゃないですか?

ジョンが敵軍に取り込まれた時点で人類側の敗北は確定し、それ以降の世界ではスカイネットが全てを掌握していると思われます。そのような状況になってから、T-3000(ジョン・コナー)がタイムマシンで過去に送り込まれました。その目的は「(ジェニシスを無事にアップロードさせて)スカイネットを守るため」だそうです。

ではなぜ、サラやカイルに近付いたのか?過去の事例から、サラたちがスカイネット(ジェニシス)を破壊しようとするだろう、ということは予測していたはずです。なので、その前にサラたちに接触し、仲間に引き入れようとしたのでしょう。

しかし、老シュワちゃんに正体を見破られ、作戦は失敗。ただしこの段階で、カイルかサラ(あるいは両方)を殺してしまえば、スカイネットは守られるし、ジョン・コナーも(恐らく)消滅するし、一石二鳥だと思うんですが、なぜかそうしないんですね。「自分で自分を殺すことになるから躊躇しているのか?」とも思ったんですが、どうもそうではないらしい。

「私を殺せば、あなたは生まれないわよ!」と叫ぶサラに対して、「我々は時間の流れからこぼれ落ちたんだ」と自論を展開するT-3000。どうやら「サラを殺しても自分は死なない」と考えているようです。これはパラレルワールドの存在を意味しているのか、それとも「親殺しのパラドックス」なのか分かりませんが、どちらにしてもサラたちを生かしておく理由は見当たりません。なのに、なぜかT-3000はサラを無視してシュワちゃんに攻撃を加えるのですよ。不思議ですねえ。

おまけにこのT-3000、全然強そうに見えないのです。MRIみたいな医療器具に吸い寄せられ、まともに動くことも出来ず、どんどん体が崩れていく様子を見て、「メチャクチャ弱いじゃん…」とガッカリしたのは僕だけではないはず(『ターミネーター2』の敵の方がよっぽど怖かったよ)。

●2017年(秘密基地 → 橋の上のアクション)
その後、無事に病院を脱出した3人は秘密の隠れ家へやって来ます。シュワちゃんが30年以上も準備していただけあって、大量の武器や爆弾が蓄えられ、サイバーダイン社を襲撃する用意は万全。しかしそこへT-3000が!どうしてこの場所がバレたんだ?「幼い頃に母さんから聞いてた」ってそりゃあバレるに決まってるよ!

ところが、ここでもT-3000はすぐに二人を殺そうとはしません。ジョン・コナーの姿(2029年版)に変身し、「私と共に新しい世界を生きよう!」などとカイル・リースを誘惑します。この段階でもまだ、サラとカイルを仲間に引き入れようとしてるんですね(もう意味がないのでは?)。

しかし結局T-3000の説得は失敗し、サラにグレネードをブチ込まれて爆発炎上。カイルたちは秘密基地を脱出し、スクールバスを盗んで走り出しますが、どうしてバスなのか?デカくて目立つし、小回りが利かないしスピードも遅いし、普通は逃走用に選ぶ車じゃないと思うんだけど。

案の定、すぐにT-3000に見つかり、攻撃されます。バスの車外に放り出されたシュワちゃんは、走ってきたパトカーに突っ込み、そのままパトカーを奪って追跡開始。一方、バスの底にへばり付いたT-3000は、ブレーキを壊したりシャフトを外したり、地味な破壊工作をチマチマと実行中。いやいや、アンタならもっと簡単に二人を殺せるだろ!

次の瞬間、外れたシャフトが地面に当たり、バスはダイナミックに空中を回転します。ああなるほど、コレがやりたかったのね(笑)。でもこういうカーアクションって、『ターミネーター3』とか『ダークナイト』とか『藁の楯』とか、他の映画でも観たことあるんだよな〜。

回転して地面に激突したバスはゴールデン・ゲートブリッジの上を転がり、海へ落下しそうになるものの、ギリギリで引っ掛かりました(この場面も『猿の惑星:創世紀』なんかで観たような…)。垂直にぶら下がるバスの中で、必死に脱出を図るサラとカイル。その後ろからT-3000が迫る!

と、シュワちゃん手製の「磁石グローブ」を装着したカイルが、T-3000の顔面を思い切りパンチ!いやいや、ただの人間が1発殴ったぐらいで最強のターミネーターがやられるわけ……って効いてるじゃん!しかも結構深刻なダメージを受けてるよ!どんだけ弱いんだジョン・コナー!

最新型ターミネーター:T-3000を素手で撃退したカイルは、「つかまって!」と叫ぶサラの腕をしっかりと握ります。その瞬間、ぶら下がっていたバスが二人を残してズルズルと落下。T-3000はそのままバスと一緒に海へ落ちていきました(このシーンも『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』で観たかもしれないw)。

●2017年(警察署 → ヘリチェイス
その後、警察に捕まったサラとカイルとシュワちゃんは、それぞれ別室で取り調べを受けます。ここで面白いのは、少年時代のカイルとカイルの両親が登場するんですね。1作目の『ターミネーター』(1984年)の時代にはまだカイルが生まれてなかったんですが、この2017年では生まれている。つまり、カイル・リースが二人存在してるんですよ。これは今までの『ターミネーター』シリーズには無かった初めての展開!

すると突然、取り調べを受けていたシュワちゃんが何かに気付きました。なんと、T-3000が女性警官に化けて警察署内に侵入していたのです!正体を現したT-3000が暴れ出したため、署内は大パニックに。その間、どさくさに紛れてサラたちを助けるオブライエン。おまけに警察のヘリまで勝手に渡してしまいます(そんな事していいのかよw)。

ヘリで脱出しようとするサラたちの前にT-3000が出現。ひたすらシュワちゃんを狙って銃を撃ちまくります(やはりサラたちを殺すつもりはないらしい)。何とかヘリを動かすものの、ビルの屋上からそのまま落下!と思ったら地面に激突するギリギリで飛ぶことができました(この場面は『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル』かなあ)。

すると、サイバーダイン社へ向かうサラたちのヘリを追い掛けるもう1台のヘリが!『ターミネーター2』のクライマックスではT-1000がヘリでサラたちのトラックを追い掛けていましたが、本作ではヘリVSヘリのスカイアクションが炸裂!途中でシュワちゃんが無関係のタンクローリーを爆破してるけど、これ乗ってる人や周りの人が大勢死んでるんじゃないの?

しつこいT-1000を振り切るために、最後の手段を使用。名付けて人間ミサイル:シュワちゃん!ここで例の名セリフ「アイル・ビー・バック」が!やっぱり『ターミネーター』といえばこれですねえ。ただ、1作目では「また戻ってくる」という字幕が出ていたのに、その後、何度も繰り返し使われ続けた結果、本作ではとうとう「アイル・ビー・バック」とカタカナ表記になってしまいました(笑)。

●2017年(サイバーダイン社にて最後の対決)
シュワちゃんがT-3000のヘリに突っ込み、どうにか撃墜した後、サラたちはサイバーダイン社へ乗り込みます(スカイネットのホログラムは『バイオハザード』っぽいなあ)。先回りしていたT-3000が「私を倒せる武器はこの世界にはない!」と自信満々で近付いてくるけど、あっさり串刺しにされちゃいました。シュワちゃん曰く、「お前は喋り過ぎだ」とのこと(確かにw)。

ジェニシスが完成するまで残り時間はあとわずか。3人は手分けして爆弾を仕掛けますが、サラがT-3000に捕まり大ピンチ!どうにか逃げ出したものの起爆装置が壊れてしまい、爆破できません。一方、シュワちゃんはジョン・コナーと激しいバトルを開始!ボコボコに殴られるジョンが徐々にシュワちゃんを圧倒し出しました。今まで全然強そうに見えなかったT-3000ですが、ここへ来てようやく本来の能力を発揮し始めたようです(もっと早く本気出せよw)。

シュワちゃんが倒され、いよいよこれでお終いか…と思ったその時、サラとカイルが駆け付け、一瞬の隙を突いて例の「磁石グローブ」でT-3000の体をブチ抜くシュワ!これってそんなに強力な武器だったの!?スピーカーを壊して作っただけでしょ?つーか、やっぱり弱いよジョン・コナー!

電磁発生器を作動させ、T-3000を破壊しようとするシュワ。しかし、その装置の中に入れば自分も一緒に破壊されてしまう。「こいつを倒すにはこの方法しかない」「カイル、俺のサラを守ってくれ」と覚悟を決めたシュワちゃんを見て「いや~!おじさん!」と取り乱すサラ・コナー。あの〜、ジョン・コナーの方はどうでもいいんですかね?一応、あんたの実の息子なんだけど(^_^;)

猛烈な光と共にバラバラに砕け散るT-3000。次の瞬間、大爆発!しかし激しく回転する電磁発生器から、なぜかシュワちゃんだけが弾き出されてしまいます。さらに、落ちた場所には偶然T-1000の液体金属が(いや、別にいいけどさあ…)。なお、爆発する直前に地下のシェルターに逃れたサラとカイルはもちろん無事です。

こうしてサイバーダイン社は完全に破壊され、スカイネットも滅びました。しかし、地下に取り残された二人は脱出する手段がありません(そこまで考えてなかったのかよ?)。このままでは酸素が尽きて死んでしまう。いったいどうすれば…と困っていると、見覚えのある金属の巨大ナイフが扉を貫いた!

これはまさかT-1000!?と思ったらシュワちゃんでした。どうやら偶然、液体金属の中に「ボチャン!」と落っこちたおかげで、T-1000の能力を身に付けたようです(まさかそんな単純なシステムだったとは…もしかしてT-Xもこうやって作ったの?)。

その後、無事にシェルターを脱出した彼らは、子供のカイル・リースに会いに行きます。大人カイルと子供カイルの感動の対面!そこで「覚えておいてくれ。ジェニシスがスカイネットだ」と伝えました。未来の自分へ向けたメッセージですね(しかし、この世界には本物のカイル・リースが二人存在してるんだよなあ…)。

そして全ての問題が解決し、自由の身になったサラはカイルとキスします。それをじっと見つめるシュワおじさん。たぶん、この後も何かある度に「合体したか?」って聞いてくるんでしょうね(イヤなおじさんだw)。いつまで経っても笑顔は怖いままだし(^_^;)

なお、エンドロールで”謎の赤い物体”が登場しますが、おそらく爆発から免れたスカイネットの中枢部分で、「まだ”審判の日”は終わっていない」という伏線なのでしょう(完全にB級映画の終わり方じゃんw)。

●総合評価
というわけで、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』をじっくり振り返ってみたんですが、一言で言えば…う〜ん…「惜しい映画」ですね。僕は『ターミネーター』シリーズが大好きで、過去の作品も全部観てるんですけど、ジェームズ・キャメロン監督が作った『1』と『2』以降は、どうもあまり面白いとは思えません。

今回の映画も、前半は良かったんですよ。”審判の日”が起きたところから始まり、ジョン・コナーとカイル・リースとの出会いや抵抗軍の活躍を描き、タイムマシンでカイルが1984年にやって来る場面など、今までは登場人物の説明でしか知ることができなかった名シーンを、今回初めて観ることが出来たのですから。

さらに、1984年の世界では、1作目のシチュエーションをなぞりつつ、同時に全く別の展開を見せるという、「過去に見たはずなのに全く新しい物語」がとても斬新でした。そして、何と言っても素晴らしいのはシュワちゃんが出演していること!

「ダダンダンダダン!ダダンダンダダン!」と毎度お馴染みのBGMが鳴り響き、シュワちゃんが画面に登場すると、「待ってました!」とばかりに気分が盛り上がりますねえ。前作の『ターミネーター4』にもラストでチラッと出てるんですけど、アレは顔だけCG合成だったので興奮度もイマイチでした(出番も少ないし)。

でも今回は、本物のシュワちゃんが『ターミネーター3』以来12年ぶりにターミネーターを演じるということで、観る前から期待値も上がりまくり。「待ちくたびれたぜ!」のセリフ(観客の気持も代弁してる?)と共に現れたシュワちゃんの姿に感激もひとしおです。

すなわち、この映画の最大の魅力は、過去の『ターミネーター』シリーズにリスペクトを捧げつつ、ターミネーター・ファンが楽しめる要素をたっぷり詰め込んでいる点なんですよ。『T1』や『T2』の名場面とかオマージュを次々とブチ込む序盤の展開は本当にドキドキもので、「もしかしたらこれは傑作かもしれない!」と途中までは画面に釘付けでした。

ところが、タイムマシンで2017年に行った途端、いきなり面白さが失速するんです。理由はいくつか考えられますが、一番の問題は「T-3000に目新しさがない」という点でしょう。これは本作だけに限った問題ではありません。『T3』のT-Xも「要するにT-1000の焼き直しでしょ?」ってな感じで、「今までとは全く違うタイプの敵」という印象が薄いのですよ。

つまり、「他人に化けられる」「体を自在に変形させられる」「銃で撃たれてもダメージを受けない」などの特徴は、そのままT-1000やT-Xにも当てはまるわけで、「T-3000はここが凄い!」という強烈な”売り”が存在しないんですね(液体から粒子状になっただけ)。

強いて言えば「元がジョン・コナーである」ってことぐらいだけど、それが強さに直結しているわけでもないし…。むしろ”元人間”としての特徴が出ていることで、逆に弱く見えるのはマイナス要素なんじゃない?しかも、そのことを予告編でネタバレしてるし…。「あっと驚く意外な展開」が見当たらないのは致命的ですよ(泣)。

それから、スカイネット(ジェニシス)の描写も陳腐でしたねえ。「コンピュータの意識をホログラム映像で人間として見せる」って、今時やりますか?2002年の映画『バイオハザード』でも、レッド・クイーンという人工知能が自らを”少女のホログラム映像”として見せていましたが、その頃と全然進歩してません。もう、見た瞬間に古臭く感じましたよ(未来の話なのにw)。

何よりガックリきたのは、シュワちゃんが死んでなかったこと。いや、ハッピーエンドで終わるのは別にいいんですよ。いいんですが、観客はシュワちゃんがサラを守るために自らを犠牲にしてT-3000と共に爆死する姿に感動したわけでしょ?それなのに生きてるって…

例えるなら、『ターミネーター2』のラストシーンで「溶鉱炉に沈んでいくシュワちゃんの姿」を見届けた後、「いや〜、危ない危ない。もうちょっとで死ぬところだったわ〜」みたいな感じでシュワちゃんがひょっこり現れたらどうなるか?という話ですよ。「俺の涙を返せ!」ってなりませんか?自己犠牲で感動させるなら、きっちり死んでてもらわないと…(^_^;)

エンドロール後の「実はまだ終わってないんだよ〜ん」的な映像も、今まで散々色んな映画で見てきた有りがちな手法で(B級ホラーに多い)、しかもそういう映画に限って続きが作られないんですよね。例を挙げると、ローランド・エメリッヒの『ゴジラ』とか、ロブ・コーエンの『ステルス』とか、続編を作る気満々の終わり方なのに、興行成績が悪くて劇中の伏線も回収されないまま…なんて映画は山ほどありますから。

この『ターミネーター:新起動/ジェニシス』も三部作の一作目として作られているから、モロにそういう構成になってるんですよ。でも、海外の成績や観客の評価を聞くと、あまり良いとは言えない状況らしい。ということは、同じく三部作の一作目として製作された『ターミネーター4』みたいな運命を辿ってしまう可能性が大!最近は『スーパーマン』とか『スパイダーマン』とか、せっかくリブートしたのに人気が出なかったため、「すぐ打ち切られて再リブート」というパターンが多いので、そうならないことを祈ります。

あとは、中盤以降のアクションシーンがどこかで見たようなものばかり…というのも問題ではないかと。記事でも書きましたが、『ダークナイト』とか『ロストワールド』とか『猿の惑星』とか『チャーリーズ・エンジェル』とか…。別に「パクリだ!」って意味じゃなく、たまたま似てるだけなんでしょうけど、こういう有名な映画は多くのお客さんが観てるわけだから、「何かに似ている」と思われた時点で負けなんですよ。

特にアクション映画やSF映画は「今まで誰も見たことが無い凄い映像を作り出すこと」がある意味”最大の使命”なわけで、だったらそこに全力を注ぎ込むべきでしょう。どんなに凄いアイデアを思い付いても「あの映画に似てるかも…」と気付いた瞬間にボツにしなければダメなんですよ。「いや、その映画観たことなかったんだ」なんてのは論外です(『ダークナイト』とか絶対観てるだろ!)。

その他、T-1000役のイ・ビョンホンは出オチ感が凄かったなあ(苦笑)。見せ場は少ないしセリフも少ないし、そもそもイ・ビョンホンが演じる必要性を全く感じません(イ・ビョンホンに高いギャラを払うぐらいなら、ビル・パクストンランス・ヘンリクセンを出してくれた方がよっぽど嬉しかったよ)。

主要な登場キャラクターに関しては、申し訳ないけどカイル・リース役のジェイ・コートニーの顔がダメでした(苦笑)。あの人、アクション映画によく出ていますが、どちらかと言えば悪人顔だし、恋愛要素が入った映画には向かないと思うんだよね。『ターミネーター1』のカイル(マイケル・ビーン)はそういう流れに不自然さを感じなかったけど、ジェイ・コートニーの場合は成立しなさそう(笑)。

まあ、今回は散々シュワちゃんに「合体したか?」と言われても結局合体しなかったし、サラを守って死ぬような展開にもならなかったし、「なるほど、こういう『ターミネーター』もあるのか…」とは思いましたが、やっぱりあの顔は感情移入しづらいですよ。ホント、好みの問題かもしれないけど(苦笑)。

一方、サラ・コナー役のエミリア・クラークは良かったです。リンダ・ハミルトンに比べるとちょっと幼すぎるかな?と思うんですが、リンダ・ハミルトンが老け過ぎという説もあるし(笑)、今回は可愛くてナイスバディなサラ・コナーになったので、まあいいんじゃないでしょうか。

ジョン・コナー役に関しては、今までエドワード・ファーロング、マイケル・エドワーズ、ニック・スタールクリスチャン・ベール、トーマス・デッカーなど様々な俳優によって演じられてきましたが、どれもイメージがバラバラで「もう少し統一してくれよ!」と毎回思っていました。今回のジェイソン・クラークも過去のジョン・コナーとはほぼ別人であることから、もはや制作者側に「似せよう」という意識が無いのかもしれません(笑)。

ただ、そういう問題はともかく、今回は「スカイネットに改造されて最強のターミネーターに生まれ変わった」という新しい設定が追加されたのだから、「なんて恐ろしい敵なんだ!」「こいつは強いぞ!」と観ている人に思わせなければ意味が無いんですよ。でも全然強そうに見えない。この辺が、サスペンス・アクションとしてイマイチ盛り上がらなかった要因ではないかと思います。

そもそも今回、主人公たちが敵に追い詰められてボロボロになるシーンとか、ほとんど無いでしょ?『T1』や『T2』はサラたちが徹底的に痛めつけられ、地面を這いずり回るほどの絶望感を味わった末にようやくターミネーターを倒したからこそ、大きなカタルシスを得ることが出来たわけで。本作にはそこまでの絶望感が無いのが惜しい。やっぱり、重要なのは「どこまで観客をハラハラドキドキさせられるか?」ってことなんでしょうね。

例えば評判の悪かった『ターミネーター3』を、「普通のSFアクションとしては及第点だがターミネーターファンからは嫌われた映画」だとするならば、今回の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は、「ファンを喜ばせようとするこだわりは満点だがSFアクションとしては物足りない映画」と言えるんじゃないでしょうか。正直、ストーリーの作り自体かなり雑だったので、そこが大いに残念でしたねえ。


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