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『猿の惑星:新世紀(ライジング)』ネタバレ映画感想/解説


■あらすじ『実験中の新薬を投与された猿から生まれたシーザー。高度な知能を獲得したシーザーが仲間たちと共に人類への反乱を起こしてから10年が経過。猿たちは進化を加速させ、森の奥に文明的なコミュニティを築いて平和に暮らしていた。一方人類は、蔓延したウイルスによっておよそ90%が死滅し、わずかな生存者グループが、荒れ果てた都市の一角で厳しい生活を余儀なくされていた。そんなある日、人間たちはダムの水力発電を利用しようと猿のテリトリーに足を踏み入れ、一触即発の危機を招いてしまった。平和主義のマルコムは猿のリーダー:シーザーと接触し、何とか争いを収めようとするが、緊張感はどんどん拡大していく。果たして猿対人類の全面戦争は回避できるのか…!?SF映画の金字塔「猿の惑星」を装いも新たにリブートした大ヒット・アクションの続編!』



本日、WOWOW猿の惑星:新世紀(ライジング)』が放送される。『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の続編となる本作は、前作で中心人物だったウィル(ジェームズ・フランコ)は登場せず、マルコム(ジェイソン・クラーク)が物語の牽引役となっている。てっきりウィルが再登場するかと思っていたのに、少々意外な展開にビックリ。そう、この映画の主人公はシーザー(アンディ・サーキス)なのだ。

映画の内容は「前作から10年後」という設定であり、人類は大幅に減少しているものの、まだ「猿の惑星」というほど猿が地球を支配しているわけではない。猿たちは森の中にコミュニティを作って生活し、人間は小さな街で暮らしている。この状態なら、十分共存が可能だっただろう。

しかし、人間たちは生き延びるために電力を必要としていた。そしてそのためには森にあるダムを稼動させる必要があったのだ。つまり、猿と人間が衝突する理由はあくまでも「生存」のためであり、エネルギーを確保するためなのである。

ここで問題は、「本当に衝突は回避できないのか?」という点だろう。猿たちは自分らの住処を必死に守ろうとするが、人間たちに必要なのはダムだけで、猿たちの居住空間を支配するつもりなどない。そして、猿のリーダーのシーザーも「仲間が大勢死ぬような争い」を望んでおらず、マルコムも平和的な解決を願っている。となれば、一見「穏やかな共存」が成立しそうな気がしなくもない。

だがこの映画は、そんな「誰も望まない戦争」が起きてしまう過程をリアルにシミュレーションして見せているのだ。この物語で直接的に争いを扇動しているのはシーザーの部下:コバだが、アクション映画によく出てくるような”争いを好む極悪人”ではなく、過去に人間から受けた仕打ちを恨んでいるだけで、人間さえ来なければ大人しく暮らしていただろう。

一方、人間側のリーダー:ドレイファス(ゲイリー・オールドマン)も、自分達の仲間や家族を守るために行動しているだけで、決して好戦的な性格ではない。このように、「大勢の人が平和を望んでいるのに、それでも戦争が起こってしまう恐ろしさ」を描いた点が、本作の凄さだと思う。

ほんの些細なきっかけで、雪崩のように事態が悪化していく恐怖。いったん悪い方向へ動き始めたら、リーダーが何をしても止められない。これはフィクションだけでなく、現実世界でも十分起こり得るから怖いのだ。SF映画で、しかも「猿VS人間」という構図でこういう話をリアルに描いたことが実に素晴らしい。


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