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リドリー・スコット監督作品『プロメテウス』を観た


■ストーリー『西暦2089年、エジプトやマヤ、メソポタミアなど世界各地の古代遺跡からある共通のサインが発見された。科学者のエリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)はそれを分析し、地球外知的生命体からの“招待状”と確信する。そして巨大企業ウェイランド社が出資した宇宙船プロメテウス号に乗り、人類の起源を探るべく“招待状”が指し示すはるか彼方の惑星を目指して旅立った。2093年、長い人工冬眠から目覚めたエリザベスの前についに目的の惑星が姿を現わす。彼女は一緒に旅をしてきた他の乗組員、パートナーのホロウェイや冷徹な女性監督官メレディスシャーリーズ・セロン)、精巧なアンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)らとともに調査を開始。やがて明らかに人工的に造られた遺跡を見つけ、その奥へと足を踏み入れる。しかし、そこでは地球の科学では計り知れない異常な出来事が彼らを待ち受けていた・・・!「エイリアン」「ブレードランナー」の巨匠リドリー・スコット監督が、「エイリアン」と同じ世界観を背景に描くSFミステリー超大作!』


リドリー・スコット監督の最新作『プロメテウス』を観て来ました。ロードショー公開は8月24日からなのでネタバレは書きませんけど、色々言いたいことがある映画なんだよねえコレ(苦笑)。そもそも、基本情報として「本作が『エイリアン』の前日譚」ってことを知っている人がどれぐらいいるんだろう?僕は以前から「リドリー・スコットが『エイリアン』の新作を撮るらしい」という噂を耳にし、過去の『エイリアン』シリーズも全部観ていたので、ある程度展開を予測できたんですが、知らずに観に来る人も結構いるんじゃないかなあ。

その原因がこちらの予告編ではないかと。↓

「人類はどこから来たのか」、「人類最大の謎、それは≪人類の起源≫」などと壮大なキャッチコピーで期待を煽りまくっていますが、予告編の中には『エイリアン』のエの字も出て来ません。これの何が問題かって言うと、この映画、アメリカではR指定なのに、日本ではPG12(12歳未満の観客は保護者同伴)になってるんですよ。で、実際に観てみると予想以上にグロいシーンが多くて、「こりゃ日本でもR指定にすべきだったのでは?」と思ったわけで。

もし、観客が事前に『エイリアン』の前日譚だとわかっていれば、グロいシーンも想定の範囲内なので何の問題もありません。しかし、宣伝の仕方が『エイリアン』の前日譚であることを敢えて強調していない、つまり本作が「グロいホラー映画である」ということをきちんと伝えていないのは少々マズいんじゃないかと。何も知らない人が観たら絶対びっくりしますよ。

なにしろ、予告編だけを見ると「ちょっと不気味なSFサスペンス」程度の印象しかないのに、少なくとも最低2回は「うわあああ!」と目を逸らしたくなるようなエグい場面が登場しますからね。それなりに心の準備をしておいた方がいいかも(笑)。実際、先行上映に来たお客さんの中には知らなかった人もいたようで、途中「うわっ!」という声が上がっていました。

そして、物語の基本構造も第1作目の『エイリアン』とほぼ同じです。主人公達が宇宙船に乗って未知の惑星に到着し、そこで謎の建造物を発見。内部を調査すると奇妙な物体に遭遇する。宇宙船へ戻ると乗組員の体に異変が起こり、更に会社から秘密の指示を受けたアンドロイドが不穏な行動を取りまくる・・・等。ショウ博士をリプリー、デイヴィッドをアッシュと考えれば、「ほとんど『エイリアン』のリメイク」と言って差し支えないかもしれません。


ただし、「『エイリアン』並みに優れた映画か?」と問われれば、答えは「NO」になるでしょう。ストーリーには納得できない部分が数多く見受けられ、キャラクター達の魅力にも乏しく感情移入しづらい。正直、初めて『エイリアン』を見た時の「息もつかせぬ面白さ」には遠く及びません。そして、何よりも残念だったのは「映像にインパクトが無い」こと。

個人的な見解になりますが、僕は「SF映画の優劣はビジュアルで全てが決まる」と思っています。もちろん、あまりにも話がくだらないSF映画は論外ですけど、基本的にSFの本質とは「誰も見たことが無い架空の世界を、説得力を持って描くこと」だと考えていて、そのためには「かっこいい映像が必要不可欠」だと思うのですよ(SF作家の野田昌宏先生も「SFはやっぱり絵(映像)だねぇ」という名言を残してるし)。

そういう意味で1作目の『エイリアン』は、プロダクション・デザインが圧倒的に素晴らしかった。もともとリドリー・スコット自身がCM業界から来た監督なので、映像表現のスキルが図抜けていたということもありますが、それ以前に『エイリアン』に登場する全てのデザインがメチャクチャかっこ良かったんです。

巨大な宇宙船の外観、宇宙船内部の環境、宇宙服の装飾、エイリアンの容姿など、ありとあらゆるデザインが極めて独創的かつ説得力に満ち溢れ、トータルで実に見事な世界観を作り出していました。いったいなぜ、そんなことが可能だったのか?『エイリアン』が他のSF映画とは異なる世界観を生み出せた要因は、その美術スタッフにあったのです。

通常、美術のデザイン等は映画業界内のデザイナーに仕事を依頼することが多い中、『エイリアン』では業界外の人材を積極的に起用。イギリスのSFイラストレーター:クリス・フォス(初期コンセプトアート)、アメリカの漫画家:ロン・コッブ(宇宙船デザイン)、スイスの画家:H・R・ギーガー(エイリアン・デザイン)、フランスの漫画家:メビウス(宇宙服デザイン)など、当時様々な分野で活躍していた世界各国のアーティスト達を集め、その才能をフルに発揮させました。そのおかげで、いまだかつてない独特の世界観が創造できたのです。


しかし、残念ながら『プロメテウス』には『エイリアン』ほどのビジュアル・インパクトが感じられません。宇宙船のデザインも特に斬新さはなく、船内の様子も過去のSF作品と大差なし。『エイリアン』ではわざと汚れた効果を導入してリアルな生活感を演出していたのに、本作ではそういうリアリティがほとんど見られずガッカリしました。映像表現に関しては他の追随を許さない程の実力者だったリドリー・スコットが、なぜこのような「平凡なイメージ」しか描けなかったのか理解に苦しみます。

しかも、時代設定は『エイリアン』が2122年、『プロメテウス』が2093年を舞台としているので29年前の物語であるはずなのに、どう考えても本作の方がテクノロジー的に進歩しているように見えるのはどうなのかと(まあ、ノストロモ号のテクノロジーが2122年にしては古過ぎるんですけどねw)。

というわけで、色々と残念な仕上がりになっている『プロメテウス』ですが、実は『エイリアン』のファンにとっては非常に重要な作品であることも間違いなく、なんと長年の謎だった”アレ”とか”ソレ”とかの秘密がついに解明される(かもしれない)のです。ぶっちゃけ、僕にとっては「人類の起源」なんかどうでもいいんですよ(笑)。そんなものより物語のクライマックスで”アレ”が登場した時のテンションの高まり具合たるや凄まじく、”アレ”を観るためだけに劇場へ行く価値がある作品だと確信しました(ただし『エイリアン』ファンに限る)。

まあ、問題の多い内容であることも確かで、数々のツッコミどころについては後日「ネタバレ・レビュー」で書きますけど、『エイリアン』の謎解きや”壮絶なラストシーン”などを含め、『ダークナイトライジング』とは違う意味で必見の映画だと思いますよ(笑)。


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