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ジェームズ・キャメロン監督『タイタニック』映画制作の真実


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて、僕はジェームズ・キャメロン監督が撮った『タイタニック』が大好きでして、劇場鑑賞後はLDやDVDも買いました(長い映画は家でじっくり観る方がいい)。さらにブルーレイになってからは、LDやDVDでは2枚組だったディスクが1枚になって鑑賞しやすくなってるのが嬉しいですね。2枚組はディスクを入れ換える手間が面倒なので(3D版が相変わらず本編2枚組なのはどうかと思いますが…)。

それはともかく、僕が『タイタニック』に魅かれる理由は(内容の素晴らしさは言うまでも無く)、この映画に懸けるジェームズ・キャメロンの執念とか情熱がハンパないからなんです。特に本作は、当時「史上最高の製作費!」などと謳われただけあり、”お金にまつわるエピソード”が尋常じゃありません。

もちろん、キャメロンの他の映画も製作費は高かったし、そもそもハリウッドの超大作映画はどれも予算の高騰で苦労しているというのは半ば常識なんですが、『タイタニック』はその中でも群を抜いて大変な撮影だったとか。では、いったいどれぐらい大変だったのでしょうか?というわけで本日は、映画『タイタニック』の知られざるマル秘エピソードや裏話的なトリビアをご紹介しますよ。


ジェームズ・キャメロン監督は『トゥルー・ライズ』(1994年)を撮った後、既に『アバター』の原案を思いついていました。しかし『アバター』はあまりにもお金がかかりすぎると判断。そこで、以前から興味を持っていた『タイタニック』の映画化に着手します。

当初、キャメロンは『タイタニック』の予算を8000万ドル程度と見積っていました。ギャラの高いハリウッド・スターを主演に迎えて作るような作品ではないため、法外な出演料を払わずに済む分、製作費を節約できるだろうと予測し、比較的安く上がる「手軽なつなぎ作品」ぐらいに考えていたのです。

しかし、その後もっと詳細な予算分析が行われた結果、1億2500万ドルという莫大な数字が弾き出されてびっくり仰天。これを聞いて20世紀フォックスは巨額の製作費に加え、「キャラクターグッズの販売が見込めない」とか「続編が作れない」などを理由に制作を拒否。『タイタニック』の企画はいきなり暗礁に乗り上げてしまいました。

「これで映画化は難しくなったな…」と思っていたキャメロンですが、ある日突然20世紀フォックス社内では大問題が勃発。97年の夏の目玉作品が無いことが判明したのです(実は、その夏に公開する予定だった某超大作映画がトラブルを起こして頓挫していた)。やむを得ずフォックスは『タイタニック』の制作許可を与えますが、ただし「97年の夏に間に合わせること」という条件付きでした。

ジェームズ・キャメロン曰く、「いきなりドカーンとロケットを飛ばすような勢いで始まった。『夏までに絶対完成させろ!』と連中はプレッシャーをかけてきたんだ。私としては、夏までの完成なら最低でも2カ月早くゴーサインが欲しかったところだが、その当時の私は何の報酬も無く、すでに2年間をこの作品のために費やしていたから、簡単に諦めるわけにはいかなかったんだよ」とのこと。


こうして、ようやく制作が開始された『タイタニック』でしたが、20世紀フォックスの不安は尽きません。すでにこの時点でハリウッド史上最高の製作費になりそうな気配が濃厚だったからです。まず、ジェームズ・キャメロンはフォックス側が提示してきた予算(1億ドル)に収めるために、思いつく限りのあらゆる経費を削減しました。なんと、自分の監督料の400万ドルさえ「そんなもんいらねえ!」と拒否したのですから驚きです。

しかし、それでも大幅に予算オーバーになることが確実視されていたため、フォックスは脚本からいくつかのシーンをカットするように要求。不満を感じながらも会社側の意見を受け入れたキャメロンは次々とシーンを削除していきました。しかし自分が完璧に書き上げたシナリオを崩していく作業は全く前向きになれず、「もうギリギリまで削り取ったよ。”ナイフが骨まで達した”って感じだった」と悔しさをにじませていたらしい。

そして、いよいよ本格的に撮影がスタート!すると、当初の予想よりも遥かに大規模な作業が必要なことが判明し、毎日もの凄い勢いでお金が飛んで行きました。たとえば、『ダイ・ハード』のようなスケールの大きなアクション映画でも、平均的な1日あたりの撮影コストは10万〜15万ドルぐらいとされています。

ところが『タイタニック』の場合は1日平均で22万〜25万ドル、最も大掛かりなシーンではなんと1日50万ドルもかかっているのですからたまりません。日々提出される状況報告書には信じられない金額が並び、プロデューサーは真っ青!ついにキャメロンは映画の収益配分を受け取る権利まで「放棄させてくれ」と言い出す有様。

ハリウッドでは通常、映画のヒットに応じて売り上げの何パーセントかを監督が受け取れる契約を結ぶ場合が多く、作品がヒットすればするほど自分の儲け(収益配分)が増える仕組みになっています。しかしキャメロンはこの権利までも放棄しました。つまり事実上、キャメロンはノーギャラで『タイタニック』を監督することになってしまったわけです。

そればかりでなく、「次回作『アバター』の収益配分の50パーセントをフォックスに差し出そう」と前代未聞の提案を切り出し、プロデューサーを仰天させました。キャメロンとしては「自分の見込みが甘かったせいでこんな事態になってしまい、本当に申し訳なく思っている。ただ、どうしてもこの作品を完成させたいんだ!」という気持ちが強かったのでしょう。

しかし、それでもまだまだお金が足りず、ついに自腹を切って費用の不足分を補い始めました。口座から全ての貯金を引き出し、あちこちから借金をしまくり、最後はとうとう自宅を売り払って映画の製作費に当てるという凄まじい状態に突入!ハリウッド史上初の「ホームレス映画監督」ですよ(笑)。どうやって生活してたんだろう?と思ったら、当時付き合っていたリンダ・ハミルトンの家に居候してたらしい、トホホ(この後リンダと結婚した)。

こういう破天荒なエピソードを聞くと、「ジェームズ・キャメロンって凄えな!」と思うんですけど、実は「映画を作るために自宅を売る監督」って意外と多いらしくて、故大島渚監督も『戦場のメリークリスマス』を撮る時に資金が足りなくなって、やむを得ず自宅を担保に1億円を借りたそうです(この業界では、むしろ当たり前の行為なのだろうか?)。

まあキャメロン監督の場合は、結果的に映画が大ヒットしたおかげで20世紀フォックスから特別ボーナスをもらい、家を買い戻すことができたそうですが、ここまで全身全霊を懸けて一つの映画に打ち込めるっていうのは「素晴らしい」というべきか「頭がおかしい」というべきか(笑)。いずれにしても、本当にとてつもない映画監督だと思います。


このように、ジェームズ・キャメロンの『タイタニック』に懸ける執念はまさに「狂気の沙汰」としか思えないんですけど、僕が本当に感銘を受けたのは『タイタニック』が決して完璧な映画などではなく、厳しい制作状況の下、「妥協に次ぐ妥協の末に生み出された作品だった」という点なのですよ。

世間的には、ジェームズ・キャメロン「徹底した完璧主義者」と言われ、「2億ドルもの製作費を湯水のように使って好き放題に映画を作った」みたいに思われているかもしれませんが、本当はそうじゃないんです。

20世紀フォックスからシナリオの削除を求められて泣く泣く大事なシーンをカットしたり、お金の掛かるCGやVFXのショット数を減らしたり、涙ぐましい倹約を強いられた結果、ようやく完成した映画が『タイタニック』だったのです。

つまり、最初にキャメロンが思い描いていたイメージよりもかなりグレードダウンした状態がコレなわけで、「じゃあ本来の姿はどんだけスゲーんだよ!?」って話ですよマジで。つくづく、ジェームズ・キャメロンのイマジネーションの素晴らしさには驚嘆せざるを得ませんねえ。


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