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『ターミネーター2』をもっと楽しく観るための制作裏話

27歳の新人映画監督ジェームズ・キャメロンがわずか650万ドルで製作したB級アクション映画『ターミネーター』は、1984年10月28日に公開された途端に想像を絶する大ヒットを記録し、全米を熱狂させた。それから7年後、史上空前(当時)の1億ドルという巨費が投じられ、待望の続編が作られる。その舞台裏ではどんなことが起きていたのか?衝撃のマル秘エピソードをご紹介!


●『ターミネーター』の権利を買い取れ!
ターミネーター』が大ヒットした後、ジェームズ・キャメロン監督の元には続編を望む声が多数寄せられていた。しかし当時、『ターミネーター』の権利は複数の映画会社が所有し、その中で続編製作の権利も持っていたヘムデール社に対してキャメロンが不信感を抱いていたため、パート2の話は進展しなかった。

ところがその後、ヘムデール社の経営状態が急激に悪化。それを察知したアーノルド・シュワルツェネッガーが『トータル・リコール』でタッグを組んだカロルコ社の社長:マリオ・カサールに「『ターミネーター』の権利を買い取れ」と持ちかけたのである。

そこでカロルコ社はヘムデール社から500万ドルで『ターミネーター』の権利を買い取り、さらに『ターミネーター』で製作と共同脚本を担当していたゲイル・アン・ハードにも500万ドルを支払った。こうして『ターミネーター2』製作に関わる全ての権利がクリアされ、正式に続編のプロジェクトが動き出したのである。

●劇場公開まで時間が無い!
1990年の5月、カロルコ社とジェームズ・キャメロン監督は『ターミネーター2』に関する契約を完了させた。しかし、カロルコ社は映画の全米公開を1991年7月に決定。このため前代未聞の超大作をわずか1年足らずで製作する事になってしまったキャメロン監督は、1日16時間の超過密スケジュールで脚本を書きまくり(通常なら最低でも2カ月はかかるのだが)、たったの6週間で最終稿を完成させた(ウイリアム・ウィッシャーとの共同執筆)。

●シナリオも読まずに出演を即決
キャメロン監督によれば、『ターミネーター2』のキャスティングは最初からアーノルド・シュワルツェネッガーリンダ・ハミルトンの出演が絶対条件だったという。もし2人のうち、どちらか一人でも出演できないなら企画そのものを放棄しようと考えていたらしい。

しかし続編の製作が決定すると、2人ともシナリオも読まずに契約書にサインした(というより、この時点ではまだシナリオが完成していなかった)。特にリンダ・ハミルトンは、他の映画の主演がほぼ決まりかけていたにもかかわらず、その仕事を蹴って『ターミネーター2』を選択するほどの熱の入れようだったとか(後に結婚したことを考えると、単にキャメロンと仕事がしたかっただけかもしれない)。

ちなみに、キャメロン監督はリンダ・ハミルトンを説得するために、電話で『ターミネーター2』のあらすじを語ったそうだが、その内容は「君の息子が悪いターミネーターの標的になってて、君は精神病院に入院している。息子はいいターミネーターと組んで君を助け出し、そしてみんなで世界を救うんだ!」という、近所の中学生が考えたようなアバウトすぎるものだったらしい(こんな説明で、よく契約書にサインする気になったなあw)。


リンダ・ハミルトンの役作りがリアルすぎてカットされた?
とにかく、『ターミネーター2』に対するリンダ・ハミルトンの意気込みは尋常ではなかったようで、”女戦士サラ・コナー”に成り切るために徹底的な肉体改造を施した。それだけでなく、鍵を開ける場面も実際にピッキングの方法を学んでから撮影に挑んだらしい。

つまり、彼女が病院から脱走する時のピッキングは”本物の技術”ということになるわけだが、なんとそれが問題となり、イギリス公開時にはそのシーンがカットされてしまったという(まさか役作りがリアルすぎてカットされるとは…)。


●素人の少年をスカウト
サラ・コナーの息子のジョン・コナー役には、13歳のエドワード・ファーロングが抜擢された。当時、役者の経験など全くないド素人だったエドワード少年は、キャスティング担当者のマリ・フィンが「ハミルトンとマイケル・ビーンに似た少年」を探すべく、あちこちのボーイズクラブを訪問していた時に偶然見つけた子供で、直感的に「ジョン・コナーのイメージにぴったりだ!」と判断。

すぐに彼に近寄って、「実はこういう映画を作るんだけど、この役をやってみない?」と話しかけた。さらにマリ・フィンは(キャメロンに見せるために)持っていたポラロイドカメラエドワードの写真を何枚も撮影。しかし、エドワードが家に帰って両親にそのことを話すと、二人は物凄く嫌そうな顔をしたという(どうやら児童ポルノのビデオ撮影と勘違いしていたらしい)。


●T-1000はパンクロッカーだった?
アーノルド・シュワルツェネッガー扮するターミネーター:T-800と戦う敵ロボット:T-1000の役は、当初はビリー・アイドルが予定されていたという。ビリー・アイドルといえば、イギリスのパンクロック・ミュージシャンとして多くのヒット曲を生み出した他、1991年の『ドアーズ』や1998年の『ウェディング・シンガー』など、俳優として映画にも出演している。

しかし、ロバート・パトリックのオーディション用ビデオを見た瞬間、ジェームズ・キャメロンは彼の独特な雰囲気を気に入った。その後、直接ロバートの演技を見るために対面したところ、彼がキャメロンと同じくロジャー・コーマン監督の映画に関わっていたことを知ってすっかり意気投合。こうして正式にT-1000の役はロバート・パトリックに決定したのである。


●『ターミネーター2』の予告編は『機動警察パトレイバー』を観て思い付いた?
ターミネーター2』の特殊効果は、1作目と同じくスタン・ウィンストンが担当することになった。ウィンストン曰く、「キャメロン監督は、もう狂っているとしか思えないような、何百種類もの不可能な効果を提案してきた。『T2』の最初の2分間に書き込まれた効果だけでも、1作目の映画全体の効果より多かったんだよ」とのこと。

さらにキャメロンは、ウィンストンに「『T2』の予告編を撮ってくれ」と依頼した。映画のワンシーンを抜き出しただけの、よくある普通の予告編は作りたくなかったからだ。ウィンストンはわずか14万ドルの予算で「ターミネーターが工場で大量生産されている映像」を撮るために、1作目で使用したパペットを再利用し、たったの5日間で予告編を完成させたのである。

ちなみに、この予告編を依頼する直前、キャメロンは『アビス』の宣伝のために来日しており、その時、押井守監督の『機動警察パトレイバー the Movie』を観て「これは素晴らしいアニメだ!」と大感激、『T2』の予告編を作る際の参考にしたという。つまり、ベルトコンベアーで大量生産されるT-800のイメージは、『機動警察パトレイバー』から影響を受けたものだったのだ。


●火傷しそうになったT-1000
ターミネーター2』はCGを本格的に導入した初の映画だったため、その撮影は困難を極めた。中でも苦労したのは「T-1000が炎の中から現れて歩き出すシーン」である。当初はモーション・コントロール・カメラで撮影し、ロバート・パトリックと背景を後で合成する予定だったが、何度やってもうまくいかない。

そこで、実際にロバートを現場に立たせて撮影することになった。しかし、周囲が炎に包まれた中を歩くのはかなり危険だったらしい。ロバート曰く、「監督に”火傷しない程度でいいから、なるべく火に近付いてくれ”と言われたので、思い切って近付いたんだけど、ちょっと奥に入りすぎてしまった。気が付いたら四方八方を炎に包まれていて、これは危ない!と思ったよ。物凄く熱くて服が焦げる匂いまでしてきたし、皮膚の表面が痛くなってきて…。」

「自分がじわじわと唐揚げになっていくような気がして、ゆっくり歩かなきゃいけないのに、歩調が段々と速くなってしまった。その撮影が終わった瞬間、監督が走って来て、”ロバート、君の献身的な演技にはすごく感謝する。でも今のはやりすぎだ。今度はあんなに奥まで入らないでくれ”って言われたよ(笑)」

●小峯隆生の名演技
T-800とT-1000が初めて交戦するシーンは、サンタモニカのショッピングセンターで撮影された。このシーンに登場する「ターミネーター同士の銃撃戦に巻き込まれて殺される男」の役を演じていたのが、フリーライターの小峯隆生だ(彼はキャメロンと仲が良く、次回作の『トゥルーライズ』にも出演している)。

しかしこれが結構大変で、登場時間は一瞬だが撮影自体は5日もかかり、そのうち3日間は死体役としてずっと床に寝転がっていなければならなかったらしい。その様子を見たアーノルド・シュワルツェネッガーは、「お前の演技は最高だ!あんなにベッタリと床にへばりついてカエルみたいに死体を演じられるヤツなんて他にいないよ!」と笑っていたそうだ。


シュワちゃん、ガンアクションで指を骨折?
映画前半、T-800がバイクに乗りながらウィンチェスターM1887のソードオフモデルを撃つシーンでは、コッキングレバーを中心に銃全体をグルッと回転させて弾を装填する「スピンコック」という技を披露している。元々は西部劇などで使われていたテクニックだが、銃オタクのジェームズ・キャメロンはそれを現代に復活させたのだ。

このシーンがあまりにもカッコ良かったため、モデルガンを使ってマネしようとする人が続出したらしいが、はっきり言ってオススメできない。なぜなら銃自体が非常に重く、片手で回転させるには相当な腕力が必要で、しかも指を入れるフィンガーループが小さくてまともに回せないからだ。

実は劇中のウィンチェスターは、アーノルド・シュワルツェネッガーが回転させ易いようにとフィンガーループの部分を大きめに改良していたらしい。ところが、ある日の撮影でうっかり別のショットガンを選んでしまったシュワちゃんは、回転させた時に3本の指を骨折しそうになったのである。ウィンチェスターM1887を回す時は十分気を付けた方がいいだろう。

●前代未聞の大爆発!
映画中盤、砂漠で昔の仲間と合流したサラ・コナーは安堵と疲労で眠りに落ち、核戦争の悪夢を見る。このシーンは、ロサンゼルスの街並みを忠実に再現したミニチュア・ビルを大量に作り、5台の強力なエア・キャノンを使って一気に吹き飛ばしながら撮影された。

しかし、核爆発の場面は「実際に大きな爆発を起こした方がリアルだろう」との判断で、西部のモハーヴェ砂漠にあるエル・ミラージュ湖の干上がった湖底に花火用の打ち上げ台を14個設置。80ガロンのガソリンを使ってとてつもない規模の爆発を起こしたそうだ。

その大きさは、地上で直径65フィート、それが燃え広がって85フィートに拡大。さらに火の玉は250フィートも上空に上がり、スタッフは「いい映像が撮れた」と大満足。ところが、あまりにも爆発が巨大だったため、驚いた住民が消防と警察に通報して大騒ぎに!凄まじい爆音と火柱を見て「飛行機が墜落した」と勘違いしたらしい。


リンダ・ハミルトンシュワちゃんの下ネタにウンザリ
リンダ・ハミルトンは、『T2』の撮影中いつもイライラしていた。アーノルド・シュワルツェネッガーが常に下ネタを連発していたからだ。彼女はロケバスの中で何時間も一緒に過ごしていた時のことを振り返り、「アーノルドがまだ子供のエディ(エドワード・ファーロング)に、”女性を喜ばせる秘訣”なんかをレクチャーしてるのよ。そんな会話を聞きながらずっと座っていなきゃならないなんて、本当に苦痛だったわ」と語っている(シュワちゃん、完全にセクハラ親父だなw)。

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