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『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』ネタバレ感想


■あらすじ『最弱ヒーロー“キック・アス”と美少女助っ人“ヒット・ガール”の活躍で、フランク・ダミコ率いる極悪犯罪組織が壊滅して3年。一度はキック・アスのマスクを脱いだデイヴだったが、再び正義の心に目覚め、本物のヒーローを目指して復活。元マフィアのヒーロー“スターズ・アンド・ストライプス大佐”と出会い、ヒーロー軍団“ジャスティス・フォーエバー”を結成する。一方、前回の戦いで父を失い、父の親友マーカスに引き取られたヒット・ガールことミンディは、彼女の幸せを願うマーカスから、普通の高校生として生きるよう約束させられていた。そんな中、キック・アスに父フランクを殺され復讐に燃えるレッド・ミストは、”マザー・ファッカー”と名を改め、世界中から一流の暗殺者を集めて恐るべき悪党軍団を結成する。果たしてキック・アスとヒット・ガールの運命は?世界中のアメコミ映画ファンから熱狂的に迎えられたバイオレンス・ティーンズ・アクション映画の待望のパート2!』



前作『キック・アス』は2010年に公開されると、単館上映にもかかわらず口コミでその面白さが拡がり、わずか4館だった公開館数が70館以上に拡大するスマッシュ・ヒットを記録。そして当時12歳だったクロエが演じたヒット・ガールは、その可愛らしい外見からは想像もつかないぐらい口汚いセリフを吐きまくり、容赦ないやり方で敵をぶっ殺すという強烈なキャラクターで爆発的な人気を博しました。

そんな前作から3年後という設定のキック・アス/ジャスティス・フォーエバー。果たしてあのボンクラヒーローは今回どんな活躍を見せてくれるのでしょうか?そしてクロエ・グレース・モレッツちゃん演じるヒット・ガールはその後どうなった?というわけで、気になる続編の感想をネタバレありで書いてみます(^.^)

この映画では多数のキャラクターが登場しますが、物語を牽引する人物は大きく分けて3人。主人公のキック・アス、毒舌美少女ヒット・ガール、そしてバカ丸出しのレッド・ミスト。”マザー・ファッカー”と名を変えたレッド・ミストは「打倒キック・アス」に執念を燃やし、キック・アスは再び悪と戦うことを決意してヒット・ガールの復活を願い、そしてヒット・ガールは「ヒーローか普通の人生か?」で思い悩むという、三者三様の葛藤を描いています。

そんな本作最大の見どころは、やはりなんといってもヒット・ガールでしょう。クロエ・グレース・モレッツちゃん、くそかわええ(笑)。前作の撮影時は役柄の設定と同じ11歳だった彼女も、流石に年齢と共に成長はしているものの、その可愛らしさは相変わらずの輝きを放っており、観る者のハートをガッチリ掴んで離しません!

前作同様、激しいアクションシーンも見せてくれますが、今回は「ヒーローを辞めて普通の女の子になろうと努力するミンディの姿」が描かれ、切なく揺れ動く乙女心をバッチリ堪能できますよ。

しかし、幼い頃から徹底的に”殺しの英才教育”を受けてきたミンディには、”普通の女子高生”がどんなものなのか良く分かりません。相変わらず、街のチンピラをシバき倒したり、紫のバイクを暴走させたり、やりたい放題の日々を過ごしています。

そこで、保護者のマーカスが「お泊り女子会」をセッティング。同級生と仲良くさせることで、どうにか”普通の女子高生”になってもらおうと画策しました。ところが、女友達のチョイスを間違っていたらしく、話の内容が噛み合わないばかりか、妙な敵対心まで持たれてしまい、陰湿なイジメを受けることに…

初めてのデートでオシャレに着飾ったミンディを待ち受けていたのは、なんと”真夜中の森へ一人で置き去り”という酷い仕打ちでした。可哀想なミンディは泣きながら歩いて街まで戻り、デイヴの部屋を訪れます。彼女の悩みを聞き、「君は誰よりも賢いしカッコいい。君はヒット・ガールなんだ」と励ますデイヴ。

翌日、綺麗な服を着たミンディはイジメ女子グループに近づき、「触るとゲロを吐く棒:通称ゲロゲリ棒(町山智浩訳)」で彼女たちに制裁を加えます。棒が触れた瞬間、盛大にゲロを撒き散らし、壮絶にゲリ便を垂れ流す女子高生!校内は阿鼻叫喚の地獄絵図!なんてエゲツない仕返し方法なんだ、オエエ〜(^_^;)

一方、主人公のキック・アスは相変わらずキャラが薄いというか、いろいろ迷走してますね(苦笑)。前作では、マンガ好きのオタク青年がひょんなことから正義に目覚め、ネット通販でヒーローの衣装と武器を買い込み、街の悪人達にボコボコにやられながら、それでも己の信念を貫くうちに、やがて本物のヒーローへ成長していくという、ひたむきな姿が感動的に描かれていました。

それはまさに、「ボンクラなオタクがヒーローにクラスチェンジする」というギークの願望を具現化した瞬間であり、だからこそ多くの映画ファンから喝采を浴びたのですよ。

ところが、今回の主人公は最初から普通にリア充です。素顔も結構イケメンだし、激しい筋トレのおかげで体もマッチョだし、「お前、まあまあモテるだろ!?」って感じが濃厚なんですよ。実際、前作では彼女まで出来てたし、今回も同じヒーロー軍団の女性キャラ(ナイト・ビッチ)といい関係になって毎日セックス三昧。

おまけに、大勢のヒーロー仲間にも恵まれ、”オタクでぼっち”という負の属性から見事に脱却しています。もう完全にボンクラ指数が下がっていて、かつてのダメ人間ぶりはどこにも見えません。それどころか、すっかりリア充生活を満喫してやがるんです。これは正直残念でしたねえ。

それから、主人公に関するエピソードが、かなりダークな方向にシフトしているのも気になりました。今回、レッド・ミスト(マザー・ファッカー)は父親を殺された復讐を果たすためにキック・アスを捜していますが、その過程でデイヴの父が警察に捕まり、署内でマザー・ファッカーの手下に殺害されてしまうのです。

これって、スパイダーマンがグリーンゴブリンを殺し、その息子のハリー・オズボーンがスパイダーマンを恨んで復讐する構図と全く同じなんですね。たしかに昨今は、『ダークナイト』にしても『マン・オブ・スティール』にしてもこういう暗い話が多いです。ただ、個人的には「もういいじゃん」って感じなんですよ。

おまけにデイヴは、「こんなことになったのは全て僕の責任だ。もう僕で終わりにしたい」と”復讐の連鎖”を断ち切る決意をしているのに、結局最後はマザー・ファッカーのアジトへ乗り込んでいるのです。やっぱ復讐してるじゃん!軸がブレてるなあ(^_^;)

逆にレッド・ミストの方はますますバカが加速してるというか、前作よりもさらに中二病をこじらせててヤバい感じになってます(笑)。自らを”マザー・ファッカー”と名乗るわ、自分の部下に”ブラック・デス”とか”チンギス・半殺し”とか名付けるわ、ネーミングセンスが尋常じゃないよ(苦笑)。

他の二人は年相応に成長してるのに、どうしてこいつだけ知能指数が低いままなんだろう?まあ、それがこのキャラの特徴でもあるわけだし、全く軸がブレないバカさ加減はむしろ賞賛に値するかもしれません(笑)。

その他の注目キャラは、ジム・キャリー演じるスターズ・アンド・ストライプス大佐が、正義の組織”ジャスティス・フォーエバー”の隊長として新登場。ただし、マスクを外してもジム・キャリーと気付かないぐらい特殊メイクがてんこ盛で、ぶっちゃけ「ジム・キャリーじゃなくてもいいんじゃね?」という感は否めません。行動にも特筆すべき点が見当たらず、どっちつかずの中途半端なイメージが…。

立ち位置的には前作のビッグ・ダディに相当するポジションだと思うんだけど、キック・アスやヒット・ガールに対してほとんど何の影響も及ぼしていないというか、この人の存在って、ドラマ的にあまり重要じゃないんだよねえ(見た目はインパクト抜群なんだが)。

いっそのこと、正義感が暴走しすぎてとんでもないことをやらかすとか、あるいは逆に物凄くいい人で誰かを助けるために命を落とすとか、どちらか極端な方向に振り切った方が良かったのでは?

一方、敵側で最も異彩を放っていたのは、女性ボディ・ビルダーのオルガ・カーカリナ演じるマザー・ロシアです。作中で随一の怪力を誇る彼女は、素手でパトカーのドアを引きちぎってぶん投げるわ、芝刈り機を車に突っ込ませて警官を惨殺するわ、やりたい放題の大暴れ!

もう、ターミネーターロボコップを両方同時に相手にしても互角の戦いを繰り広げるんじゃないかと思うほどの無双ぶりですよ。あまりにもマザー・ロシアが強すぎて、他の敵キャラが全然印象に残ってませんけど(笑)。

というわけで、前作よりもキャラクターが増えている割には一人一人の掘り下げが浅く、残念ながら期待していたほどの爽快感は得られませんでした、トホホ。肝心のクライマックスも、父親を殺されたデイヴが敵のアジトへ乗り込み、彼を助けるためにミンディは再びヒット・ガールに戻る、という展開ですが、これって1作目の二人の立場を逆転させただけじゃん!

つまり今回の物語は、”普通の女子高生”になることを強要されたミンディが、自分のアイデンティティーに思い悩むものの、最終的にヒット・ガールとして生きる道を選択するという成長ドラマだったのですよ。まあ、これはこれで面白いけど(^_^;)

またアクションの方も(予算がアップしたので豪華になっているが)、前作のようなスタイリッシュな銃撃戦が無くなり、殴ったり蹴ったりナイフで刺したり、肉弾戦がメインになっているのが残念。

ヒット・ガールとマザー・ファッカーの一騎打ちは迫力があって良かったけど、エンターテイメント的には、できれば最後に派手な大爆発が欲しかったなあ。ヒット・ガールが乗り回す紫のドゥカティも、出すなら出すでもっと活躍させればよかったのに。

ストーリー上で一番納得できなかったのは、デイヴの友人トッド(アス・キッカー)の行動ですねえ。デイヴたちから仲間外れにされたことを逆恨みしてマザー・ファッカーに近づき、デイヴの父の情報を教えてしまう。

その結果、父が殺されてしまったというのに、トッドは平気な顔してデイヴたちを助けているのですよ。お前のせいで主人公のお父さんが死んでるのに、何だその態度は?少しは反省しろ!(`Д´) ムキー!

などと色々不満点を挙げてしまいましたが、続編映画の作りとしてはなかなか手堅く仕上がっており、決してダメな作品ではありません。前作のキャラクターに思い入れがある人、特にヒット・ガールのファンにとっては素晴らしいシーンも多く、そういう意味ではまさに”見どころ満載”と言えるでしょう。

ちなみに僕の好きな場面は、全ての戦いが終わり、デイヴとミンディが会話するラストシーン。彼女はマーカスの元を離れ、ヒット・ガールとして生きていくことを決意しますが、立ち去る前にデイヴに突然キスをします。しかも驚くデイヴに対してちょっと照れながら「私のファーストキスなんだからね!笑ったらぶっ殺すよ!」とまさかのツンデレ発言。超かわえええ!

そして紫のバイクに乗ってミンディは走り出し、その後ろ姿を見送りながらデイヴのモノローグが流れます。「現実にはヒーローなんて存在しない。でも、この世にはヒーローが必要なんだ」というセリフに被さるように、マスクを脱いで素顔を晒したヒーローがひったくり犯人を捕まえようと走り出す姿が映る。

さらに次の戦いに備えて体を鍛えるデイヴと、その側には鉄製のキック・アスのマスクが…。エンディング後にはサメに喰われながらも生き延びたマザー・ファッカーが映ってるし、まだまだ続編を作る気満々みたいですねえ(^_^;)


RAH HIT-GIRL Ver.
メディコム・トイ (2014-02-28)


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