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当麻と瀬文の最後はどうなった?朝倉って誰?映画『SPEC 結(クローズ)』衝撃のラストシーンを考察

■あらすじ『セカイの目的は?プロフェッサーJの正体は?数々の謎を残して幕を閉じた「漸(ゼン)ノ篇」の続きを描く待望の後編。世界は破滅の道へと突き進み、現人類の歴史に終止符が打たれようとしている。当麻紗綾と瀬文焚流は”ファティマ第3の予言”を食い止めることはできるのか?そして、全ての謎は明らかにされるのか?今、人類の存亡を懸けた最終決戦が始まった!特殊能力スペック(SPEC)を持った恐るべき犯罪者:スペックホルダーに立ち向かう未詳事件特別対策係(ミショウ)捜査官の活躍を描いた人気シリーズの完結編!』



人気ドラマ『SPEC』シリーズの完結編となる劇場版『SPEC〜結〜 爻ノ篇』がついに公開されました。オープニング2日間の成績は、観客動員数39万3522人、興収4億3854万7100円という好スタートを記録。これは『漸ノ篇』対比で、動員が113.7%、興収が95.7%という高水準です。しかも『漸ノ篇』はいまだに6位で稼働しており、すでに興収20億円以上を稼いでいるので、2本合わせて50億円以上を記録する可能性が出て来ました。長く続いてきたこのシリーズも大ヒットで有終の美を飾れそうですね(^.^)

で、観てきた感想なんですけど、さすがに完結編だけあって、今まで観客を悩ませてきた数々の謎がついに解明されてます。「ソロモンの鍵」や「ファティマ第3の予言」など、意味深なキーワードで観る者の知的好奇心を激しく揺さぶり、破天荒なキャラクターや先読みできないストーリー展開で人気を博した『SPEC』シリーズは、果たしてどんな結末を迎えるのか?そこが一番気になってたんですが、ファンにとっては衝撃的な場面の連続で、「おお〜!」と驚愕すること間違い無しでしょう。

当初、『SPEC』のテレビシリーズが始まった時は、「身近で起きた不思議な事件を調べるうちに超能力者の存在が明らかになる」という、割と小規模なSFドラマでした。ところが、回を重ねるごとにどんどん謎が増えていき、物語のスケールも驚異的な勢いで拡大しまくり。ついには、全人類の存亡を懸けた最終戦争(ハルマゲドン)が勃発するという、途方も無い結末へと辿り着くのです。最初は「マニアックな小ネタやギャグ満載のお気楽超能力バトル」として見ていたのに、まさかこんなシリアスなドラマになるとは想定外でしたねぇ(^_^;)

今回の『爻ノ篇』は正直ちょっと微妙な部分も感じられました。完結編なので今までの謎が解き明かされる反面、必然的に説明セリフが多くなり、ストーリーの進展が停滞しているからです。さらに舞台がほとんど警視庁の屋上から動かないため、場面の変化に乏しいのですよ。その辺が「少し残念だったなあ」と。せっかく過去のスペックホルダーが勢揃いしたのに、大して活躍しないうちにあっさりやられてしまうのもどうなのかと思ったり(もっと見せ場が欲しかった…)。

とは言え、直径16mの円形セットの周囲360度にグリーンバックを張り、東京の街が壊滅する様子を計800カットに及ぶCG合成で再現したクライマックスシーンはさすがに圧巻のスケールでした。しかも、バックにはチェコプラハで録音した70人以上の大編成フルオーケストラが鳴り響くという壮大さ!最後を飾るに相応しいド迫力でしたねぇ。

ラストの展開に関しては色々批判もあるみたいですけど、まぁだいたい事前の予想通りだったのではないかと(笑)。『ジョジョの奇妙な冒険』が大好きな堤幸彦監督のことだから、何か『ジョジョ』ネタを絡めてくるんだろうな〜と思っていたら、やっぱり『ジョジョの奇妙な冒険:第6部ストーン・オーシャン』の最終話のネタ(メイド・イン・ヘブン)をブチ込んできたという(笑)。

『ストーン・オーシャン』を読んだことがある人にはお馴染みの、「パラレルワールド」とか「一巡した世界」とか、まあそういうオチになるわけです(『ジョジョ』シリーズはこの後『スティール・ボール・ラン』や『ジョジョリオン』などのパラレルワールドへ繋がっていく)。これって、SF用語を理解してないとちょっと分かり難いかもしれませんが、個人的にはいい終わり方だと思いました。

そして何と言っても、当麻と瀬文の関係性が素晴らしい!若い男と女が主役を務めていれば、徐々に恋愛モードへとシフトし、やがて二人の愛が感動的に燃え上がる…というお約束のパターンに陥りそうなものですが、『SPEC』では最後まで二人の間に恋愛感情が芽生えません。もはや”愛”などというありきたりな感情を超越した”揺ぎ無い信頼感””絶対的な絆”みたいなものが彼らの中で完成しているのですよ。

これまでの物語の中で僕が印象に残っているシーンは、『SPEC天』の「当麻と瀬文がビルの屋上で会話を交わす場面」です。左手のスペックを使う度に次第に能力を制御できなくなり、やがて”怨霊”に体を乗っ取られそうになる当麻。

そしてついに彼女は、瀬文に向かって銃を発砲してしまいます。弾丸が頬をかすめ、反射的に銃を構えて当麻に狙いを定める瀬文ですが、結局撃つことはできません。正気を取り戻した当麻は「なぜ、私を撃ち殺してくれなかったんですか?」と瀬文に尋ねました。瀬文は答えます。「俺にお前は撃てん。俺は刑事失格だ」と…。

このシーンを受けて、今回の『爻ノ篇』では瀬文は残酷な決断を迫られるわけです。目の前にはもがき苦しんでいる当麻の姿。でも、スペックを持たない自分には助ける術がない。ただ一つ出来ることは、手にした銃で彼女の命を絶ち、苦しみから解放してやることだけ。長い葛藤の末に、辛くて悲しい決断を下す瀬文。「来世で待ってろ」という万感の想いを込めた彼のセリフが本当に切なくて泣けました!。゜(゚´Д`゚)゜。ウァァァン

この後、”ソロモンの鍵”が発動して別のパラレルワールドへ飛ばされた瀬文は、駆け付けた大勢の刑事から殴る蹴るの暴行を受けます。このシーンがまあ異様に長くて、瀬文は延々とボコボコにされ続けるんですね。なぜこんなに長いのかと言うと、瀬文の”贖罪”だからです。自分は当麻を守ることができなかった。そればかりか、自らの手で彼女を撃ち殺してしまった。更に「お前の抱えてる痛みや想いはお前だけのものじゃねえ。俺も共に抱えて生きていく」と誓ったのに、約束を果たせなかった。

そんな自分自身に対する激しい怒りと、死んだ当麻に対する懺悔。そして、掛け替えのない大切な仲間を失ってしまった辛さや悲しみ。それら全ての想いに対し、自分の体を痛め付けることで償おうとしていたのです。だから全く抵抗することなく、ひたすら殴られ蹴られ、ボロボロにされ続けていたのですよ。おそらく、この時の瀬文は体の痛みよりも心の痛みの方がずっとずっと大きかったでしょう。

そして、過剰な暴行を受けて意識を失う刹那、瀬文は空中に漂う当麻を見つけました。あれは現実?それとも幻なのか?いや、幻でもいい。もう一度、彼女に会いたい…!切ないほどの願いを込めて空に手を伸ばす瀬文。そんな瀬文の願いが通じたのか、留置所で瞑想している彼の側に当麻の霊体が現れ、お互い見つめ合うシーンで物語は幕を閉じます。無間地獄に堕ちた当麻の姿は誰にも見えず、存在も認識されません。でもこの世でただ一人、瀬文だけは彼女がそこに居ることを知っている。当麻にとっては、きっとそれだけで幸せなのだろうと思いました。

というわけで、ここから先は”謎”の解説です。「SF的な知識が無いからよくわからん!」という部分も含め、今回解明された数々の謎について自分なりに検証してみましたよ。合っているかどうかは保障できませんが、何かの参考になれば幸いです(^.^)


●セカイの目的
『SPEC天』から登場した謎の白服男:セカイ。その正体は、遥か太古の昔から地球に存在していた先人類だった。彼らは超巨大生命体ガイアのもと、全ての自然現象と会話し、全ての生物と魂を通わせて生きていたという。スペックホルダーとは、ガイアの意志と会話する能力を持った古き先人類とその末裔のことらしい。

ところが、そこへ宇宙から隕石に乗ってやってきたアミノ酸が地球の生物のDNAに組み込まれて一気に勢力を増やし始める。それが今の地球人、つまり現人類だ。生殖機能と利己主義だけ発達し、感性や知能は低下し、ガイアと会話する能力まで失った劣化種族の現人類が、様々な権謀術を使って先人類を滅亡へ追い込んでしまう。だからセカイは奪われた地球を取り戻そうとしていたのだ。

『SPEC 翔』の御前会議の会話シーンで「ドーキンス『生存機械論』を発表して40年も経たないうちに、DNAが一つの終着点に辿り着くなんて…」、「ファティマ第三の予言とはやはりこの事だな」というやり取りが出てくる。『生存機械論』とは、「我々人間を含めた生物個体は遺伝子が自らのコピーを残すために一時的に作り出した”乗り物”に過ぎない」という考え方で、イギリスの進化生物学者リチャード・ドーキンスが提唱した理論だ。セカイは、そんな利己的なDNAに操られている現人類が許せなかったのだろう。

卑弥呼の正体
卑弥呼もセカイと同じく先人類の末裔である。しかし、セカイが現人類を”侵略者”と見なしていたのに対し、卑弥呼「我々が滅びたのはガイアの意思だ」と主張。ガイアによって生み出された当麻を助けることで、ガイアの意思を尊重しようとしていたらしい。なお、能面の下の素顔は事前の予想通り北大路欣也だった。

●青池潤の正体
セカイや卑弥呼と同じく先人類の末裔で、本来は実態を持たない霊的存在だが、何度リセットしても同じ結末を迎える世界に嫌気がさし、「毎回同じシナリオでも役者が違えば違うエンディングになるのでは?」と考え、今回はわざと現世に生まれて、人の形を得たらしい。なので、銃で撃たれたりナイフで刺されれば普通の人間と同じように死んでしまう(ただし、その魂は滅することなく次の世界へ生まれ変わる)。

●プロフェッサーJの正体
「湯田秀樹が怪しいんじゃね?」と公開直後から噂されていた通り、その正体は湯田(ユダ)秀樹だった。しかし、湯田も結局は先人類の末裔だったわけで、なぜサブアトラスの計画に加担してシンプルプランを作ったりニノマエのクローンを開発していたのか疑問が残る。

考えられる可能性としては、湯田秀樹は元々科学者として中国側の秘密組織に所属しており、様々な研究をおこなっていたが、それをセカイが嗅ぎ付け、八咫烏(ヤタガラス)に命じて湯田の体を乗っ取り、破壊させたのではないだろうか。

中国側は強力なスペックホルダーのニノマエを大量にコピーし、人間兵器として使用するつもりだったので、セカイが「我々先人類の仲間をコピーして戦争の道具に利用するなど絶対に許せん!」と怒り、クローンニノマエを消滅させたと考えられる。

●ガフの部屋
「ガフの部屋」とは、ヘブライ人の伝説にある”神の館にある魂の住む部屋”のこと。新たに生まれる者はここで魂を1つ授けられ、新しい生命として現世に誕生する。湯田は「輪廻の部屋」または「冥界」と称しており、抹殺したスペックホルダーの魂を来たるべき”復活の儀”に備えて回収していたらしい。

ソロモンの鍵
ガフの部屋に回収された魂は、そのままでは現世へ復活することができない。そこで、先人類の魂をこの世界に戻すゲートを司る躯体として”ソロモンの鍵”が必要になる。霊体を全て引き受けて実体を与えるのがソロモンの鍵の役目。すなわち、ソロモンの鍵とは当麻自身の体であり、彼女を依り代(よりしろ)とすることで負の霊体から正の実体へ魂を反転させようとしていたのだ。

ソロモン72柱
今回、当麻はスペックを使って大量の八咫烏(ヤタガラス)を呼び出しているが、湯田は「八咫烏あるいはソロモン72柱」と呼んでいる。悪魔や精霊を呼び出す魔導書:ゴエティアには、ソロモン王が使役したといわれる72体の悪魔を呼び出す手順が記されているらしい。つまり当麻は、知らず知らずのうちに冥界のゲートを開き、大量の悪魔をこの世へ召喚していたのだ。

八咫烏
八咫烏の「咫」は長さを表わす単位で、それ1字では「あた」と読み、「八咫(やあた→やた)」で「大きな」という意味になる。字義的には大きなカラスということだが、伝承では「3本の足を持つカラス」として描写された。『古事記』や『日本書紀』によると、神武天皇が東征の際に、高皇産霊尊によって八咫烏が遣わされ、熊野国から大和国への道案内をしたとされている。

一般的には”神の使い”と考えられている八咫烏だが、『SPEC』では”不吉な使者”として描かれている様子。セカイによれば、「八咫烏が人間の欲望と疑念をくすぐっている。やがて世界中で核戦争が起こるだろう」とのことなので、人類を破滅へ導く悪魔の手先であるらしい。

なお、テレビドラマ版『ケイゾク』の第1話にも八咫烏が登場しており、「先人類の末裔は八咫烏を引き連れてこの世に現れる」ということを暗示している。驚くべきことに、堤幸彦監督はこの時点で早くも『SPEC』のラストシーンを思い付いていたという。堤監督曰く、「『ケイゾク』の第1話を撮影している時から、『SPEC』のラストの展開を考えていた。全てわかって作っていたんです」とのこと。

シンプルプラン
サブアトラスや御前会議が自国の利害を守るために立案した「スペックホルダー抹殺計画」=「シンプルプラン」だが、その実態は単なるインフルエンザ・ウイルスだった。しかし、スペックホルダーにはウイルスに対抗する薬品(タミフル等)が効かないため、発病後は死に至る。

湯田はスペックホルダーの子供達をシンプルプランで皆殺しにするが、サブアトラスのメンバーに対し、「あいつらはお前ら下等動物の道具じゃねえんだよ!我らの仲間だ!だから汚い人間の肉体から解放し、ガフの部屋へ回収してやったんだよ!」と殺害の理由を述べている。

また、セカイはシンプルプランの発動が最終的に世界全面核戦争の引き金になることを知っていたため、わざと傍観していたと思われる。

●ファティマ第3の予言
”ヴァチカンの最高機密”と称された「ファティマ第3の予言」は、1917年に実際に起きた現象である。その内容は、劇場版『SPEC』では”世界全面核戦争”となっており、セカイは核戦争を起こすことでガイアに次元の壁を超えさせようとしていた。

ちなみに、セカイは予言を使って人類に警告を発していたが、これは別に人間を助けようとしていたわけではなく、予言によって現人類の運命に変化が起きるかどうかを試していたのだ。しかし結果は何も変わらず「せっかくファティマで警告してやったのに、人類はやはり決まった道を歩みたがるようだ」と嘆いている。

●当麻の右腕(カイナ)
ファティマの予言に記された「左手に火の剣を持った天使」という文言は当麻のことであり、「死んだスペックホルダーの魂を召喚する能力」を意味している。そして、予言にはもう一つ「マリア様の右手が美しく光り輝く」という文言も存在していた。これが当麻の右腕(カイナ)に秘められたもう一つの能力である。

当麻の右腕は次元を超え、霊界と現実界をつなぐ扉(ゲート)となる。すなわち、パラレルワールドを一瞬重ねる力を持つため、結果として不可逆性を持つ時間をも支配することが可能。つまり当麻自身を特異点とすることで、ガイアを含む全生命体を別の並行宇宙へシフトできるのだ。

●来世で待ってろ
当麻を撃つ直前、銃を構えた瀬文はこう叫ぶ。瀬文としては「生まれ変わったらもう一度会おう」という意味だったはずだが、実際は当麻の能力で時間が巻き戻され、核戦争が起きる前の並行宇宙へ移動させられている。『SPEC天』のラストでは荒廃した世界で雅が手紙を読んでいたが、『爻ノ篇』では「核戦争が起きなかったパラレルワールドが新たに生み出されているのだ。

そして新しい世界では、地居が美鈴と付き合っていたり、野々村や吉川が生きていたり、明らかに今までの世界とは状況が異なっている。一番の違いは当麻が存在しないこと。自らの体内にセカイ達を封じ込めた当麻は、そのまま冥界へ堕ちることで彼らを輪廻の輪から弾き出すことに成功した(これにより、セカイはどこの並行宇宙にも存在できなくなった)。しかし、当麻自身も現世へ転生できず、永遠に時空の狭間を彷徨い続ける「無間地獄」に堕ちてしまったのだ。

ただし、瀬文だけは時空を彷徨う当麻の霊体を感知できるらしく、ラストシーンでは当麻の腕を掴み、お互いが目を合わせる場面で物語は終わっている(おそらく当麻が実体化したわけではなく、「瀬文の目には当麻の姿が見えた」という描写だろう)。

●にじみ当麻
映画の終盤、空間をフワフワと漂う当麻が映し出される。通称「にじみ当麻」と呼ばれているこの当麻は様々なパラレルワールドに現れているが、実体が無いのでその世界に干渉することはできない。

堤監督によると、「それぞれのパラレルワールドミルフィーユのように折り重なっていて、地面を突き抜けたらまた別の世界がある…という具合にいつまで経っても終わりが無い。当麻はそのミルフィーユ状の空間を永遠に落下し続けているんだ」とのこと。

つまり、あの場面で当麻が見ている世界は一つではなく、「地居が美鈴と付き合っている世界」や「野々村係長が元気で暮らしている世界」など、複数のパラレルワールドをランダムに彷徨っている状態らしい(瀬文が活躍している場面も同様)。

最後に留置場内の瀬文が当麻の腕を掴むシーンは、「落下している当麻の存在を瀬文が感じ取ってキャッチした瞬間」を表わしたものだが、実はあのシーンそのものが別のパラレルワールドである可能性が高いという。

堤監督曰く、「良く見たらあの部屋って異様に汚いんだよね。壁はドロドロに汚れてるし、床は小石だらけだし。でも海外の紛争地帯じゃないんだから、日本の警察署の中があんなにボロボロなわけがないんだよ(笑)。つまり、”現実の世界じゃない”って意味なのかもしれないね」とのこと。

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●朝倉の正体
朝倉裕人は、『SPEC』の前身となるドラマ『ケイゾク』に登場した犯罪者である。暗示によって相手を意のままに操ったり、姿形を自由に変えて他人に成りすまし、殺人などを繰り返していた。今回の『爻ノ篇』ではラストに声だけで登場し、「世界の歴史が時折巻き戻されていることに気づくものは、やはり誰もいないようだな」、「そして再び歴史は繰り返す、波の行き先のように……」など、謎の言葉を呟いている。

朝倉の正体は「セカイではないか?」という説があり、本作でもセカイがドラマ版『ケイゾク』の最終回で朝倉が喋っていた言葉と全く同じセリフ(「このウジ虫どもが!」等)を喋っている。セカイが人間の肉体を得て実体化した姿が朝倉で、朝倉が死んだ後は白い服の男として暗躍していたのだろうか?

しかし、「SPEC全記録集」のインタビューの中で堤幸彦監督が、「朝倉はセカイよりもさらに上位に存在する抽象概念である」とコメントしていることから、朝倉とセカイは全くの別人である可能性が高いようだ(どうやら朝倉の方が遥かに能力が高く、最も”神”に近い存在らしい)。

となると、朝倉はもともと人間の体を借りて現世で活動していて、その肉体が死んだ後は霊界から現世を俯瞰し、当麻の能力で時間が数年分巻き戻されたことを見届け、再び現世へ現れようとしているのだろうか?その場合、『SPEC』の終わりと『ケイゾク』の始まりが円環構造(ループ)になっている可能性も考えられる。

●謎の女の正体
映画のラストで朝倉と会話をしている女性の声は誰なのか?「生物がもつ意識の数だけ世界はある。そして、ある面積以上の重なりが認識され、時にそれがこの世界と呼ばれる。本当の意味での世界や時間を知るものはいなかったわ。当麻を除いてはね」などとパラレルワールドについて何もかも知り尽くしている様子から、セカイや朝倉と同じく”人類を超越した存在”と考えられる。

だが、堤監督や植田プロデューサーによると、この女性の正体はなんと”朝倉”なのだという。朝倉と会話をしている相手が朝倉?いったいどういうことなのか?「SPEC全記録集」のインタビューを読むと「二人いるとは限らないよね。一人だけかもしれない」、「二人で一人?合わせ鏡みたいなものかな」、「両性具有のような存在なのかも」などと語っているが詳細は不明(『ジョジョ5』のディアボロのように、一つの魂の中で二人の人格が共存している状態なのだろうか?)。

最後に謎の女性は「行きましょう、朝倉」と、朝倉裕人(自分自身?)にどこかへ導くような言葉を投げかけている。彼らが次に現れる場所は現世なのか、それとも別の並行宇宙なのだろうか?

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●当麻と瀬文は…
エンドロールの後、渋谷の雑踏の中を歩く男女の姿が映し出される。黒いスーツを着た坊主頭の男と、赤いキャリーバッグを引っ張る髪の長い女。果たして当麻と瀬文なのか?あるいは、”彼らが願ったもう一つの可能性”だったのだろうか?この世には無数の可能性(並行宇宙)が存在する。だとすれば、「もしも二人が無事だったら辿りつけたかもしれないパラレルワールド」だって、きっとどこかにあるはずだ。「世界は一つではない」のだから…。

※追記

この記事に関しては意外にも反響が大きく、非常に多くのコメントをいただきました。ありがとうございます!ファンの方からも疑問点に関する考察がたくさん寄せられていますので、ご意見等がある方はコメント欄からご自由にどうぞ(謎が解明できるかも?)。他の人の解釈もなかなか興味深くて面白いですよ〜。

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