ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

マンガ・アニメの実写版映画おすすめベスト10


現在、書店で発売中の雑誌『Cut』7月号を読んだら、「人気マンガの実写映画化」について特集していたのでちょっと取り上げたいと思います。

もともと日本では、映画も漫画も黎明期だった1920年代頃から、人気マンガを原作とした映画は作られていました。それが近年、邦画における「アニメやマンガ原作を実写化する傾向」はどんどん勢いを増してきて、今後の公開予定を見ても『ルパン三世』、『進撃の巨人』、『寄生獣』、『バクマン』、『アイアムアヒーロー』など、多数の有名作品が控えています。

しかし、こうした業界の風潮に対して世間の反応はどちらかと言えば批判的な意見が目立ち、「単に原作漫画の人気に便乗しているだけで、実写版にはロクな作品がない」と考えている人が多いようです。

そんな中、『Cut』では敢えて「漫画を実写化した映画の成功例」に着目し、1990年代から2010年代までのマンガ映画の中で、特に原作がマンガである強みが発揮され、以降の日本映画に大きな影響を与えたと思われる10作品をセレクトした、とのこと。好みは分かれると思いますが、なかなか面白いセレクトだな〜と思ったので、ちょっと引用させていただきました。


『CUTが選ぶマンガ映画の10本!』


櫻の園
原作:吉田秋生

監督:中原俊
出演:中島ひろ子つみきみほ、白鳥靖代

この映画化の素晴らしさは、吉田秋生の原作が孕む独特の空気、友情の裏に潜む孤独、恋愛の先に予感してしまう幻滅、そして青春を謳歌しきれない屈託や達観といった二律性を、絶妙に映し取った繊細なタッチにある。


無能の人
原作:つげ義春

無能の人・日の戯れ (新潮文庫)
つげ 義春
新潮社
売り上げランキング: 107,185

監督:竹中直人
出演:竹中直人風吹ジュン

今年デビュー60周年を迎えたつげ義春の連作シリーズを、大ファンである竹中直人が初監督・主演し、ヴェネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。ブレイク前夜の竹中の淡々とした演技や、原作のイメージ通りの女優陣の棒読み演技が実にいい。


ALWAYS 三丁目の夕日
原作:西岸良平

監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆堤真一小雪堀北真希

原作漫画のタッチと一話完結のスタイルは、一見すると映画には向かない。その意味では、60年代の東京における夕日町三丁目という小さな世界を、VFXを駆使して大作映画に生まれ変わらせた山崎監督の功績は大きい。


●ピンポン
原作:松本大洋

監督:曽利文彦
出演:窪塚洋介ARATAサム・リー中村獅童

実写映画版『ピンポン』は、当時考えうる最良のスタッフ、キャスト、手法で撮られた、2000年代における漫画実写化作品の金字塔と呼ぶに相応しい傑作だ。事実、ここまで原作ファンから賞賛され、また映画ファンにも受け入れられた実写化映画というのもそうそうないだろう。


●クローズZERO
原作:高橋ヒロシ

監督:三池崇史
出演:小栗旬、やべきょうすけ、黒木メイサ高岡蒼甫

とにかく、息をするのと同じくらいの頻度で拳が飛び交い、暴発寸前の魂と魂がぶつかり合う原作の世界観を、それこそ日本のバイオレンス・アクション映画の時計を一気に何十年分か進めたんじゃないかってぐらいの快作として成立させた三池監督の手腕が凄い。


●空気人形
原作:業田良家

監督:是枝裕和
出演:ぺ・ドゥナARATA板尾創路オダギリジョー

公開当時、「たった20ページの私の漫画を芸術作品にしてカンヌまで連れて行ってくれた是枝監督に感謝します」と原作者の業田良家がコメントしていた通り、やわらかな質感の映像美と、シュールかつユーモラスなストーリーが精緻に編み上げられ、高純度なアートとして成立している。


モテキ
原作:久保ミツロウ

監督:大根仁
出演:森山未來長澤まさみ麻生久美子仲里依紗

主人公がグウの音も出ないほど打ちひしがれて己の不甲斐なさを噛みしめる瞬間、画面から滲んでくる覚醒感…Perfumeや女王蜂など、本人出演による「モテ曲」の大仕掛けすら、ごく自然に舞台背景の一部に変えてしまう力強さを、本作の物語は確かに持っている。


ヒミズ
原作:古谷実

監督:園子温
出演:染谷将太二階堂ふみ

25年以上、ずっとオリジナル脚本にこだわり続けてきた園子温監督が初めて原作ものに挑んだのが、この『ヒミズ』だった。本人曰く、「処女喪失の相手を選ぶような気持で」選びに選んだ彼のリスペクト作品であり、原作漫画の湿ったような乾いたような独特の「絶望の空気」がそのまま漂っている。


るろうに剣心
原作:和月伸宏

監督:大友啓史
出演:佐藤健武井咲

もし「実写化が難しい漫画ランキング」があるとしたら、間違いなく上位に入る作品がこの『るろうに剣心』だろう。しかし、実写版『るろ剣』はこの難易度Sクラスの原作に真正面から向き合い、見事に突破してしまった。極力CGを廃し、「人力でどこまでできるか」を突き詰めたチャンバラシーンには、時代劇の流れを汲むジャパン・メイド・アクションの執念が込められ、同時に「剣闘とはかくあるべし!」と言わんばかりのプライドまでもが漂っている。


HK/変態仮面
原作:あんど慶周

監督:福田雄一
出演:鈴木亮平清水富美加ムロツヨシ安田顕

この作品を成功に導いた最大のポイントは、原作はギャグとラブコメが入ったアクション漫画的なテイストだったのに対し、実写版はひたすら大真面目に撮っているところだ。CGやVFXを駆使し、音楽もシリアス&ヘヴィなものを当て、アングルも編集も海外のアメコミ映画を意識したようなシャープなヴィジュアルで統一している。にもかかわらず、敢えて観客に「裸でパンティかぶって何してんだよ!」と突っ込ませているギャップが素晴らしい。

個人的には、それほど漫画の実写版を肯定しているわけではなく、むしろ”実写版”と聞くと『ドラゴンボール』とか『デビルマン』みたいなダメな実写映画を連想してしまうのですが、そういう失敗例ばかりじゃなくて、このような成功例を挙げてもらえると「なるほどな〜」と参考になりますね(どういった基準で”成功”と見なすのかについては見解が分かれるでしょうけどw)。

ここに挙げられたタイトルの中では、やはり『ピンポン』が群を抜いて良かったです。単に人気マンガを実写化しただけに止まらず、ストーリー、キャスティング、役者の演技、音楽、CGの使い方に至るまで、あらゆる要素が抜群の完成度を誇っており、青春ドラマとしてもスポーツ物としても圧倒的な面白さを実現していました。最近アニメ化されたことでも話題になっていますが、実写版もいいですよ。まだ観ていない人はぜひ一度ご覧下さい(^.^)


●人気記事一覧
これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10
まさに修羅場!『かぐや姫の物語』の壮絶な舞台裏をスタッフが激白!
日本映画のレベルが低くなったのはテレビ局のせい?
町山智浩が語る「宮崎アニメの衝撃の真実」
「映像化不可能」と言われている小説は本当に不可能なのか?


このブログについて(初めての方はこちらをどうぞ)
トップページへ