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ヒュー・ジャックマン主演『リアル・スティール』ネタバレ映画感想


■あらすじ『人間に代わって高性能のロボットたちが死闘を繰り広げるロボット格闘技の時代が到来。ボクシングに全てを捧げてきた男チャーリー・ケントンは、ついに戦う場所を奪われ、プライドも生きる目的も失ってしまう。そんな人生のどん底であえぐ彼の前にある日、11歳の息子マックスが現われる。別れた妻が急死し、赤ん坊の時以来会っていなかったマックスの面倒を見るハメになってしまったのだ。困惑するチャーリーにマックスも心を閉ざしたまま。そんなある日、マックスがゴミ置き場でスクラップ同然の旧式ロボット“ATOM”を発見する。小さくてオンボロのATOMだったが、彼には特別な能力が備わっていた。やがてチャーリーとマックスは、ATOMを鍛えてロボット格闘技に挑むのだが…。人間に代わってロボット同士が死闘を繰り広げるロボット格闘技の世界を舞台に、全てを失ったひとりの男が最愛の息子との絆を取り戻していく姿を描く感動エンタテインメント・ストーリー!』


※今回の記事は映画『リアル・スティール』について非常にネガティブな内容となっていますので、この作品が好きな人は読まない方がいいと思います(^_^;)


本日、WOWOWにてヒュー・ジャックマン主演の『リアル・スティール』が放映されます。この映画、お話自体は結構良くあるタイプの内容なんですね。「ロボットと少年の交流」っていう設定なら『アイアン・ジャイアント』が秀逸だし、「父親と息子の絆」という部分は『オーバー・ザ・トップ』や『チャンプ』、そして全体的には『ロッキー』を思い起こさせるような、いわゆる”ベタなドラマの寄せ集め”的な感は否めません。

でも、こういう手垢のついたベタなお話は正直観飽きているはずなのに、ヒュー・ジャックマン演じるチャーリー・ケントンの人間味溢れるキャラクターと、マックス・ケントン役のダコタ・ゴヨ君の演技力で、意外にも最後までグイグイと引っ張ってくれました。やっぱ「王道のストーリー」には抜群の安定感がありますねえ(笑)。

ただ、ちょっと残念だったのは「主役ロボットがあまり魅力的じゃない」ということ。マックスがゴミ捨て場から拾ってきたロボットATOMは、他のロボットに比べても地味なデザインでこれといった特徴も見当たりません。ATOMを水で洗って綺麗にし、様々なボクシングテクニックをインプットしたり、他のロボットから部品を移植してカスタマイズするなど、とても大事に扱うマックス。しかしこれでは「ミニ四駆に夢中になってる小学生」と同じレベルで、「ロボットと少年の交流」にまでは至っていないんですよ。

また、誰も操作していないATOMが何かをじっと見つめていたり、「もしかして感情を持っているのでは?」と思わせるような描写をわざわざ入れているのに、結局何も起こらないまま終わってしまうのもビックリしました。ここは、何か一つでもエピソードを入れた方が良かったんじゃないでしょうか?

たとえば、マックスがATOMを調整中に、頭上から大きな荷物が落下。「あぶない!」と思った瞬間、突然ATOMが動いてマックスを助ける、とか。原因は不明ながらも、この一件でマックスはますますATOMに「特別な何か」を感じるはず。そういう細かいエピソードの積み重ねがロボットへの愛着を深め、物語の感動を高めると思うんですが。

更に、クライマックスの逆転劇も根拠が曖昧なのが少々残念。元々、ATOMはスパーリング用のロボットで、役に立たなくなったために捨てられていました。それを、ちょっと改造したぐらいで連戦連勝っていうのも都合が良すぎなんですけど、クライマックスで「途中から突然強くなる展開」はもう少しどうにかならなかったのかなあと。

「殴られ過ぎて音声入力システムが故障」 → 「シャドー・モードに切り替えてチャーリーの動きをトレース」 → 「動きが速くなって大勝利!」 だったら、最初からシャドー・モードで戦えばいいじゃん!こういうスポーツ物って、「キャラが強くなる理由」に説得力があるか無いかで作品への感情移入度が変わってくるんですよねえ。

本作の場合は、「落ちぶれた元プロボクサーが、息子との絆を取り戻すために、ロボットの動きを通じて自分が光り輝いていた頃の姿を見せる」というのが最大の盛り上がりポイントであるが故に、ああゆう展開になるのは仕方がないと思います。ただ、それならそれで「勝てる根拠」を示さなければ、単なるご都合主義に見えてしまい、観ている方は納得できません。

あと、主人公以外のキャラクターが結構雑に描かれていたのも気になりました。マックスを引き取る叔母夫婦にしても、本当にマックスのことが好きなら一緒に旅行へ連れて行ってやれよ!とか思ったり。ボクシングジムの娘もヒロイン的なキャラかと思いきや、ほとんどストーリーに絡んでこなかったり。

ラスボスのマシドとファラはバックグラウンドが全く語られないので、人物像がまるで分からないし(ATOMに関心を持っていることから、ATOMの”過去”を知っているのかと思ったらそんなこともなく)。「金貸しのリッキー」に至っては単なる”悪いヤツ”という記号のようなキャラに成り果てている有様。全体的に見て、チャーリーとマックス以外の登場人物が物凄く”薄っぺらい”のですよ。

お話自体は過去の「親子の愛情物語」を踏襲していて良く出来ているとは思うのですが、「ロボットバトル」という要素に寄り掛かり過ぎて「細部のリアリティ」が緩くなっているのが残念でした。とは言うものの、父と子のベタなドラマはやっぱり泣けるし、最後のバトルもやっぱり盛り上がるんですよねえ。「ダメな親父が息子のために全力で戦う姿」には、少々の欠点をねじ伏せるだけの、問答無用の勢いがある。それが”王道ドラマ”の素晴らしさなのでしょう。


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