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ここがおかしい!映画『フライトプラン』完全ネタバレ解説

■あらすじ『夫の突然の事故死に見舞われた航空機設計士のカイル(ジョディ・フォスター)は、6歳になる娘のジュリアを連れて、ベルリンから故郷のニューヨークへ向かう飛行機に乗り込んだ。機内に落ち着くと、カイルは睡魔に襲われ、夢の中で夫の幻影を見る。だがやがて目を覚ますと、隣にいたジュリアの姿がない。客席、トイレ、厨房と探し回るが、乗客も乗員も誰一人として娘の姿を見た者はいないのだ。ジュリアはいったいどこへ消えたのか?そして必死に娘を探すカイルに衝撃の真相が告げられる!“高度1万メートルの密室”を舞台に繰り広げられる新感覚サスペンス・スリラー!』


※今回の記事は映画『フライトプラン』を観て「変だな〜」「おかしいな〜」と感じた部分について容赦ない突っ込みを入れまくっています。そのため、この映画を好きな人が読んだら気分を害するかもしれません。そうなったら非常に申し訳ないので、本作のファンの人は以下の文章を読まずに、このままそっとブラウザを閉じることをお勧めします。何卒ご了承くださいませm(_ _)m


本日、水曜プレミアシネマジョディ・フォスター主演のサスペンス映画フライトプランが放映されます。僕は公開当時に劇場で観たんですけど、想像を絶する衝撃的な展開に度肝を抜かれましたよ。いったい、どこがどう”衝撃”だったのか?ネタバレ全開で解説してみます。

う〜ん、途中まではメチャメチャに面白い映画だったんですけどねえ。夫に先立たれたカイル(ジョディ・フォスター)が娘と飛行機に乗るものの、突然娘が消え失せる。必死で探すカイルだったが、誰一人として娘の姿を見た者はいないし、乗客名簿にも彼女の名前は無い。それどころか、「あなたの娘さんは6日前に死んでいますよ」などと告げられてしまう!いったいどういう事なのか!?

「初めから娘は乗っていなかったの?それとも、誰かの陰謀なの?」とパニックに陥る主人公。この辺までのドラマ展開は実に上手く、観る者の心をガッチリ掴んで離しません。でも、ハラハラドキドキしたのはここまででした。後半に突入してからは、どう考えても有り得ない展開の連続に「なんでやねん!」と突っ込みを入れまくる事数十回。とにかく、あまりにも犯行計画が行き当たりばったり過ぎて話がグダグダなんですよ。今回、犯人が実行した計画は次のようなものでした。

・カイルの旦那を殺害する
・その棺に爆弾を隠す
・カイルが棺をニューヨークに運ぶために娘を連れて飛行機に乗り込む
・カイルの娘を隠す
・娘が消えたことに気付きカイルが大騒ぎする
・真犯人が、カイルをハイジャック犯に見せかけて身代金を要求
・棺の爆弾が見つかり「カイル=ハイジャック犯」と皆が思い込む
・真犯人、まんまと身代金を手に入れる

とまあ、大体こんな感じの犯行計画なんですけど、非常に回りくどいというか、偶発的な要素に頼り過ぎてるんですよねえ。以下、おかしな部分を具体的に列挙してみます。


●カイル(ジョディ・フォスター)の旦那を殺せば「アメリカへ棺と共に戻る」ということが、なぜ確定事項だったのでしょうか?ベルリンに埋葬したらどーする?また、「その為だけに無関係の人間を一人を殺害する」という発想も危険度が増すだけで効率が悪すぎます。

●そもそも、共犯に安置所関係者がいるのなら、わざわざ旦那を殺さなくても、ただ事故死の情報だけを貰えばいいのでは?

●それ以前の問題として、航空保安官や客室乗務員という立場を利用するなら、もう少し”回りくどくない方法”を選択すればよかったのに。

●しかもこの計画、カイルが棺を開けなければ全く成立しなくなってしまうのです。以下に例を挙げますが、今回の犯行計画には「もしも○○しなかったら」という”不確定要素”が多過ぎるのですよ。犯人は”完全犯罪”と自画自賛していましたが、「どこがやねん!」と言いたいですね。

●カイルが、離陸してすぐに後ろの座席に移動してくれたから良かったものの、もし移動しなかったら、この計画は実行不可能だったのでは?

●そしてもしも母親と娘が熟睡しなければ、犯行はまず出来ません(まあ、娘が眠りっぱなしだったので飲み物に睡眠薬ぐらいは入れていた可能性もありますが)。

●しかし、仮に睡眠薬を飲ませたとすれば、カイルも娘と同じように眠ったままとなり、計画は失敗に終わっていたはずです。どうやってカイルの目覚めるタイミングを調整したのでしょう?

●さらに、娘がいなくなったことに気付いたカイルがもしも騒がずにおとなしくしていたら、やはり計画は失敗に終わってしまうのです。心配して機内をウロウロしているうちに空港に到着しちゃったらアウトじゃん。「騒がしい女」で良かったなあ(笑)。

●乗客全員が女の子を目撃していないのは、いくらなんでも無理があり過ぎる。今回の計画は「人は他人にそれほど関心を示さない」ということが大前提となっているようですが、緻密で回りくどい事をやってる割には、肝心なところが全て運任せってムチャクチャじゃないですか?

「いや、意外と人間は他人のことなんて気にしてないものだ」という意見は確かにその通りでしょうけど、根本的な問題は「そんな不確実な要素に頼らなければ成立しないような杜撰極まりない計画を”完全犯罪”と呼べるのか?」という点なのですよ。

いっそのこと「乗客全員が犯人とグルだった」という設定なら「おお、すごい!」となっていたかもしれません。でも今回の計画では、誰か一人でも女の子を見ていたら全ての計画が水の泡になってしまう点が致命的なのです(犯人たちは「どうか誰にも見られませんように…」ってずっと祈ってたのかなあw)。

●他人の高級車の窓を割ったり、飛行機の配電系統を破壊したりなどやりたい放題の行動に問題あり。いくら自分の娘が行方不明になったからといっても、400人以上の乗客の命を危険にさらしていいハズがないでしょう。挙句の果てに、乗っていた飛行機までも爆破してしまう始末。爆弾を仕掛けたのは犯人ですが、それを起爆させたのはカイルなんですよ。正当防衛で済まされる問題ですかね?

●あんな至近距離で爆弾を爆発させて、カイルはなぜ大丈夫と分かっていたのか?自分の設計した飛行機だから耐久性は知っていたとしても、仕掛けられた爆弾の威力や”爆破の規模”までは分からないハズなのに…

●それより、なぜ爆発させたのかが疑問。そこまでする必要は無いし、誰が弁償するの?

●航空保安官の作り話をあっさり信じて、即刻5000万ドルを振り込む対応の速さはいかがなものか?犯人との交渉過程や事実確認がスッパリ省かれてて、あまりにも物分りが良過ぎるみたいに見えてしまう(FBI、仕事しろ)。

●フライトアテンダントの描かれ方が酷すぎて、全米客室乗務員協会(AFA)からクレームが来たようですが、まあ当然と言えるでしょう(笑)。

●犯人が超弱い。いくら油断していたとは言え、「女に殴られてあっさり起爆装置を奪われてしまう」という世にも情けない展開にはガッカリしました。あんなに弱くて航空保安官としての職務をちゃんと遂行できるのか?と心配になる程です。

おまけに行動がアホ過ぎてもう泣けてくる(泣)。あのまま飛行機を降りてしまえば、計画は(とりあえず)成功したハズなのにわざわざ戻って来たり、操縦室に追い詰めたカイルにまんまと逃げられたり。

挙句の果てには、クライマックスで主人公に自分の悪事や犯行計画を得意げにベラベラ喋るという、山村紅葉のB級サスペンスドラマみたいなシチュエーションを堂々とやるなんて……カンベンしてくれえぇぇ〜!「犯罪コント」かと思いましたよ、トホホ(泣)

●物語序盤、向かいの窓からカイル達を見ていた、あの見るからに怪しい男達は結局何者だったの?無関係の善良な市民ですか?散々他人を疑っておいて、一言も謝罪が無いカイルの態度もどーなのよ?


結論:とりあえず、アラブ人に謝れ。


というワケで、気になったポイントを挙げてみたのですが、改めて観てみると酷い映画ですねえ(苦笑)。綿密な計画の大部分が「ほぼカイル頼みになっている」って雑すぎるでしょ?犯人はよっぽどカイルのことを信頼してたんでしょうね。「彼女なら絶対にこちらが計画した通りの行動をしてくれるハズだ!」って。んなワケないじゃん(笑)。

ただ、これだけ突っ込み所が多いにも拘らず、不思議と最後まで退屈しなかったのはちょっと意外でした。その理由は、ジョディ・フォスターの鬼気迫る演技力のおかげでしょう。いなくなった娘をひたすら捜しまくり、最後にはたった一人で凶悪犯人に立ち向かうその姿は実にカッコ良く、逆に感動的ですらありました。

その一方で、彼女の熱演ぶりが物語のバカバカしさをより一層強調している事も、残念ながら「歴然たる事実」と言わざるを得ません。ジョディ・フォスターともあろう大女優が、なぜこんなヘンな映画に出演しちゃったのかなあ。

ヘンな映画といえばジュリアン・ムーアも結構ヘンな映画に出演していて、ジュリアンとジョディは共に『羊たちの沈黙』シリーズに出演したという共通点があります。両方とも“変わった映画に出たがるクセがある”という事で、強引に納得するしかないのかも(笑)。

ちなみに、ジュリアン・ムーアが主演した『フォーガットン』も「消えた我が子を必死に捜し回るお母さんの話」で、『フライトプラン』に勝るとも劣らないトンデモ映画ですよ(^_^;)

あと、航空機を舞台にしたサスペンスとしては、『96時間』シリーズのリーアム・ニーソンが主演した『フライト・ゲーム』っていう映画がありまして、「何者かが主人公をハイジャック犯人に仕立て上げる」という内容は本作に近いかもしれません。

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