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映画『ゴッド・アーミー/悪の天使』感想

■あらすじ『元神父という肩書きを持つトーマス刑事(エリアス・コーティーズ)は、ロサンゼルスのアパートで起きた殺人事件の捜査に当たっていた。しかし、奇妙な事にその死体には両眼が無く、性別さえも分からなかったのである。そして解剖の結果、被害者は人間ではないことが判明。死体は天使ウジュエルだったのだ。謎の死体を調べているうちに、所持品から二世紀に書かれた「ヨハネの黙示録」を発見する。現場に残されたその聖書には「天国での2番目の戦い」という、存在しないはずの黙示録:第23章(最終章)が記されていた。そこには、神から最も愛された大天使ルシファー=悪魔王サタン(ヴィゴ・モーテンセン)が神に反逆を企て、天国を二分する大戦争アルマゲドン)に敗れて地獄に追放されたあと、もう一つの戦争が勃発したことが記されていた。

その頃、アリゾナでは、ロスの格闘で傷を負った男が教会に安置されたホーソン大佐の死体の口から、その魂を吸い取っていた。男はシモン(エリック・ストルツ)という天使で、死を悟った彼は、ナバホ族の少女マリアの体の中に大佐の魂を隠す。一方ロスでは、神に裏切られた事を恨み、天国を破壊して人類を排除するための戦いを指揮する大天使ガブリエル(クリストファー・ウォーケン)が、人類抹殺の切り札として、強力な軍団を指揮できるホーソン大佐の邪悪な魂を探していた。シモンは彼らの陰謀を阻止すべく、地上に送り込まれた最後の天使だったのだ。人類を滅亡の危機から救うべく、命を懸けて闘うシモン。だが、神に裏切られた大天使ガブリエルは、冷酷非情な破壊のシンボルと化してシモンに襲い掛かる!彼の率いる天使の軍団が、ついに地上に降り立つ時が来たのだ!さらに、ガブリエルを倒そうとするルシファーも現われ、凄まじい超能力戦が展開される!聖書に描かれたイメージとは正反対に、“破壊と死をもたらす天使”が登場し、敵対する天使や悪魔、そして人類と壮絶なる三つ巴の戦いを繰り広げる衝撃の問題作!まさに世紀末にトドメを刺す、サイキック・アクション・ホラーの決定版!』



監督・脚本はハイランダー 悪魔の戦士』と『バックドラフトの脚本を手掛けたグレゴリー・ワイデンで、彼の監督デビュー作である。出演は、ディア・ハンター』、『パルプ・フィクションなどの名優クリストファー・ウォーケンが大天使ガブリエル役を怪演するほか、同じパルプ・フィクションのエリック・ストルツとアマンダ・プラマー

『シン・レッドライン』のエリアス・コーティーズ、レインメーカーヴァージニア・マドセン、さらにはロード・オブ・ザ・リングシリーズでお馴染みのヴィゴ・モーテンセンが堕天使ルシファーを演じるなど、クセ者揃いの豪華キャストがたまりません!

ある日、地上に次々と現れる天使たち。背中には翼など無く、黒のロングコートを着用し、音も無く移動する。道路標識の上や椅子の背もたれの上など、とても立つ事など出来ない場所に降り立つ。宗教色が強く、根がキリスト教文化ではない日本では理解し難い側面も多いが、つまりは異端審問にかけられるような映画である。

コンスタンティンを観た時、天使と悪魔の戦いに新しい要素を盛り込んでいて「面白いなあ」と思ったのだが、本作も独自の解釈による天使と悪魔の戦いが描かれており、なかなか興味深い。

『ゴッド・アーミー』に出てくる天使たちは、どことなく猛禽類を思わせるように造形されている。突起物の上に佇む姿が、獲物を狙う鷲や鷹にそっくりなのだ。この映画の天使たちはなぜか全員“うんこ座り”をしているが、天使界ではアレが標準なのだろうか?一般的に想像される天使の姿とは、かなり異なっている点が大きな特徴だ。

特にクリストファー・ウォーケン演じる大天使ガブリエルの異様な迫力は必見!天使が実体化して人間を憎悪したら、まさにこのようになるであろうと思わせる驚異的な演技を披露している。「俺は天使だが、子供だって殺せるんだぞお!」と叫んで大暴れするウォーケンの姿は実に楽しそうだ(笑)。

しかも単に恐ろしいだけでなく、どことなくトボけた言動の数々がまた異常に面白い。隠された魂を探すために、子供たちを集めてトランペットを吹かせている場面には思わず笑ってしまった(しかも、お菓子まであげてるし。単なる子供好きのおじさんじゃん!)。

挙句の果てに、死にかけている人間の魂を操って車を運転させるのだが、その理由が「俺は免許を持ってないからな」ってアンタ…。天使なんだから空ぐらい飛べよ(笑)!いや〜、凄すぎる。この映画は、まさしくウォーケンの為に作られたと言っても過言ではないだろう。

また、天使シモンを演じるのは、『キリング・ゾーイ』などでおなじみのエリック・ストルツ。いつも殴られたり傷つけられているような印象があるが、この作品でもガブリエルに生きながら焼かれ、拷問にかけられるという酷い目に遭っている。妙に受難が似合う俳優だ(しかし、物陰に8歳ぐらいの女の子を連れ込んで、無理矢理キスする場面はかなり危ないぞ。ほとんど変質者だよ)。

さらに堕天使ルシファー役には、今やすっかり有名俳優となったヴィゴ・モーテンセンが!彼が演じるルシファーもまた素晴らしく、神に最も愛されていながら、叛逆を起こし悪魔王となってしまった堕天使のイメージを見事に具象化しているのだ。

しかし、初登場のシーンで「真実の愛は〜、いつも実を結ばないものさ〜♪」などとヘンな歌を歌いながら現れた時は、思わず腰が抜けそうになった(笑)。しかも、手にはバラの花まで持ってるし(なぜ!?もしかしてナルシスト?)。さすがモーテンセン、タダ者ではありません!

ただし、映画自体は結構地味である。 『コンスタンティン』のようにド派手なヴィジュアルを炸裂させる事もほとんど無く、実に淡々と話が進んでいくのだ。「天使と悪魔の最終戦争」と言う割には、戦いのフィールドが恐ろしく狭い。本作は映像よりもむしろ、役者たちが演じる“天使のキャラクターそのもの”を楽しむ映画と言えるでしょう。


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