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『デジタル・スタジアム』樋口真嗣が語る自主製作映画

先日、NHKのBS2で放送しているデジタル・スタジアムを見た(再放送だけど)。実は、この番組の存在自体全然知らなくて、深夜にテレビをつけっぱなしにしていたら偶然見てしまったのである。

タレントの乙葉が出ているが、その隣に座っているデブにも見覚えがあるなあと思ったら樋口真嗣だった。番組の内容は、アマチュアの映像クリエーターたちが作った自主制作の映像作品を出演者が批評する、というものらしい。今回のテーマは「特撮」という事で、厳選された4作品がそれぞれ製作者の解説付きで映し出されていた。

一本目は、高校生の映画研究会が作った『学園戦士ガクランマン』。もう、タイトルからどんな内容か大体想像はつくが、「特撮好きがビデオカメラを持ったら、絶対一度はこういう映画作るよなあ」としか言いようが無い作品である。可も無く不可も無くという感じ。

僕も高校の頃は、ダンボールでコスチュームを作って8ミリで撮影しているヤツがいっぱい周りにいましたよ(笑)。樋口監督曰く、「まさに若さの無駄遣いですね(笑)」

二本目は、グラフィック・デザイナーの人が作った『特撮定食』。極めて短いシチュエーションの中でドラマを展開させる「映像4コママンガ」みたいな作品。全編モノクロで画質は荒いものの、発想の面白さで勝負している所がミソ。

三本目は、山形県の映画マニアが集まって作ったSF超大作『NOVA』。1985年、地元の山形を舞台に撮影が開始されたものの、監督が大風呂敷を広げすぎたために途中で収拾がつかなくなり、ようやく完成したのはなんと2003年!実に18年もの歳月を費やして製作された執念の作品である。

参加したスタッフは延べ80人。平均年齢は49歳!18年間コツコツと作り続け、さらに途中でCG技術まで導入しているのだから凄いとしか言いようが無い。CG合成は200カットにも及び、VFX担当者はなんと40歳を過ぎてからCGを学んだそうだ。この恐るべき“根性”と“情熱”には言葉を失う!

そして4本目は、『新剣銃士フランス・ファイブ』。よくある「戦隊シリーズ」モノのパロディだが、なんとフランス人が作った自主制作映画なのだ。監督のアレクサンドル・ピロという人は日本の特撮ヒーロー番組が大好きで、とうとう自分でオリジナル・ヒーローを作ってしまったのである。

出演者はもちろん全員フランス人で、全編フランス・ロケという豪華さ!そして、エッフェル塔をバックに繰り広げられる怪人たちとの激しいバトルは、前代未聞のかっこ良さ!アクション・シーンのこだわりもハンパではなく、テレビの戦闘場面を何十回もコマ送りで見て研究したらしい。

さらに1ヶ月もかけて動きを徹底的に訓練し、スタントマンに体育大学の学生を動員するなど、常軌を逸した製作姿勢には脱帽するしかない。アクション、カメラアングル、CG技術など、自主制作のレベルを完全に超越した衝撃ヴィジュアルに度肝を抜かれる事間違い無し!

と思ったら、アレクサンドル監督はパリでテレビ番組のディレクターをやっている人だった。ある意味「プロ」なので、この完成度の高さも納得か?

それにしても、最近はコンピュータの普及によって、個人レベルで凄い作品の製作が可能になりつつあるらしい。事実、たった一人で映画を作って監督デビューした人が日本でも海外でもどんどん出てきているようだ(もちろん、そこに注ぎ込まれる情熱もケタ外れだと思うけど)。自主制作映画だからと言ってバカに出来ないなあ。


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