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映画『ラストスタンド』ネタバレ感想


■あらすじ『元ロサンジェルス市警のエリート刑事レイ・オーウェンズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、現在は第一線を退き、のどかな国境の田舎町ソマートンで保安官として静かな日々を送っていた。そんなある日、麻薬王にして警官殺しの凶悪犯コルテスが、仲間の援護で脱走に成功し、そのまま猛スピードでメキシコ国境へと逃亡。その知らせを受けたオーウェンズは、なんとしてもコルテスとその一味の逃亡をこの街で食い止めようと決意する。しかし手元にある武器は銃器オタクが所有する第二次大戦のコレクションだけ。それでもオーウェンズは副保安官らわずか4人の仲間と共に、大量の最新鋭武器を備えたコルテス軍団に果敢に立ち向かう。果たして犯人の逃亡を阻止できるのか?「ターミネーター3」から10年。生涯興収3000億円超の“ミスター・ハリウッド"アーノルド・シュワルツェネッガーの主演復帰第一作!』



本日、WOWOWシネマアーノルド・シュワルツェネッガー主演のアクション映画ラストスタンドが放映されます。この映画、全米で有り得ないほど大コケしたとか、シュワルツェネッガー主演映画としては歴代ワーストの興行成績を記録したとか、全くいい話が聞こえてこなかったのでスルーしてたんですが、観たら意外と面白かったですよ。

内容を物凄く大雑把に説明すると、「警察に追われている犯罪者が、とある田舎町を通過して国外へ脱出しようとしているのをシュワちゃん率いる保安官たちが全力で阻止する」という話です。

まあ、ストーリーそのものはお世辞にも「傑作!」とは言えません。冒頭、犯罪者の仲間がボスを救出するための方法として「デカい磁石に車をくっ付けて吊り下げる」という衝撃映像を見た時は「コントか?」と思いましたから(笑)。

”緻密な犯行計画”と呼ぶにはあまりにも杜撰すぎるでしょ。笑えるシーンもいっぱいあるし、どちらかと言えばコメディ寄りの作風ですね。なので、シリアスなサスペンス・アクションを期待している人にはたぶん合わないと思います。

しかし、B級アクションが好きな人にはたまらない作品であり、派手な銃撃シーンも豊富で見応えたっぷり!特に、最新式の銃火器で完全武装した犯罪者集団と、博物館に展示している古臭い武器のみで立ち向かう田舎町の保安官という図式が戦闘の緊迫感を盛り上げています。

普通ならどう考えても勝ち目は無いんですが、敵グループが強すぎず弱すぎず”ちょうどいい具合にバカ”なことが幸いし、結構互角の戦いを繰り広げていましたよ。

銃のチョイスにもこだわりが見られ、シュワちゃん率いる保安官グループは、S&W Model 500、コルトMK IV 80、トンプソンM1921AC、レミントン1100、M870、モスバーグ590など、「とりあえず手持ちの武器を全部かき集めました感」が濃厚で、おまけに文字通り”倉庫で埃を被っていた”ヴィッカース機関銃まで持ち出し、「そんな装備で大丈夫か?」という危機感を煽ります。

対する犯罪グループは、サイガ12K、H&K G36C、H&K MP5、コルトM4A1ガリルMAR、Mk14 Mod EBR、シグブレイザーR93など、軍隊並みの強力兵器を大量に装備し、圧倒的な火力で保安官達を制圧しようと凄まじい銃撃戦を展開!白昼の街中で堂々とドンパチを繰り広げる西部劇風なバトルがたまりません。

尚、ここで気になったのは、ピーター・ストーメア演じるトーマス・ブレル(中ボス)が使用しているコルトM1851ネイビーです。周りで多弾装の機関銃を派手に連射しているのに、なぜこの人だけ古臭いパーカッション式のシングルアクションリボルバーなのか?単なる趣味?

また、この映画の面白さはアクションシーンだけではありません。シュワちゃん演じる年老いた保安官レイ・オーウェンズを筆頭に、ちょっとマヌケな若い副保安官ジェリーや真面目な女性副保安官サラ、ジェリーの親友でサラの元恋人フランク、デブで平和主義者だが正義感は強いフィギー副保安官、そして、街の工場に「武器博物館」を作って大量の武器を保管している武器マニアのルイスなど、登場するキャラクターが全員もの凄く魅力的に描かれているのですよ。

特に、ジェリーの死を”戦う動機”にきちんと結びつけているところが上手いですね。初登場時のジェリーは、「仕事が暇すぎて銃で遊んでいたら失敗して鼻血を出す男」みたいなボンクラ野郎として描写されていました。そして、「LAに行ってもっと大活躍したい!」とシュワちゃんに相談した後、ボスを国外へ脱出させようとしている手下達と遭遇し、彼は殺されてしまいます(死亡フラグが立ちまくりw)。

しかし、序盤でたっぷりジェリーの人間性を描いたおかげで彼は”愛されキャラ”として認知され、そんなキャラクターが殺されたことで、他の仲間たちは皆「犯人を許さない!」と心境が一致。これで映画を観ている観客も、「よし、やったれー!」と感情移入できるわけですよ。

昨今のアクション映画は、アクションシーンをかっこ良く描くことのみに注力しすぎて、「キャラクターの心情」や「アクションに至るまでの過程」を十分に描けていない作品が少なくありません。そういう意味で、本作は登場人物一人一人を丁寧に描写し、それぞれの関係性をしっかり見せているからこそ、これだけアクションシーンが盛り上がったと言えるでしょう。

そして何より、「引退間近の老保安官」という等身大の役柄を堂々と演じ切ったアーノルド・シュワルツェネッガーが素晴らしい!かつては『ターミネーター』や『コマンドー』で無類の強さを発揮していたシュワちゃんですが、さすがに近年は肉体的な衰えが著しく、以前のような無敵キャラを演じるのは少々無理があります。

そこで、年相応の役を演じることで非人間的な不自然さが無くなり、同時に「シュワちゃん頑張って〜!」と応援したくなる感じがヒシヒシ伝わってくるという、謎の相乗効果が生まれているのですよ(笑)。なんせ後半は戦い疲れてボロボロになってますからね(^_^;)

また、ラスボスの麻薬王コルテスも、メキシコの国境を越えるために盗んだスーパーカーで爆走するという、良く分からない行動を取りまくるなど、悪役でありながらもいい味を出してました(普通はもっと目立たない方法で逃げるだろw)。ラストのタイマンバトルも、いつも通りの力技で攻めてくるシュワちゃんに対し、なぜか関節技で対決するというこだわりが面白かったです(なぜなんだ?w)。というわけで、オチまで含めて十分に楽しめる快作でしたよ。


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