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ジャッキー・チェン『スパルタンX』映画感想

■あらすじ『スペイン・バルセロナで屋台の飲食店を経営するトーマス(ジャッキー・チェン)とデビッド(ユン・ピョウ)はデビッドの叔父の恋人の姪であるローラ(ローラ・フォルネル)に二人して一目惚れするが、実はローラは娼婦を装ったスリだった。スリでも娼婦でもいいから、彼女に何かしてあげたい!と四苦八苦する二人。 しかし、さらに実はローラは元貴族の出身で伯爵に命を狙われていることが判明。探偵であるボビー(サモ・ハン・キンポー)はこのローラの捜索依頼で、二人に協力を求める。だが、遂にローラは伯爵一味に捕まり、屋敷に幽閉されてしまう。果たしてトーマス、デビッド、ボビーはローラ奪回することが出来るのか!?』



ジャッキー・チェン主演の『スパルタンX』が公開されたのは1984年。『プロジェクトA』の記録的な大ヒットを受けてジャッキーとサモ・ハン・キンポーとユン・ピョウの三人が再び結集し、さらに全編にわたってスペインでも大規模なロケを敢行したアクション超大作である。

思い起こせば、僕が初めてジャッキー・チェンの存在を知ったのは『酔拳』からだった。当時は劇場ではなくTVで観ていたのだが、とにかく信じられないアクションといい、コミカルなキャラクターといい、メチャメチャに面白かったのだ。

それ以来、『蛇拳』『笑拳』などいわゆる”拳シリーズ”と呼ばれる映画を片っ端から見まくった(『少林寺木人拳』や『蛇鶴八拳』など名作も多い)。そして何年か後、劇場で初めて見たジャッキー映画が『スパルタンX』だったのである。

当時スクリーンで見たジャッキー・アクションの衝撃たるや、とても言葉では言い表せないほど凄かった!それは「初めて劇場で観たから」というインパクト以上に、映画自体がとてつもなく面白く、そしてアクション自体が想像を絶するほどにカッコよかったからだ。

ジャッキー・ファンに好きな映画を聞くと、上位には必ず『プロジェクトA』や『ポリス・ストーリー』が入ってくる。確かにどちらも非常に完成度が高く、文句無く面白い映画には違いない。

だが僕の中のナンバー1ジャッキー映画は今でも『スパルタンX』なのである。もはや“不朽の名作”と呼んでも差し支えないほどだ。

では、いったい『スパルタンX』のどこがそんなに凄いのか?それはズバリ「最強の敵役」の存在であろう。本作でジャッキーと1対1の壮絶なバトルを繰り広げる相手は、なんと映画俳優ではない。“怪鳥”の異名を取り数々のタイトルを制した、マーシャル・アーツ世界チャンピオンのベニー・ユキーデ!

彼はデビュー以来、56戦中55勝47KOというとてつもない記録(映画公開時)を叩き出した、正真正銘のプロの格闘家なのである。当時、WKA世界ライト級チャンピオン、NKL・USグランド・チャンピオン、WDKA世界ライト級チャンピオンと保持したタイトルは枚挙に暇が無いほどの、名実共に世界最強の男!

こいつがジャッキーと史上空前の本気バトルを展開するのだから凄くないわけがない!パンチもキックも、今まで見てきたアクション映画とは桁違いのスピードとパワー!動きが速すぎて攻撃が見えない!

さらにユキーデの凄まじい後ろ回し蹴りを紙一重でかわすジャッキー!次の瞬間、背後のローソクの炎が蹴りの風圧によって一瞬でかき消される!うわあああ、かっこいい〜!

しかも驚くべき事に、本作のアクションは実際にパンチやキックを当てているそうだ。噂によるとプロの格闘家であるベニー・ユキーデは寸止めが出来ず、何度やってもNGばかり。とうとうお互い口に綿を含んで本気で殴り合うハメになったらしい。

しかもジャッキーは「寸止めを意識し過ぎると、せっかくの格闘シーンが緊張感の欠けたものになってしまう。どうせやるならマジでやり合おう!」と言って撮影の合間中、ユキーデに対して”本物のケンカ”をけしかけていたそうだ。

まさにフルコンタクト・リアル・ファイト!そりゃあ迫力があって当然だ!技を受けるジャッキーも当時30歳で動きもパワーも絶頂期!ジャッキー自身も「歴代3本の指に入るほどのベストファイトだ」と自負しているぐらい、伝説的格闘シーンなのである!最高!!!!!

ちなみに、ベニー・ユキーデはこの時ジャッキーが見せた”本気のアクション”に感激し、「また違う作品でも俺と戦ってくれないか?」と頼み、ジャッキーも「わかった。もう一度やろうぜ!」と了解したらしい(この時の約束は数年後の『サイクロンZ』で実現する)。

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ジャッキーとユキーデの対決が再び実現!
そしてもう一つの重要なポイントは、ヒロインが超美人ということだ。本作でジャッキーとユン・ピョウの憧れのマドンナ、シルビアを演じているのはローラ・フォルネル。サラサラのロングヘアーと大きな瞳が魅力的な素晴らしい女優さんである。


1980年のミス・スペインに選ばれた生粋のスペイン娘で、身長169cm、スリーサイズは上から86、60、86とプロポーションも抜群。モデル出身で日本のテレビCMにも出演した事があるらしい。

彼女の美しさときたら、そりゃあもう画面に目が釘付けになるほどだ。世に美人女優は数あれど、ここまでの超絶的な美人にはハリウッドでもそうそうお目にかかれないだろう。

しかし残念なのは、本作以降の彼女の活躍がほとんど見られなかったという事だ。一応、地元スペインで女優業は続けていたらしいが、僕が見たのはこの後ジャッキーと再共演した『サンダーアーム』のみである。実にもったいない!

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ジャッキーが頭部を骨折して死にかけた映画です(-_-;)
というわけで個人的には大好きな映画なんだけど、唯一気になるのは、日本の配給会社が勝手に付けた意味不明のタイトルだろうか。一応ジャッキーたちが使用する車の名前が「スパルタン号」という、無理やりな設定をでっち上げたらしいが、劇中には「スパルタン」も「X」も一言も出てこない。

この“ワケの分からない邦題シリーズ”は、その後も『サイクロンZ』や『サンダーアーム』などで着実に継続していき、もはや東宝東和のお家芸として認知されている有様。せめて、もう少し内容に関係あるタイトルを付けられないものだろうか?まあ、何となくカッコいいからいいけどさあ(苦笑)。

ちなみに、本作のDVDは現在「ジェネオン」というメーカーから発売されていて、“デジタル・レストアによるスクイーズ・ニューマスター仕様”という事で画質は大きく向上しているんだけど、問題は音声である。

通常のドルビー・デジタルの他にDTSも収録しているのは有難いが、広東語版しか入っていないのだ。実は日本で劇場公開されたバージョンは英語版であり、BGMの楽曲が全然違うのである。

当時、東宝東和が配給した日本公開版にはオリジナルの主題歌が入っており、東和ビデオ版やLD版にも使用されていたが、東和の権利が消滅した後に発売されたソフトには、主に広東語オリジナル音源の「香港版」が収録されるようになっていた。

このような事情で音が変わってしまったんだけど、やはりキース・モリソンのオリジナル・テーマ曲が無いのは痛い!この曲はNOAの社長の三沢光晴が、現役時代に自分のテーマソングとして頻繁に流していたから、知っている人も多いだろう。明るくテンポが良いこの曲が、本作のイメージを実に良く表現しており必要不可欠だと思うんだけどなあ。

他にも格闘シーンなどあらゆる部分の音楽が全て違うので、昔からのファンには違和感バリバリだ。僕としては、以前「スパイク」というメーカーから発売された、英語版を収録したDVDをお薦めしたい。ただし画質が少々悪く、現在廃盤になっているようなので入手は困難かもしれない(僕は両方買いましたがw)。

だが本当の問題は、どちらのDVDにもジャッキー映画にはお馴染みの“エンディングに流れるNGシーン”が収録されていない事なのだ!初めてDVDで『スパルタンX』を見た人は、「本作にはNG集が無いのか〜」と思うかもしれないが、それは違う。劇場公開時には、“ベニー・ユキーデの蹴りがまともに顔面に入って、フラフラになるジャッキー”などのNGシーンがちゃんと存在していたのだ。

元々エンディングのNG集は、配給会社がジャッキーに無断で勝手にくっつけたのが始まりだったらしい。その後オフィシャルに認知され、“恒例行事”として定着したのだそうだ。なので、現在DVDに収録されているものが正式なバージョンってことなんだけど、そんな会社の事情なんかどうでもいい。何とかして完全版(?)を出してくれ〜!

※追記
その後、『スパルタンX』の英語版を収録したブルーレイが発売されました。NGシーンはもちろん、日本語吹き替え版もバッチリ収録されてて嬉しい限りです(^O^)/


スパルタンX
任天堂

映画を元にしたゲーム…なんだけど内容が全然違う(^_^;)

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