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ジャッキー・チェン『ベストキッド』(2010年版)ネタバレ感想

■あらすじ『父を亡くし、母とふたりで新生活を求めてアメリカから北京に引っ越してきた少年ドレ(ジェイデン・スミス)。言葉も文化も違う新しい環境になじめず、地元のカンフー少年チェンたちにいじめられる毎日。逃げ道ばかり探していたドレは、ある日、マンションの管理人ハン(ジャッキー・チェン)に助けられた。実はカンフーの達人であるハンは、「自分を守るために使う」条件でドレにカンフーを教え始める。ひたむきに訓練を重ね、逃げずに立ち向かうことの大切さも学んでいくドレ。そしてついにチェンとのカンフー決戦に臨む…!』



本日、金曜ロードSHOW!にて『ベストキッド』が放映されます。『ベストキッド』と言えば、1984年に製作されたオリジナル版が有名ですが、本作は2010年にジェイデン・スミス主演で製作されたリメイク版です。

ただし設定は大きく変わっており、オリジナルの原題は『カラテ・キッド』で「少年が空手を学ぶ」というストーリーだったのに対し、リメイク版ではカンフーに変更され、舞台も中国になりました。

ちなみに、オリジナルの『ベストキッド』を撮ったのはジョン・G・アヴィルドセン監督で音楽はビル・コンティという、『ロッキー』を作った二人がコンビを組んでいます。

1作目は海外で大ヒットを記録し、アヴィルドセン監督は計3本のシリーズを製作。さらに女性を主人公にした4作目が作られた後、1作目から26年の時を経てリメイクされることになったわけです。

そんなリメイク版『ベストキッド』で主人公を鍛える師匠役を演じているのは、世界のアクションスター:ジャッキー・チェン

はっきり言って「ジャッキーが出演する」と聞いた時点で、ジャッキーの大ファンだった僕は映画館へ観に行くことを決めました(ジャッキーが出てなかったら観なかったと思う)。ただ、一抹の不安もあったんですよね。

「アクション俳優」って、どうしても年齢的な限界には逆らえないじゃないですか?スタローンやブルース・ウィリスなども、ガンアクションとかカーアクションを派手に見せることで身体能力の衰えをカバーし、どうにかアクション俳優としての体裁を保っているのが実状です(しかも危険なシーンではスタントマンを使っている)。

でも、ジャッキー・チェンの場合は自分自身の体を限界まで酷使した”肉体アクション”こそが真髄であり存在意義なわけで、観客は超絶的な身体能力を駆使して敵と戦うジャッキーの姿が見たいんですよ。銃や車を使ったアクションだけなら、それはもう「ジャッキーのアクションじゃないだろう」と。

しかしながら、ジャッキー・チェンも当時57歳。どう考えても激しいアクションをやるには無理があります。いまさら「走っているバスに傘を引っ掛けてぶら下がれ!」というのは、年寄りに対して「死ね」と言わんばかりの酷い仕打ちでしかありません。

事実、『タキシード』や『メダリオン』や『ダブルミッション』など、『ベストキッド』の前に公開された映画を観ると、ワイヤーを使っていることがモロバレなアクションばかりでガッカリしました。

別に「ワイヤーを使うな」という意味じゃないんです(過去のジャッキー映画でもワイヤーは普通に使ってますからね)。問題は「ワイヤーを使っていることが素人の観客にも簡単に分かってしまうぐらいアクションのキレが無くなっている」という点なのですよ。

しかし年齢を考えれば無理もない話で、むしろこの歳になってもまだ頑張ってアクションをやってるジャッキーを見ていると、何だか切ない気持になってくるというか…。

まあ、そういう心境で『ベスト・キッド』を観たんですけど、お爺ちゃんになったジャッキーが意外と良かったです(ジャッキー・チェンの主演作じゃないけど)。

年相応の動きではありますが、いじめっこから主人公を助ける場面はアクションそのものに説得力があるんですよね。「おお!こういう役ならまだまだイケるじゃないか!」と嬉しくなりましたよ。

当初、この役でオファーをもらったジャッキーは「いまさら『カラテキッド』のリメイクなんかに出たくない」と断ったそうです。しかし、プロデューサーのウィル・スミスから「ジャッキー、君はミヤギじゃない。完全に新しい役を演じるつもりでこの映画に出演して欲しいんだ」と言われ、引き受けることにしたらしい。

そして、コロンビア・ピクチャーズと共同で中国の制作会社が資本提供したことにより、空手がカンフーに、アメリカが中国に変更され、撮影現場では『クンフーキッド』と呼ばれていたそうです。

また、オリジナルで有名な「車のワックスがけ」や「ペンキ塗り」などのトレーニングシーンが、本作ではジャケットを着たり脱いだりする動作に変えられるなど、カンフー用にアレンジされているところもポイント。

ジェイデン・スミス君のカンフーも悪くなかったですよ。動きも素早いし、体も柔らかい。どうせなら、蛇拳酔拳など、本当のカンフー・アクションをもっと見たかったな〜。ストーリーはオリジナル版を踏襲していて非常に分かりやすく、スタンダードな「成長物語」なので誰でも安心して鑑賞できるでしょう。

一方、この内容で尺が140分というのはちょっと長い気がしました。ハンの過去やドレのデートシーンに時間をかけ過ぎじゃないだろうか?訓練シーンももっとテンポ良く見せれば展開がスピーディになって更に良かったのに。でもまあ、全体的には「ジャッキーのファン以外にも普通におすすめできる良質な娯楽映画」と言えるでしょう。

ただ、一つ気になったのが決着の付け方です。「カンフー大会で勝負だ!」などと言ってますが、トーナメント制なので実際に相手と直接対決できるかどうかは分からないはず。

ドラゴンボール』の天下一武道会では、チャオズが超能力を使って対戦相手を自由に選んでたけど、現実の試合でそんなことはできません。決勝でいじめっ子と当たらなかったらどうなってたんだろう?

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