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『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』解説


■あらすじ『銀河共和国を混乱が襲った。辺境の惑星との交易に税を課すべきか否か。貪欲な通商連合は武力での事態解決を計り、バトルシップ艦隊を出動させ、小惑星ナブーへの航路を封鎖してしまった。この非常事態に共和国最高議長は、平和と正義の守護者ジェダイの騎士クワイ=ガン・ジン(リーアム・ニーソン)とオビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)の2人を秘かに通商連合に派遣した。その後、ナブー元首アミダラ女王(ナタリー・ポートマン)と共に砂漠の惑星タトゥイーンを訪れた彼らは、幼い奴隷の少年アナキン・スカイウォーカー(ジェイク・ロイド)に出会う。アナキンの中に強いフォースを感じたクワイ=ガンは、彼を奴隷から解放し、ジェダイになる道を示すが、それはやがて銀河を揺るがす伝説の始まりでもあった…。世界的な大ヒット作「スター・ウォーズ」シリーズの続編にして最初の物語となるSF超大作!』



本日、金曜ロードSHOWで『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が放送されます。前作『エピソード6/ジェダイの帰還』から16年振りに製作された続編なのですが、ストーリー的には”一番最初の物語”になるわけで、『スター・ウォーズ』を知らない人にとっては「どうなっているのか良く分からない」と言われてしまう要因となっているらしい。

本作が公開された当時、世間では「あの『スター・ウォーズ』の新作映画が16年ぶりに公開される!」ということで、かつてないほどの異常な盛り上がりを見せていました。全米では劇場前に長蛇の列ができ、日本でも全国412スクリーンという(この時点では)日本興行史上最大の劇場数で封切られたのです。

しかし、実際に映画を観てみるとその評価は微妙でした。ファンタジー世界を強調した単純明快な娯楽活劇だった旧三部作に比べると、『エピソード1』は現実世界を反映させたかの如き権謀術うずまく地域紛争の様子をリアルに描いていて、決してシンプルとは言えません。

また、ミニチュア模型や実物大セットなどの特撮技術を駆使して斬新な映像を生み出していた旧作に対し、新作はほとんどの背景がCGで描かれ、俳優は合成用スクリーンの前で演技するだけ。メカもクリーチャーも大部分がCGで作られたビジュアルは、実写映画というより”実写をベースにしたCGアニメ”という印象で、「コレジャナイ感」が炸裂していました。

何よりもファンを落胆させたのは、新キャラクターとして登場したジャージャー・ビンクスの存在でしょう。全体的にリアリティが上がった作劇に反し、場の空気をブチ壊すような”狂言回し”役のジャージャーは、「アイツが喋るたびにイライラする」と観客から完全に拒否されてしまったのです。

事前の期待値が大きかった分だけ、予想外のものを見せられたファンの戸惑いも増大したのかもしれませんが、本編を観た直後の脱力ぶりは想像以上に酷いものでした(当時の心境を図に表すとこんな感じに↓)。

●『エピソード1』を観る前のファン


●『エピソード1』を観た後のファン

まあ、今改めて観てみると『エピソード1』は決して「史上最低の駄作」というわけではありません。ダース・モールの存在感やクライマックスのライトセイバーアクションのかっこ良さ、そしてジョン・ウイリアムズの重厚な音楽など、見どころは盛りだくさんです。

ただ、旧三部作を観たファンの中では既に「理想のスター・ウォーズ像」みたいなものが確立していて、それ(自分の思い描くキャラクターやメカデザインやストーリー構成など)から外れてしまうと「観たかったものはコレじゃない!」と拒否反応が出てしまうのではないかと。

こういう現象は現在公開中の『フォースの覚醒』でも起きていて、「素晴らしい映画だ!最高!」と絶賛する人がいる一方、「スター・ウォーズに対する冒涜だ!許せない!」と激怒する人もいたり、評価は真っ二つに分かれているようです。なかなか難しい問題ですね(^_^;)

なお、『エピソード1』のジャージャー・ビンクスが批判されたことについて、当時ルーカスはインタビューで次のように答えていました。

「一般的に言って映画というものはストーリー優先で、テレビはキャラクター重視になりがちだ。テレビならキャラクターの人気次第で入れ替わりも可能だが、映画ではキャラの人気や不人気に応じて役柄を増やしたり減らしたりなど出来ない。なぜなら、ストーリーが一番大切だからだ。


スター・ウォーズ』の場合、ストーリーの主軸、つまり旧三部作と新三部作のバックストーリーは私にとっては一つの物語なんだ。6つのエピソードから構成された12時間に及ぶ一つの大きな物語であり、そこに出て来るキャラクターたちは、あくまでも筋立てを先に推し進めるために機能してるんだよ。


特定の大きな役割があるからその場にいるのであって、行き当たりばったりに配置しているわけじゃない。観客は、私がジャージャーを”単なるお笑い担当”として配役してると思いがちだが、そうじゃないんだ。『エピソード1』におけるジャージャー・ビンクスは、隣接しながら全く協力し合わない二つの社会の象徴なんだよ。


彼はドジ続きのために自己が帰属していた社会を追放されたはみ出し者だが、二つの並立社会にジェダイを連れて来て、両者を融合させるというプロット上の重要な役割を担っている。つまり、ストーリーの展開においてジャージャーはとても重要な存在であり、単なるコミックリリーフではなかったのさ」

なんと!ジャージャー・ビンクスってそんなに重要なキャラだったのか!知らなかったよ。ちなみに、この後作られた『エピソード2』ではジャージャー・ビンクスの出番が激減し、さらに『エピソード3』ではセリフもほぼ無くなってしまったことを付け加えておきます(^_^;)


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『エピソード1』に対するファンの期待値の高さと、当時の盛り上がりを描いたコメディ映画。これを観ると当時のファン心理が良く分かるw

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