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『チャーリーとチョコレート工場』ネタバレ映画感想/解説

■あらすじ『両親や両祖父母と一緒に、貧乏な家で細々と暮らすチャーリー少年。彼の楽しみは、年に一度誕生日だけに買ってもらえる“ウォンカ”印のチョコレートだった。そんなある日、「チョコレート工場に5人の子供を招待します!」とウォンカ氏が発表。チャーリーと5人の子供たちが工場の中で見たものは…!?奇才ティム・バートンと個性派俳優ジョニー・デップの黄金コンビが贈る、奇想天外なダーク・ファンタジー!』



本日、金曜ロードSHOW!チャーリーとチョコレート工場が放送されます。僕は公開当時に劇場で観たんですけど、「やっぱ、ティム・バートンってすげえなあ!」って感じでした。一見、子供向けのポップなファンタジーに見えますが、その中にはたっぷりと毒が詰まっているのです。しかも『スリーピー・ホロウ』以来、5年ぶりのバートン&ジョニデコンビ復活という事で、気合の入り方が凄すぎる!

まず、チャーリー少年一家のビンボーぶりがハンパじゃありません。住んでいる家が文字通り”傾いて”ますからね(なんて分かり易い表現だw)。ドアまできっちり傾いているので、一瞬「こういうデザインの家なのか?」と思いましたよ(笑)。

また、出てくる子供たちも、金持ちのワガママ娘だったり、食いしん坊のデブだったり、気の強い女の子だったり、へ理屈ばっかりの生意気な男の子だったり、どいつもこいつも見事なクソガキという素晴らしさ。

そして、世界一ヘンなチョコレート工場経営者、ウィリー・ウォンカの奇人変人ぶりはもう必見!なんせ彼が初登場するシーンで、可愛らしい人形が出てきたと思ったらドロドロに燃え尽きてしまうのですから、悪意に満ち溢れているとしか言いようがない(妙にディズニーっぽいのもワザと?)。

そのウォンカを個性派俳優ジョニー・デップが、おかっぱ頭に白塗りメイク、時代錯誤の古びた衣装で大熱演!はっきり言って気持ち悪い(笑)。実は、ジョニデ自身も原作の大ファンで、ティム・バートンから「今度、『チョコレート工場』を映画化することになったんだけど…」と話しかけられた途端、「やるよ!」と役名も聞かないうちに即決したらしい。さすが、変人アクター、ジョニー・デップ(こういう役をやらせたら本当に上手いなあ)。

しかし、なんとこの映画にはジョニデ・ウォンカを上回るもっとヘンテコなキャラクターが登場するのです。それがディープ・ロイ演じるウンパ・ルンパ。一言で言えば「小さなおっさん」です(笑)。

この「小さなおっさん」が信じられないぐらい大量に出てきて、しかも派手な衣装を着て歌ったり踊ったりするのですから、その衝撃度たるやハンパではありません。「うわあああ!なんじゃこりゃあああ!」

その強烈なヴィジュアルは、うなされそうなほどの凄まじいインパクト!軽快なリズムに乗って楽しそうに踊りまくる「小さなおっさん」の大群は、なんと最大で165人にも達し、ウンパ・ルンパ役のディープ・ロイが何ヶ月もかけて一人で全てのダンスシーンを演じたらしい。その他にもパペットやCGを使用するなど、とんでもない手間と費用が掛かっているそうです(よくこんな事思いつくなあw)。

しかも、良く見たら「小さなおばさん」まで混じっているではありませんか!もう、ウンパ・ルンパだけでお腹いっぱいですよ。映画を観終わった後も、ウンパ・ルンパの歌と踊りがずっと脳内でリフレインしっぱなしで止まりません(何とかして!)。

そして何と言っても特筆すべきは、チョコレート工場のビジュアルの素晴らしさ。原色を多用したカラフルな内装は、一見ディズニーランドを思わせるようですが、良く見るとかなりダークでグロテスク!これらの奇妙な世界を再現するため、バートンは極力CGを使わず、出来るだけ実物のセットを作る事を要求したそうです。

中でも、チャーリーたちが最初に訪れる「チョコレートの部屋」は、特にこだわって作られたという。「可能な限り原作に忠実に」をモットーとしたバートンは、”アメのリンゴがなる木”や、”キャンディのキノコ”など、室内にあるもの全てを本当に食べられるお菓子で作り上げました(長期間の撮影に耐えられるように、特殊なニスでコーティングされている)。

さらに、”流れるチョコレートの河”も実際に作ろうとしたものの、さすがにこれは無理と判明。そこで、水とダイエット用セルロースの混合物に様々な食用色素を混ぜ、いかにもチョコレートに見える外見と質感を表現しました(本物そっくりで実に美味しそうw)。このポップでぶっ飛んだファンタジー感覚こそ、まさにティム・バートンの真骨頂と言えるでしょう。

さて、総合的に見て本作は「非常にバランスの取れた映画」と言えるでしょう。僕のイメージしていたティム・バートンって、もっと”濃い世界観”だったんですが、今回は「俺が全力で走るとみんな付いて来られないから、ちょっとスピードを緩めてやるか」みたいな、余裕が感じられるのです(手を抜いているという意味ではなく)。

一言で言えば、「物凄く分かり易い映画」に仕上がってます。主人公のキャラクターはひたすら”清く正しく美しく”で、訴えている事は”家族の大切さ”、そして物語の着地点も極めてオーソドックス。

おまけに『2001年宇宙の旅』や『サイコ』など、有名映画の分かり易いパロディも満載。バリバリのティム・バートン・ファンの目から見れば「う〜ん、何だかぬるいなあ」と感じるかもしれませんが、受け入れ易さという点ではこれぐらいが丁度いいのかもしれません。

実は『ビッグ・フィッシュ』の頃から”父と息子の和解”がテーマとして盛り込まれ、主人公たちの描かれ方がそれまでのバートン映画とは少し変化してきているのです。その原因として、バートンが父を亡くしたことと、ヘレナ・ボナム=カーターとの間に子供が生まれ、自らが“父親”になったからでは、と言われていました。

しかしティム・バートン本人は、「映画で描かれている親子関係と僕のプライベートは何の関係も無いよ」と、その説を否定。インタビューで「原作には無い”ウォンカと父親のエピソード”を入れたのは何故ですか?」と聞かれた時も、「今回、ウォンカのバックストーリーを追加したのは、それが無かったらただのエキセントリックなキャラクターで終わってしまうからだ」とのこと。

さらに「子供が生まれたから、このような児童文学の映画化を手掛けようと思ったのでは?」という質問にも、「まさか!もし息子のためならホラー映画を撮ってるよ(笑)。今の所、僕は息子が生まれたことで、映画のスタイルを変えたつもりはないよ」と答えています。

また、ティム・バートンはそのインタビューで、「子供たちのキャラクターが、原作以上に”歪んだ性格”として描写されているようですが?」と質問されて、「僕が子供の頃は、実際にこんな連中が周りにいたんだよ。そういう悪ガキたちを学校で見つけては、”いつか覚えてろよ!”って思ってた。僕が原作を好きな理由の一つは、これが復讐のファンタジーでもあるってところだ。普通の平凡な子供が、悪ガキどもをギャフンと言わせるんだからさ。痛快だろ?」と楽しそうに答えたらしい(やっぱりダークだなあw)。


その他、気になったポイントをいくつか取り上げてみましたよ。


●リスがすごい!
てっきりCGかと思ったら、動物調教師のマイク・アレキサンダーが本物のリスを19週間かかって訓練したそうです。その数なんと100匹!マイク曰く、「リスは非常に訓練が難しい動物だ。それを100匹だなんて尋常じゃない。じっと座っていさせるようにするだけで2週間かかったよ」とのこと。う〜ん、凄まじい!

●お母さんの笑顔が怖い!
ひたすらガムばっかり噛んでいる勝気な少女バイオレット。彼女のお母さんを演じたミッシー・パイルの顔を見て、「どこかで見た事あるな〜」と鑑賞中ずっと気になってたんですが、『ギャラクシー・クエスト』の宇宙人役をやってた人だったんですね〜(あの笑顔は強烈ですw)。


ちなみに、生意気な子供たちを演じた子役は今どうなっているかと言うと、皆さん美男美女に成長していましたよ。特にバイオレットを演じたアナソフィア・ロブは、『テラビシアにかける橋』や『ソウル・サーファー』などの大作映画で主演を果たすなど、現在でも活躍中。


●実はチョコが苦手だった?
本作や『ショコラ』など、チョコレートに関する映画に良く出ているので、「ジョニー・デップはチョコレートが好きなのかな?」と思っていたら意外や意外!実は、子供の頃からチョコレート・アレルギーで、以前はチョコを食べると体中にジンマシンが出ていたそうです。そのため、いまだにチョコが苦手で、『ショコラ』の撮影の時はもう大変だったらしい。え〜、そうだったのか!

ちなみに、ジョニデの大好物は”スティッキー・トフィー・プディングというイギリスの伝統的なお菓子だそうです。イギリスでロケした際、現地で出された食事に対して「こんなクソまずい料理が食えるか!」と激怒したジョニー・デップもこのお菓子だけは気に入ったというのですから、よっぽどおいしいのでしょう(笑)。

アンジェリーナ・ジョリーブラッド・ピットも絶賛していて、ジョニー・デップも一時期は「食べ始めると止まらなくなる」ぐらいハマっていたそうですが、いったいどんなお菓子なんでしょうね?食べてみたいなあ(スティッキー・トフィー・プディング ↓)

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