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映画『ザ・グリード』はここが凄い!ネタバレ解説/感想/続編は?


■あらすじ『舞台は南シナ海。世界最大の超豪華客船「アルゴノーティカ号」が3000人の乗客を乗せて処女航海に出航中、謎の美女トリリアンファムケ・ヤンセン)が乗客たちから次々とサイフを抜き取っていた。しかし船長に見つかり、食糧庫に監禁されてしまう。一方、同じく南シナ海を航行していたフィネガン(トリート・ウィリアムズ)の密輸船が何かに衝突し、沈没寸前になっていた。その時、運よく彼らの目前にアルゴノーティカ号の姿が…。こうして豪華客船に乗り込んだフィネガンたちだったが、なぜか人の気配が全く感じられない。3000人の乗客は一体どこへ消えたのか?人類が初めて遭遇する究極の恐怖を、最新のCG技術を駆使して描き出したモンスター・アクション・パニック超大作!』



どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、「午後のロードショー」でスティーブン・ソマーズ監督のザ・グリードが放送されます。スティーブン・ソマーズと言えば、本作で注目を集め、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』で大ヒットを飛ばし、以降『ヴァン・ヘルシング』や『G.I.ジョー』など、ひたすら単純明快な娯楽作品を撮り続けている分かりやすい映画監督です(笑)。

最近は全く新作の話を聞きませんが、ここまで作品の傾向が一貫している監督も珍しいんじゃないでしょうか?そんなソマーズ監督の”全キャリア史上最高傑作”と言われている映画が『ザ・グリード』なのですよ(一般的な知名度はイマイチかもしれませんが)。

本作が公開されたのは1998年。当時のキャッチコピーは「『タイタニック』を上回るスペクタクル!『ダイ・ハード』を凌駕する銃撃戦!『スピード2』を超える疾走感!『エイリアン4』を凌ぐタフで美貌のヒロイン!そして『GODZILLA』を超越した恐怖のモンスター!90分で3000人、喰って喰って喰いまくれ!!!!!」という勇ましいもので、多くの映画ファンの期待を煽りました。

このコピーにまんまと心を鷲掴みにされた僕は、ワクワクしながら映画館へ行って『ザ・グリード』を観たんですけど、確かに色んな娯楽映画の要素をギッシリ詰め込んだ非常に楽しい作品でしたね(少なくとも海洋アクション映画としては、キアヌ・リーブスが降板した『スピード2』よりも遥かに面白かったw)。

要は、タイタニックみたいな豪華客船を舞台に、最新の重火器で完全武装したテロリスト集団&美しいヒロインが、凶悪な巨大モンスターを相手に凄まじいバトルを繰り広げる…という中二魂を激しく揺さぶるオモシロ設定が満載の「豪華なB級アクション・ホラー映画」なんですよ。

なお、タイトルの”グリード”っていうのはモンスターのことですが、これは配給の東宝東和が勝手に付けた邦題で、劇中には一言もそんなワードは出て来ません(名前の由来は、聖書の「七つの大罪」の一つ”強欲・貪欲”を意味する言葉から取ったらしい)。

設定によると、「8億年前のカンブリア紀から生き延びて来た古代生命体が環境破壊によって生態系が崩れたために異常進化した」となってるんですけど、『遊星からの物体X』で一躍有名になった特殊メイク・アーティストのロブ・ボッティンがデザインした姿は完全に巨大なタコ!

そいつがグニョグニョと蠢く触手を伸ばして人間を捕え、頭から生きたまま踊り食いし、骨だけ「ペッ!」と吐き出す、まさに悪夢のような映像が炸裂するのだからたまりません。しかも、VFX会社ドリーム・クエスト・イメージズとILMがタッグを組んで作り上げたグリードの造形がまた凄い!

なんと、120名以上のスタッフが1年半を費やしてロブ・ボッティンのデザインを忠実に再現したそうです。さらにCGアニメーターたちは水中生物を集めた水槽を大量に並べ、イカやイソギンチャクやクラゲなどの動きを観察し、映像制作の参考にしたという(ヌメヌメしたリアルな気持ち悪さは必見!)。

そんな『ザ・グリード』で主演を務めたトリート・ウィリアムズは、シドニー・ルメット監督の『プリンス・オブ・シティ』や、セルジオ・レオーネ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』など名作に出演している俳優です。

その一方、焼き豚が襲いかかって来る爆笑ホラー・アクション『ゾンビコップ』で主役を演じるなど、割と仕事を選ばないスタンスでも知られています(ちなみに『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』にもノンクレジットで出演しているらしい。どこに出てた?)。

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バディムービーとしても最高に面白くてオススメ!

そんなトリート・ウィリアムズが一応本作の主人公なんですけど、テロリストに脅されたり人食いモンスターに襲われたりしても慌てず騒がず、「Now what!?(お次は何だ!?)」と言いながら次々とピンチを切り抜けていく姿が実に痛快なんですよね。

本来は怪しい仕事を請け負う「海の運び屋」で、人と荷物を運ぶだけのはずだったのに、予期せぬトラブルでテロ集団と行動を共にすることになり怪物と遭遇してしまうという、巻き込まれ型のキャラクターを魅力的に演じていました(当初の予定ではハリソン・フォードにオファーを出していたらしいので、ハン・ソロみたいなキャラをイメージしたのかも)。

また、ヒロインを演じたファムケ・ヤンセンは、『007 ゴールデンアイ』の女暗殺者ゼニア・オナトップ役で注目され、『X-Men』のジーン・グレイ役で人気を獲得し、『X-Men』シリーズ5作品に出演(『96時間』シリーズではリーアム・ニーソンの奥さん役も演じた)。

そんなファムケ・ヤンセンが『ザ・グリード』で演じたトリリアンは、「窃盗、強盗、公文書偽造、殺人未遂などで逮捕6回、有罪5回、4か国から国際指名手配中の女泥棒」で、要するに峰不二子ですな(笑)。劇中では、白いタンクトップ&ジーンズを着用して巨大なタコに立ち向かう姿が、実にカッコ良く描かれていました。

にしても、やっぱりアクション映画には「タンクトップ姿で戦うヒロイン」が欠かせませんねぇ。『エイリアン2』のリプリーとか、『ターミネーター2』のサラとか(どっちもキャメロンですけどw)。そういえば、トリリアンって『スピード』に出演していた頃のサンドラ・ブロックに似てるような気がするなぁ。

その他、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』『ヴァン・ヘルシング』『G.I.ジョー』など、スティーブン・ソマーズ監督作品でお馴染みのケヴィン・J・オコナーや、『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』『ブラッド・ダイヤモンド』でオスカーにノミネートされたジャイモン・フンスーなど、個性的な俳優が出演しているところも本作の魅力の一つでしょう。

あと、テロリスト達が使っている武器にも特徴があって、「M1-L1 トリプルパルス突撃銃」という見たこともない銃が出て来るんですよ。劇中では「中国製」となっていますが、実在しないオリジナル・ガンで、ベースはキャリコM960だそうです。

発砲時には5本束ねられた銃身が高速回転し、ガトリング砲のように弾丸を連射!マズル・フラッシュも派手に発火するし、「ギュイーン!」と豪快に作動するロータリー・バレルも異様にカッコいいんですよねえ(劇中のテロリスト達も「イエーイ!」とハイテンションになってるしw)。

ただ、良く考えたら”必然性”はないかもしれません。もし時代設定が近未来なら、『ロボコップ』のオート9とか『エイリアン2』のM41Aパルスライフルみたいな「架空の銃」を見せることに意味がありますけど、『ザ・グリード』は現代の話だから、そのまま実在する銃を使っても良かったはずなんですよ。

でも、そこで敢えて実銃を使わず、わざわざオリジナル・ガンを作ってバンバン撃たせるという、妙なところにこだわっている点が本作の個性でもあるわけで、そういう部分も楽しかったですね(喜んでるのは銃オタクだけかもしれませんがw)。

さらに音楽を担当しているのが巨匠ジェリー・ゴールドスミスオーメン』『エイリアン』『ランボー』『グレムリン』『トータル・リコール』など、数多くの優れた楽曲を手掛け、アカデミー賞に18回もノミネートされた名作曲家ですが、本作でも見事なスコアを提供しています。

特に冒頭シーン、海底をモンスターが進んでいる場面では『ゴジラ』を思わせるような重厚で不気味なメロディが流れ、この作品が”怪獣映画”であることを強調。また、アクションや爆発シーンではテンポのいい楽曲が鳴り響くなど、活劇映画の魅力を存分に堪能できますよ。

なお、ラストは「やっと巨大モンスターから逃げのびた主人公たちがとある島に辿り着くものの、島の奥から別の巨大生物らしきものが現れ…」という『キングコング』を彷彿させるような場面で終わっていたため「続編があるのでは?」と期待した人もいたようですが、残念ながらその後も続編の話は聞こえて来ないので本作はこれで完結なのでしょう(もし続きが作られるのなら観てみたいなぁ)。

というわけで、アクション・サスペンス・ホラー・コメディ・海洋モンスターなど、ありとあらゆるエンタメ要素をブチ込んだ痛快娯楽大作『ザ・グリード』。ややグロテスクなシーンがあったりしますが(というか中盤以降は結構グロいけど)、登場人物がもれなく魅力的なので最後まで楽しく鑑賞できますよ。未見の方は是非一度ご覧ください。

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残念ながら現在DVDはもの凄いプレミアが付いてます(泣)


※なお余談ですが、午後のロードショーでは時々「マイナーだけど面白いモンスター映画」を放送することがあり、僕は『ザ・グリード』と『トレマーズ』と『アナコンダ』の3本を勝手に”午後ロー三大傑作モンスター映画”と呼んでいます(笑)。

トレマーズ (字幕版)

地中から襲い来る巨大生物との攻防戦が超面白い!

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