■あらすじ『ある日、宇宙をモニターしていたアメリカの衛生アンテナが奇妙な信号を受信した。異常な飛行物体が接近している事が判明し、アメリカ軍は緊急事態に備える。地球に近づく謎の飛行物体の正体、それは異星人の巨大宇宙船だった!果たして人類は異星人の侵略という最大の危機を回避できるのか!?全人類の存亡を賭けたかつてない戦いの火蓋が今、切って落とされた!』
本日、金曜ロードSHOWで『インデペンデンス・デイ』が放映される。監督は、『スター・ゲイト』やハリウッド版『ゴジラ』、そして『デイ・アフター・トゥモロー』や『2012』など、とにかくスケールのでかい映画を撮らせたら天下一のローランド・エメリッヒだ。
エメリッヒといえば、大体どの映画も“何やらとてつもなく巨大なものが世界の都市を破壊しまくる”というかっこいいヴィジュアルを炸裂させ、毎回強引に話を進めていく大胆かつ男らしいスタイルで全編が統一されている。
本作においても例外ではなく、呆れるほどに大雑把なストーリーだ。なんせ、宇宙人側のコンピューターに地球製のノートPCであっさりアクセスできてしまうという状況一つとっても、「いくらなんでも無理だろう」と小学生でさえ却下しそうなほどに説得力が無い。映画全体がまさに“突っ込んで下さい”と言わんばかりの、バカバカしい設定で溢れ返っているのだ。
だがしかし!ウィル・スミスがグーで宇宙人をぶん殴るシーンを見た瞬間、全てがどうでもよくなる。「これは“そういう映画”なのだ」と。ストーリーや設定の細かい辻褄合わせなんぞどうでもいい。監督が描きたかったものは、圧倒的にダイナミックなビジュアルと、精一杯生き抜こうとする人間の姿なのだ。
この映画は、大統領、空軍パイロット、コンピューター技師、そして酔っ払いのおっさんに至るまで、それぞれの家族と共にそれぞれのドラマを見事なまでに描き切っており、その力強いドラマこそが何よりも素晴らしいのだ。
特に大統領が演説するクライマックスシーンは、前半のバカバカしさなんか綺麗さっぱり忘れて思わず感動してしまうほどだった。大統領自身がジェット戦闘機に乗り込んで戦う場面も(初めて観た時はひっくり返ったが)、一周回って逆に面白い。
さらに酔っ払いのおっさんが自分の家族と地球を救うために、自らの命を引き換えにして宇宙船に特攻をしかけるラストに至っては、もはや涙で画面が滲んでしまうぐらい感情移入しまくり!まさにSF映画史に残る名シーンと言えるだろう。
エメリッヒの映画は、前半は面白いが後半に行くにしたがってどんどん失速するというパターンが多い。しかし本作は、中盤から後半にかけてのテンションの上がり方がハンパではないのだ。それはこの映画が一見荒唐無稽な物語を描きながらも、根底には“ゆるぎない家族の絆”があるからだと僕は思う。
派手な爆発シーンやアクションシーンばかりに目を奪われがちだが、この映画の本質は「泣けるドラマ展開」にあることは間違いない。バカバカしさとかっこ良さが絶妙のバランスで融合した、まさに最強のB級映画。これこそが正真正銘のエンターテイメントではないだろうか。
ちなみに”大のスター・ウォーズ・ファン”で知られるエメリッヒ監督は、本作が劇場で公開された時、自分の映画の前に『スター・ウォーズ:特別篇』の予告編が流れると知って子供のように大喜びしたらしい。ミーハーすぎるだろw
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