前作で衝撃的な最後を遂げたリプリー。パート4が制作されると聞いた時ファンは「主人公が変わるのか?」と予想したが、公開された映画を見てひっくり返った。なんとリプリーがクローン人間として甦ったのである!男たちの挽歌2で死んだはずのチョウ・ユンファが出てきたとき、「実は双子の弟がいました」という強引な展開で乗り切ってしまったのを見て驚いたが、それと同じぐらいムチャな設定だ。この時点でエイリアンシリーズは、もはや「リプリーの物語」として確立していたのである。
映画は全編暗〜い雰囲気で統一されており、1に近くなった感じだ。フランス人監督:ジャン・ピエール・ジュネのスタイルなのだろうか、よりいっそう不気味さが増している。SF的な見所としては極力CGを使わないヴィジュアル作りに好感が持てた。宇宙船ベティ号などもミニチュアモデルを使って昔ながらのモーション・コントロール・システムで撮影しているのだ。これによってCGには無い圧倒的な存在感を生み出す事に成功している。
また特徴の一つは、リプリーのキャラクターが変化しているという点だ。クローンなので前作までのリプリーとは別人と言えるし、前作でエイリアンの子供を宿した為に、エイリアンの特性を受け継いでしまったのである。人間とは違う「別の何か」になってしまった彼女の超人的な活躍が見所。
そしてアクション面に関してはかなりハリウッド映画を意識した展開となっており、欧州風のヴィジュアルとのバランス感覚が微妙でなかなか面白い。「タクシー・ドライバー」でロバート・デニーロが使っていた銃と同じ仕組みの銃が出てきたりとガン・アクションも頑張っている(しかし大量に銃火器が出てくるものの、ベースの銃が何なのかさっぱり分からん)。ただし主人公が人間ではなくなってしまった為に感情移入し辛く、ドラマにのめり込めないという点が残念だ。