ロボット教師が大暴走！『クラス・オブ1999』映画感想

クラス・オブ・１９９９

■あらすじ『時は1999年、悪化の一途を辿る校内暴力はもはや留まる所を知らず、学校は今や無法地帯と化していた。そんな異常事態に対処する為、校長はついにある決断を下した。ロボット会社に依頼し、生徒たちを矯正させるべく究極の「ロボット教師」を作り上げたのである。かくして、命知らずの暴力生徒ＶＳ史上最強のロボ先生の凄絶なる決戦の火蓋が切って落とされた！』

なんというバカバカしい設定及びストーリーであろうか。この企画が通った事自体信じがたい出来事だが、真剣に取り組んで完成させてしまったことが最も驚愕に値するだろう。ある意味「偉業を成し遂げた」と言っても過言ではない。

内容は押して知るべしで、正真正銘の「B級映画」である。当然ハリウッドの大作映画などとは比べ物にならないが、”駄作”と決め付けるのはちょっと待って欲しい。実は色々と見所の多い映画でもあるのだ。

●「暴力に支配された学校」の描写が激しすぎて笑える！
スクールバスはなんと装甲車で、生徒はカバンの代わりにサブマシンガンを携帯し、校門では毎朝武器のチェックが行われ、大量の武器が押収されている、といった酷い有様だ。暴行、恐喝、麻薬取引などありとあらゆる犯罪が日常化し、警察さえも恐れて近寄らない完全な無法地帯である。

もはや「校内暴力」などという生易しいレベルではない。だがこんな劣悪な学習環境にもかかわらず、ナゼか生徒の数は多いのだ。よくこんな学校に通う気になるな？絶対に行きたくねえよ(笑)。

そしてこの学校では2つの組織が対立しており、常に一触即発の状態なのだ。彼らの所持している武器がこれまた凄まじく、手榴弾やマシンガンはもちろん対戦車砲やロケット・ランチャーまで標準装備しているのである。まさにアルカイダにも匹敵する「武装勢力」だ（もちろん全員高校生）。

●ドラマが面白い！
2つの武装勢力はお互い憎み合っており、激しい戦闘も行われるわけだが、クライマックスでは「俺たちの本当の敵はあの先生だ！」とばかりに共同戦線を張るのだ。完全に80年代の青春ドラマのノリである（ベタな展開の割には結構盛り上がるから不思議だw）。

●ロボ先生の戦闘シーンが凄い！
実は3人のロボ先生は、元々「軍用」だったロボットを「教師用」に改造したものだったのだ（そんなアホな！）。そのため、最初は「生徒のお尻を叩く」程度だった体罰も次第にエスカレートし、ついには生徒を一人一人殺してゆく「殺人教師」と化してしまう。その殺人方法も凝っており、それぞれ腕に特殊な武器を装備しているのである。

科学の先生は火炎放射器、体育の先生はミサイル・ランチャー、歴史の先生はドリル（？）といった具合だ。そしてクライマックスではついに本性を現し、体内のメカを剥き出しにしながら生徒に襲い掛かってくるのである（この辺ははっきり言って「ターミネーター」のパクリだが、不気味さは良く出ている）。また、特殊効果も作り物感丸出しで安っぽいものの、そのチープさが逆に楽しいと言えなくもない。

●最大の見所は凄まじいアクション！
この映画、なぜかアクションシーンに異常とも言えるほどの気合が入っている。特に2大勢力の銃撃シーンやクライマックスの大戦闘シーンなどの想像を絶する派手な爆破の連続に至っては、とても「学園モノ」（笑）とは思えぬほどの凄まじい迫力だ。

それもそのはず、監督はアーノルド・シュワルツネッガー主演の『コマンドー』を撮り、問答無用のハイパー・アクションで観客の度肝を抜いたマーク・Ｌ・レスターなのだ。

その畳み掛けるようなスペクタクル＆バイオレンス描写の素晴らしい手腕を（よりによってこんな映画で）惜しみなく発揮しているのである。「何事においても手を抜かない」という崇高な姿勢には脱帽するしかない。

しかも、最終的には校舎も吹き飛ぶほどの大爆発が炸裂し、完全な「戦争映画」の世界に突入するのだから、アクション映画ファンにはたまらない！必見すぎる！

●微妙なキャスティング！
校長先生の役で『時計仕掛けのオレンジ』のマルコム・マクドウェルが出演している。結構名の知れた俳優のはずだが、この他にもキャット・ピープルやブルーサンダー等にも出演しており、どうやらあまり出る映画を選ばない人のようだ（しかし、実写版『北斗の拳』にまで出ているとは…少しは選んだ方がいいと思うぞ）。

またクエンティン・タランティーノお気に入りのパム・グリアーが「科学のロボ先生」役で不気味な色気を振りまいている（涙ぐましい熱演だが、彼女のキャリアには何のプラスにもならないという事だけは確実だ）。

というわけで、初めから「B級」と割り切って見れば、意外と見所の多い映画である。特に『ターミネーター』や『コマンドー』などバイオレンス・アクションが好きな人には全力でオススメしたい。

主演：ブラッドリー・グレッグ、トレイシー・リン、マルコム・マクドウェル、パム・グリアー
監督：マーク・Ｌ・レスター