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ジェームズ・ワン監督『SAW(ソウ)』ネタバレ映画感想

SAW

■あらすじ『目覚めるとそこは老朽化したバスルームの中だった。2人の男は足首に鎖をはめられ、部屋の真ん中には自殺死体が…。いったいこれは何なんだ!?するとテープレコーダーから世にも恐ろしいメッセージが聞こえてきた。史上最も残虐なゲームが今始まったのだ!謎の殺人犯「ジグソウ」とは誰なのか!?想像を絶する衝撃のラストシーンが見る者を恐怖の渦へ叩き落す! サンダンス映画祭のワールドプレミア会場が絶叫に包まれた、これがショックの限界を超える「ソリッド・シチュエーション・スリラー」だッ!』



すっげえええ!!!!!!!
なんて面白い映画なんだチキショー!先日見た『オールド・ボーイ』もあまりの”引き”の上手さに大興奮だったが、この映画の面白さも尋常ではない。「一瞬たりとも目が離せない」とはまさにこの事だ!

既に『CUBE』や『セブン』との類似性が指摘されているが、2つの映画の要素をうまくミックスして新たな恐怖を創造している点が素晴らしい。

『CUBE』からは「犠牲者の視点」、「パズル的要素」、「限定された空間」を、そして『セブン』からは「刑事の視点」、「犯人捜しのサスペンス」、「ショック・シーン」といった要素をそれぞれ抽出して、実に見事なストーリーを組み立てているのだ。

この映画の見所はどこかと聞かれた場合、「全部だ!」と言うしかないだろう。映画が始まるといきなり2人が監禁されている場面から始まる。状況説明や人物紹介は一切無い。観客も2人の心境と完全にシンクロしている状態で「ここはどこ?一体何がどうなってんの!?」と軽いパニック状態に陥る。

そこから先はもうジェットコースターのように話が展開し、息つく暇もありゃしない!これほどまでにダレ場が少ない映画も前代未聞だ!

ホラー、サイコ・スリラー、サスペンス、パズル、猟奇、ゲーム殺人、サバイバル、密室、パニック、ミステリーなどのありとあらゆる表現を片っ端からブチ込みながらも、圧倒的な演出力と攻撃的な音楽と驚異的なカメラワークによって、観客の心を鷲づかみにしたまま衝撃の結末まで休むこと無くドラマは加速し続けるのだ!

上映時間が103分と比較的短いとはいえ、「この後一体どうなるんだッ!?」という緊張感を持続したままラストまで一気に突っ走る手腕は見事としか言いようが無い。正直ショッキングな場面も多い為、万人に勧められる映画ではない。特にクライマックスの”アノ場面”は卒倒しそうなぐらい凄まじいインパクトだった。

しかし「こういうジャンル」に少しでも関心がある人は是非見ていただきたい。いや、一食抜いてでも観るべきだろう。めちゃめちゃ怖くてケタ外れに面白い、これぞまさに真のエンターテインメントである。傑作!!!!!


※以下ネタバレしてます!


真犯人の「正体」についてちょっと僕の考えを書いておきたい。

「全ての既成概念をブチ壊す驚愕のラストシーン!」とか「予測不可能な究極の大どんでん返し!」などと騒がれているようだが、実は(個人的には)それほど大きな衝撃は無かった。

最後の最後に「真犯人」の正体が判明するんだけど、限りなく”一発ネタ”に近いもので「理由」や「必然性」に欠けるからだ。

確かに”意外な真犯人”の登場の仕方に驚きはするものの、それは『ユージュアル・サスペクツ』や『シックス・センス』の時に感じた「ああっ!そうだったのか!」という整合性に裏打ちされた「納得できる驚き」とは明らかに質が異なる。

単に、「あそこで寝転がっているヤツが真犯人だったら面白いんじゃね?」みたいな思いつきに近く、「付け足しのサプライズ」という感じが拭えないのだ(予測不可能というよりも、あれじゃコントのオチと同じレベルだろう)。

しかし、非常識を承知であえて言わせてもらえれば、この映画では真犯人が誰だろうと関係ないのである。映画本編の凄まじい面白さに比べれば、そんな”些細な問題”などは、もうどうでも良くなってくるのだ(笑)。つくづく、とてつもない映画であると言わざるを得ない!


出演:ケアリー・エルウェズ、ダニー・グローバーリー・ワネル
監督:ジェームズ・ワン