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『ガメラ 大怪獣空中決戦』が画期的な理由


本日、テレビ(TOKYO MX2)で『ガメラ 大怪獣空中決戦』が放送される。なぜ今ガメラなのか?理由はよくわからないが、物語の中では本日6月10日にガメラが初めて日本(福岡)に上陸したことになっているらしい。

さて、『ガメラ 大怪獣空中決戦』が劇場公開されたのは1995年。今から23年前だが、当時の怪獣映画ファンの反応は凄かった。分かりやすく言うと、「初めて『シン・ゴジラ』を観た時の衝撃」に近いものがあったのではないだろうか?

本作が画期的だった理由を具体的に挙げると

・子供向け要素を極力排したハードなトラマ展開
・「もし現実に怪獣が現れたら…」というリアルな世界観
・陸・海・空の自衛隊が全面協力したド迫力のミリタリー描写
・緻密なミニチュアを作って屋外で撮った見事な特撮効果

などになると思う。

特に、それまでの怪獣映画には無かったリアリティ溢れるストーリーはある種の「災害シミュレーション」的な圧倒的な現実味をもって描かれ、「こういう怪獣映画を観たかったんだよ!」とファンから絶賛されたのだ。

2016年の『シン・ゴジラ』でも、「自衛隊に攻撃を要請する政治家たちの会話がリアルだ」と話題になったが、20年以上前に公開された『ガメラ 大怪獣空中決戦』でも「防衛出動ではないのでガメラに対して武力を行使できない」「自衛隊の基本戦術は専守防衛で、こちらから先に攻撃できない」などリアルなやり取りがしっかり描かれている(ちなみに登場する自衛隊を演じているのは本物の自衛官)。

また、『シン・ゴジラ』の庵野秀明総監督はアニメの監督だが、『ガメラ』の脚本を書いた伊藤和典も『うる星やつら』や『機動警察パトレイバー』などアニメ作品を数多く手掛けてきた脚本家だ。

ちなみに、監督の金子修介押井守の依頼で『うる星やつら』に関わったり『魔法の天使クリィミーマミ』の脚本を書いたりしていたらしい。

さらに特技監督を務めた樋口真嗣も、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』など数々のアニメ作品で絵コンテ等を担当し、『シン・ゴジラ』にも参加している。

つまり『ガメラ』は、アニメ的なテイストや方法論を怪獣映画に持ち込んだ最初の作品であり、「その発展型が『シン・ゴジラ』」と言えるのかもしれない。

他にも、庵野監督が東宝から「感動的なドラマや恋愛要素を入れてくれ」と言われた際、「だったら僕が監督する意味がないので降板する」と言って自分の主張を貫き通したのと同様に、金子監督も大映から様々な要求を突き付けられた際、「その要求を飲んだら、僕がこの映画を撮る必然性がなくなる」と突っぱね、あくまでもリアルな怪獣映画にこだわった点などの”作品に取り組む姿勢”も一致している。

中でも、樋口真嗣の果たした功績は非常に大きいと言えるだろう。

ガメラ 大怪獣空中決戦』の制作時は予算が6億円しかなかったため、「スタジオにミニチュアをいっぱい並べて撮影する」という従来の方法がとれなかった。そこで樋口監督は最初にレイアウト(画面構成)を決め、「カメラを覗いた時に見える範囲しかミニチュアを設置しない」という方法を考案。

このやり方なら(カメラアングルをちょっとでも外れると画にならないが)決まった構図で撮れば少ないミニチュアでも十分に効果的で、なおかつミニチュア1個あたりの精度を高められるので、よりリアルな映像を作成できるのだ。

さらに樋口監督はミニチュアを屋外へ持ち出し、自然光を利用したオープン撮影を実行。これが絶大な効果を発揮し、太陽に照らされたミニチュアはまるで本物のビルのように見え、それらが破壊されるシーンが凄まじい迫力を生み出したのである。

何よりも素晴らしかったのは「壊れた東京タワーに降り立つギャオス」で、その美しさたるや、まさに怪獣映画史に残る名場面!

樋口真嗣は「『風と共に去りぬ』とかデビッド・リーンの映画をイメージしていた」「東京が死の街になってしまったという恐ろしい状況を、動きの無い美しい画で見せて”静かな恐怖感”を表現したかった」とこのシーンについて語っている。

なお、綺麗な夕焼けが撮れたのは偶然で、「太陽が傾き、沈むにつれて空がだんだんと自分のイメージに近付き、凌駕していくのに興奮してわめきなががらカメラを廻していた」という。今観ても実に見事なシーンだよねえ(^_^)

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